虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 9

2010-02-20 22:14:12 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
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☆くんとふたりきりで、仕事をすることになった当初、
☆くんはほとんど口をきいてくれませんでした。
仕事のわからない箇所をたずねると(田舎の郵便番号は特殊で、郵便番号簿では判別できないものがあるのです)
「はぁ~」とため息をついて、全身でイヤさをアピールしながら、
ぼそぼそと教えてくれました。

非協力的ではあるけれど……底意地が悪くはないな……
無視してるだけなら無害か……この部署に働けない人がきたらイラつくのもわかるわ……こんな恐ろしい仕事の責任が自分ひとりの肩にかかってくるわけだしね……

そんなことを考えつつ、まず何度も教える手間をかけさせて
仕事の足を引っ張らないように、
時折、別の部署に荷物を取りに移動するときに、聞いたことをメモしておき、
その日のうちに覚えてしまうようにしました。
また、単純作業や雑用には、真剣に取り組むようにしました。
(メジャーな仕事では、まだ迷惑かけてますからね。日頃、これがきちんとできない性格なんですが、そこはお仕事!……とがんばりました)

海外便の金額の計算は、ややこしいのですが……
肉体労働ではがんばりようがなくて、
重すぎる荷物の積み込みは☆くんの世話になりっぱなしなので、
金額計算ではりきるしかありません。

そうして自分のできる部分でがんばるうちに、
私自身の☆くんへの見方が変化してきました。

私に対する態度は相変わらず、ムス~ッとして、無視をきめこんでで、あまり良い感じがしないのですが、

「仕事態度」と「仕事の能力」という面で眺めると、
どんな小さな仕事もていねいでまじめで、ミスが少なく、いつも真剣で
かなり好感が持てるのです。
能力は非常に高くて、おそらく国公立大か難関私立大を出ているのではないかと思われました。上司に対する礼儀はきちんとしています。
正社員ではないので、おそらく私と同じ700円台の賃金……?
それで、命をすり減らすように休みなく全力疾走で働き続ける☆くんの姿が
ちょっと痛々しくもありました。

これまで私が見たことないほど働いていて……
☆くんが求めているものは、本当にささやかなもので、
ちょっと上司に褒められることだったり、周囲に認められることだったりするのです。
こんなに働いてて、現実にすごいのに、
いったんこの郵便局から外に出れば「フリーター」というくくりでしか
捉えてもらえない社会的に弱い立場です。
でも、これほど上司に当てにされ、利用されていては(こんだけ仕事ができても正社員にしてくれないのだとか)
自分の仕事について真剣に考える勇気も出ないでしょう。

そんな風に、☆くんについていろいろと見えてくるにつれ、
私は上司が視察にくるときは
なるべく☆くんのすごいところに上司が気づくよう
陰ながらアピールしていきました。

また、☆くんといっしょに別の部署の手伝いに行くときは、
☆くんが仕事がよくできることに周囲の人も気づくように
見えないところで手助けするようにしていました。

どちらも☆くんは気づいていませんでしたが……
時間が経つにつれ、☆くんと私は仲の良い男友達同士のようになって、
「あっち手伝いに行こうぜ~」「今日はすごい荷物だぞ~」と
いうノリで働くようになっていました。
私にすれば、☆くんが何年間もフリーターで過すことはもったいなすぎるように映るのです。自分で自分の能力を見定めて、
良い仕事を探しに行かなくちゃ~とアドバイスするのですが、自信がない様子。
仕事はすごくできるのに、自分で何がしたいのか、
つかみかねるようなのです。
それと自分の高い能力がきちんと把握できていないようでもありました。


とにかく単調で刺激が少なくて、それでいてハードな職場ですから……

お客さんが怒鳴り込んできて、上司が冷や汗かいて駆け回る事件や、
機械が壊れるたびにキレるおばちゃんパートがわめきながら
機械をバンバンたたく事件は、

何かワクワクしてくるような……?

思わず笑い出したくなる出来事でもあるのです。
すっかり仲良くなった私と☆くんは、
局内がワタワタして騒がしいときには、
目が合うと同時に、吹き出して笑いあうこともよくありました。

他の部署のパートやバイトのマイペースさんたちも
同様だったらしく、

息のつまるような仕事なだけに、
しょうもない出来事に野次馬根性丸出しになっていて、

そこの手伝いに入ると開口一番、
「ねぇねぇ、今日怒ってきたお客さん見た?すごかったよね~」と目をキラキラ
させながら話しかけてきました。
そんなくだらないことがきっかけで、別の部署にも友だちの輪が広がって……
それなりに楽しい職場になりつつもあったのですが……

上司からどんどん残業を頼まれるようになったことと、
夕食作って仕事に出かけてたものの
冷めた食事がまずかったのか、
息子が夕食も食べずに寝てしまうことや、宿題をせずに学校に行く日が増えたことが懇談会でわかり……

悩んだ末、仕事の引継ぎができる期間を終えたら
パートをやめることを申し出ました。

それほど惜しまれることもなく、
仕事覚えるのはやい割にあんまりお仕事できる方じゃないのね……と
気づいたのか?

いつもまったりしている私にしてはめずらしく駆け足で過した日々は終わりました。
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
わわわw(゜o゜)w (ヤスミン)
2010-02-21 07:36:55
お仕事ノリノリエピソードに、こちらもノリノリで読ませて頂きましたが、終わってしまいましたね~。


☆くんはその後どうなったのでしょうか?
気になりますね。


私が推測するに、現実面での仕事はどうなったのかはともかく、☆くんの内面では必ず変化が起きたと思います。
奈緒美先生が郵便局を退職してから、きっと☆くんは自分の能力を認めてくれた人がいた意味、をじっくり考えたと思いますよ。


若い人に、能力を認めてあげられる上司や仲間は、ホントに勇気の出る存在でしょうから。
☆くんもその後の仕事人生のなかで、才能の発揮しどころを自ら考えて探し求めてくれたのではないでしょうか?
そう願わずにはいられませんね。
返信する
その強さと優しさはどこから? (タルトタタタン)
2010-02-23 01:00:13
奈緒美先生のお仕事話とても楽しんで読ませていただきました。
それにしても先生ご自身にとってもハードな生活だったにもかかわらず、☆くんを引き立ててあげたり、アドバイスしたり。その余裕というか、強さと優しさはいったいどのようにして培われたのでしょうか?ご自身の幼児期のどのようなことが影響しているとお考えですか?それとも成長する長い期間、環境によるものなのなのでしょうか?自分の子供にどのように接するべきなのか、なにか、ヒントになることがあれば、いつかコメントしてくださるとうれしいです。
返信する
一緒に潜入してるような気持ちになりました (しまなみ)
2015-01-25 21:32:28
良い記事に触れました。
私は仕事を覚えるのが遅く、かつ、ミスも多い。だけど、ストレス耐性は強いです。保険証のバイトの性別不詳さんが自分かと思いましたよ!たまたま職種は大きく違いますが。
そんなわたしが、☆さんのような、かつ、きちんとした地位と自負を持つ上司に面倒みてもらっていて、いつも、情けなく、申し訳なく、です。
なおみせんせいのようであれば、と、おもいましたが、とりあえず、サルでも引き継げる引き継ぎノートをつくり、上司の労にこたえたいと思います。

☆さん、幸多かれと祈ります。
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