ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

威風堂々 ‐ ピサ(4)

2011年08月10日 | イタリア

 大聖堂の建設は、11世紀の中頃に始まり12世紀初頭に完成したという。
 ロマネスク様式の典型、十字に交差する建物の中央に円蓋を乗せる大伽藍(写真上)、広場からその全貌が見渡せることもあって威風堂々、まさに、地中海の覇者・ピサの栄光を今に偲ばす。

 Photo_4ほんの数日前、<雪にまみれた>ドイツ中・南部の街と比べ、地中海の陽光を一杯に受け、「今、待降節やろ?」「忘れてしまうほど明るさ、随分と違う。

 大聖堂は、身廊の両側に2本ずつの側廊を持つ五廊式。
 イスラムの支配下にあったシチリア奪還の先駆けとして、パレルモ沖の海戦でイスラムを撃破、その戦利品である無数の巨大な円柱が内陣(写真中)に並び、その上部にはイスラム様式のアーチが架かる。

 主祭壇の「主キリストの磔刑像」、それを取り囲む上部にはモザイク画「玉座のキリスト」。

 Photo_3アドリア海に面したヴェネツィアやラヴェンナと同じように、東方ビザンチン文化の影響が強く窺え、ピサが西地中海の覇権を握り、東方貿易の利権を享受していたことを証してもいる。

 この「玉座の――」の右端には<リッピ>の、「聖ヨハネ」が、高い格天井には青と黄金のパネルが嵌められている。

 イエスの生涯を描かれたゴチック様式の説教壇はジョヴァンニ・ピサーノ作、ガリレオが「振り子の等時性」を発見するきっかけとされたランプも、「ほんと?」「多分」、ある。

 大聖堂の正面向かいには、サン・ジョヴァンニ洗礼堂(写真下)。ほぼ円形の洗礼堂の高さは、これまた斜塔と同じ55mらしい。

  Photo_5この洗礼堂、一層目はロマネスク様式、二層目以上はゴシック様式で、ふたつの様式が融合した、ピサ・ロマネスク様式とも呼ばれるらしく、実に美しいフォルム。

 建物の周りを取り囲む荊の装飾に成人像が並び、頂点には洗礼者聖ヨハネが蒼天に屹立する姿が望めた。

 その北側に建つ幾何学的な直線を持つ矩形の建物は、かつて、ピサに住んだ貴族の墓所・カンポサント。

 洗礼堂の背後、今もその一部が遺こる旧市街を囲んだ古代ローマ時代の城壁。
 それに沿って、これら四つの白大理石の建物が深い緑の芝の上に調和をもって並ぶ様は、<奇跡の広場>と呼ぶに相応しく思え、その威容は、この街のかつての栄光の歴史を今も誇っているかのようだった。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.363

 ※ 「奇跡の広場 ‐ ピサ(3)」へは、<コチラ>からも入れます。

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