虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

工作を子どもの頃にするといい理由

2021-05-30 09:33:32 | 工作 ワークショップ

このしかけ、先日、デュプロブロックと工作で幼い子たちでも簡単に作れるような「お金を投入するとお菓子が出てくる『自動販売機』のしかけ」を考えていた時、息子がアイデアを出してくれたものです。

 

この頃、うちの子たちもわたしもそれぞれが忙しくて、会話をする機会があまりないのですが、こうした物作りで試行錯誤していると、誰かしら寄ってきて、「こうしたら?」「ああしたら?」とアドバイスをくれることがよくあるのです。

 

写真は子どもにわかりやすくするための基本の基本のしかけなのですが、お金が左のコップの中に入ると、てんびんが傾いて、もう一方の切り込みを入れてある方のコップが傾いて、お菓子が落ちるようになっています。

作ってもらっている間、わたしは息子に向かって、こんなことを言いました。

「テレビで定規を使って線を引いて言葉を目で見えるイメージに変換する方法を教えている小学校を取り上げててね、そうすると、割合の問題にミスが減って、総合テストだったかの点数がとても伸びたらしいのよ。

確かに実際に、手を使って、目で見える形にアウトプットする力を養うと、公式を勘違いして解くなんてことはなくなっていくのはわかるわ。

集団の場だからしょうがないけど、定規を使ってって部分だけにフォーカスしていたのは惜しい気もしたわ。

自由な物作りなんかをたっぷり楽しんでいるというバックがあって、そこに定規に慣れて、数学の世界のイメージ操作を身につけていくのならもっといいんだけど」

 

「工作は、ほんと、いいもんなぁ。

工作を子どもの頃にするといい理由って、作ったとたん、それから後の物の見え方が劇的に変わるってことだと思うよ。

 自販機を一回作るとするじゃん。そしたら、それからはどこに出かけても機械を目にする度に、

「きっと中は、こういう仕組みになっているんじゃないかな?」と感じたり、理科の本で見た原理が浮かんだりするようになるからね。

小学生の頃にあれこれ工作したけど、作る度に、見え方や考え方がそれまでと違うより高度なものになっていたからね」と息子。

 

息子いわく、しかけは最初、この「てんびん」くらいシンプルで力の働き方がわかりやすいものの方が、汎用性があって、いろいろな方面に知恵を絞って改良していきやすいということでした。

 

小4の★くんと☆くんのレッスンで、コインを入れると出てくる自動販売機を作りました。

きっかけは、ふたつ。

ひとつは、同じ小4の女の子が作ってきてくれたレゴの自動販売機がすてきだったこと。

 

もうひとつは、息子に教わったてんびんのしかけ。

 

この「てんびん」の基本をもとに、どうやったら、自動販売機のようにお金を投入する側と商品が出てくる側が同じになるようにできるのか、入ったお金が傾いた後で自然に落ちるようになるのか、小型化できるのか、といったことを子どもたちに考えてもらおうと予定していました。

 

すると、今日レッスンにきた小4の★くんと☆くんが、「やる!やる!」と自動販売機作りの話に飛びつきました。

 

わりばしの先に写真のように紙コップがついているだけのしかけ。

 最初の状態では、お菓子がお金の投入口側の反対に落ちるのでそれを改善することになりました。

 

途中で板を渡して空洞を作り、滑り台を取りつけると、反対側に落ちたお菓子が手前に滑り降りてきます。

 

自販機の周りを囲っていく★くん。デザインにもこだわっています。

ある程度まで作ったところで、重大なミスに気づいた★くん。

正面部分の一部を壊して、きれいに作り直していました。

 

かなり大きなサイズになってきたので、途中でテーブルの上から床に抱えて移動させました。

 

★くんは、コインの投入口から入ったコインがコップの中に落ちるようにするのに苦労していました。

 

その間、☆くんは、コップの底の一部に穴を開けて、お金が入った時にお菓子を落とした後で、お金がコップから出て、最初の状態に戻るしくみを作ろうとがんばっていました。

ビー玉を貼りつけて重りを利用したり、切り口を工夫したりしていましたが、うまくいかず断念。

諦めて、★くんの外枠作りを手伝って、ラストスパートをかけました。

 

投入口から内部を撮った★くんの写真。

 

完成です!

「500円玉を入れると、お菓子が出てくる」という自販機!

★くんと☆くんが帰宅した後で、少しだけ内部をいじると、「10円玉を入れると、お菓子が出てくる」ようになりました。

 

この頃、勉強態度がとっても真面目な★くん、☆くん。

でも、そうやって周囲の期待に応えるようにがんばってばかりいると、だんだん何のために学んでいるのかわからなくなったり、覇気がなくなってきたりするものです。

自分たちでやってみたいと思ったものに全力投球していると、心の底からがんばるエネルギーが湧いてくるようです。

一致団結していきいきと取り組む姿はとても輝いていました。


こぐまくんの知育日記♦︎虹色教室mini♦︎更新しました。

2021-05-28 09:32:48 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

こぐまくんの知育日記♦︎虹色教室mini♦︎更新しました。

1歳1ヶ月の子と楽しむ工作

赤ちゃんはどんな風に文法を獲得していくのかな?

1歳1ヶ月のこぐまくんお気に入りのおもちゃ

よかったら覗いてみてくださいね。

 


1〜3歳 算数のセンスを育むブロック遊び 2

2021-05-24 19:53:08 | レゴ デュプロ ブロック

1〜3歳 算数のセンスを育むブロック遊び 1 の続きです。

 

<囲う>

子どもとブロックで遊ぶ時、物の周りを囲うようにブロックを

置くと様々なものが作れます。

動物の囲いはもちろん、プール、お風呂、お弁当の箱、お家など。

 

 

囲った後でブロックでとめるとできあがり。

こうした物のサイズに合わせた物作りは、

物の大きさに敏感な時期の子らの興味をそそります。

 

囲うことから、ビルのような大きな作品も作れます。

写真は、ブロックで街作りをしている年長と小1の子ども達です。

 


何をするにもグズグズのろのろ~(続きです)

2021-05-22 15:58:58 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

何をするにもグズグズのろのろ〜子どもを手伝いすぎたら何もできない子に育ちますか?

の記事に、続き希望のフィードバックをいただいていたので、

続きをアップさせていただきますね。(過去記事からの抜粋です)

 

日常の基本的なことを身につけるのに、一般的な子の何倍も何十倍もかかる子がいます。

何度も何度も口を酸っぱくして注意しても、

いっこうにきちんとするようにならない……という場合も、

「線」で対応するより、枠組みを作って「面」で対応した方がうまくいく時があります。

 

わたしが教室で、幼い子たちや発達に凹凸のある子たちに

新しいことを身につけさせるのに一番有効だと感じている方法は、

「何度失敗しても、初めて教えるかのように、気持ちよくお手本を見せてあげる」

ことです。

 

「また?」という表情をしたり、心の中でうんざりしたり、

「何回教えたら覚えるのか」と心配したりせずに、毎回、同じように対応するのです。

すると、いつの間にか、ちゃんとできるようになっています。

 

でも、わが子に向かって、そうも気長に接するのは難しいし、

親子間の甘えもありますから、毎回、見本を見せているつもりが

「お母さんがしてくれるならやってもらおう」とか

「叱られないなら、やらなくていいや」という依存につながることもあります。

ですから、ある程度、限度や段階を設定して枠を作っておいて、

その上で、多少の停滞や後退を気にせずに、子どもを見守るのがいいのかもしれません。

 

例えば、宿題を終えた後、机の上に出しっぱなしで

宿題忘れが続いているから、宿題が終わったらランドセルに入れるよう

繰り返し注意をしているとします。

「線」で対応していると、

「何度か机に忘れている宿題を見て、厳しく叱ったものの、翌日も机に出しっぱなし。

注意するとしばらくは片付けているけれど、気づけば元の木阿弥。

カミナリを落としてもダメ、チクチク嫌味を言ってもダメ、

失敗するまで放っておいてもダメ、褒めておだててもダメ、

何百回も注意してきた気がするが、いっこうに直す気配がないから、

きっと後何百回も注意しても直らないにちがいない……」という具合に、

親の対策も思考も袋小路に迷い込みがちです。

 

そこで、いったん「線」で考えるのをやめて、

ざっくりと枠を作ってみることにします。

 

基本的なことがなかなか身につかないのには、

ADHDやADDのような脳の特性や、

おっとりした性質、あまり親の言うことを聞く気がない自己中心な性格、不器用、

完璧主義すぎて柔軟性がなく新しく教えることを受け入れない……など

さまざまな理由があることと思います。

 

枠のサイズを決めるために、理由と思われることや

新しいことを身につけるのに、一般的な子の何倍くらい時間がかかるかなどを、

参考にします。

 

「もし一般的な子に3回言えばすむことが、

その子には30回は言わなければならない」と思ったなら、

覚悟を決めて、

「30回、正確にカウントし終えるまでは、

頭ごなしに叱ったり、愚痴を言い続けたり、子どもの態度に絶望したりするのは

なし」というルールを自分に課して、

30回は気楽な気持ちで、初めて教えるかのように教えて、子どもを支援します。

途中で「このまま、永遠にこの子はできるようにならないのではないか」と心配に

なったら、「そういう心配は、30回、教えたあとでいい」と自分に言い聞かせる

ようにします。

 

子どもはがんばってもできないことで叱られ続けると、

自分はダメな子だと自己肯定感を下げるだけで、いっこうにやる気にならないものです。

でも、そうした一定の猶予期間があると、

何度か「また、やっちゃった」という経験をしながら、

次には少しだけ気をつけるようになっていくものです。

親が自分の問題のように心配し、感情的になって、将来まで悲観していると、

自分の欠点を見つめるのも怖くなって、

やらなくてはならないことから目を逸らして、

困った事態に陥っては叱られるというお決まりのパターンに、

甘んじるようになっていきます。

でも、親が、一定期間、自分の不安な感情に飲み込まれないようにして

子どもに手を差し伸べていると、子どもはそれを乗り越えなくてはならない

自分の問題として捉えるようになるし、ゆっくりと義務感や責任感が芽生えていきます。

 

とはいえ、どんなにすばらしい手を講じても、親と子どもは別の人間ですから、

得意不得意も大いに違って、どうやっても親が満足するほどできるようにならない、

というものもあるはずです。

 

そんな時は、「子どもが将来、自分で付き合っていく短所であって、解決するなり、

そうした欠点を持ちつつ自分の長所を育みながら生活するなり、それはそれとして

子どもに預けよう」という心の柔らかさも必要なのかもしれません。

 

うちの子の困った習慣がなかなか直らない時や、受験期に机に座る気配がない時に

こうした方法で、あらかじめその子の性質や得意不得意から

どのくらいの時間をかけたらできるようになりそうか考えた上で、

「10回は教えるまでは、あれこれ思い悩まずにただ教えよう」と決めて接すると、

こんな発見がありました。

だいたい4回目あたりで、「もう何十回も注意しているのに、いっこうに直らない……」

という気分になってくるんですよ。

ネガティブな事柄に心はオーバーに反応するようです。

そこで、わたしがネガティブな気持ちに流されてしまうと、子どもにしても、

「どうせ自分は何度やってもダメなんだ」と取り組むことを放棄して

しまうのでしょうね。

でも、「10回までは、あれこれ考えない……と決めたんだから、

もう少し辛抱しよう」と思いなおすと、

今度は、6回目あたりで、たった10回の約束事が面倒になって忘れてしまいそうな

自分の姿にぶつかります。

他人にはちゃんとして欲しいと願うけれど、自分がちゃんとするのは難しいものですね。

 


発達障害ではないけれど 集団行動が苦手な子

2021-05-20 13:11:23 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

教室をしていると、育児書通りに成長しなくて、大いに親をやきもきさせるタイプの子たちをよく見かけます。

特に「発達障害ではないけれど、集団行動が苦手な子」の親御さんは、心配が絶えないようです。

「発達障害ではないけれど、集団行動が苦手な子」は、感覚が優れている内向型の子に多いです。

その子特有の美意識が強くて、同年代の子と異なる自分の好みにこだわります。
五感が敏感で、自分のペースで動きたがり、集団行動を頑なに拒絶するときがあります。
そうした特長を言葉でだけ表すと、自閉スペクトラム症(ASD)の子のこだわりと間違われることがあるのですが、実際に子どもと接していると、発達障害のある子のこだわりとは、かなり異なることがわかります。

感覚が優れている内向型の子は、自分のやりたいことに固執して、
他人から誘いかけられたことをどれも嫌がったりしますが、
少人数の慣れた人々の間では、コミュニケーションを取るのも上手だし、
メタ認知力が高く、心の理論も一般的な子と同じ時期に理解しています。

このタイプの子たちは、男の子も女の子も、年長さんの半ばくらいまで
親が何か教えようとすると、頑固に拒絶することがよくある割に、就学までには
小学校受験用のワークなどもきちんとできるようになっています。


また、外向型の子も内向型の子も、直観が優れている子は、
集団行動が苦手な場合がよくあります。
他人の指示で動くより、自分の興味の移るままに、次々、好きなことがやりたいのです。

こだわりは少ないけれど、飽きっぽくて、コツコツがんばるのが苦手で、不器用な子が多いです。

自分の考え事を追うのに忙しくて、
他人の話を聞いていないことがよくあります。
文字の練習は嫌がるけれど、算数は得意という子が多いです。


感覚が優れている内向型の子も、直観が優れている外向型の子も、内向型の子も、自分でやりはじめることには集中して、高い能力を示すのに、
するように指示されたことはやらないか、おざなりです。

幼児期は、
他人から誘われたり、指示されたことを無視することがよくあるけれど、
成長をていねいに観察していると、
就学までには、集団のルールに従えるようになっています。

集団のルールに従うようになるのは、そんな風にゆっくり身につけますが、
それだけに自分の個性的な才能を伸ばすことには熱心な子たちです。

心配しすぎたり、無理強いしたりせずに
その子らしさをあるがままに愛してあげることが大事だと思っています。


個性のように思えても、発達障害の疑いがある場合は、
きちんと病院で診断してもらうことが大切です。

でも、子どもにはそれぞれ独自の性質があるので、
みんなと同じ行動が取れなかったり、成長に凸凹があるから、必ずしも発達障害があるとは限りません。
幼児期の短所は、長所の裏返しである場合もよくあります。

 

子どもの性格タイプ(内向型・外向型・直観タイプetc)について書いた記事リンクをまとめました。

→ 子どもの性格タイプについてまとめました

 

<関連記事>

発達障害に似ているけれど、発達障害ではない子 ちがいの決め手

発達障害なのかどうか気になるけれど、やっぱりちがうかなぁ~とも思う子を育てている方に

相談<発達の凸凹が気になる子。専門家からは個性の範疇と言われました>


何をするのもグズグズのろのろ〜子どもを手伝いすぎたら何もできない子に育ちますか?

2021-05-18 23:13:12 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

「とにかく何をするのもグズグズのろのろ〜

学校の用意に他の子の何倍もかかります。

でも手伝いすぎたら何もできない子になりますよね?」

そんな相談を受けることがよくあります。

私もこの答えに自信がなくて、いつも迷い迷いお返事していたところがありました。

そんな時、

『問題行動がぐんぐん解決できる』 千谷史子  日東書院

の中で次のような話を読んで少し安心しました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

子どもに手助けしすぎ?と悩む必要はありません。

ASDの特徴を持つ子を育てていると、「どこまで親が手助けするか」の

線引きで思い悩むことがあるかと思います。

時間がない時ときに、学校に遅刻させまいとつい、着替えを手伝ってしまったとき。

(省略)

ASDの特徴を持つ子が抱えるいろいろな問題の中で、

見過ごされているのが、「スピード」の問題です。

同年代の子がさまざまな課題をこなす平均スピードにくらべると、

ASDの子はいろいろなことに時間がかかります。

このことは、ASDの子どもの持つ「機能の問題」です。

一つのことが人の3倍以上時間をかけてできたところで、その子に

1日72時間あるかというとそうではありません。

もしすべてのことをこなそうとしていたら、すぐに時間が足りなくなって、

どうしても身に付けさせたいことが後回しになってしまします。

毎日の生活の中で「どうしても追いつかない!時間がない!」という

場面であれば、その時は親が手助けしていい場面です。

どんどん手伝ってあげてください。

それはいわゆる「甘やかす」ということとは、全くちがう問題です。

人間としての大事なルール「人を傷つけない」「人の物を取らない」などの

絶対やってはいけないルールをクリアーしていれば、

家庭で「いつまでに、ここまでしつけをしなければならない」という

ノルマはないと思います。

(省略)

たくさんのことを手伝ってあげても、それで子供がダメになることは、

まずありません。それどころか、人に手助けできる人間に育つのです。

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

何をするのも遅い、忘れる、コツコツがんばれない、反抗的ではないのに

大人に従えない、聞いていない、極端な気まま、体がぐにゃぐにゃするなど‥‥‥

発達障がいがあるのかどうかわからないけれど、気になる子というのはいます。

他の子はきちんとできているのを見ると、

親も教師もつい声を荒げて叱ってばかりになることがあります。

ただそうした集団のペースに乗れない子は、

わがままや怠けでそうしているのではなく

機能上の問題で、そうならずにおれない場合がよくあります。

ですから叱るのではなく、手伝ってあげることで心が安定し、

さまざまなことにチャレンジしようという思いも育ってくるのです。

 

私は自分がADD(注意欠陥)傾向を持っているので、

機能上の問題ということがよくわかります。

ワーキングメモリーの働きが悪かったり、

集中したい対象が背景から際立たず、刺激が一度に流れ込んできがちで、

何をするのも他の人の何倍も時間がかかるのです。

おまけに繰り返しチェックしても

苦手な作業の時は必ずミスします。

ですから、私はADHDやADDの傾向を持って生まれたら、

他人の何倍も真面目に挫けず努力し続ける性質と

他の人より時間をかけてもミスをたくさんするのですから、

自分が助けられる部分では快く助けてあげること、

失敗しても気にかけず何度も挑戦する楽天性が大事だなと感じています。

 

私にADD傾向がありますから、うちの子も(特に息子)は

苦手なことと得意なことに極端な開きがあります。

そのため小学生時代の子育てでは、ASDの子ども同様に

「どこまで親が手助けするか」の悩みをたくさん抱えていました。

おまけに、手伝う私が同じ部分が苦手とあって

手伝ってもなお、忘れ物の多い、困った子でした。

そんなわけで欠点についてはあまり叱らず甘すぎる親できましたが、

そのおかげで、成長するにつれて、最初から得意であった部分はさらに伸び、

欠点は時間がゆっくり克服させてくれたな〜と感じています。

 

それと、小学生時代、たとえ他の子よりミスが多くても

それゆえに息子に身についた

「他の人より真面目に挫けず努力し続ける」性質と

それでもミスをたくさんするので、自分が助けられる部分では快く助けてあげる点や、

失敗しても気にせず何度も挑戦する楽天性は

この子の人生を良い方向に導いてくれると信じています。

 

 ASDにしてもADHDやADDにしても、脳の機能の問題なので、

周囲が「甘え」と取り違えて、自分の信念で厳しくしつけようとすると、

結局は子どもをダメにしてしまうのではないでしょうか?

特に診断を受けていない、何とかがんばれば周囲についていける発達障がいの子は

自分自身が壊れてしまうまでがんばってしまいます。

また、親も何とか子どもを他の子に追いつかせようとして、

必要以上に自分も子どもも追い詰めてしまいがちです。

そんなとき、「『子どもに手助けしすぎ?』と悩む必要はありません」

という言葉を心にとめておくと、ブレーキがきいていいですね。

次回に続きます。→ 何をするにもグズグズのろのろ〜(続きです)

 


1〜3歳 算数のセンスを育むブロック遊び 1

2021-05-13 11:39:48 | レゴ デュプロ ブロック

子どもと一緒にデュプロブロックで遊ぶときに、

算数のセンスを育むアイデアを

3歳7ヶ月のAくんのレッスンの様子から紹介しますね。

 

Aくんはごっこ遊びが大好きな男の子です。

この日は、ドーナツ屋さんごっことハンバーガーショップごっこを

して遊びました。

デュプロブロックでドーナツの作り方と

ハンバーガーの作り方のお手本を見せると、

興味津々でした。

ごっこ遊びに、こうして作る作業をプラスすると、

同じものをいくつも作ることが可能なので数の感性が育まれます。

また立体を把握するのも得意になります。

 

見本は、自分のアイデアでいくらでも他のものに応用していけるような

ものにしています。

 

この日、Aくんに作ってあげたのは下のようなハンバーガーです。

↓のように二つ並べたブロックの上に

向きを変えたブロックを重ねて、「サラダを入れて、ハンバーガーを乗せて〜」

と作っていきます。

 

向きを変えながらブロックを組み立てていくのは3歳代の子には

難しい作業です。

同じ向きのブロックを重ねたせいで、Aくんのハンバーガーは下の写真のように

二つに分かれてしまいました。

そこで、包丁で切る真似をして、ハンバーガーを二つに切り分ける

遊びをしました。

 

Aくんが「はんぶんこ」と2つに割ることに興味を持ったので、4分割するハンバーガーも

作ってみました。

 

バラバラに均等に分かれたものが、元通りの一つになると、

なんだかワクワクします。

 

Aくんはこの日、ままごと用のおもちゃのドーナツが気に入って

夢中で遊んでいました。

ブロックでもドーナツを作ってあげると

真似て作ろうとしていましたが、

まだちょっと難しいようでした。

1〜3歳の子らにお手本を見せるときは、

その通りにできるようにさせることより、

そういう組み立て方があるんだな、と見る体験を広げる

という気持ちでいいと思っています。

まだできなくても、子ども達は目から学んでいます。

 

<ドーナツの作り方>

下のような形にブロックを置きます。

 

好きな色のブロックをブロック同士がつくように

重ねていきます。

写真のものでは、「いちごのチョコクリームをかけて〜」

と言いながら、上から赤いブロックを重ねました。

 

たくさんドーナツを作って、油で揚げる真似をして

遊びます。

1〜3歳 算数のセンスを育むブロック遊び 2に続きます。

 


てんびんクイズ

2021-05-10 21:36:31 | 算数
てんびんの問題は、実際にものを動かしながら解くと
1〜2年生の子達も楽しんでチャレンジできます。
 
 
問題1
下の写真のてんびんはつり合っています。
左の皿には、AA
右の皿には、8g
 
Aは何gでしょう?
 
 
 
<クイズ用のてんびんの作り方>
★材料
棒(てんびん用の棒は、新聞紙などを丸めて細い棒を作ったものでもいいです。)
紙皿
モール
折り紙
台紙
 
★作り方
チップは、ゲーム用のチップにセロテープを貼ってから上にマジックで記号を書いています。
(折り紙や段ボールで作れます。)
 
 
台紙になる厚紙(画用紙でもOK)に穴を開け、モールを通して、
棒の中央部分をとめます。
紙皿に穴を開けて、モールを通して棒の両端に取り付けるとできあがり。
 

虹色オンライン算数教室のおまけブログ(鍵付きです)で、

てんびんクイズの問題をいくつかアップしています。

(おまけブログとは、虹色オンライン算数教室を購入いただいた方に見ていただける鍵付きブログです。見ていただく方法については、こちらの記事で書いています。)


算数好きになる 積み木との付き合い方

2021-05-09 16:52:18 | 積み木  ピタゴラスイッチ
3歳3ヶ月の☆くんが積み木遊びをしています。ニキーチンの積み木です。
カチッと合う瞬間が面白いらしく、熱中しています。

子どもが、モクモクと積み木をいじっているとき、
「どうやって遊んであげたらいいかな?」と悩んでしまうかもしれません。
「こうやってごらん」「ああしてごらん」と色々口を出したくなるかもしれませんが、
最初は、だまって、
よく子どもの遊び方を観察するのがいいと思います。

遊びとしてなりたっていなくても、熱心に積んだり崩したりして、
積み木に触れているなら、
今後、図形や立体パズルへの興味が育ってくる可能性が大きいです。
無関心な段階のとき、(女の子に多いですが)
積み木に触れようともしないものです。

見ていると、☆くんは、立体的な塊を作ろうとしたり、
平面に隙間なく埋めていこうとしたりしていました。
自分の中で、なんとなく積み木を動かしながら
ルールや秩序を生み出そうとしているのです。

子どもが、自分で偶然できたものから秩序を見出して、
自分のルールで作業に没頭していくとき、
外から見るともたもたと、無駄なことを続けているように見えたりします。
子どもが自分の頭を使って何かしているときは、
もたもたと試行錯誤をしている間が長いので、
「最初から価値があるように見えることをして欲しい」という気持ちで眺めていると、ただ、だらだらしているように映ります。

大人が見本をしるして、
それに向かって何かできるようになる作業をしている方が
見た目はずっと良いです。
子どもが進歩したように感じます。

でも、いつもそうして、大人が教えて子どもが真似る
ことを繰り返していると、
「直感的に秩序やルールに気づいて発展させる」能力が育ちにくいです。

かといって、好きなように遊ばせるだけでは、いつまでも遊びが進展しないまま飽きてしまいます。

私は、子どもが自分のしたいようにしている間は
邪魔しないようにして、「今、どのようなことに気づきつつあるのか」観察しています。
そして、飽きてきたころに、関心を持ちそうな見本をしるして、遊びに誘います。
でも無理に教え込むことはしません。
そのとき、参加しなくても、いくつか新しい情報がたまっていくと、
次に子どもがひとりで遊ぶときには、子どもが作るものの中に、
私が見本でしるしたものも含まれてくるからです。
見本をしるすことで、ルールや秩序に対する敏感さが増してきます。
 
 

2~4歳児のけんか どのように対応したらいいでしょう? 2

2021-05-04 10:29:13 | 教育論 読者の方からのQ&A

2~4歳の時期には、とても大切な課題があります。

『自己統制力を育てる』ということです。

 

2~4歳児が、子ども同士で上手に遊べずに、

しょっちゅう大人の介入を必要をとするような揉め事を起こすのは、

大人の手と心を借りて、自分を大きく成長させていかなくてはならない時期だから

ともいえます。

 

大人たちが遠巻きに微笑みながら見つめるなかで、

子ども同士、平和に幸せそうにじゃれあって遊んでいるという……2~4歳の子を持つ

親御さんたちが期待する「子どもの遊びの世界」のイメージは、

テレビCMのための作りあげた虚構の世界か、

子犬たちがドッグランで繰り広げる遊びの世界に近いものです。

 

実際の2~4歳の子たちというのは、人間の子どもとしての育ちの課題を持って

いますから、いろいろと自分で揉め事を創り出しては、

大人から適切な指導を引き出そうします。

 

自分より先に生まれた大人という先輩の手と心を借りて、今の自分より一段高い次元の

精神的な力と態度を獲得しようとがんばっているのです。

 

獲得する力が『自己統制力』なんていう一生を左右するような能力ですから、

1回、2回の練習で身に着くはずもありません。

それで、くる日もくる日もギャーギャーワーワーわめき散らしては課題とぶつかって、

大人に助けられながらゆっくりゆっくり自分の心と身体を作りあげていくのが、

2~4歳児の姿です。

 

「大人の適切な指導」なんて言葉を使うと、

「ああ、しつけのことね」「きちんと正しいしつけを教えていくことね」と

感じるかもしれません。もちろん、そうではあるのですが、

けんかをするから、「けんかしてはだめ」「おもちゃを貸してあげなさい」

「お友だちに優しくね」と教えることが、この時期のしつけだと思われているとしたら、

ちょっと問題があるかもしれません。

 

なぜなら、いつまでも子どもの自己統制力が育たないままで、

親の前ではいい子でも、集団の場や、お友だちの前ではわがまま放題だったり、

小学校に入学してからも2、3歳児のように聞き分けがなかったり、

指示には従うけれど、自主性や意欲が乏しかったり、

自己主張ばかりして自分勝手に振舞うような場合も、

先に挙げたようなしつけはしっかりしていることが多いからです。

 

山梨大学の教育人間科学部の加藤繁美先生によると、

「子どもの自己統制力が育っていく道筋にはひとつの構造がある」そうです。

「子どもが自己統制力を自分のものにする過程で、その途中を省略させられたり、

ゆがめられて自己形成させられた場合、

うまく自分をコントロールできなくなってしまう」というお話です。

 

それでは、自己統制力というのは、どのように育っていくのでしょう?

『人とのかかわりで「気になる」子』にあった加藤繁美先生のお話を簡単に

要約して紹介しますね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まず、まだ泣くことくらいしか自己表現できない赤ちゃんの時期に、

大人たちが子どもの発する言葉にならない子声(自覚しない要求)を

読み取り、ていねいに「意味づけ」し続けること。

そうしたコミュニケーションの繰り返しのなかで、自分の要求が音声と対応すること

を知っていきます。

同時に人と関わる心地よさを無意識世界に形成していきます。

 

次に、「愛されることの心地よさ」をベースに、音声で表現できることを知った

要求世界を、自分の興味・関心にひきずられるようにして

どんどん表現するようになります。

(『人とのかかわりで「気になる」子』ひとなる書房より要約しています)

 

要求を主張する主体として成長していくこの時期、大人の対応が重要です。

つまり「受け止めながら、方向づける」という対応が、ていねいになされることが

重要です。大人の側に余裕と辛抱強さが必要になってきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どうして大人の側に余裕と辛抱強さが必要なのかというと、

この時期の子どもの要求は、融通が利かない一方向のものだからです。

どうしてそんなにわがままな要求なのかというと、幼児はまだ幼児だからで、

そうした原石のような要求を表現しつつ、

しだいにそれに磨きをかけて、自分の力でコントロールできるものにしていく

という課題を抱えて生きているからです。

 

でも、ちまたで見かける大人の幼児への対応は、

子どもの要求自体を無視する、機嫌を取って紛らわす、大人同士の関係維持のために

要求を変形する、要求を表現できない場に連れていく(習い事や

ショッピングセンターなど)というものが多いです、

また、大人が子どもに対する余裕を持って辛抱強く接することが我慢できないため、

その言い訳として、

「子どもには小さいときから、きちんとしつけないといけない」「最初が肝心」などの

言葉を使って、問答無用で大人の意のままに従わせるという場面もよく見かけます。

一方で、子どもの言いなりになって、大人として

子どもの成長を方向づける仕事を放棄してしまっているケースも目立ちます。

 

自己統制力とは、無意識の世界に形作られていくものです。

幼児は、感情と皮膚の感覚、身体の感覚で、

心地よさをベースに、正しい自分のあり方を学習していきます。

 

まず、自分の中に湧き上がるもやもやした感じ、ざわざわした感じ、イライラする感じ、

のぼせあがるようなカッとする感じ、もじもじするようなはっきりしない感じ、

そうしたさまざまな身体と心に湧いてくるものを

大人に受け止めてもらって、言葉で表現してもらい、

それと向き合い、乗り越えるまで

根気よくネガティブなものに付き合ってもらうという過程を通して、

身についてくるものです。

 

「わたしはこういうことがしたいけれど、お友だちも同じようにしたいから、

今はがまんしてこうしよう」といった自分の行動を導きだすような

自分の内面の対話ができるようになってくるのです。

 

虹色教室でそうした大人のサポートをたくさん必要とする時期の子らと過ごすとき、

子どもの心を充たす創造的な問題解決の仕方、

ワクワクするような想像力あふれる解決法を

大人がたくさん示してあげると、

成長するにつれて、自分をコントロールするのが上手なだけでなく

集団をリードして、揉めているお友だちたちに魅力的な問題解決の方法を

提案できる子に育っていきます。

そうした具体的な解決法について、実際の教室での例を紹介しますね。

 

<実際の虹色教室での揉め事の解決例>


★2、3歳児のけんか……想像力を使って解決を♪


3歳になったばかりの☆ちゃん、★ちゃんのレッスンです。

2歳のころはけんかばかりしていた☆ちゃん、★ちゃん。

お母さんたちの協力で

十分感情を外に表現できる環境(泣いたり、わがままを言ったりすることを

しっかりできるようにさせること)を用意して見守ってきました。

そうして、3歳になった☆ちゃん★ちゃん、

創造的に協力し合って遊ぶ姿は目を見張るものがあります。

自己主張をきちんと受け入れてもらってきたため、自分がしっかりできて、

自分とは異なる意識を持つお友だちをきちんと理解しています。

ごっこ遊び、創作遊びと自分の頭で考えて、

内面からキラキラするものがあふれてくるように遊びます。

今興味があるのは引っ付くものと引っ付かないもの。

じしゃくやテープで引っ付く引っ付かないを試すことに夢中です。

写真はかばん作り、ボタンや糸のコラージュを相談しながらしているところです。

作り方はこれまでの経験から、全て自分たちで考えたんですよ。

本当に仲良く上手に遊べるふたりですが、疲れたり、お気に入りが重なると

けんかをはじめます。

今日は白いネコのぬいぐるみを取り合っていました。

「それなら、ぬいぐるみさんたちに誰と遊びたいか決めてもらおう!」

と提案して、フラミンゴやトトロバスや白いネコのぬいぐるみを抱えて

「遊びたい子に、遊ぼうよって相談してごらん」と言いました。

ふたりともけんか気分はどこかにいっしまって、いきいきした表情になりました。

☆ちゃんが、フラミンゴに「遊ぼうよ」と声をかけます。

「いいけど…おなかがすいているのよ。おいしいものを食べさせてくれる?」

「いいよ。食べさせてあげる」フラミンゴが納得して☆ちゃんにだっこされます。

★ちゃんは、白いネコに「遊ぼうよ」と声をかけます。

「え~眠いんだけどな~どうしようかな……。だっこしてゆらゆらしてくれる?」

「いいよ。」白いネコは★ちゃんのところに。

2、3歳の子は、絵本の中のようなイメージの世界を生きています。

絵本の世界で起こるような問題の解決法が大好きで納得します。

とてもユーモアがあって、不思議で優しい気持ちのある解決法が好きなんです。

牛乳のおもちゃの取り合いの時も、近くにあったブランケットを

ぐりとぐらの作ったような大きなホットケーキを焼くお話の世界に導くと、

たちまち仲良く牛乳をそれにそそいで、ホットケーキを焼き始めました。

子どもがけんかを始めたとき、楽しくユーモアのある解決を提案していると、

大きくなるにつれて、友達同士でとても上手に問題を解決するようになってきますよ。