カンピドーリオの丘からのローマの空、今にも泣きそうだ。
アラチェリ教会の大階段も、下りる分には何の支障もなく?カタリナも大人しい。
ヴェネツィア広場へ向う途中、ぽつりぽつりと雨が落ちはじめ、晴れ女を自認する誰かもここ数日、空模様には口数が少ない。
ヴェネツィア広場とポポロ広場を真っ直ぐに結ぶコルソ通りを北へ、最初の名も知らぬ小さな教会の角を左折、湿っぽい路地を進むとコレッジョ・ロマーノ広場。
その広場に面して、ドーリア・パンフィーリ宮殿(写真上)がある。
広場の近くには、象の背中に乗ったオベリスクがあるソプラ・ミネルヴァ教会がある。
フラ・アンジェリコ、ミケランジェロ、ベルニーニ、そして、カラファ礼拝堂のフィリッピーノ・リッピの「聖トマス・アクィナス」(写真中)など、さながら小さな美術館と読んでもおかしくないほどの作品が並ぶ。
女性ではただ二人、聖テレサとともに優れた学識の聖人に贈られる教会博士の称号をもつシエナの聖カタリナがこの教会に眠る。
遺体はミネルヴァの神殿跡に建つこの教会に安置されているが、左手だけシエナのサン・ドメニコ教会に運ばれたのだとか。
シエナは皇帝派の街として、教皇派の街フィレンツェと常にトスカーナ地方の覇を競った街、永遠のライバルだそうだ。
話がそれた、元に戻す。
パンフィーリ家が所有するこの宮殿、館員が矢鱈生意気で向かっ腹が立つが、絵と出会うためには「我慢、がまん」と言い聞かせる。
宮殿の廊下を展示室とした美術館、照明が行き届かず、雨もやいの天気もあって暗く、目を凝らしてもよく見えない。
それに、フィレンツィエのピッティ宮のパラティーナ美術館と同様、壁面に「どっさり」と絵が架けてあって疲れさせる。
極めつけは、一段と薄暗い部屋、目指す絵はその部屋にあって、「意地悪してんのかいな?」と息巻くものの、カタリナは素知らぬ顔で一枚の絵(写真下)を静かに見入っていた。
<トラステヴェレ>からだいぶ回り道をしたが、カラヴァッジョの傑作、「悔悛するマグダラのマリア」にいよいよ出会う。