新たなヤミ金手口か「後払い現金化」相談相次ぐ 専門家「法規制を」

2021-02-08 09:22:46 | Weblog
        新たなヤミ金手口か「後払い現金化」          相談相次ぐ 専門家「法規制を」 新たなヤミ金手口か「後払い現金化」相談相次ぐ 専門家「法規制を」
https://www.sankei.com/west/news/210205/wst2102050011-n1.html

 二束三文の商品にあえて高い値を付けて代金後払いで販売し、販売価格の何割かを即座にキャッシュバックする形で、現金を融通す
る業者が増えている。規制の穴を突いた新たなヤミ金手口とも指摘され、こうした商法は「後払い現金化」と呼ばれる。新型コロナウ
イルス感染拡大による収入減を補うために業者を利用して、“借金苦”に陥った人もいるといい、多重債務者の支援団体では、法規制
の対象に加えるべきだと訴えている。(杉侑里香)

■昨年秋以降に相談増

 「月ごとの収入があればブラック、クレカなしでもOK」「消費者金融やカードローンといった借入ではありません」
 インターネットで「後払い現金化」を検索すると、金融業者ではないとうたいながらも、現金の融通を持ちかける文言がズラリと並
ぶ。
 多重債務者らを支援する「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会」(大阪いちょうの会)によると昨年秋以降、こうした形で現金を融
通する業者が急増。同会には利用者からの相談が20件以上寄せられているという。
 たとえば、すぐに現金2万円を必要とする人がこれらの業者を利用した場合は、こんな流れとなる。
 サイト上の手順に従って個人情報を入力し、欲しいわけでもない風景写真を4万円の後払いで購入する手続きを踏む。写真データが
「商品」として手元に届くと、その日のうちに「キャッシュバック」として2万円が振り込まれる。給料日になり現金が入れば、「購
入代金」の4万円を業者に支払う。
 「購入代金」を支払えないと訴えたところ、業者に「個人情報をネット上にさらす」などと脅された人もいるという。

■「商品」価値はほぼゼロ

 このケースでは、「キャッシュバック」(2万円)された2倍の額を「商品」の「購入代金」(4万円)として業者に支払うことに
なる。これらが貸金業と認定されれば年利は利息制限法の上限(20%)をはるかに上回るため、警察の摘発対象となるのは明らか
だ。
 「商品」として利用されるのは風景写真のほか、ゴルフレッスンの解説文やギャンブル攻略法のデータなど。いずれも金銭的な価値
はほとんどゼロで、同会の植田勝博弁護士は「実態は商品売買を隠れみのにした高利貸。ヤミ金融にも該当し、出資法などの各種法律
に違反するのは明らかだ」と話す。

■「給料ファクタリング」に代わり台頭

 近年のヤミ金融の手口としては一昨年から昨年初めにかけて、将来の給料を担保に現金を融通する「給料ファクタリング」が横行し
た。社会問題化した結果、金融庁は貸金業に当たると判断し、警察当局が摘発を強化したため、昨年夏ごろには衰退。代わって台頭し
たのが「後払い現金化」だったとされる。同会によると「給料ファクタリング」から「後払い現金化」に転換した業者もあるという。
 同会の前田勝範司法書士によると、多重債務者のほか、コロナの影響で収入減となった人が当座の資金繰りのため「後払い現金化」
に手を出して苦しむ例もあるといい、「実態が違法なヤミ金だと気づかないまま利用する人も多い。業者の実態把握を進め、民事訴訟
の提起や規制強化の必要性を訴えていく」と話している。

◇

 大阪いちょうの会は、6日午前10時~午後5時に弁護士や司法書士による電話相談会「新型ヤミ金(後払い・ツケ払い現金化サー
ビス等)被害110番」(06・6361・0546)を実施する。相談無料。

「レビュー書いて報酬」はヤミ金かも…司法書士らが啓発
https://www.asahi.com/articles/ASP226RYCP22PTIL00M.html

 インターネットで買い物をしてキャッシュバックを受け、後に代金を払う「後払い現金化」が広がっている。実態は法外な利息の返
済を迫るヤミ金だとして、司法書士らでつくる「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会(大阪いちょうの会)」が2日に記者会見し、注
意を呼びかけた。6日に無料の電話相談会を開く。
 「最短10分で現金化」「レビューを書くだけで現金報酬」。ネット上で「後払い現金化」を勧める業者のサイトには、こんな言葉が
並ぶ。購入を申し込んだ客が「商品」の感想を投稿するとすぐ、「お礼」として代金の半額ほどが振り込まれる仕組みだ。客は代金全
額を期日までに払う必要がある。
 「商品」はおおむね3万~10万円ほどだ。「いちょうの会」ヤミ金対策委員長の司法書士の前田勝範さんによると、「誰でも見られ
るネット上の写真や動画のURLがメールなどで送られてくるだけ」という。
 ある業者のサイトでは、3万円の「商品」を購入すれば1万7千円をキャッシュバックするとうたう。商品は「情報商材」としか書か
れていない。これは実質、1万7千円を借り、1万3千円の利息を付けて返すのと同じだ。年利は900%を超える計算になる。
 期日までに代金を支払わないと、購入の際に登録した氏名や住所、勤務先をネット上にさらす悪質な業者もいるという。会には昨秋
以降、20件以上の相談が来ている。前田さんは「あくまで物の売買だと業者に説明され、困ってもどこに相談していいかわからない被
害者もいるはず」とみる。
 ヤミ金問題に詳しい堂下浩・東京情報大教授(金融論)は「金を送って過大な利息の返済を求めるやり方で、実質的にヤミ金だ」と
指摘する。サイトが目立ち始めたのは昨年6月ごろ。「クレジットカードの現金化はこれまでもあったが、新しい手口だ」と注意を呼
びかける。
 相談会は6日午前10時~午後5時にいちょうの会(06・6361・0546)へ。弁護士や司法書士らが応じる。府外の人でも相談できる。
(国方萌乃)

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