パピとママ映画のblog

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大奥 永遠 右衛門佐・綱吉篇★★★★

2012年12月24日 | あ行の映画
よしながふみの人気コミックを実写化した、異色時代劇『大奥』のシリーズ第2弾。前作の徳川吉宗から徳川綱吉の時代へと舞台を移し、男女が逆転した大奥で繰り広げられる愛憎と野望のドラマを壮大なスケールで活写。徳川家の繁栄という重荷を背負わされる女将軍・綱吉に『ジーン・ワルツ』の菅野美穂、大奥で権力を得ようと彼女に取り入る男・右衛門佐に『武士の家計簿』の堺雅人がふんする。波瀾(はらん)万丈な物語もさることながら、豪華絢爛(けんらん)な美術と衣装、ビジュアルにも目を奪われてしまうはずだ。

あらすじ:美しい容姿と才覚を持つ5代将軍・徳川綱吉(菅野美穂)による巧みな統治手腕によって、これまでにない栄華を誇る徳川幕府。だが、綱吉が一人娘を亡くして跡継ぎ作りに専念するようになったのを機に、大奥では正室と側室の派閥争いが表面化し、男衆の策略、陰謀が繰り広げられようとしていた。そんな中、貧しい公家の出身ながらも並外れた才気を認められ、右衛門佐(堺雅人)という男が大奥入りを果たす。権力闘争をくぐり抜け、綱吉の信頼をも獲得し、徐々に力を手にして大奥総取締となる右衛門佐だったが……。(作品資料より)

<感想>TVドラマ版「大奥 誕生 有巧・家光篇」(12年10月~12月放送)を見てなおさらのこと、この映画を観たくなった。京の都から大奥に連れてこられた僧侶・有功役の堺雅人のなんと気高きイケメンな男よ。こんなに時代劇の鬘や羽織はかまが似合う男はそういまいと思う。その堺さんが今度は映画で、また京から呼び寄せられた貧しい公家の右衛門佐を演じるのだ。
私には、堺雅人が演じる僧侶・有功の役も、右衛門佐の役も、同じように美貌と類い稀な野心と才覚で、存在感を見せつけて行く堺雅人の演技に、惚れ惚れとしてしまった。
確かに徳川綱吉役の菅野美穂の美しい顔立ちと才媛である気性の激しい女将軍を演じているのにはさすがにと感心しました。彼女は最近メキメキと演技の幅を広げて、どんな役でも呑みこみが早いというか、そつなくこなしてしまう。今回もまだまだ女として円熟美を増して、子宝が授からない綱吉の孤独と不安に満ちた役を熱演している。
それに当時を再現したという煌びやかな衣装や大奥の御鈴廊下などの荘厳な美術も見所の一つですよね。

しかし、将軍の父親桂昌院に西田敏行さんが、ベテランの粋を超えてユーモアたっぷりに貫録十分に演じて面白いです。御台所には、宮籐官九郎が京の公家の出ということで、やんわりとした草食系男子のような雰囲気でした。
側室の伝兵衛に要潤が、この俳優さんもなんか草食系男子で、綱吉との間に松姫をもうけたのだが、最愛の我が子を病気で亡くしてしまいます。将軍とは名ばかりで、世継ぎを産まなければならず、それが好きとか愛とかなんていうのは存在せず、ただ毎夜のごとく男と関係を持つのは、なんと愚かしいことなのか。
でも、後継者を巡る派閥争いこそないが、現在の皇室だってお世継ぎ問題で大変なのだからして。

それにしても、せっかく京からいい男がやってきたのに、綱吉も気に入って今夜の相手をと喜んでいたものの、男が35歳を過ぎるとお褥(しとね)滑りといって、夜の相手はできないのだ。これをいいことに、綱吉の機嫌のいいうちにと大奥総取締役の座を手にする。
桂昌院の西田敏行と、右衛門佐の堺雅人のそんな彼らが競い合うのは、どちらが先に綱吉に世継ぎを産ませるか。ただそれだけに焦点を当てて、莫大な費用(若い男に高い衣装を着せて)を費やしながら、互いに若い男を探してきては綱吉の前に差し出し、夜の相手をさせる。

だが、将軍綱吉が一向に妊娠の気配がない。父親の桂昌院が僧侶に尋ねたところ、以前若い頃、猫を殺生したことがあり、それが娘綱吉の懐妊の妨げになっているというのだ。そのことで、江戸中に生類憐みの令などというバカげた御触れを出し、生き物を殺してはならぬと、殺せば死罪を申しつけるなどと。これは本当にあったことで、お犬様だといい、野良犬だって放置して、野犬に噛まれて死んでもその犬を殺せないなんて。
そんなことより、綱吉もだいぶ年をとり、どうやら子供の生めぬ身体になってしまっていることに気が付かない愚かな父親。そんな綱吉でも、仕方なく夜の務めをするなんて、本当にバカげた話でございます。将軍とは名ばかりで、吉原の娼婦と同じようだと嘆く綱吉。

右衛門佐も本当は綱吉のことを愛しているのに、男の意地の張り合いなのか、年老いて白髪が目立つ年になって、やっと綱吉と愛を誓う仲になるという。切ないお話なのです。結局最後は、綱吉の姉の孫に将軍の座を譲ることになるのだが、ラストが哀しいですね。愛し合っていても、お互いに意地を張って好きだと思っていてもままならず、やっと綱吉も徳子に戻って愛しい右衛門佐の部屋へ走るのだが、・・・悲しゅうございます。一人の女としてやっと愛しい人の元へ遅かったのですね。
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