フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅。
大きな駅前通りを挟んで、同名のサンタ・マリア・ノヴェッラ教会と向き合う。
空の玄関<ペレトラ空港>と並ぶフィレンツェの玄関口(写真上)、早朝から多くの人が行き交っている。
この日これから、古代ローマ時代の軍港で13世紀まで海運都市国家として栄えたピサへ、ローカル線で1時間の短い旅をする。
斜塔で有名なこの街、さほどの関心もなかったのだが、ドゥオーモ広場一帯が世界遺産に指定されたのを機に、「話の種にやね」「一度は行っても」程度の思いはあった。
02年のフィレンツェの旅の途中、その1日をピサへの遠足にあてた。
さて、私たちが乗る電車は?と、パタパタ?の表示板を見上げるも「さっぱり判らん」。
で、通りがかりの人に尋ねると、「ルッカかリボルノ行きに」と教えてくれた。
後日、リボルノはピサの南にある港町で、ルッカはピサの北にあるトスカーナ州の州都だと分かった。
ちなみに、城郭都市ルッカで、“ オペラ・蝶々夫人 ” の作曲家プッチーニが生まれたとか。
行き先ぐらい前以って「調べとけよな」とは思ったが、「誰に言ってるの?」と倍返しされそうで、勿論、黙っておいた。
そのピサに向かう電車、発車まで5分ほどしかなく、しかも構内案内図で確かめるとホームは一等左端の奥まったところ。
人混みを掻き分けホームを走るものの寄る年波、息も上がり、「もうこの辺で!」と叫ぶ声が後ろから聞こえる。
間一髪とはこのこと、飛び乗ると同時に電車は動き出した。
車内は満員、なのに何故か、お婆ちゃんがひとりで座っている三人掛けの席が空いている。優先席だったのかな?「ミ・スクージ、失礼しまっさ」と声を掛けやおら腰を降ろし、流れ落ちる汗をぬぐう。
電車は、アルノ川に沿ってトスカーナの起伏のある谷間を縫って走る。
汗も引き、落ち着いたところで朝日新聞を読んでいると、物珍しいのだろう、「シゲシゲ」とお婆ちゃんに眺められてしまった。
そうこうしているうちにピサ中央駅(写真下)に着いた。
Peter & Catherine’s Travel Tour No.356