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共謀罪と今後の展開について〜安藤雅樹弁護士

2017-06-16 12:54:03 | 政策・訴え・声

20170615 6.15を忘れない! ストップ!共謀罪松本共同行動〜安藤雅樹弁護士

共謀罪と今後の展開について

平成29年6月15日午後6時

松本駅前「ストップ共謀罪緊急抗議集会in 松本」

弁護士安藤雅樹

(松本市・安藤法律事務所)

 

1 はじめに

・本日【6月15日】「共謀罪」が参議院本会議で可決され、成立しました。きわめて異例な方法で強行採決が行われたことは、皆さん、朝からニュースで見聞きしたところかと思います。共謀罪、政府は「テロ等準備罪」という呼称をしています。「共謀罪」はこれまで3回に亘って廃案になっていたのですが、ついに成立することになりました。

・この法律は、公布から20日後までに施行されます。

・来月7月半ばには、施行される見通しです。

・この夏からは、私たちは共謀罪がある社会で暮らすことになります。

・共謀罪ができて、何が変わるでしょうか。テロ組織とか暴力団とかの問題で、一般人は関係ないから、大丈夫と政府は説明します。

・しかし、今、政府が話すことを、誰が信用できますでしょうか・・?

・成立した共謀罪の条文を今一度確認しておきましょう。

 

2 共謀罪の条文

【要件】

①各号に掲げる罪(=別表第4に掲げる罪)に当たる行為【①該当犯罪】

②テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第3に掲げる罪を実行することにあるもの)の団体の活動として【②組織的犯罪集団】

③当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画【③計画】

④その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われた【④準備行為】

・これで限定されていると言えるでしょうか。

・捜査機関が濫用する恐れはないでしょうか。

①まず、該当犯罪ですが、277に及んでいます。

・テロ準備に関係ない犯罪も広汎に含まれています。

・例えば、マンション建設とかに抗議集会を開いて座り込みをすることの計画をして準備行為をした、それが組織的業務妨害の共謀に問われかねません。

・他方で、権力側の犯罪、特別公務員職権乱用罪・暴行陵虐罪、公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法違反などは除外されています。

②組織的犯罪集団

・一般人には適用されないという政府の説明の根拠は、「組織的犯罪集団」という文言があるから、ということになります。

・しかし、捜査組織が、組織的犯罪集団だと認定すればそれは組織的犯罪集団ということになり得ます。暴力団対策法上の暴力団とか、オウム新法の対象とかが非常に限定されていることと比較すると、はっきり言って「がばがば」です。

・一般人に適用されない、という政府の説明は、まやかしです。そんなことに騙されてはいけません。

③計画

犯罪を行う計画についての「合意」は、やはり法案上限定されていません。

・暗黙のもので足り、ツイッターやフェイスブックなどSNS を用いて順次成立する場合もあります。メーリングリストやラインでも成立し得ます。犯罪が確実に実行されることの認識も必要ありません。

④準備行為

・準備行為は、「実質的な危険」が要件となっていないことから、文言上、危険性のない日常的な行為がすべて含まれることになります。例えば、ATMでお金を下ろす行為、現場の下見、地図アプリで場所の確認・・参考)殺人予備罪は凶器の準備などの実質的な危険性のある行為が必要です。

 

3 立法の背景

・政府は、このような法律をなぜ作りたかったのでしょうか。

・テロ対策?条約締結のため?

・そんなことは名目上のものです。

・テロ対策は、現在ある殺人予備・強盗予備とか、銃刀法違反とかの犯罪を適用することができますし、恐らく共謀罪でテロリストを検挙することは、これからほぼないでしょう。共謀罪での検挙は、自白に頼らざるを得ないのですが、テロリストが簡単に自白すると思いますか?結局は、共謀罪ではない、現在ある法律を適用することになるでしょう。

・条約締結においても、共謀罪を作ることは必要ではありません。この条約はテロリストをターゲットにした条約ではありません。

・国連の特別報告者からも共謀罪に対する懸念が表明されているところです。

・それでは、なぜこの法律を作りたいのでしょうか。

・それは明らかです。政府にとって不都合な「物言う市民」を萎縮させたいからです。政府に批判的な勢力の声をあげさせないためです。

 

4 今後の展開

・おそらくは、この犯罪ができて、すぐに逮捕されたりする案件が出てくるわけではないと思います。しかし、全くやらないと、それも批判される。最初は、暴力団とか振込め詐欺集団とかを検挙したというニュースが流れるでしょう。そのうちに特別なニュースにもならなくなる。そうなったころに一般人が逮捕されるかもしれない。それでも、そのニュースで取り上げられるのは、ただの一般人としてではなく、組織的犯罪集団であるとして発表されるでしょう。それに関心を向ける人も少なくなっていると思います。

・警察は、共謀の段階での捜査が堂々とできることになりますので、監視社会が強ま

ることは明らかです。

・政府が次に考えるのは、通信傍受法の改正、拡大です。昨年の12月に対象犯罪が大きく拡大しましたが、殆ど関心を持たれませんでした。これをさらに拡大して、室内盗聴の導入、GPS捜査の合法化、さらにはスパイなど、捜査手段を拡大していくことでしょう。

 

5 治安維持法・破防法について

・共謀罪は治安維持法と類似しています。

・予防のための法律であること、組織団体をターゲットにしていること、「国体」や「テロ対策」といったマジックワードを用いて国民を騙していることなどです。

・治安維持法は昭和3年に改正されました。このとき議会では審議未了となったのですが、政府は緊急勅令という形をとって強行改正しました。

・そのことは、今回の共謀罪のやり方にも通ずるところがあります。

【参議院の審議の違法性】

・今回、参議院では、法務委員会における審議を合計18時間弱で打ち切り、今日未明の本会議において「中間報告」を行った上で、法務委員会の採決を行わず、本会議で強行採決に踏み切りました。この手続は、国会法56条の3で「特に必要があるとき」に中間報告を求めることができ(第1項)、及び中間報告を受けて「特に緊急を要すると認めたとき」には本会議で審議できる(第2項)ということに基づいているのですが、特別の必要性も緊急性も認められません。国会の会期を延長すると加計学園の問題がよりクローズアップされて都議選に影響するとか、公明党の法務委員長が強行採決する場面を見せたくないとか、そんなことはもちろん「緊急性」の要件には当たりません。明らかに手続上違法であると考えます。

・治安維持法は天下の大悪法として拡大、濫用されました。

・共謀罪もそのような展開をする可能性があります。

・一方で治安維持法とは異なり、成立はしたけれど、謙抑的に運用がなされ、大きな問題とはなっていない法律もあります。破壊活動防止法、破防法です。

・共謀罪が治安維持法のような展開を辿るか、破防法のような展開を辿るか、それは私たち国民の今後の行動次第だと思います。

 

6 これから

特定秘密保護法の制定、通信傍受法の拡大、新安保法制で集団的自衛権を規定。これは明らかに違憲です。

・そして、今回共謀罪が成立しました。彼らの最後の本丸は、憲法改正です。

・どうやって闘うか。

・政府は共謀罪を作って、政府に批判的な言動を萎縮させようとしています。

・冗談じゃない。そんなものに屈するわけにはいきません。

・私たちの武器は、憲法で保障された表現の自由です。

・こんなことで屈してはいられない。共謀罪を廃止、そうでなくても実際には死文

化させるように声を上げて行動していきましょう。

 

以上

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