パピとママ映画のblog

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ジェイソン・ボーン ★★★★

2016年10月09日 | アクション映画ーサ行
マット・デイモンが記憶を失った最強の暗殺者“ジェイソン・ボーン”を演じる大ヒット・シリーズの第5弾にして、マット・デイモンが第3弾「ボーン・アルティメイタム」以来のシリーズ復帰を果たしたサスペンス・アクション。共演はアリシア・ヴィカンダー、トミー・リー・ジョーンズ、ヴァンサン・カッセル。監督もマット・デイモンと同じくシリーズ復帰となったポール・グリーングラス。
あらすじ:全ての記憶を取り戻したジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が消息を絶ってから何年もの月日が経ったある日、元同僚のニッキー(ジュリア・スタイルズ)はギリシャに潜伏している彼との接触を試みる。ニッキーはハッカーグループと手を組み、CIAのサーバーから極秘情報を盗み出していた。その中には“トレッドストーン計画”の全貌とそれに関わったボーンの父親の情報も含まれていた。しかしCIA長官のデューイ(トミー・リー・ジョーンズ)はニッキーの足取りを追跡し、ギリシャに凄腕暗殺者アセットを送り込む。そんな中、野心を秘めたCAIの若手エージェント、ヘザー・リー(アリシア・ヴィキャンデル)は、強引なデューイとは距離を置き、ボーンを再びCIAに引き戻そうと画策するのだったが…。

<感想>マット・デイモン主演の“ジェイソン・ボーン”シリーズ「ボーン・アルティメイタム」(07)から9年、ポール・グリーングラス監督とデイモンの名タッグが第2作、第3作に続いて復活します。記憶を失ったCIA工作員ジェイソン・ボーンの物語は、シリーズ3作目で決着がついたかに思われたのに。しかしながら、まだ彼が取り戻していない記憶があったのだ。それは、CIA分析官だった父親の死に関する謎である。

本作ではボーンを工作員に仕立てたCIAのトレッドストーン計画に、彼の父親が関わっていたことが発覚する。計画の機密に触れたボーンは、恐ろしい極秘計画を進めるCIAと彼に恨みを持つ殺し屋との命がけの攻防戦を繰り広げるのがこの映画の内容であります。
さすがにマット・デイモンも40代半ばであり、役作りのために鍛え上げた体を作り上げたというから、冒頭でのギリシャの辺境で地下格闘技みたいなことをやってるのが観られますから。

それに、ギリシャ、ベルリン、ラスベガスといった、今回のアクションもまた長帳場で、大勢の群衆がいる観光地が舞台で、臨場感たっぷりのカーチェイスがあって、手持ちカメラの映像で、やたらカット数が多いということ。だからこそ、ボーンのルーツに切り込んだスピーディなアクションと、P・O・V・の手法を用いた臨場感はさすがでした。

ですが、難を言えば手ぶれカメラによる画面の揺れが余りにも凄くて酔ってしまった。これでは折角のアクションシーンでの、主人公のマット・デイモンの姿を追いかけ、尚のことジュリア・スタイルズのニッキーを目で追い、それから殺し屋のヴァンサン・カッセルを追うという、スクリーンを見つめていると、目が老いたのか付いていけずに酔ってしまった。
これをIMAXで鑑賞した娘も、目を白黒させて酔ってしまったと言っていた。それで、2Dにて鑑賞したものの、この監督のパラレル編集手法なのか、画面が変わる度に揺れが酷いのだ。
とは言え、「ボーン・アイデンティティー」(02)では自分がCIAの殺し屋だったことを知り、「ボーン・スプレマシー」(04)では、トレッドストーン計画の黒幕を追い詰める。そして、「ボーン・アルティメイタム」(07)で、“ボーン”誕生の秘密に迫る。ここでは、自分が工作員になった経緯を調べるうちに、CIAが邪魔者を自由に排除する“ブラックブライアー計画”に行き当たる。彼は計画の密告者と接触するが、CIAから襲撃されてしまう。

そして、CIAの新たな長官として、トミー・リー・ジョーンズが扮しており、CIAがネットワークを完全に監視するプロジェクトを計画。父親の死因を追う中でこの計画の機密情報に触れたボーンを消そうと躍起になる長官。

CIA長官が送る刺客は、世界で闇の任務を行うブラックブライアー計画に参加していた殺し屋で、白髪雑じりで老人になったという感じがするでもないが、ヴァンサン・カッセルが扮して得意のスパイナーとしての腕を披露するなど、ボーンが計画を暴露したため敵に捕まった過去があり、ボーンを憎んでいるらしく、二人の一騎打ちは格闘技もあり見応えがあった。しかし、ベガスでのカーチェイスでの、軍の装甲車に乗って車を何台も壊して走行するのには、ゲンナリしてしまった。

だが、時代の電脳ネットワーク化と歩調を合わせているのは、主にCIA本部の作戦コントロールの側であり、ボーン自身はむしろそんな時代の態勢に背を向けているのだ。彼はCIAの電脳インテリジェンスに対して、徒手空拳の諜報員のインテリジェンスで立ち向かうのだ。街に溢れる手元のスマホに没頭した人々とはおよそ対照的に、ボーンは常に上下左右に目を配り、辺りに注意を怠らない。システムの末端から自分を切り離して、ただ一人自由にゲームメイクをしている。
そして、プリペイドの端末とか小型の録音機とか、オモチャのようなガジェットをくすねては思いがけない使用法で、CIAの水も漏らさぬ監視網をかいくぐりぬけ、裏をかいて、いつの間にか彼らを見下ろす超越者の立場へとなっているのだ。

今回は、もう一人CIAの作戦担当の女性局員で、ボーンといわばネットワーク越しに激しいせめぎ合いを演じる敵役のヘザーに、「リリーのすべて」「U.N.C.L.E.」「エクス・マキナ」のアリシア・ヴィカンダーが演じていて、ラストシーンでついにボーンと同じ空間に立って初めて向かい会う。まさしくパラレル編集であり、ボーンにCIAに戻って来いと言い、味方のような振る舞いをする。

今回のCIAの陰謀だって、ハイテク企業のCEOを脅して最新ソフトに手を加え、全世界の人々の個人情報を監視しようというもの。CIAというかアメリカの倫理とは、「危険な存在は何時自分たちに害を及ぼすか分からない。だから攻撃をして壊滅するのだ」というものだから。ボーン自身は静かに暮らしたいだけなのに、いつもCIAの内部事情に引っ張られる形で戦わざるを得なくなるのだろう。

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