規制強化より患者支援 「カジノ法」スピード成立…ギャンブル依存症対策は?

2016-12-22 18:06:44 | Weblog

              規制強化より患者支援 

      「カジノ法」スピード成立…ギャンブル依存症対策は? 

規制強化より患者支援 「カジノ法」スピード成立…ギャンブル依存症対策は?
http://mainichi.jp/articles/20161222/dde/012/040/002000c

薬物、酒と同じ「脳の病気」/「自己責任論→孤立化」の逆効果

 対策が後回しとは、ギャンブル依存症を甘く見ているのではないか。刑法が禁じているカジノを合法化する「統合型リゾート(IR)整備推進法」(カジノ法)がスピード審議で成立した。依存症患者になるのは、意志が弱い一握りの人だけなのか。依存症と闘う人たちの声を聞きながら考えてみた。【井田純】

 カジノ法審議は衆参合わせてたった20時間余り。経済効果が年間約7600億円に及ぶという関西経済同友会の試算が強調される一方、依存症対策の議論は深まらなかった。政府は来年度から対策を強化するというが、具体的な案はまだ見えてこない。

 一方で、カジノ法案審議と並行して、日本維新の会は生活保護受給者にパチンコなどを禁じる法案を提出。従わない場合は保護の停止も視野に入れている。大分県内の2市ではパチンコをした生活保護受給者に給付停止・減額の措置を続けていたことが判明、今年3月に県から指導を受け措置を撤回したが、ネット上では従来の措置を支持する意見があふれた。世の流れをみると、依存症対策に罰則を絡める論議が強まりそうだ。

 そもそも依存症とは何なのか。アルコール、薬物、ギャンブルなどさまざまな依存症治療を専門に行う大石クリニック(横浜市)の大石雅之院長を訪ねると、「患者の性格の問題だけで説明するのは誤り」とクギを刺された。違法な薬物摂取を繰り返すのも、ギャンブルがやめられないのも、行為こそ違うが、早期発見・早期治療が必要な「脳の病気」という。「行為の直後だけは幸せという短期的な欲に負けてしまうのが依存症の特徴。対象が何であれ、同じ脳のメカニズムです」

 病気なら、医師の指示に従って治療するもの。それができない依存症患者はやはり問題があり、自己責任ではないかという見方に大石さんは「糖尿病患者でも、正しく服薬している人は3割程度で、ほとんどが医師の指示を守っていないというデータもある」と例をあげ、こう反論する。「そんなことを言い出せば、どんな病にも自己責任の部分は必ずある。医療費抑制を理由に、高血圧の人に規定以上の塩分摂取を法律で禁じたらどうなるか。きっと違反がぼろぼろ出ますよ」

 さらに、依存症患者にその行為を禁じたり、罰則で追い込んだりするのは逆効果になりかねないと指摘する。「依存から抜けかけて再発してしまった人の中には、孤独感や怒りなどの感情がきっかけになったケースが多い」という。依存症克服の効果が認められているのは、同じ経験に苦しむ人が集まる自助グループへの参加。孤立させないほうが治療効果があるというのだ。

 さまざまな依存症の根っこが同じなら、克服のアプローチも共通点があるはず。夜の街が一層華やぐ忘年会シーズン、アルコール依存症患者と家族が酒を断つことを誓い、体験を語る断酒会の集まりを訪ねた。
 この日訪れた東京都江東区の会場には70人以上が出席。都内ではほぼ毎日どこかで開かれており、連日23区内を回っている人も少なくない。

 19歳のころから連日酒を飲むようになったという27歳の女性は、職場の忘年会で深酒をし、駅の売店の前で寝てしまった数年前の話を始めた。年下の同僚女性が介抱のために帰れなくなり、そのことで上司に注意された場面を振り返って、かみしめるように語る。「私は『酔っ払いの世話を焼くお前たちが悪い』と平気で言ったんです」。アルコールを断って1年、自分がいかにひどいことを口にしたかに気づいたという。

 全国に先駆けて設立された断酒会組織「東京断酒新生会」の保坂昇事務局長(54)は自身の体験もふまえて「アルコール依存では、自分が依存症であることを認めず、自己管理できると考えてしまい、他者の関与を排除しようとする傾向がある。自分がよければ、周囲のことなど知らないという考え方になる」と指摘する。「アルコール依存かもしれないと思ったら、最初は、他の人の体験を聞くだけでもいいから、気軽にのぞいてほしい。同じように苦しんでいる人が他にもいることを知り、病気を認められる環境をつくることが重要と考えています」

 依存症患者が自己管理できると過信する心理は、薬物でも同じようだ。「病気だと認めるのが抜け出るための最初の一歩なのに、『やっていない』と周囲に言い張って、自分自身もだましてしまう人はたくさんいます」と話すのは、覚醒剤や危険ドラッグの依存症だった作家の石丸元章さん(51)。1990年代、取材目的で薬物の世界に近づき、使用を重ねるうちに自身が覚醒剤から離れられなくなり、95年に逮捕された。周囲に支えられて、10年ほどで離脱症状に苦しむことはほぼなくなったというが「あの衝動のような渇望感は、自分ではコントロールできない。ぜんそくの発作が我慢できないのと同じで、意志でも肉体でも抑えられない」と振り返る。

 富裕層をターゲットにしたカジノ産業の社会的影響について、石丸さんは「ステータスの高いカジノという場では、これまでパチンコなどに見向きもしなかった新たな層が依存症に陥る危険性がある。政治家は無頓着過ぎると感じます」と危惧する。

 厚生労働省の研究班が2014年に発表した推計によると、国内のアルコール依存症経験者は109万人。これをはるかに上回る536万人と見積もられているのがパチンコなどのギャンブル依存症で、成人人口の5%近くに及ぶ。

 「依存症の危険性について何の警告もなくギャンブルというサービスを提供され、病にかかるのは消費者被害にほかならない」。九州各県の弁護士会で作る九州弁護士会連合会は9月、依存症患者をつくりだす社会の責任をこんな表現で追及する「ギャンブル依存症のない社会をめざす宣言」を採択した。宣言は、早期発見や治療につながる実態調査や相談窓口の整備を国に求め、依存症は自己責任の問題とするアプローチを改めるよう促している。

 宣言の起草にもかかわった宮崎県弁護士会の成見暁子弁護士は、ギャンブル依存症の危険性が周知されていない現状について「資産や家族を失い、自殺に至ることも珍しくないのに、たばこの害ほどの注意喚起もないまま、パチンコの広告があふれている。自己責任で片付けることは許されません」と語る。「生活保護受給者がギャンブルをしない方がいいのは当然ですが、食費を削ってまでやる人は明らかに依存症。必要なのは罰でなく治療です」

 そのうえで、経済効果を見込んで推進されたカジノ法に対し「パチンコより大きな額がやり取りされるカジノでは、悲惨な状況に陥る人が必ず出る。その犠牲の上に経済成長しようという発想自体に問題がある」と強調する。

 日本の産業に明るい兆しがないからカジノでもうけよう。たとえ苦しむ人が出ようとも〓〓。推進されている政策こそ、「短期的な快楽を追い求める」依存症の発想そのもののように思えてならない。


超高齢社会の居住政策と居住支援 中島明子和洋女子大教授が講演

2016-12-16 13:39:11 | Weblog

         超高齢社会の居住政策と居住支援 

          中島明子和洋女子大教授が講演 

           社会住宅と家賃補助こそ必要

         法改悪反対全国連絡会が学習交流集会 

超高齢社会の居住政策と居住支援 中島明子和洋女子大教授が講演
 社会住宅と家賃補助こそ必要 法改悪反対全国連絡会が学習交流集会

http://www.zensyakuren.jp/sinbun/2016/588/588_01.html

 借地借家法改悪反対全国連絡会は全国学習交流集会を11月12日午後1時30分からUR王子5丁目団地集会場で開催しました。

 全借連の中村副会長の司会で議事次第が進行し、主催者を代表して全借連の田中会長が開会の挨拶を行いました。続いて、和洋女子大学教授の中島明子氏より「超高齢社会の居住政策と居住支援」とのテーマで基調講演がありました。

 中島氏は、居住学を教えている立場から「住宅とは何か」、「住宅と居住の違い」について触れ、「住宅政策は住宅の供給が中心だが、居住政策は人が住むという生活の質の向上を目的とする」と定義しました。

次に高齢者の住まいの現状や認知症高齢者の増加、単身世帯の増加などの図表を示しながら、格差社会の拡大によって様々な諸問題が発生し、居住貧困が拡大している問題を指摘しました。政府が今年閣議決定した「新住生活基本計画」や「住宅セーフティ施策」については問題点を指摘し、民間賃貸住宅の活用というが「市場で適切な住まいを確保できない人に対して、市場で対応するというのは制度矛盾である」、「市場で適切な住宅を確保できない人に対しては社会住宅(公営住宅等)の整備・供給や体系的家賃補助制度の創設などが必要である」と強調しました。

 次に公団・公社・公営住宅の各団体と全借連から大借連の河嶋事務局長が報告を行いました。河嶋氏は、大阪の木造老朽住宅の文化住宅の実態を説明し、「良質で低家賃の賃貸住宅は市場では両立しない」と訴えました。