特命調査班 =マル調=「都会にはびこる”シェアハウス”の実態」

2013-12-17 20:43:25 | Weblog

                 特命調査班 

         「都会にはびこる”シェアハウス”の実態」  

特命調査班 〓マル調〓「都会にはびこる“シェアハウス”の実態」
http://www.mbs.jp/voice/special/201312/12_post-409.shtml

 縦2メートル横2メートル、高さは1メートルほどの白い箱。
 箱としてみたら、かなり大きいのですが、中のスペースはというと…
 大人1人が寝転がっている分には十分ですが、長時間いると窮屈で息がつまりそうです。

 実はいま、こうしたサイズの部屋に住む人たちがいます。
 しかも、1つの空間にこうした部屋がたくさん連なった、まるでカプセルホテルかのようなシェアハウスがあるといいます。
 今回の「マル調」は、いま多くの問題を抱えるこうしたタイプの「脱法シェアハウス」に迫りました。

大阪市内にある、3階建ての建物の中。
 狭い通路の先に小さな扉が並んでいる。
 その中が、寝泊まりするスペースだ。
 24歳のAさん、ここの住人だ。
 部屋は2畳に満たない広さ。
 窓はなく、天井の高さは1メートルほどで、立つことはできない。

 <マル調>
 「住み心地はいかがですか?」
 <Aさん>
 「決していいというわけではないですけど、まあ別に寝て過ごす分には問題ないかなというレベルですね」

 Aさんは、ここに住んで8か月あまりになるという。
 こうした住居は「脱法シェアハウス」と呼ばれ、ここ数年、都心部を中心に増えているという。

 建物の全容はこうだ。
 さきほどのような個室が上下2層になっていて、それが左右に連なる。
 3階建ての建物の中には、こうした個室がおよそ20部屋ある。
 改装に使用したのか、室内には建材が無造作に置かれている。
 通路の幅は、およそ60センチ、人ひとりが通るのがやっとだ。
 キッチンや風呂、トイレは共用だ。
 この建物内で、十数人が共同生活をしているという。
 個室の壁は薄く、隣の生活音は筒抜けだ。

 <入居者のAさん>
 「すごい手作り感があって、『ここで住むのか』と正直思いはしましたけど」
 こうした住居は、天井の高さが十分でなく、壁の耐火性が低いなど、建築基準法上の「人が住む居室」としての条件を満たしていないことが多い。

 ただ、これまで業者の多くは個室ではなく、広い部屋を間仕切りしただけだと主張してきたため、違法とは言い切れない状態が続いてきた。
 Aさんが、あの部屋に暮らす理由は、ズバリ家賃。
 大阪の都心部にありながら、月に2万円とアパートを借りるより格安だからだ。


 <Aさん>
 「一番の理由は『安かったから』というのが大きいですね。1人暮らしとなると初期費用が掛かってきますから。ふつう火災保険だとか保証費用が必要ですが、あそこはそういったものが一切、必要なかったんで入りやすかったというのがありますね」

 Aさんは大学を卒業後、兵庫県にある実家を出て1人暮らしをしようと、インターネットで検索してあの部屋を見つけた。
 現在、コールセンターに勤めていて、手取りで月20万円を超える収入があるが、将来、自分でカフェを開業する夢があり、お金を貯めているのだという。

 これまでも都心部では収入が不安定な若者を中心に、インターネットカフェや個室ビデオ店などで寝泊まりする人たちの存在が取沙汰されてきた。

 一方、「脱法シェアハウス」は、月単位でみれば、それらよりも費用が安く、荷物も置けて郵便物も受け取れる。
 格安の家賃で都心での生活を続けたいという人の、新たな受け皿となっているのだ。
 しかし、「脱法シェアハウス」をめぐっては、トラブルも増えている。

 <マンション管理組合幹部>
 「あそこなんです。ここの4階」

 築35年、古くからの住人も多い、東京・文京区の分譲マンション。
 この中の1室が「脱法シェアハウス」に改装されているというのだ。

 <マル調>
 「現時点で何人が入居されてます?」
 <マンション管理組合幹部>
 「わからないんです。名前もはっきりわからない、不安ですね、こういう状態」


 37平方メートルの部屋が6人用に改装されていて、マンションの他の住人は素性のわからない入居者が出入りすることに不安を抱いているという。

 <マンション管理組合幹部>
 「居住者同士のトラブルや騒音問題、ゴミ出しも、そういう部屋が1つできることによって、マンション全体の資産価値が下がるなど、困ることだらけなんです」

 一方、改装を請け負った、シェアハウス業者に「マル調」は話を聞くことができた。
 業者は部屋の改装にあたっては、行政のチェックも受けながら工事を進めてきたと説明する。

 <東京シェアハウス 佐藤哲也社長・模型の前で説明>
 「この人(人形)は、人間に直すと175センチくらいの身長になるんですけど、立つことはちょっとままならないですね。あくまでも寝るだけ。まあ2段ベッドと思っていただければ」

 「マル調」は、完成間近だという4人用のシェアハウスを見せてもらった。
 女性専用なのだという。
 
 東京で手広く、シェアハウスの改装を手がけている業者。
 7月に着工して、完成間近の部屋を見せてもらった。
 女性専用だという。
 上下4つのスペースで、4人が寝泊まりする。

 <東京シェアハウス 佐藤哲也社長>
 「扉は3枚とも動くし、外すこともできます。みなさんの自宅にも2段ベッドとかある方も多いと思うんですよ、2段ベッドはいけないんですか?」

 あくまで、2段ベッドの間仕切りであり、建築基準法でいう「居室」にはあたらないとしてきた業者。

 <東京シェアハウス 佐藤哲也社長>
 「たしかに、完全に壁で囲ってしまうと、ひょっとすると『居室』にあたるんじゃないかという自治体もあったんですよ。扉を外してしまえば『居室』じゃないですよね、という確認はこちらでとっていたので」

 改装中も自治体の担当者から確認を受けながら、工事を進めてきたという。

 しかし今年9月、事態は大きく動いた。
 国土交通省は「違法貸しルーム対策」とする通知を、全国の自治体に出した。

 曖昧さを改め、「一定のプライバシーが確保され、独立して区画された部分」は「居室」とみなすとしたのだ。
 その場合は法律で、防火性能の高い壁の設置や部屋に窓を設けることが義務づけられる。
 つまり、「脱法シェアハウス」の多くは「違法」という見解が示されたのだ。

 業者側は困惑する。

 <東京シェアハウス 佐藤哲也社長>
 「9月5日までは法律に触れていなかったが、9月6日以降は、100パーセント違法というかたちになってしまいました」
 <マル調>
 「今ある物件は、どうしていく?」
 <東京シェアハウス 佐藤哲也社長>
 「そのへんは、特定行政庁との話し合いになると思います」

 大阪のシェアハウスも例外ではない。
 物件のオーナーは、これの他に2件のシェアハウスを運営しているが、天井の高さ不足や防火設備の不備などで建築基準法に抵触するとして、是正指導が行われた。
 Aさんの住むシェアハウスにも、近く大阪市の立ち入り調査が入ることが決まっている。

 <マル調>
 「もし、それで住めなくなってしまったらどうします?」
 <Aさん>
 「他のちゃんとしたところに移れればいいぐらいですね」

 自治体による調査の対象となった物件は、今年10月末までで全国で1,055件。
 そのうち、違法状態とされたのは489件にのぼり、指導が進められている。

 しかし、課題も残る。
 東京都に住む本間さん(50)。
 7か月あまり住んでいた、シェアハウスに是正指導が入り、退居を求められた。


 <本間さん>
 「(退去を求める)紙がドアに張り出されて。あとはエレベーター前に張り出されていて」
 <マル調>
 「張り出されたとき、どう思いました?」
 <本間さん>
 「いきなりだったんで、何が起きたのかな、という気持ちでしたね」

 7月に体調を崩して仕事を辞め、収入がない本間さん。
 シェアハウスを出た10月以降、結局、生活保護を受けることになり、敷金の免除や家賃補助を使って、マンションの部屋を借りることとなった。

 <本間さん>
 「(シェアハウスが)なくなってしまうと、本当にホームレスが多くなるのでは、と感じているんですけど」
 <マル調>
 「ああいった所に助けられている人も?」
 <本間さん>
 「多いと思いますよ」

 違法とされた、「脱法シェアハウス」。
 しかし仮に、これがなくなったとしても、都会を漂流する人たちはなくならない。
 収入が不安定な人たちの住まいはどうあるべきか。
 今、課題が突きつけられている。

 


<生活保護法>「受給手続き厳格化」への改正など2法が成立

2013-12-07 12:33:37 | Weblog

                 <生活保護法> 

                「受給手続き厳格化」  

                改正など2法が成立   

<生活保護法>「受給手続き厳格化」への改正など2法が成立

毎日新聞 12月6日(金)19時59分配信

 就労支援による「脱・生活保護」を鮮明にした生活保護法改正案と、生活困窮者自立支援法案(ともに参院では可決済み)が6日、衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。生活保護法の抜本改正は1950年の施行以来初めて。保護脱却に力点を置く一方、受給手続きは厳格化するとあって「受給へのハードルが上がる」との懸念も出ている。

 8月の生活保護受給者は約216万人と過去最多水準が続く。政府は8月から、保護費のうち食費など「生活扶助」の最大10%削減に着手済み。これに続く2法の成立で「アメとムチ」の枠組みがそろうが、財務省は今後、家賃相当の「住宅扶助」などにも切り込む構えだ。

 2法のうち、改正生活保護法では「就労自立給付金」を新設する。受給者が働くと控除分を除いた稼ぎが保護費から減額されるため、就労意欲がわきにくいとされる。このため2014年7月からは賃金の一定額を積み立てたとみなし、保護を抜ければ負担が必要になる税金や社会保険料に充てられるようにする。一方、生活困窮者自立支援法は生活保護寸前の人を支えるため、各地の自治体に相談窓口を置くなどの内容だ。

 両法とも就労支援による自立を強く促している。だが、埼玉県の元受給者、高野昭博さん(58)は3年近く就労指導を受けながら就職できなかった。今は知人の紹介先で働くものの「受け皿がないと無理。雇う側に生活保護への差別意識があるのも問題」。ある自治体の担当者は「低賃金の職場に押し込んでも(保護費で暮らせるため)劣悪な就労環境の維持を手助けするだけ」と指摘する。

 改正生活保護法は受給申請時に資産や収入、親族の扶養状況を文書で提出することを義務付けた。「窓口で申請をはねる『水際作戦』の法制化だ」との指摘を受け、口頭申請も認めるとしたが、一連の改革は困窮者を就労指導に招き寄せ、生活保護から遠ざける「沖合作戦」とも批判される。一度保護を抜け、体調を崩して再び受給を始めた千葉県の適応障害の女性(34)は「『助けて』と訴えても救われないのでは。保護から抜けるのが怖くて仕方ない」と話す。【遠藤拓】

 ◇改正生活保護法・生活困窮者自立支援法の骨子

 <改正生活保護法>

・健康保持、収入・支出の把握を受給者の努力義務に(2014年1月~)

・就労自立給付金の創設(14年7月~)

・自治体の調査権限拡大(同)

・不正受給の罰金を100万円以下に引き上げ、返還金も上乗せ(同)

・申請手続きで書面提出を原則義務化(同)

 <生活困窮者自立支援法>

・一般的就労への前段階「中間的就労」を制度化(13年12月~)

・自治体やNPOなどが相談を受け自立を支援(15年4月~)

・住居確保給付金を支給(同)


水道・電気など停止、行政に伝わらず…女性餓死

2013-12-05 21:19:21 | Weblog

               水道・電気など停止 

             行政に伝わらず・・・女性餓死  

水道・電気など停止、行政に伝わらず…女性餓死
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131205-OYT1T00801.htm?from=tw

女性の遺体が見つかった部屋の前には水が供えられていた=藤本将揮撮影

 水道や電気、ガスの供給が止められた大阪市東淀川区の集合住宅の一室で先月18日、
餓死したとみられる女性の遺体が見つかった問題で、国が、ライフラインを停止する際は
「生活困窮者の可能性がある」として、料金滞納世帯の情報を自治体に提供するよう求めて
いるにもかかわらず、大阪市水道局など各事業者が対応していなかったことが分かった。

 滞納者からのクレームを恐れたためだが、厚生労働省によると、餓死は今も年に数十例あり、
セーフティーネットが生かされていない一端が浮かんだ。

 遺体が見つかったのは、住宅街にある5階建ての集合住宅。遺体は31歳の居住者とみられ、
東淀川署が身元確認を進めている。

 厚労省などは2000年前後に生活困窮者が餓死する事案が相次いだため02年、水道や電気、
ガスの料金滞納で各事業者が供給を停止する場合、各事業者に滞納者の情報を自治体と共有する
ことを求める通知を出しており、12年にも再通知。これらの内容は、各自治体にも知らされている。

 今回のケースでは、部屋の家賃は5月以降、計約41万円が滞納され、水道や電気、ガスも
夏以降、未払いが続き、10月上~中旬に止められていた。女性の
死亡推定時期は同月頃とされる。

 そのため、通知が運用されていれば生存時に発見できた可能性もあるが、東淀川区役所に
よると、どの事業者からも情報提供はなく、過去にもそうした情報が寄せられたことはないという。

(2013年12月5日18時01分  読売新聞)