パピとママ映画のblog

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ゆずりは★★★

2018年06月29日 | アクション映画ーヤ行

人気ものまねエンタテイナー、コロッケが本名の滝川広志名義で映画初主演を果たしたヒューマン・ドラマ。新谷亜貴子の同名小説を原作に、葬儀社に勤めるベテラン社員と新入社員が、葬儀の現場で出会う様々な別れと悲しみの人間模様を優しく見つめていく。共演は柾木玲弥、勝部演之。監督は「eiko[エイコ]」の加門幾生。

あらすじ:葬儀社の営業部長・水島は、茶髪にピアスで面接にやって来た若者・高梨を、周囲の反対を押し切って採用する。水島の見込んだとおり、一見軽薄に見える高梨は、遺族の心にきちんと寄り添える優しい若者だった。そんな高梨との出会いをきっかけに、それまで悲しみの心を押し殺してきた水島にも少しずつ変化が生じていくのだったが…。

<感想>「おくりびと」とは異なり、送る人と送られる人、こちらは葬儀社の物語。それも、主人公がものまねのコロッケが、本名の滝川広志で初出演だという。コロッケが持ち味の表情も動きも止めて、シリアスな演技派に転向するなんてと、心配になったが、感情をあらわに出来ない抑圧が役柄と相まっていて好演。元々、皺ひとつから自在に動かせる芸達者な存在だけに、動きを制限されるとその中で、目一杯見せようとするだけに、演技が引き立ちます。

今までの「おくりびと」以降の葬儀屋の映画のパターンに収まった作りとは言え、これから世の中、葬式ばっかりになるわけだから、葬儀屋さんの仕事をきちんと描く企画は望ましいと思う。

そして、過剰に挿話を盛り込もうとせず、主人公自身の抱える問題と上手く対比させながら、型破りな新人社員との因縁も絡ませる作劇も、無駄がなく好感がもてましたね。新入社員の飼っていた「おかめインコ」の話が面白かった。

どうして新入社員の男の子が、見も知らぬ故人のためにスピーチを引き受けることになったのかが、興味深かったです。老夫婦の夫が亡くなり、葬儀をするのにもお金がない。予算が30万円でという最低ランクの棺桶やら、式場にその他で、確かにお金がかかるのだ。でも、お金を借りて高い葬式をあげるのはどうかと思いますね。その人に見合った葬式でいいと思います。だから、身内だけで葬式をすませるのが最近多いですよね。

新入社員の柾木玲弥くんの涙、涙のお別れのスピーチに誘い涙が出てしょうがなかった。お隣さんもすすり泣きをしてました。夫が盲目で、色が見えない、想像の色は白黒で、アルバムの写真も白黒が多いのだ。夫婦で散歩をしながら、妻が喜んでいる時はピンクの色が、二人で出会えない時には心がブルーになるという夫。バラの花が大好きな妻が、夫に教える花の色。そして、最後に柾木玲弥くんが喪主のお婆さんにそっと手渡すピンク色のバラの花、それを棺の中に入れてやる。そんな心温まるお話でした。

そして、女子高生のいじめによる自殺。その女の子の葬儀には、後ろの席に並んで座っていた女子高生たちが、ぺちゃくちゃと煩いし、担任の先生が両親に土下座をして謝るところで、その女子高生たちが、土下座に笑うのだ。いじめられて死んだって、加害者は、反省も、後悔もしやしないと、やりきれない気持ちになる。

葬儀の和尚の読経の間にも、女子高生がぺちゃくちゃと、その女子高生に対して、新入社員の柾木玲弥くんが、真面目に葬儀に参列しないのなら帰ってくれと怒鳴ってしまう。怒りに任せて葬儀をぶち壊してしまい、ざわざわと、参列者たちもあまりいい気持ではない。それを、営業部長・水島が叱り飛ばす。せっかく来てくれた参列者に対して失礼だろうというのだ。注意をして悪いのかどうかは、観客の見ている人たちが決めようではないか。

この新入社員との出会いは、まだ子供だったころに、父親が事故で亡くなり、その少年に水島が、「頑張れよ」と言ったことに対して、反撥してしまったことなど、そんな因縁があるのだ。

それに、主人公の水島も妻を自殺で亡くしている。それも葬儀社の社長の娘が妻だったことで、子供が出来なかった。それが男の自分に責任があったことで、子供がなくても二人で生きて行こうと言ったのに。妻は生きる希望を見失い死んでしまった。

ラストで、葬儀社の社長が突然死をする。まえから心臓が悪かったらしいのだが、みんなで社葬をするところ。そこで社長の遺書によって明かされる、水島の妻のことが、実は養女だったことが。社長も子供の出来ない男だったのだ。

タイトルの「ゆずりは」のことを社長がスピーチでお話をするところ。葬儀社の庭には、「ゆずりは」の樹が植えられている。樹齢40年、亡くなった娘を養女に向かえた日に植えたそうです。

注:ユズリハの名は、春に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することから。その様子を、親が子を育てて家が代々続いていくように見立てて縁起物とされ、正月の飾りや庭木に使われる。

 

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