た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

残暑・日本海

2023年09月19日 | essay

 一年に一回は海を見たい。私の住む信州は「海なし県」と言われ、物理的にも精神的にも海が遠い。遠いと余計見たくなるのが人情である。

 車に乗せろと発狂する犬を乗せ、日本海に向かう。

 暑い。でも海はそこにあった。

 波打ち際まで下りていこうと砂浜に足を入れたら、火にかけたフライパンの上を歩いているようだった。犬もびっくりしている。これで少しは懲りるといい。だが火傷は困る。犬を抱き上げ、退散する。

 海辺のカフェを見つけ、避難した。ナポリタンとコーヒーフロートを注文し、海を眺めながらゆっくりと時を過ごす。

 潮風が心地よい。犬は寝ている。

 水平線に向かっていくつか問いかけてみたが、返事はなかった。

 帰宅後テレビをつけてみると、本日は新潟が日本最高の37度越えを記録したとのことだった。わざわざ一番暑い日を選んで行ったらしい。思い付きで行動すると、そういう馬鹿を見る。まあそれでも、海とじっくり対峙できてよかった。答えは聞けなかったが、背中を押してもらったような気がする。

 明日からも頑張れそうだ。


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