普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

竹中平蔵さんとマスコミ

2009-02-05 12:28:54 | 情報、マスコミ

 昨夜のTBSでの「久米宏のテレビってヤツは!?」で、「私がそんなに悪いのか…竹中平蔵」経済崩壊&品格劣化の元凶?をスタジオ喚問」のタイトルの番組に竹中平蔵さんが出演していました。 (番組の内容は青字黒字は私の意見です

 生活評論家の荻原博子さんが、「かんぽの宿」の関連でその答申を出した会議の議長を勤めた宮内義彦さんの率いいるオリックスが噛んでいることへの批判に対し、宮内さんが規制改革会議の議長だったので、郵政民営化など何も関係もないことを、指摘するなど、彼一流の頭の良さと弁舌で、番組を最後まで仕切っていました。 (*注1)

竹中さんは持論の
・日本の法人税は世界でも突出して高いこと。(*注2)
・労働者派遣法は最高裁の判決で、正規社員の馘首が事実上不可能になったことで困った経済界の要請で出来たのであり、正規社員の問題は立法処置で解決すべだ。
 それなら何故労働者派遣法を作るまえに、正規社員の処遇の問題に関する法律の改正をしなかったかと言う素朴な疑問もでますが。
・派遣社員が問題になるが、労働人口の僅か数%に過ぎないこと
など言っていました。
 番組では大量解雇の問題に関連して、終身雇用、年功序列など日本型の経営を続けている未来工業の例を上げていたのに対して、竹中さんは「未来工業には敬意を表するが、日本マクドナルドでこのような真似は出来ない。
 企業は業態に応じて最適のやり方を考えるべきだとコメントしていました。

 日本マクドナルドは例の「名ばかり管理職」で有名な会社です。
 番組では触れて居ませんでしたが、未来工業の社内の至るところに「自分で考えよう」といった趣旨のビラが貼ってありました。
 つまり同社は従業員を大切にして、(従業員もインタビューでも言って居ましたが)、企業に対する忠誠心を高め、そを改善活動に繋げ企業の競争力を高めると言う、日本流の経営をしているのでしょう。

 私は竹中さんのコメントの「企業は実態に応じて最適の経営をするべき」と言う事に、今回の雇用問題のポイントがあると思います。
 労働問題に関する諸規制の緩和は、企業の経営者が皆、倫理観があり誠実に法規を守り、しかも経営手腕も優れていると言う、言わば性善説の前提で初めて上手く行く筈だったのです。
 現実を見ればその前提が全く崩れて、昨日報道されたマツダのように、非正規社員が3年間同一仕事に勤めれば、正規社員なするべきところ、3年ごとに別の名義の契約に変え、また元の契約に戻すことで法を潜り抜けたり、他社の例でも偽装請け負いをしたり、契約の中途打ち切りなど違法すれすれのことやっている企業もいます。
 企業の経営者も米国流の成果主義の名ので従業員を酷使し、神経障害を起こさせたり、自殺まで追い込んだり、日本企業の強みだった企業への忠誠心、チームワークを壊すなど、凡庸としか思えないような人達も多くいるようです。
 ここはやはり性悪説にたって、あまりに甘過ぎる労働関係の規制緩和にはやはりブレーキを掛ける必要があると思います。

[竹中平蔵さんは経済崩壊&品格劣化の元凶か]
民間人ばかり頑張った小泉改革

 番組でも取り上げていましたが、小泉・竹中構造改革路線の批判で、竹中さんだけが矢面に立っているようですが、竹中さんのやったことは金融改革と郵政民営化だけです。
 竹中さんに色々批判があるのは判りますが、今回の金融・経済危機の発生や大量解雇や派遣労働や雇用問題は全く(か殆どかは判りませんが)関係ないと思います。
 強いて言えば、小泉改革では竹中さんのほか、木村剛、猪瀬直樹、大宅映子の各氏など民間の人達ばかり頑張って、閣僚達が改革の影の部分の手当てをするどころか、小泉さんの指示で担当部分の経費削減をしたことが今大きな問題になっているのです。

当時の厚生労働大臣の責任
 今、問題の製造業まで適用を拡大された労働者派遣法の改正は、Wikipediaによりますと、2004年3月1日:労働者派遣法改正(物の製造業務の派遣解禁、紹介予定派遣の法制化などと有ります。
 そして当時の厚生労働大臣は公明党の坂口力さんです。
 坂口さんは01年4月から04年9月までの任期でしたから、労働者派遣法改正にまるまるこ関わっていますが、麻生さんや的外れの竹中さんを攻撃しても、肝心の坂口さんへの批判など新聞やテレビで見たことはありません。
 また大量解雇に伴うセイフティーネットの問題も厚生労働省の責任です。
 従来の特殊技能者に限っていた労働派遣法を製造業まで拡大することは、膨大な派遣労働者が解雇されたときは今回のように大きな問題になることを意味します。
 その他、今大問題になっている年金問題、経費削減してきた介護・医療制度など全ては厚生労働省の責任です。
 何故、マスコミが当時の担当大臣だった坂口さんの責任を問わないのでしょうか、いつものパターンで、彼が公明党に属しているからでしょうか。

[ワンパターンのマスコミ]
 番組の最後に久米さんが、「テレビってヤツは!?」と訊かれるとなんと答えますかの問に竹中さんは「ワンパターン」だと答えました。
 構造改革批判と言えば、小泉・竹中路線批判、攻撃する相手は政府・与党(公明党を除く)、と官僚。
 避け通るのは民主党など野党と公明党、官公労、日教組、宗教団体。

 私はいつも言うように次の政権党になる可能性が非常に大きくなった、民主党の体質や政策などの良い所悪い所を今に内に取り上げて論評するのは、国民のためにも民主党のためにも良い事だと思うのですが。
 民主党が天下を取って批判しても、今のような経済危機状態では遅過ぎることもいくらもあると思うのですが。
 主張するのは官僚制度の改革(つまり小さい政府)と社会福祉の強化(つまり大きい政府)。
 確かに竹中さんの言う様にテレビだけてなくマスコミ全体の報道姿勢が「ワンパターン」とは言えないかも知れませんが、余りにも偏っています。
 マスコミはもっと公平な、物事の表と裏の両面から見たバランスの取れた、そして特定団体に対する自己規制を外して報道をして貰いたいと思うのですが。

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*注1:宮内さんのこと
 なお横道に逸れますが、話題の宮内さんと後のテーマの雇用問題に関してWikipedia によれば、2004年の派遣法改正は内閣に設置された民間人による『規制改革会議』(議長 宮内義彦オリックス会長)の2002年の答申に基づくとあります。

*注2:日本の法人税
 これも余談ですが、竹中さんの言う法人税が高過ぎると言う説に対して、彼と反対の立場の経済学者がブログで、米国の特定州の法人税の例を上げて、日本の法人税が必ずしも高くないと書いていました。
 ネット上で調べても日本の法人税が他国に比べて高いことくらい直ぐ判るのに、このような特殊例を持ち出してまで、竹中さんを批判しようとする当人を批判する気はありませんが、少なくとも彼のブログは「眉に唾を付けて」見なければならないと感じたことがありました。