普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

公務員制度改革・公約で自縄自縛の鳩山政権(2)

2010-03-10 10:45:15 | 鳩山内閣

 8日の「ビートたけしのTVタックル」で普天間基地問題、子ども手当、公務員改革、民主党と労働組合との関係など鳩山内閣の抱える問題について与野党入り乱れての論戦がありました。
 今日はその内の公務員制度改革に就いて取り上げてその論点を纏めて見ました。
・鳩山政権の公務員制度改革案だけでは部長までは順当に昇格しても、天下り禁止で庁内で糞詰まりになってしまうので、庁内の人件費を増えるばかりだ。
 これに対して改革案では人件費が2割増になってしまうと言う総務省の試算が出た。
・この儘では民主党公約の公務員経費2割削減とあるので、実質的に更に2割、詰まり4割削減しなければならない。
・予算委員会のみんなの党の江田憲司幹事長の質疑の模様を放映。
 江田さんの質問:民主党のマニフェストによれば、地方分権により公務員の経費を2割削減と言っているが、地方も財政が苦しいなかでその公務員を受け入れは難しい。結局国がその経費を別の名目でその費用を負担することになりはしないか。 (同番組ではこれまでの画面でしたが、鳩山さんは出先機関の統合や廃止などで経費を減らすことを考えていると、苦しい答弁をしていました。然し常識で考えてもこれ位で国全体の公務員の2割削減など出来る筈はありません。)
・民主党の川内博史さん:もし政権が江田さんの言うようなことをすれば、鳩山政権はふっとんでしまう(私は彼のような率直な民主党若手議員が表に表に出ての活躍を期待しているのですが。)
・みんなの党の渡辺さん:部長で糞詰まりの問題を解決するには、民間の会社のように自由に降格減給をすべきだ。
・そのために公務員の処遇や給与関係の法案などと抱き合わせで公務員制度改革を実施しなければ、有名無実になってしまう。
と言うところで同番組のいつものやり方で他のテーマに移りました。

[私の意見]
・上記の総務省試算の報道の中では早期勧奨退職を廃止しながら総人件費を削減するためには、給与水準か新規採用数を抑制する必要があるが、いずれも実施は困難視されている。 (追記参照)と言っていますが私も同意見です。
民主党政策集INDEX2009「国家公務員(地方分権推進と国家公務員総人件費の削減)」を見ますと大胆な地方分権等の結果、国家公務員の定数も大幅に減少すること等により、国家公務員総人件費を2割以上削減することが可能になります。と書いてあり、どう読んでもみんなの党の江田さんが指摘した通りに公務員の直接経費は削減できても、その経費は国庫負担することになるとしか読めません、まさに国民を騙したような公約です。
 然しこのことを江田さんから国会で指摘され、鳩山さんのそうではないと言う答弁を得た現在、まともな神経を持った政権ならこの公約はなかったことにするしかないと思います。
 私がこの公約のインチキ臭さに気付いたのは、自治労を支持基盤とする民主党政権が2割の公務員の人員削減をする筈がないと思ったからです。
・私は渡辺さん率いるみんなの党が頑張って貰いたいと思っていますが、一つだけ引っ掛かるのは、民主党と同じに何が何でも国家公務員を押さえ付けようと見られる態度です。 廃止された社保庁の職員のようなのは論外ですが、大半の官僚、職員はみな真面目で有能な人達も多いと思います。
 人が余るからと言って、何かと理由をつけて降格や給与カットをされて、その人達は勿論、それを見ていた職員が果たしてやる気を無くさずに働くでしょうか。
・渡辺さんの言葉尻を捉えて言えば、一般の会社で言えば、人事管理の基本は如何に従業員にやる気を持たせるかです。
 そして 余程の危機状態に無い限り、人件費削減の第一歩は、組織内の合理化です。
 政府も官僚・職員のやる気を持たせること、そして組織の合理化に努めるべきです。
 その点では民主党の事業仕分けは評価されるべきですが、僅か数時間でやれることは限られています。
 本当に政府組織の合理化をしようとすれば、先ず職員達に原価意識を持たせること(その為には今のような大福帳式の経理処理からの脱却が先決ですが) 、次は改善活動に象徴されるように職員達の自発的な前向きな意見を取り上げることです
 天下り問題に絞って言えば前にも一度書いたことがありますが、
・政府が補助金を出している外郭団体の業務を解析し、廃止を含む徹底的な合理化をすること(その為には政府直属の監察機関を設けて(問題がある順に)団体毎に少なくとも一週間は入り込ませ徹底的にその組織、システム、給与体系などを調べ上げること。小さいことで言えば天下りの人が給与に見合う仕事をしているかなどなど。)
・その報告に基づいて団体の廃止を含む徹底的な合理化をすること
合理化された団体への天下りや出向を認めること
・退職手当て支給は一度切り
・給与は年金受給年齢に達するまでは、収入は保障するが、定年受給年齢になったら、以後はボランテイアとして必要経費プラス程度の給与にする。
・その条件を拒否した人には(馘にし)再就職の世話はしない。
 民主党政権は天下り禁止に拘るあまり、大きな壁に突き当たって動きが取れなくなっているような気がします。
 私の言う公約による自縄自縛に陥りそうな気配です。
 先ずやらねばならぬことは、時間がかかるかも知れませんが、独立した査察機関の活用と、職員の自主的な改善活動による、天下り先機関の廃止を含む徹底的な合理化、そして次は合理化済みの機関への天下り許可だと思います。

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追記:今朝の時事ドットコムは下記のようなことを伝えています。
「早期勧奨退職は必要」=基本方針策定へ-原口総務相 
 原口一博総務相は9日の閣議後記者会見で、国家公務員の天下り根絶に関連し、「早期勧奨退職がなければ(職員の)新陳代謝が進まず、新規採用も困難になる」と述べ、退職勧奨の在り方も含めた退職管理の基本方針をまとめる方針を示した。
 定年前職員への退職勧奨慣行は「天下りの要因」との見方があり、容認すれば再就職の在り方などをめぐり論議を呼びそうだ。
 人事院によると、今年度の退職者約1万2000人のうち、約3000人が勧奨退職者だった。一方、新規採用枠は職員純減方針の影響で約1万人。退職勧奨を禁止すると、来年度は単純計算で採用枠が約7000人にとどまる。

 これに対して読売(web版なし)はマニフェストの「定年まで働ける環境作り」に逆行する公務員制度改革の「自己矛盾」が露呈した。「定年まで働ける環境作り」と「総人件費2割削減」の両立は困難と見られると批判しています。

  それにしても、特に瑕疵のない50歳台の職員を、(天下り禁止の方針のため)行く先の世話もしないで肩叩きするなど、残った職員にやる気が無くなるのは眼に見えていると思うのですが。
 やはり徹底的に合理化した外郭団体への天下りは避けて通れない道だと思うのですが。