奨学金返還「人生のリスク」 10年で強制執行120倍

2017-02-24 21:09:53 | Weblog

          奨学金返還「人生のリスク」

          10年で強制執行120倍 

奨学金返還「人生のリスク」 10年で強制執行120倍
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201702/CK2017022202000135.html

 日本学生支援機構から奨学金を借りた人が返せなくなり、給料の差し押さえなど強制執行にまで進むケースが急増している。二〇〇五年度には四件だったが、一五年度に百二十倍超の四百九十八件になった。就職できなかったり、低賃金が続くことが大きく影響しているようだ。一方で返さない事例を見逃せば不公平感が高まるうえ、新たな借り手に必要な資金の減少につながるため、回収を厳しくせざるを得なくなっている。 (白山泉)

 専門学校を卒業してアパレル業界に就職した都内の三十代男性は学生時に約四百三十万円の奨学金を借りた。今の給料は手取り十五万円程度。返還が滞り、一五年冬に支援機構と毎月約三万円の支払いを約束したが、延滞金も含め返還額は四百万円以上も残った。結局、返せなくなり、数カ月後に給料を差し押さえる「強制執行」を予告する通知が届いた。

 支援機構は返還が困難になった人の救済措置を行っている。一四年度に延滞金の利率を年10%から5%に引き下げ、今年四月からは月額の返金額を三分の一に減らして返還期間を延ばす制度も新たに設ける方針。

 一方で奨学金の回収のため、簡易裁判所を通じた支払い請求や強制執行など法的措置を強化している。延滞者の割合は減少傾向にあるが、返還が困難な人を追い詰めている側面もある。

 政府は一七年度予算案で返還不要の給付型奨学金の新設を盛り込み、国会で審議中。教育無償化に向けた議論も活発化している。だが、すでに奨学金を借りている返還困難者の救済策は十分とは言えない。

 若者の労働問題に取り組むNPO法人「POSSE(ポッセ)」の岩橋誠さんは「延滞金が増え、元本の返還まで届かない人も多い。延滞金のカットなどの救済策が必要だ」と、現在の返還困難者の救済策では不十分だと指摘している。

◆外部委託で回収強化 正社員前提「制度限界」

 非正規社員が増え、正社員ですら簡単に給料が上がらない今の日本で、若者が背負う数百万円の借金は重荷だ。日本学生支援機構の二〇一四年度の調査では、奨学金の延滞が続く理由として「低所得」を挙げた人が51・6%。〇七年度の40・8%から増えた。「延滞金額の増加」も46・8%にのぼる。

 一方で、学びたくてもお金がない人を支援するために、奨学金の重要性はさらに高まっている。奨学金の貸出資金の一部に返還金を充てている支援機構にとって、「次世代の奨学金の原資を確保するため」に延滞金を減らすことは不可欠だ。支援機構は債権回収会社(サービサー)への外部委託をするなど、奨学金の回収業務を強化している。「返還できる人からはしっかり返還してもらうことが大切」と説明する。

 だが、返還できるのにしない人と、生活が厳しくて本当に返せない人を明確に分けるのは簡単ではない。差し押さえまで進んだ場合、将来、クレジットカードの審査が通りにくくなったり、職場にいづらくなる場合もあり、支援機構の取り組みが利用者を追い詰める。

 奨学金の返還の相談を受けている太田伸二弁護士は「大学を出たらみんなが正規社員になり、奨学金を返済できるという制度設計はもう成り立たない。このままでは大学に進学することが人生のリスクになりかねない」と話している。

<奨学金の返還> 奨学金は毎月の口座引き落としで返還するが、残高不足などで引き落としができないと「延滞」となる。日本学生支援機構が委託した債権回収会社が、返還の指導や猶予制度の案内などをしているが、延滞になってから9カ月がたっても猶予の手続きや入金がない場合には、裁判所を通じて「支払督促」を実施。その後に訴訟に移る。分割返還による和解で解決する場合が多いが、それでも延滞が続くと給与差し押さえなどの「強制執行」になる。


貸家着工 首都圏でバブル? 新築増えて空室率上昇

2017-02-20 21:04:01 | Weblog

                               貸家着工 首都圏でバブル? 

                                   新築増えて空室率上昇 

貸家着工 首都圏でバブル? 新築増えて空室率上昇
http://mainichi.jp/articles/20170218/k00/00m/020/023000c

 2016年の貸家着工は41万8543戸と8年ぶりの高水準になった。相続税の節税対策でアパートなどの貸家を建てる動きが活発化しているためだが、一方で既存のアパートやマンションの空室率は上昇している。専門家は「実需を伴わないアパート・マンション建設は続かない」として、バブル崩壊と首都圏郊外のさらなる「空きアパート」増加に懸念を示している。

 16年の新設住宅着工戸数は前年比6.4%増の96万7237戸で、2年連続で増加した。13年以来3年ぶりの高水準で、日銀のマイナス金利政策などを受けた低金利の長期化も住宅建設を後押しした形だ。

 中でも大きいのが貸家着工の増加だ。新設住宅着工のうち、持ち家や分譲住宅は20万〓30万戸台にとどまる。これに対して貸家着工件数は08年のリーマン・ショック後は30万戸前後で推移したものの、13年に35万戸を回復し、16年には40万戸を突破。この結果、新設着工の4割超を占めている。

 貸家着工増加の背景にあるのが15年の相続税の課税強化だ。貸家を建てると土地の評価額が下がって相続税が減らせるため、節税目的のアパート建設が相次いだ。だが、新築アパートが急増したことで、古いアパートの空室率が首都圏近郊を中心に急増するなど、ひずみも生じている。

 不動産調査会社のタス(東京都中央区)によると、首都圏のアパートの空室率は15年夏ころから急上昇しており、神奈川県や千葉県では木造などの空室率が35%を超えている。同社の藤井和之主任研究員は「少ないパイをアパート大家が奪い合っている状態。首都圏近郊で埋まっている物件は、駅近や新築などの条件の良いものが多い。人口減が続く中、条件の悪い物件は徐々に不良債権化していくのではないか」と分析している。

 また、首都圏近郊などでは、今後、高齢化が急速に進展することが予想される。ニッセイ基礎研究所の岡圭佑氏は、相続税の課税強化や低金利の長期化で「すぐにバブルが崩壊することはない」としながらも、「首都圏郊外の高齢化の進展がバブル崩壊のきっかけになる」と懸念を示している。【永井大介】


金融取引装う「新型ヤミ金」が横行 標的は中小企業…警察・支援団体も対応本腰

2017-02-16 17:29:11 | Weblog

         金融取引装う「新型ヤミ金」が横行 

       標的は中小企業…警察・支援団体も対応本腰 

金融取引装う「新型ヤミ金」が横行 標的は中小企業…警察・支援団体も対応本腰
http://www.sankei.com/west/news/170214/wst1702140036-n1.html

 企業の資金調達に用いる金融取引「ファクタリング」を悪用し、高額な手数料を徴収するヤミ金が横行している。実態は資金繰りに苦しむ中小企業に法外な高金利で貸し付ける手口で、ファクタリングの手数料に法的な制限がないことが背景にあるという。大阪府警は1月、貸金業法違反容疑で、ファクタリングを装ったヤミ金業者を全国で初めて摘発したが、業者の実態は不透明な部分が多く、被害の全容は判然としていないという。(井上浩平)

違法性の判明恐れ

 「分割返済を交渉してほしい」
1月中旬、多重債務者の支援団体「大阪クレジット・サラ金被害者の会」(大阪いちょうの会)でヤミ金対策委員長を務める前田勝範司法書士のもとに、札幌市の食品販売会社から相談が寄せられた。同社は資金繰りが悪化し、昨年12月、「ファクタリング」をうたった業者からの電話勧誘に応じてしまっていた。
 正規の業者なら企業の債権を買い取って代金を回収するが、この業者は取引先への未収金(売掛債権)100万円を担保に30万円を同社に貸し付けた。同社は利息を含め40万円を返済したが、追加で借りた約77万円のうち約53万円が返せず、返済を迫られていた。
 融資とすれば法定金利の10倍以上で、明らかに違法な高金利のため、前田司法書士は「無登録の貸金業に当たり、出資法に違反する高金利だ」と判断。取引を中止し、支払い分の返還を求める文書を業者に送ると、素直に従ったという。
 業者側とは電話やファクスでやりとりしたが、所在地などは不明のままだ。「ファクタリングを隠れみのにしたヤミ金の“確信犯”。争えば違法性が明らかにされると考え、素直に応じたのだろう」。前田司法書士はこう推測する。

何度も貸し付け

 金融関係者によると、ファクタリングはもともと、中小企業の資金繰り支援策としてリース会社などが手がけてきた。企業側にとっては債権を取引先からの支払日より早く現金化できるなどのメリットがある。
 ただ、ファクタリングは融資でなく、取引手数料にも明確な規制がない。このため、法規制が厳しくなったヤミ金業者がファクタリング業者に衣替えし、手数料名目で高い金利を取るケースが増えているという。
 正規のファクタリング契約では、債権譲渡を取引先に知らせる「債権譲渡通知書」も作成するが、悪徳業者はこの通知書も悪用するようだ。「返済できなければ取引先に通知書を送る」と企業側に圧力をかけ、何度も貸し付けるという。
 捜査関係者は「資金繰りが苦しい企業は、途中でヤミ金だと気づいても、すぐに資金が必要なため業者から借りてしまう」と話す。

手口も使い回し

 府警が今年1月に摘発した2業者の中には、ヤミ金で逮捕歴のある人物も含まれていた。2業者は全国約250社に総額3億円以上を貸し付け、1億円以上の利益を得ていたという。
 府警幹部は「金が用意できなければ利息分だけを払わせ、元金返済を先延ばしにする『ジャンプ』と呼ばれる手口を使うなど、ヤミ金そのもの」と指摘する。
 府警は全国で同様の被害が相次いでいるとみているが、新たな手口だけに詳細はつかめていないという。今後も摘発を通じて実態解明を進める方針だ。


住宅政策は福祉連動で 共産党国会議員団が学習会

2017-02-05 18:10:38 | Weblog

             住宅政策は福祉連動で 

          共産党国会議員団が学習会  

住宅政策は福祉連動で 共産党国会議員団が学習会
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-04/2017020404_01_1.html

 貧困問題に取り組む専門家を招いて、縦割り行政の弊害から住宅政策と福祉政策が連動していない日本の現状を考える、日本共産党国会議員団の「住宅セーフティネット」学習会が3日、衆院議員会館で行われました。

 首都大学東京の子ども・若者貧困研究センター特任研究員、小田川華子さんは、「若年層の住宅困窮問題から住宅政策を考える」と題して、報告しました。国土交通白書などから、不安定就労層が選ぶ立地は、通勤交通費が抑えられ、複数の職場にアクセスが良く、転職してもなるべく引っ越さなくてよいところだと指摘。首都圏の単身者は都心部に集まり、安全を確保するため、単身女性の都心への集中は男性より著しいと語りました。実家から出られない若者やシェアハウスを転々とする低所得の若者が入居できる賃貸住宅の必要性を強調しました。
 「高齢者の住まいの貧困の現状」について報告した、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人の稲葉剛さんは、川崎の簡易宿泊街火災事故にも触れながら、簡易・低額民間宿泊所に単身高齢者が“滞留”している現状を告発。生活保護行政と住宅行政が居住福祉政策として一元化される重要性を語りました。
 住まいの改善センターの坂庭國晴理事長は、政府が今国会に提出する法案や「新たな住宅セーフティネット制度」の問題点や課題について報告しました。
 もとむら伸子衆院議員、山添拓参院議員が参加し、専門家と政府法案などについて意見交換しました。