労働分配率という言葉をご存知だろうか?
と大きく出たが、この言葉は知っていても正確なところは知らない経済の素人の私がこのブログを書くために付け焼き刃で勉強したことを簡単に説明する。
労働分配率=人件費÷付加価値(粗利益)×100
そして、労働分配率による経営体質の評価は 35~40% が平均でこれ以下が良、以上が要注意となるそうだ。
「粗利益率が高い企業」というのは高収益型企業であるのと同時に、他社との競合面でも優位な立場にあることを意味している。「人件費負担が大きい(従業員数が多い)企業」というのは、それに付随して広いオフィスの家賃や諸々の経費も大きくなるために最終的な利益を圧迫する。
出所:労働分配比率(人件費÷粗利益)から導く「潰れにくい会社」の条件その他
つまり一般的に言って、大企業が小企業より高収益のことが多いが、従業員に同じ給与を払っていても、入札時の見積もりで大企業の人件費が小企業の人件費の数倍に達するため帳面上の利益が大きくても経理上ではそれほど利益は出ない事実を考えれば直ぐ理解できる。
一昔の日本と米国の労働分配率を比較すると、日本のそれは景気が悪くなると上がるのに米国の分配率は下がることと、日本の労働分配率は景気の変動に応じて大きく振れるのに、米国のそれは変動が少ないのが特徴だ。
その理由は、一昔の日本企業は不景気になって付加価値が減ったとき、株主への配当を削ってでも、従業員をキープし、その給与も下げまいとしてきた。
詰まり人件費は固定費的に扱われてきた。
一方米国は株主の配当を優先し、従業員をレイオフする。
米国の場合は人件費は変動費あつかいだ。
労働分配率から見た日本企業の歩み
[バブル崩壊前]
バブル崩壊前に日本の企業が伸びてきたのは、
・人件費が安く従って労働分配率が米国より低かった。
・売上高拡大の時期で、多少の粗利益が低下や、人件費負担が大きくなっても問題にならなかったためだ。
[バブル崩壊後]
バブル崩壊
銀行の破綻に伴う景気の低下に当たっては、各企業は授業員の解雇で当面の危機を乗り越えてきた。
中国市場の拡大、中国企業の競争力強化
それと前後して、小平さんの主導で中国は資本主義導入した。
その結果→中国経済の拡大で新しい市場が拡大→日本企業の規模拡大→低賃金の労働者を使う中国企業との競争力を高めるため日本企業は比較的低賃金で採用できるパート及び契約労働者を使い労働分配率を下げようとし始めた。
詰まり今まで固定費なみに扱われていた人件費を情勢に応じて適当に帰られる変動費なみの処理にしたことだ。
小泉、竹中改革
小泉さんと竹中さんによる規制改革とともに米国型の資本主義そのままの考え方が導入され、株主優先の考えが経営者の中に入り込んだ。
そのため従来の日本の長期的に立った利益配分から株主への配当を優先する会社が現れ始めたため、一部では米国型と似た変動の少ない景気が連動する労働分配率を持つ企業が現れた。
これは企業にとって従業員の犠牲のもとに安定した経営が出来ることを意味する。
[米国の住宅バブルの崩壊]
サブプイムローンの焦げつきから、米国を中心とする金融危機が始まった。
一方では石油価格が高騰して物価の上昇が始まった。
株価は続落し昨日も東証の日経平均株価はさらに646円も更に下落した。
昨日の夜のテレビで久しぶりに竹中平蔵さんが登場して、今の状況は金融問題が盛んに言われているが、それは余り問題でなくて、その先が問題だと指摘した。
詰まり景気の停滞がこの先ずっと続く可能性があると言うのだ。
私の持論の米国の経済の転換期に来ていると言う考えに近い。
もっとも竹中さんは私の悲観論と反対に、改革を進めることでさらに経済を拡大するしか道がないと、彼の持論を展開したのだが。
1月6日のNHKの視点・論点「2008年 春闘の課題」で日本総合研究所主任研究員の山田 久さんが言っていた。(Webのデータなし)
恒例の賃上げの時期に来ている。
今まで企業の経過と違っているのは、企業側が賃上げの検討を始めたことだ。
その理由は
1.高い労働分配率のお蔭で可なりの利益を上げて、賃上げ余裕ができたこと
2.主要輸出先の米国の経済の沈滞で、生き抜くためには輸出だけでく国内市場にも頼るしかないこと。
そのために賃上げをして国内の購買力を上げる必要があること。
3.中国など新進諸国の技術力の向上に立ち向かうためには、従来の低い労働分配率を保つための派遣やパートに頼るやり方に反省がうまれていること。
詰まり防御だけてば戦えないことに気づいたのだ。
たまたま毒入りぎょうざで問題になっている、「天洋食品」の工場の写真を見ていると日本のそれと変わらない管理技術をもっていることが判ったのは皮肉だ。
4.低賃金の正規社員や派遣などの非正規社員から昔のような(企業への忠誠心に基づく自主管理活動や改善運動などの)成果を得られないことにきづいたのだ。
5.企業は今までの逃げの姿勢からもっと前向きの攻撃の姿勢に転じるべきだ。
これは私のかねてからの主張に沿った動きだが、残念ながら一部の大企業に限られた動きかのようだ。
私は大企業は低い付加価値のため高い労働分配率に苦しむ、傘下の中小企業にも援助の手を差し伸べて貰いたいし、また自社の従業員の給与を下げることなく、中小企業の数倍にもなる人件費の要因である従業員管理の経費の削減にも努めて分配率を下げる努力をして貰いたいと思う。
経団連へ
もう一つ、経団連は悪評嘖々の「残業代ゼロ法案」などあっさり引っ込めて、傘下の企業がもって前向きと取り組む様な指導に当たって貰いたいものだ。
そして、農水省の農村への援助政策が一時的な効果はあっても長期的には農村の疲弊を招いているように、傘下の企業の生き残りのための派遣労働法など一連の法案の提出も同じように企業の体質を弱める効果もあることも知るべきだとおもう。
参照:カテゴリー → 企業経営
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