虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

将来、才能が伸びていくかどうかは幼児期にわかる?

2022-09-29 13:53:39 | 幼児教育の基本

まだ発達途上の子どもの能力は、ゆっくり大きく育つ子、自分なりの順序で育つ子、優越機能と劣等機能の関係などから、目に見える部分で比べても、あまり意味がありません。

私は他の子よりできることが少ない子や物覚えの悪い子の方に、将来すごく伸びていくすばらしいものを感じるときがあるし、何でもこなせ、テストで測れるものでは良い成果をあげている子に先の伸びの不安を感じることもあります。

幼い頃、接していて、今大きく成長した子たちに会うことがあると、その予感があまりに的中していて驚くことがあります。

もちろん、物覚えが悪いほうがいい…できることが少ない方がいい…などという表面的な判断ではないのです。

幼児期に表に表れている能力より、その潜在意識のあり方や方向性が、その子を将来に導いていく部分が大きい気がしているのです。

さまざまなことが、周囲の子よりたくさんできても、ままごとでは「ペット役」や「赤ちゃん役」ばかりやりたがる子がいます。
また、自由な時間に、疲れたサラリーマンのような疲れを癒す活動にばかり向かう子がいます。
そうした子は、周囲の期待に必死で応えてはいるけれど、本人そのものは、常に退行的なムードにとらえられている印象があります。
自分でより大きな夢を見つけたり、目の前の課題をできそうもないことでも「やりたい!やりたい!」とごねたりはしないです。
そうした子は、小学校にあがったとき、最初は成績が良いけれど、だんだん下がってきて、親御さんは「知っていることばかりで、勉強が面白くないようです」とおっしゃるのですが、実際には、無意識の世界の「退行したい」というムードに流されている様子です。

一方、できることは少ないし、手先も不器用だけど、自分は何でもできるし、何でもやってみたい!という幼児特有の自分を大きく大きく成長させようとする意欲の塊のような子がいます。
自分の作品はぐちゃぐちゃでも自信満々。
他の子は字を書けていて、自分は書けてなくても、その違いには気づかず、自分も「書く!書く!」とさわいでぐちゃぐちゃ書きをした後で、自分の作品に惚れ惚れしている子。
そうした子は、「できるようになりたい!」という前向きな意志を成長とともに大きく膨らましている場合が多いです。

5歳くらいになると大人が褒めてくれるからとか、やりなさいと言われるから…となどとは関係なく自分の知的好奇心からいろいろ知りたがり、頭を使いたい要求からゲームや頭脳パズルを欲しはじめます。
虹色教室でも、ゲームや学習をやめたがらず、半べそをかく子はたくさんいます。
4歳くらいまでの大人の評価を下さない態度と自己肯定感を育てるあるがままを認めていく子育てが、5歳以降の自分で成長しようとする力の大きさを決めていくようです。

私は、子どもが「何ができるか」より、「何をやりたがっているか」にだけ大きな関心を向けています。
ただそうして子どもが「やりたい」気持ちさえあればOK!で育てている子たちは、幼稚園で知能指数を測ってくれば、IQ150以上あったりするので、大人の心のあり方、まなざしのあり方は、子どもの知能にも大きな影響を与えているように思います。

意欲があってやりたくてする子は、親が子どものこなすワークのページ数を決めていてさせている子と潜在意識のレベルでは目指しているものがぜんぜんちがっていて、1年生くらいでも「●●の学者になりたい!」といった大きな夢を自分の心の中心にすえていたりします。
そうした子は、小学校受験でトップの成績を収めている子より将来有望な気もします。

幼児を育てる上での大人の仕事は、子どものあるがままを自分の潜在意識の部分からも肯定することにあるように思います。


3分でできる 簡単ピタゴラスイッチ

2022-09-24 11:33:03 | 積み木  ピタゴラスイッチ

折り紙を数回折っただけでできるこんな簡単なレールなのに、子どもはクーゲルバーンの積み木と変わらない興味を示します。

ブロックを使うと、傾斜する台ができます。

<作り方>

折り紙を半分に折って長方形にします。
さらに折って細い長方形にします。
ふちを折り返したら、できあがり。

セロテープで補強すると、かなり丈夫です。
折り紙は、100円ショップの和紙の折り紙や両面折り紙のように、少ししっかりしたものを使うと、もちが良いです♪

 

少し手間をかけて、前回のレールを2~3本連結して、先を折り返して(はさみで切り込みを入れてから)テープでとめ、穴を開けると、遊びの世界が広がります。


子どもが言うことを聞かなくて困るときに 2

2022-09-19 10:44:19 | 子育て しつけ

3歳までと、3歳~を年齢でバシッと線引きできるわけではないのですが、3歳までの子の「言うことをきかない」と、3歳以降の子の「言うことをきかない」は、少しわけて考えた方がよいかと思います。

3歳以降の子は、集団の場などではとても上手に過ごせるのに、お母さんや親しい人をたたく、大人をにらみながら反抗するという子がいます。
この、一方では非常に良い子で、あるとき、「わがまま」と見える態度がある子は、大人をたたいたり反抗したりしているときに、同時に大人に強く甘えたがっている子が多いと感じています。

「園ではおりこう、お母さんには反抗的」という子を教室でお預かりしていると、最初は良い子すぎ、次に私をたたきはじめ、しまいに私のひざにのったり、抱きついてきたりしてべったり甘えていて、最後に、良い子すぎでもなく、反抗的でもないその子らしい明るい笑顔を見せて遊び始めます。

このごろは、3歳から幼稚園に入園している子もたくさんいますから、3歳の子が、小学生並みの「しっかり」を求められている場合がよくあります。

この時期の子は、どんなにしっかりしている子でも、赤ちゃんの頃と同じように抱っこされたり、さまざまな義務を大目に見てもらったりして、幼い子としての扱いも十分受けていないと、ひねた反抗的な態度になっていきます。

3歳以上の子が甘えてきたときは、「あれ~赤ちゃんみたい」「恥ずかしいな~」などと子どもをからかうようなことを言わず、愛されていることがしっかり伝わるように、ぎゅっと抱きしめてあげると、自然と自分から離れていくようになりますよ。

3歳以上の子で、「おもちゃを貸してあげなさい」と言っても、「いやだも~ん」と言いながら、他のおもちゃまで全部自分のものにしてしまったり、お友だちを威嚇して、自分の思い通りに事を進めようとする子がいます。
大人が叱っても平気で、悪者にあこがれているような言動が目立つ子がいます。
こうした子は、自分に自信がない子、自分に過剰に自信がある子の2タイプがあると思います。
自分に過剰に自信がある子の場合、その強さやパワーへの憧れを、正義感につなげるようにしつけていきます。

★やんちゃくんをどうしつけたらいいでしょう?
★やんちゃくんをどうしつけたらいいでしょう?2

自分に自信がなくて、わがままが過ぎる子には、悪い場面で子どもを注意するのを控えて、しっかりできているときに着目して、十分褒めて、自分に対する肯定的なイメージが抱けるように働きかけます。

3歳までの子が感情にのみこまれていたのと異なり、3歳以上の子は、感情にのまれながらも、成長したい思いも同時に抱いていて、良い子と悪い子の間を揺れています。

成長したい思いが強いから、思うようにいかないジレンマでごねているとも言えます。
また、「あれもしたい」「これもできるようになりたい」という思いが増えた分だけ、不安や挫折感も強くなりますから、たっぷり甘えてエネルギーを充電する必要があります。

3歳~4歳前半の不安定な時期を上手に越えると、光輝く4歳児と名づけられるような時期が訪れますよ。


子どもが言うことを聞かなくて困るときに

2022-09-14 08:57:28 | 子育て しつけ

子どもの性質によって兄弟姉妹でも雲泥の差があるものの、子育て中の誰もが、子どもが言うことを聞かなくて困るという体験をしたことがあるのではないでしょうか?

叱る、見守る、我慢する、言い聞かせる、罰を加える、「おばけがくるよ」「こわいおじさんがくるよ」とおどかす、

子どもがこわがっている人物に叱ってもらうなど……家庭によってさまざまでしょうが、どの方法が良くて、効果があるのか悩むことと思います。

言うことを聞かない、かんしゃく、泣き叫ぶ、がんこ、ごね続ける、お友だちのおもちゃを取る、たたく 噛む 危険な場所で走り出すなど、子どもの「困った」態度はさまざまです。

私の場合、子どもの年齢によって、対応を分けるようにしています。

<3歳までの子の場合>

1歳、2歳の子は、自分の感情のコントロールが上手にできません。

また、自分の中にたまった「いやな感じ」を言葉でうまく表現できないし、自分で納得することもできないので、とにかくギャーギャー言ったり暴れたりすることで外に出そうとします。

ですから、大人からすればありえない設定でごね続けることもよくあります。

出かける時間に「行かない」と泣き続ける、全てがいや、理由なくかんしゃくを起す(おそらく眠い、疲れた)

大人が「こうすれば?」「これならどう?」とさまざまな説得を繰り返しても、一度、走り出した感情は、子ども自身にもブレーキをかけることができないのです。

3歳までの子の場合、子どもがこだわっている内容で説得させよう、わからせよう、納得させようとするよりも、まったく別の目新しい切り口で、新しい気持ちを作り出した方が事態を収拾しやすいです。

「靴はかな~い!!」に、「靴はきなさい!」で対応するのでなくて、「靴はかな~い」に、「靴はきたくないのね。おててにかわいいシール貼っておでかけしようか? どのシールにする?」とたずねる形で返すのです。

すると、はきたくないという負の気持ちが、シールを選ぶという楽しい気持ちに入れ替わるので、その後は、いい気持ちに誘導されて素直に靴をはくことが多いです。

いつも物で吊るのはよくありませんから、「ハンコをポン」と手に押すまねをしたり、持って行く予定のハンカチを選ばせたりするのも、一つの方法です。

それでも、ごねつづけたい場合、時期的なものや、眠い、疲れたなど体調もありますから、この時期の子は「ごねるもの」と割り切って対応することも大切です。


問い方で思考力が変化する 2

2022-09-06 15:14:01 | 思考力

「結局、どんな問い方が子どもの思考力を育てるの?内言を発達させるの?」と疑問を抱えたままの方がいらっしゃるかもしれませんね。

 

私が思うのには、子どもの感情が揺さぶられるような問い方、それまであたり前だと思っていたことの思いもかけない側面を発見した時、つまり「びっくりした」時にちょうどいい問いを投げかけることだと思っています。

問いといっても、必ずしも言葉で問いかけるのではなく、無言の手助けがそのまま子どもへの問いである場合もあります。

あえて問わないことが、問いになることもあるでしょうね。

 

感情が揺さぶられるとき、人は本気で考えるものです。

つまり、揉め事のあるところには、思いっきり知恵を絞る絶好のチャンスがあるということです。

問題を解決するために頭を使うのは、国の場合も、危機に面した時ですよね。

子どもたちにしても、自分や友だちが揉めていたり、何だか心が納得しなくてジレンマに陥ったりするときこそ、みんなを巻き込んで考えることを楽しむチャンスでもあるのです。

工夫して解決したときには、本当にうれしいし、解決しないときには、心に残るストーリーが記憶に刻まれますから。

 

今回の工作のワークショップには3歳の内弁慶の女の子☆ちゃんが参加していました。

☆ちゃんは神経が過敏で繊細で恥ずかしがり屋さん。

反抗期の真っ最中ということもあって、お友だちと仲良くしたいけれど、近づき過ぎるのは怖いし、みんなといろいろしたいけど、自分の物を触られるのは嫌だし、大好きなお友だちは自分の思うように手をつないでくれないしで、気持ちが高ぶって、廊下の暗闇に隠れてしまいました。

誰にも貸したくないとばかりに、ねんどで作ったお料理と、チーズの箱で作った椅子を抱えています。

 

そこで、わたしは☆ちゃんに、「ここに☆ちゃんのお部屋を作ってあげようか?」とたずねました。すると、☆ちゃんは目をキラキラさせてほほえんで、こっくりしました。

段ボールを貸してくださる方がいたので、それを立てて壁やドアにすると素敵なお部屋ができました。

すると、うらやましそうに他の子らがぞろぞろ集まってきました。

お友だちが口ぐちに「お家に入れてよ」と懇願しますが、☆ちゃんは「いやー!だめー!」と断固拒否。

ちょっとお姉ちゃんの◇ちゃんが「ケチはだめ」とばかりにたしなめて、軽く☆ちゃんのおでこをペチリとたたきましたが、☆ちゃんは誰も家に入れようとしません。

 

どうしても家に入りたかった●ちゃんが、ワンワン大きな声で泣き始め、「●ちゃんにもお家を作ってあげよう、ここではどう?これはだめ?」となだめすかしても泣きやみません。

●ちゃんは、●ちゃんで、自分の家が欲しいのではなくて、「意地でも誰も入れないぞ」とがんばっている☆ちゃんの感情がその場にかけている不思議な魔法が魅力なのです。

本当に、どうして手に入らないものはこんなに魅力的なんでしょうね?

 

この後で、激しい「お家に入れて!」「いや!」の争いは、素敵なドラマを生みました。

というのも、実はそれまで☆ちゃんは、●ちゃんが好きで、仲良くなりたくて、手をつないでもらいたくてしかたがなかったのです。

でも、追いかけ回されて、友だちになって~と迫られると逃げたくなるもので、●ちゃんはずっと☆ちゃんを拒否していました。

それが、突然、ものすごく魅力的な豪華?(段ボールの壁の……↑の写真のスペースです)な家の持ち主となった☆ちゃんの株は、この揉め事で一気に急上昇し、●ちゃんの大泣きの末、☆ちゃんと●ちゃんは仲良さそうに手をつないでずっと遊んでいたのです。

 

子どもの思考力を育む問い方、やっぱりよくわからなかったという方がいらっしゃるかもしれません。

確かに、「問いといっても必ずしも言葉で問いかけるのではなく、無言の手助けがそのまま子どもへの問いである場合もあります」というあたり、何が言いたいのやら……と。

 

上記で☆ちゃんがその場にいる緊張から暗い廊下に身をひそめてしまった話をしましたよね。

そうした時のサポートの仕方というか、大人の心のあり様のようなものが、自分で考える子になるか、自分で考えようとせずに、すぐに他人に頼ったり、すぐにあきらめたり、すぐにキレたり、大人の指示に従いすぎたりする子になるかを分ける分岐点となるように感じています。

 

どういうことかというと、人が頭を使うのは、必要があるときで、必要があるときというのは、解決したい問題を抱えているときですよね。

動物を箱に閉じ込めたら、一生懸命知恵を絞って出ようとしますよね。でも、のんびり餌を食べているときに、いくら「頭を使え」と命令したところで、考えようとはしないでしょう。

子どもにしても同じで、子どもは自分で「あれが欲しい」とか、「お友だちと遊びたい」とか、「あんなことができるようになりたい」といった欲望を感じて、すぐにかなえられないとジレンマに陥ります。

葛藤を抱えて、泣いたり、わめいたり、自分の殻に閉じこもったりします。

そのひとつひとつの欲望は、ある意味、子どもにとって非常に大事な成長の起爆剤です。

子どもが自分で作りだす自分の発達をうながすための創造物であり、道具といえるのです。

ですから、大人が葛藤が起こらないように、揉め事がないように先に手をまわしてしまうとか、葛藤が起こるやいなや、解決法を提示して大人が解決してしまうということは、ママ友の関係維持にはいいことかもしれませんが、その分、子どもの成長を遅らせてしまうのではないでしょうか。

 

といっても、子どもたちが揉めるがままに放っておいたのでは、暴力に訴えるようになったり、友だちと遊ぶのを怖がるようになったりしかねません。

それなら、どのようにサポートすればいいのでしょう?

 

子どもが葛藤を抱えているとき、大人は子どもが自分たちで解決していく力を尊重しつつ、次のようなサポートができます。

 

◆ 危険のない形で、感情を十分表現させる。子どもの気持ちを受け止める

◆ 新しい別の視点から今起こっている出来事を眺めるヒントを与える。

◆ 創造的な解決法をしめす。

◆ 子どもが葛藤に陥っている本当の理由を見抜いて、心から満足できる体験が味わえるようにする。 

◆ 子どもが葛藤の末、手にいれようとしている新しい理想的な自分像に気づいておく。

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葛藤があるところには、たいてい成長の可能性があります

暗い廊下に隠れてしまった☆ちゃんの行動も、☆ちゃんが今の状態よりもより成長した自分になりたいという向上心が潜んでいます。

これまではお友だちといっしょの場所でも☆ちゃんはママとふたりで仲良く遊んでいれば満足だったのです。

でも、そうじゃなくなった。

それだけじゃ、イライラする。ママじゃなくて、お友だちと仲良くなりたいって欲望が目覚めてきたのです。

でも、どう振舞ったらいいかわからないし、何だか怖い。拒否されそうだし、実際、強く拒否されもするから、先に自分が乱暴に振舞っておく。

でも、それでは少しもお友だちと仲良くなれない。

そんな悪循環から抜け出すすべもなくて、暗い場所に隠れてしまったのでしょう。

 

そうした時に、近くにいた大人が☆ちゃんと同じ視点で、今起こっている揉め事を鎮めることばかりに気持ちを集中させて、「~言いなさい」とか、「仲良くしなさい」とか、「優しくしなさい」と指示して、納めてしまったのでは、その出来事が成長には結びつかないかもしれません。

 

今回の工作の集まりは「虹色サークル」という虹色教室通信の読者の方々が作っているサークルなので、こうした子どもの揉め事にも、親御さんたちは余裕を持って、見守っておられました。

それで、

◆ 危険のない形で、感情を十分表現させる。子どもの気持ちを受け止める。

◆ 新しい別の視点から今起こっている出来事を眺めるヒントを与える。

◆ 創造的な解決法をしめす。

という3つは、自然と親御さんたちの間から、子どもを主にした形のアイデアが出て、「問題が起こった時やイライラを抱えてしまった時、知恵を絞って、工夫すると、こんな楽しい結果が得られるんだ」と子どもが気づけるようなサポートをしておられました。

たとえば、☆ちゃんのお家に入れてもらえなくて悔しがっていた子には、戸の隙間を利用して、忍者の密文をやりとりする新しい遊びを提案していました。

 

ただ、

◆ 子どもが葛藤に陥っている本当の理由を見抜いて、心から満足できる体験が味わえるようにする。 

◆ 子どもが葛藤の末、手にいれようとしている新しい理想的な自分像に気づいておく。

という2つについては、

「やれやれ、揉めてたのがおさまったわ~」とホッとした時点で、次につなげる視点は持っておられないようでした。

そこで、工作後の大人だけの勉強会では、雑談を交えて、子どもを成長させる環境やサポートについて親御さんたちと話しこむことになりました。

 

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本を出させていただきました♪

子どもの考える力をぐっと引き出すお母さんの話し方


問い方で思考力が変化する 1

2022-09-01 10:33:42 | 思考力

子ども時代というのは、自分の心のなかの声、つまり内言が発達していく時期です。

内言というのは、「音声を伴わない自分自身のための内的言語で、主として思考の道具に用いられる」と言われています。

サピア・ウォーフの仮説によると、言語はその話者の世界観の形成に関与する、とされています。

 

わたしも子どもの内言の内容や発達いかんによって、その子の思考力の幅や質や世界の認識そのものが違ってくると思っています。

なぜ子どもを大人の指示で動かして、競争させて、強迫的に何かを訓練させることがまずいのかというと、最も重大な害は、子どもの内言を失わせること、心の声を陳腐なものにさせること、内面を雑音だらけにすること……と言えると思います。

 

子どもにできあがっているものを見せて、「どうしてこれは動くんだと思う?」とたずねると、「そんなの、~にきまってるじゃん」「そんなの当たり前じゃん」と馬鹿にしたように、つまらなそうに言い捨てることがあります。

でも、大人が問い方をちょっと変えると、同じ子らが、たちまち夢中になって考え始めま

黙って、見つめる目の真剣さから、心のなかで、内なる対話が活発に行われているのがわかるときがあります。

問い方をちょっと変えるというのは、場合によりけりなのですが……わたしが上の写真で子どもたちに「動く仕組み」について考えさせているシーンを例に挙げて説明させていただきますね。

子どもたちの前で、「見ててね」と言いながら、トイレットペーパーの芯を転がして見せます。

「動け、動け」と芯を指さして命令していると、前方に転がっていきます。

「どうして転がっていくのかな?」とたずねると、「丸いとこがあるから」とか、「ころころするから」などさまざまな意見がでました。

そこで、「それなら、動け動け、ストップ!戻れ~って戻ってくるようにするにはどうしたらいいのかな?」と尋ねると、身を乗り出してトイレットペーパーの芯をにらみつけて黙っています。

芯のひとつに小さな紙を貼って、転がすときには紙を芯の側面にぴったり沿わせて転がすと、転がるうちに紙が広がって芯は止まり、戻ってきます。

その時、「動け動け、ストップ!戻れ~」と声をかけて、手で動きを表現すると、まるでわたしの声や手の動きに従うように動くトイレットペーパーの芯を手品を見るように見つめる子らは、同時にこの種を見破ろうと必死になって頭を絞ります。

次に、芯のなかにビー玉を1個貼り付けたものも転がしてみます。

これも、「動け動けストップ!戻れ~」の指示に従います。

そんなとき、子どもは、「どうしてなんだろう?~だからかな?でもちがうみたい?どうしてだろう?」とそれをすっきりとした言葉で言い当てたくて、でも簡単そうでも言葉が見つからなくて、もやもやした思いを抱えた状態で集中しています。

 

トイレットペーパーの芯で「動け、動け、とまれ、もどれ」という動きについて考えてみる前に、写真のようなひもを広げると上に登っていく仕組みを子どもたちに見せました。

すると、大人の方々は驚いて、「どうして登るのか」と気にかけていたのですが、子どもたちは、「なんだ、そんなのひもを引っ張ったから上がるんじゃん」と、鼻にも引っ掛けない様子でした。

コップの底部分の直径と飲み口の直径の違いによって、物が上下に移動するのですからなかなか面白い仕掛けなのですが、「最初からできあがっている感じ」や「大人が子どもに決まったひとつの答えを出すのを求めているような雰囲気」があったのかもしれません。

 

こんなふうに、いかにも答えを出させるための質問、子どもに知識を与えるための問いかけ、という雰囲気では、子どもの頭はフリーズしたまま動かないものです。

大人が喜ぶような人工的で完成度が高そうな学習であるほど、子どもにすれば、「すでに大人がわかっているんなら、わざわざ自分が考えなくても、大人に正しい答えを教えてもらってから答えればいい」「他の子ら答えて、間違えたら、自分は間違えなくても正しい答えが言える」と考えてしまうのかもしれません。

疑問を抱くこと、内言を育てること、自分の心のなかで考えを追う楽しみを育てるには、「教えよう」「知識を与えよう」という大人の押し付けがほんの少しでも透けて見えたら、逆効果にもなってしまいがちです。

 

それなら、どのようにすると、子どもは自分の心のなかに疑問を抱き、自分と対話し、自分自身で考えを深めていくのでしょう?

それには、子どもへの問いかけ方を工夫する必要がありますが、その前に、普段の親や先生の子どもへの接し方が、近視眼的でないことが重要だと思っています。

大人が子どものアウトプットに注目し過ぎない、子どもの今を評価し過ぎない、子どもに自分ができているかどうか、上手か下手かに注目させるような言動をつつしむことが大切です。

そういう意味で、たとえプールやソロバン教室のようなものでも、まだ小学校にもあがっていないうちから「○級」に合格したかどうかといった刺激にさらすことは、とても危険なことだと感じています。

なぜかというと、子どもはこの広い世界のなかではとても小さな存在で、心がいつもまだ知らない広い世界に向かって開かれていなくてはならないのに、年がら年じゅう、「小さな自分」にばかり注目するように癖付けてしまっては、金魚蜂のなかの金魚のように、認識している世界が狭い子になってしまうからです。

自分が今、何を上手にできようと、できまいと、魔法のような不思議さと、たくさんのやってみたいことと、できるようになりたい憧れと、人と人が関わる場で新しく生まれてくる物語に、どっぷりつかていることができるかどうかが子どもの将来の伸びしろの大きさを決めるように感じています。

自意識過剰になって「小さな自分」にばかり注目するのでなくて、自然に、今ある世界にいることができて、そこで、泣いたり、笑ったり、恥ずかしがったり、怒ったり、ぐずぐずしたり、寝ていたり、ふざけていたり、夢中になっていたり、感動したり、うまくいかなくてイライラしたりすることが、とても重要だと思っています。

そうした感情が突破口になって、広い世界に対して、将来、出入りすることができるようになる入口が作られるからです。

 

子どもが知らない価値はたくさんあります。

「なぜ」という疑問は無数にあって、それぞれに対する答えも無数にあります。

「○級」を取得するために必要なものだけが世界を形作っている価値だと誤解してしまうと、子どもの周りにどんなにすばらしい価値あるものがあっても、その子が感じとれるものはごくわずかになってしまいますよね。

 

↑ 工作イベントにぜんまい式のおもちゃを分解したものを持っていくと、手のひらに乗せて、真剣に見つめている子がいました。

「ぜんまいの動きを使って、何かできないかな?」とアイデアを募ると、トンネルをくぐらせるアイデアと、ひげそりのシェーバーを作る案が出ました。

素朴に、ただ考えること……それが、たまらなく面白い体験でもあるのです。

 

「結局、どんな問い方が子どもの思考力を育てるの?」ということについて、続きの記事です→ 問い方で思考力が変化する 2

 

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本を出させていただきました♪

子どもの考える力をぐっと引き出すお母さんの話し方