ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

農民画家 ‐ アルテ・ピナコテーク

2013年04月14日 |  ∟ドイツの美術館

 侯爵夫人の次は細かい男。
 別にその男が細かかったという訳ではなく、四季折々の農民の営みを細密に描いたということ。農民画家と評されたほどに。

 その画家とは、初期ネーデルランド絵画の重鎮ピーテル・ブリューゲル(1525-1569)。
 息子が父親と同じ名前なので、大ブリューゲルとかブリューゲル(父)なんて括弧つきで紹介されていることは、小ブログ「<バベルの塔>」(ウィーン美術史美術館蔵)の稿でも書いたような。
 その彼の傑作のひとつ、「怠け者の天国」が今回のお話し。

 C_bosch_rB_bosch_c_7A_bosch_lその前に、彼が強い影響を受けたとされる画家のことをひとくさり。
 少し前、ドイツの町の稿で一寸書いたアーヘン、その町出身の画家一族の子として生まれ、初期ネーデルランド絵画史において最も特異な存在感を示す画家ヒエロニムス・ボス(1450-1516)。

 ルネッサンス期に、悪魔的な怪奇性と幻想性に富んだ極めて個性的な手法で、社会への風刺や批判を痛烈に表現したことで名を馳せたことは、これまた小ブログの<アルザスの旅>でちょとだけ触れた。

 彼の怪作じゃなかった傑作「快楽の園」(写真上/プラド美術館蔵)、各場面は宗教的示唆に富むらしいが、そのことは別にして、背景には奇妙な生物とも無生物ともつかない物体が数多く描かれ、まさにボスワールド。

 D_brueghel_6 その元祖奇画の大家風に、画板のなかに細々とキリスト教的寓意を散りばめた絵を描いたのが大ブリューゲルその人。
 代表作のひとつ「<ネーデルランドの諺>」(ベルリン国立美術館蔵)では、80以上もの諺や格言の場面が描き込まれ、驚く前に呆れたことを思い出す。

 それはさて置き、「怠け者の天国」(写真下)に話を戻す。
 主題は、“ 偶者は怠惰の後には懲罰を受ける運命にある ” ということらしく、木陰に寝そべる僧侶あるいは学者、兵士、農民の三人の滑稽な姿を借りて描かれているのだそうだ。

 その象徴として、豊富で有り余ることを意味する屋根一面の菓子、精神性の不毛を意味する食べかけの卵、既に事は決められていることを意味する腹を突き刺された豚などの寓意が散りばめられているとか。

 飽食の世界に住む怠け者としてただ寝そべるのみの男たち。
 5世紀を経た今も精神性の不毛という意味においては何も変わらない、改めてそんな印象を・・・と、訳知り顔で書いたものの僕(やつがれ)、実のところ余りというより殆ど理解できていないのであります、はい。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.598

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 侯爵夫人 ‐ アルテ・ピナコテ... | トップ | 輪を掛ける ‐ アルテ・ピナコ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

 ∟ドイツの美術館」カテゴリの最新記事