パピとママ映画のblog

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ヘイトフル・エイト★★★★★

2016年02月29日 | アクション映画ーハ行
クエンティン・タランティーノが放つ、ウエスタン仕立てのミステリー。男女8人が閉じ込められた、雪嵐の山小屋で起きた殺人事件の意外な真相を映し出す。ベテランのサミュエル・L・ジャクソンをはじめ、『デス・プルーフ in グラインドハウス』などのカート・ラッセル、『ミセス・パーカー/ジャズエイジの華』などのジェニファー・ジェイソン・リーらが顔をそろえる。彼らが織り成すストーリー展開はもちろん、タランティーノ監督が仕掛ける謎と伏線が張り巡らされた物語にくぎ付け。

<感想>クエンティン・タランティーノの8本目となる監督作には、タイトルにも数字の8を入れ込んだこだわりの渾身作であります。性格最悪、ウソ上等、欲得尽くめの“8人の嫌われ者”が、密室となった雪山ロッジで、仁義なき生死の駆け引きを繰り広げる異色の西部劇のような、実際は犯人探しの密室ミステリーになっていた。

第一章は「レッドロックの駅馬車」ワイオミングの雪深い山中を、レッドロックの街に向けて走る駅馬車に助けを求めてきた男ウォーレンが、サミュエル・L・ジャクソンであり、3人の賞金首の死体を運んでいる途中、寒さで馬を失ったというのだ。駅馬車に乗っていたのは同じく賞金稼ぎのルース(カート・ラッセル)で、極悪犯のディジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)を護送するために駅馬車を借り切っていた彼は、ウォーレンの同乗を渋るのだが、・・・。

第二章「ロクデナシ野郎」さらに駅馬車が進むと、今度は悪名高い略奪団の一員でありマニックス(ウォルトン・ゴギンズ)と遭遇。ディジーの賞金1万ドルの横取りを狙っているのではと疑うルースは置き去りにしようとするが、マニックスは自分こそがレッドロックの新任保安官だと主張。半信半疑ながらも馬車に乗せ、吹雪を避けるために「ミニーの紳士服飾店」に向かう。

第三章「ミニーの紳士服飾店」女主人が取り仕切る山中のロッジ「ミニーの紳士服飾店」に到着した一行。出迎えたのはミニーではなく、見知らぬメキシコ人のボブ(デミアン・ビチル)だった。ロッジの先客は自称死刑執行人のオズワルド(ティム・ロス)や黒人嫌いで有名な南軍の元将軍シミザーズ(ブルース・ダーン)ら、ひと癖もふた癖もある連中たち。吹雪が収まるまでの数日間、総勢8人はロッジで過ごすことに。

第四章「ディジーには秘密がある」ルースはディジーの賞金を奪われないように全員の銃を取りあげて回り、黒人のウォーレンは南北戦争で同胞を虐殺した元将軍シミザーズに怒りを燃やすなど、一触即発の緊張が漂うロッジ。そんな中で何者かが珈琲のポットに毒を入れ、コーヒーを飲んだ者たち、ルースと駅馬車の御者の2人が血反吐を吐いて息絶える。それを見てほくそえむディジーだが。

第五章「4人の乗客」時間は少々遡り、ミニーが切り盛りするロッジに駅馬車が到着し、4人の乗客たちが休憩することに。「紳士服飾店」と銘打ちながら服飾類は一切置いてはいないが、ミニーは十八番の絶品コーヒーで客たちを歓待するのだ。外の極寒も忘れる陽気なおもてないしのはずだったが、突如として銃声が響き店内は一気に地獄絵図と化す。

最終章「黒い男白い地獄」再び時間は戻って、毒殺された男たちの死体が転がるロッジ。消去法で違うと判断した自称保安官のクリスを味方に付けて、ウォーレンは拳銃を手に犯人探しに躍起となる。果たしてコーヒーに毒を盛った犯人=ディジーとグルなのは生存者の中の誰なのか?・・・。さらには、思いがけず9人目まで登場して、血で血を洗う凄惨なサバイバル・バトルに突入するのである。

さて、明確な6つのチャプターに章立てされている本作。168分という長尺にリズムを付ける上でも有効に機能しているのだ。いかにもな肝っ玉母さんなミニーが切り盛りしているロッジには、本来いるべきミニーと夫が不在。しかも常連のウォーレンすら知らない男のボブが留守番役とは何だか不自然だと、疑い始めるウォーレン。それに、ミニーが命よりも大事にしているロッジのドアは、カギが壊され板とクギで打ち付けないと閉められない。ウォーレンたちが来る前に、どんな事態が起きていたのか?・・・。
そして絶品コーヒーがじまんのロッジなのに、置かれていたコーヒーは吹き出すほど激マズのしろもの。それにシチューは中々いける味だが、コーヒーも淹れられないボブには作れないのでは。ウォーレンに扮するサミュエル・L・ジャクソンが、この密室での謎解きをするのだが、9人目の人物が床下から彼の股間目がけて銃を発射し、ウォーレンが重症を負う後半からが俄然面白くなってくるのだ。

だが、よくよく見れば、後半では過去作品の密室劇の「レザボア・ドッグス」的でもあるし、「イングロリアス・バスターズ」を彷彿させてるし。誰と誰がどう繋がるという心理戦やいろんなキーアイテムが象徴的に出てきたりする。
黒人ガンマンや銃撃戦は「ジャンゴ」それにお得意の時系列を入れ替えるのは「パルプ・フィクション」とか、重要人物たちが簡単に死んでいくから、その緊張感もすごくて、もう、観ているだけでゾッとしてくる。

一瞬で殺されたり状況が一変するていうのが、タランティーノらしさと言うか、観客はそこにリアルを感じるのだと思う。つまりは有りネタ満載であり、良く言えば集大成の必殺技の連続投球といった方がいいでしょうね。
大画面を埋め尽くすのは、タランティーノ映画の常連が多いので嬉しいです。だから、クセのありすぎる強烈キャラクターがズラリと8人。サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、そして、本作でアカデミー賞候補となったジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンス、ティム・ロス、ブルース・ダン等の超豪華な怪優陣が結集しているのだ。

さらには登場人物が8人ではなくて、「マジック・マイク」のチャニング・テイタムが突然と現れて、それであっけなく死んでしまう。どんな役だったのかというと、結構大事な役割だったのにね、ウォーレンの股間をブッ飛ばしても頭を撃たれて死んでしまうとは。
さすがにタランティーノ映画、役者が出たいから成立するのだろう。3時間弱と長いのだが、飽きずに観れる一触即発の緊張感が持続する、裏切りのアンサンブルを得とご覧あれ。
それに、音楽がいい、誰もが聞き惚れる巨匠のエンニオ・モリコーネなのだ。
そして、クライマックスでは二転三転して、敵が味方になったり、仲間だと思っていたら裏切ったりするんですから。始めはお互いに憎みあっているのに、いろいろあって協力する。それぞれの行動を見て判断して動くのだから、だからこそ恩を返すというか、仁義を通すとか、まるで時代劇に出てくる価値観と同じじゃないかと思えてくる。
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