虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

継次処理能力が優れている子、同時処理能力が優れている子 4

2013-12-14 14:12:35 | 教育論 読者の方からのQ&A

継次処理能力が優れている子、同時処理能力が優れている子 3

の続きです。

先の文で、こんなことを書きました。

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継次処理タイプも同時処理タイプも

一長一短があり、良し悪しや損得は比べようがありません。

 でも、教室で見ていると、同じ結果を出していても、親から注意を受けたり、叱られたりするのは

同時処理タイプということが圧倒的に多いので、

どうにもこの認知様式の子らの自己肯定感の行方が心配でこのタイトルで記事を書くことにしました。

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うちの息子もそうなのですが、

発達上の問題や凹凸はあまりないのに、

継次処理能力と同時処理能力のバランスが悪くて、

極端に同時処理に偏った頭の使い方をする子がいます。


直観が優勢で、創造的な子に多い気がします。


(一方で、凹凸はないのに、継次処理に偏った頭の使い方をする子には、

感覚が優勢で、秩序を好み、色や数に敏感な子が多いようです。

今回の記事では、同時処理の子の話を中心に書いていますので、継次処理タイプの子の

話は次の機会に書かせていただきますね。)


同時処理能力による理解の仕方は、まず全体をざっくりと大雑把に把握して、

最初にゴールを見極めてから、取りかかるという方法です。

 

同時処理能力に偏った頭の使い方をする子を見ていると、

学習する内容は同じでも、

同時処理能力を使って、それをすることができるかできないか

で結果に雲泥の差が出ることがあります。

 

うちの息子が小学生の時もこんなことがありました。

漢字が苦手な息子は、6年生になるまで、漢字テストでさんざんな

点数を取っていました。6年に進級する時期、私立中を受けたいと言い出したので、

受験用のでる順の問題集にあった200字をそれぞれ割り箸の先に貼って、

おみくじを引く感覚で漢字を学ぶことができるようにしてあげました。

すると、作って間もないうちに、「全部覚えたからテストしてほしい」と言ってきました。

 

半信半疑で、テストしてみると、どれもしっかり覚えていました。

 

200字のけっこう複雑な漢字が覚えられるのに、

10問だけの通常の漢字テストでミスを連発していた理由は、

ただ怠けていたからというより、同時処理能力が優勢の子にとって、

全体を把握したり、ゴールを見極めたりしにくい暗記や作業が主の勉強は

頭が働きにくいからのようです。

息子に聞くと、10字でなく200字覚える方が、特徴で分類したり、

難易度でランキング付けしたり、意味とへんやつくりの関係を調べたりできるので

記憶しやすかったそうです。

 

わたしも同時処理に偏った頭の使い方をするので、

同様の体験がたくさんあります。

注意しなくてはならないのは、

そうやって短期間で一気にゴールまで飛んでしまえても、

長い時間をかけてコツコツと積み重ねてきた人と同じというわけではなくて、

中身にはやはりスカスカした部分があるし、

うっかりミスを起こしやすいということです。

 

100問やってみて、できるようになったから終わりじゃなくて、

ゴールした後、どうするかが大事になってくるのです。

 

とはいえ、中身にスカスカした部分があるし、うっかりミスを起こすからと、

継次処理能力が優れている人の方法に従って、

スローステップで、1段階ずつ、完璧にしながら学ぶよう強要すると、

少しも頭が働かなくなって、

極端に効率が落ちてしまいがちなのです。

 

やはり、同時処理タイプは同時処理能力が発揮しやすい形で学んで、

それに見合った完成度を高める方法を取るのが一番だと思っています。

 

具体的な「それに見合った完成度を高める方法」については、

次の機会に書かせていただきますね。


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
えー!? (ここる)
2013-12-14 22:10:41
息子さんの漢字の話。
そういうものなのですね。。。
参考になります。。。

続きを楽しみにしております。
Unknown (Unknown)
2013-12-16 00:14:56
なおみ先生、こんばんは。
継時処理と同時処理のお話し、興味深く拝見しています。
ただ、どうしても疑問が・・・

3の記事で
>最初はできない状態からコツコツ努力してできるようになっていく子と(継時処理?)

>最初からできるにはできるけれど、ミスが多くて雑な
子(同時処理?)

という部分なのですが、我が息子は、典型的な
>最初からできるにはできるけれど、ミスが多くて雑な子
なんですが、K-ABCでは圧倒的に継時処理タイプの
方が強かったんですよね・・・
一体どういうことなんだろう?と疑問が沸いてきて
頭を悩ませています。


読めば読むほど同時処理タイプのように思えるんですが、、、(ちなみに診断名はADHDです)間違いなく
継時処理らしいんです。
なんだかよくわからなくなってきました(;´д`)

続きを拝見して、疑問が解けるといいのですが・・・


同時処理です。 (かろーら)
2013-12-16 12:02:28
我が子は、同時処理+外向感情型です。
いわゆるお勉強とされる要素にあわなさすぎる~。

いい加減、漢字何回も書いても覚えられないって自覚してほしい。

ママのやり方を受け入れておくれ~!!
同時処理について (ぼんちゃん)
2014-04-13 10:12:39
この記事の続きが読みたいのですが、ありますでしょうか?


>具体的な「それに見合った完成度を高める方法」

ぜひ教えていただきたいです。
ぼんちゃん様 (なおみ)
2014-04-13 21:55:55
こんにちは。この続きの記事を書いていた頃、
とても多忙な時期があったので、続きが書けないまま今に至っています。
今、書きかけの記事が一段落したら、次のこの続きを書くことにします。
楽しみにしています (ぼんちゃん)
2014-04-14 11:35:21
なおみ先生、ありがとうございます!!

楽しみに待っておりますね。
Unknown (yully)
2022-01-05 17:10:19
はじめまして
yullyと申します。

こちらの記事を拝読し、同時処理と継次処理の違いについて大変勉強になりました。

> 極端に同時処理に偏った頭の使い方をする子がいます。
>直観が優勢で、創造的な子に多い気がします。

確かに、コツコツ積み重ねてゆく継次処理的な細やかさは日本人的な感性では好まれやすく、
その一方で、創造性や発想の自由さは評価されにくく、
同時処理型の子供や、似たような理由でADHDの子供も「大雑把」「抜けてる」と誤解されやすいのかなと感じます。

ちなみに、私自身も同時処理タイプに近いです。

同時処理タイプは、思考が「大枠→細部」の順に向かうのと、パターンや関連性をもとに記憶するため、「なぜ今これを学ばなければいけないのか」目的を納得できないと勉強が頭に入らないこともあるみたいですね。

それに対して、学校の授業は基本的に「細部→大局」の順に学ぶ、継次処理向けのため、同時処理タイプの子は学習の目的や全体像が見えづらくてストレスを溜めやすいとも聞いたことがあります。

それぞれの特性にあった学び方になるのが理想ですね。

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