普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

あきらめるな農村問題

2008-02-21 17:01:57 | 農村問題

 2月5日NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀「あきらめなければ、失敗ではない~片山象三~」」の放送があった。
(2月25日(月)翌日午前1:05~翌日午前1:50、2月26日(火)午後4:05~午後4:50に再放送の予定

 NHKの紹介文では次のように述べている。
 
全国の地場産業が衰退する中、常識を塗り替える技術革新を果たし、海外からも注目される男がいる。織物の町、兵庫県西脇市。生産量が最盛期の4分の1にまで落ち込む中、中小企業の経営者・片山象三(47歳)は、2003年に織物のコストを最大5分の1にできる画期的な糸作りの機械を開発した。今、片山は新たな開発に取り組む。地場産業復興の一つのモデルケースとして、そのカギを等身大のプロフェッショナルの姿から探る。
出演:片山商店社長…片山 象三,  【キャスター】茂木健一郎,  住吉 美紀

 その中で印象に残った片山さんの言葉を書いてみる。
 これは私の一つの関心事のシャッター通りの再生にも当てはまるが、ここでは農村問題に併せわて考えて見たい。

・開発は産地のために行う
・産地を護るために開発した機械は競争相手の中国に売らない
 これを日本に言い換えれば、開発は日本のため行う、開発した機械や技術、新品種の農産物の種子どを中国その他の国に売らない。
 日本はコシヒカリなどの種を諸外国に売って、逆にその米を輸入するように圧力をかけられてきた。
 最近はこれに懲りて、福岡県の例で言えば、苺の新品種の「あまおう」の技術を他国に盗まれない様に対策を講じているそうだ。
 然しこれには開発した人や会社の愛国心の問題があり、また国家レベルの新技術の輸出禁止など外交問題になりやすいので政府の別の面からの的確な判断が望ましい。

・素人には壁がない
・ヒントは外にある
・異業種を結びつける
・産学官の協力とそれを纏めるリーダーシップ
 今までの農業問題は政府、所謂農水族、農業従事者の代表の農協、農業技術は政府と県の農業研究所中心で行われてきた。
 言わば農村を中心とする閉鎖社会の中で、戦後50年間過ごしたきた。
 その中では農産物の消費者の立場が殆ど無視されたきた。
 その一番のよい例が、国民の米離れパン食の増加の傾向を無視した、つまり需要と供給の経済原則を無視し米作り一辺倒の農業政策だ。
 その結果が、食料自給率が先進国で最低レベルの39%の一方、休耕田の増加、稲作専用で刈り入れから田植えなで遊んでいる田んぼ、若者の離脱、過疎化などの問題を生んでいる。
 政府はこれに対して農業の株式会社化を認める新政策を出したが、農地購入禁止など数々の制限がありなかなか進んでいないようだ。
 片山さんの言を借りれば、農業には素人の工業製品や食料加工品会社の人達が農村に入れば、生産性向上に血眼になっている彼らが見れば、約半年も遊んでいる田んぼや、今までの年に数日しか使っていない一戸に一台の高額な農業機械の有効利用を考えるだろうし、貴重な従業員をもっと有効に使うことを考えるだろう。
 今までは公立の機関に頼っていた新品種の農産物や、農業技術の開発も独自で始めるに違いない。
 農村に新規参入の企業にとっては、小麦価格が一気に30%の上昇に代表される食料品の価格上昇、国民の安全な食生活を望む傾向などを最高のビジネス・チャンスと捉えるだろう。
 そして彼らの動きを見ている農村の人達にも刺激となりヒントを得る事も多いと思う。

・あきらめなければ、失敗ではない
・希望が困難に絶えて持続する力を与える
 私は毒入りぎょうざと農業の活性化
日本の食料自給率の問題を解決するために、需要と供給の観点から見た農業政策を考えるべきだ。
 そして農業の生産性を上げることで農村を活性化してはどうかと書いた。
それについて「はかたのさとう」さんから、
 市場経済の農業は、価格変動のリスクに晒されている。農業の場合は、気候変動のリスクもある。公務員、農協職員、あるいは家作収入など、安定した別収入がないと、リスクに耐えるのが困難。
 大規模な専業農家は、上記の兼業農家よりリスクが大きいので、破産する可能性が高い。
 生産性を高めるだとか、大規模農業にするとかは、何も知らず机上の空論を述べているに過ぎない。

と言う厳しいコメントを頂いた。
 
(コメントは農村の現状を良く突いていると思いますので、是非コメント欄全文も見て下さい。)

 コメントを読んで、また私の悪文の例に洩れず書き漏らしたことが多いのに気がついたのでまた上記の文章の補足させて頂く。

 勿論、「はかたのさとう」さんも良くお判りで厳しいご指摘をされたと思うのだが、このままの農村保護政策による農業の弱体化、農村の疲弊、若者の離脱、過疎化のままで良いことを放ってよいことにはならない。
 片山さんの意見を借りれば、私たちはこれで「諦めてはいけない」。
 諦めたら終わりだ。
 現に大分県の平松元県知事の主導で展開した「一村一品」運動はそれなりの成果を上げているそうだし、東国原さんが宣伝されている完熟マンゴーや「金柑たまたま」良い値で売れている様だ。
 言い換えれば農村の生産性の向上、または労働分配率
の改善だ。
 (労働分配率=人件費÷付加価値(粗利益)×100)

 また棚田の不便を逆手に取って、都会の人達にオーナーになって貰いその米の生産資源である田んぼや畑を守ろうとしている農村が増えているそうだ。
 これも農村の生産性維持や村おこしに繋がるものだ。

 参照:棚田オーナー制度 

 私はそれらの従来の活動に加えて、前に書いたように工業や商業などの農業に素人の企業が農村に入って来る意味は大きいと思う。
「はかたのさとう」さんは大規模農業について言われたが、一般企業の人達が農村に入ってきて、土地の実情を無視して、米国やオースリラリア式の大規模農業をやるなど多分考えないと思う。
 そうすれば負けるのは必至だ。
 (なお私の上記のブログでは大規模農業についても触れることを忘れていた。)

 彼らが今までの常識通り、まず始めそうなのは、既にやっているるらしいが、消費者の需要予測に基づく中または小規模のスケールでのトマトなどの野菜の、それも天候に左右されないハウス栽培だ。
 出来過ぎの時は彼らは事前に生産調整をするか、余剰分を加工食品に廻すか、或いは輸出に振り向けて損害を最小限に抑えるだろう。

 米や麦作を考えれば、地域で見れば中規模の農業の全国展開により、高価な農業機械の使い廻し、遊んでいる田んぼの有効利用、どうしても出る農閑期に余る人員をを利用するために農村に建設する食料品加工工場を作るだろう。
 勿論彼らはこれ以外の多くのアイディアを農村に持ち込むだろう。
 そして失敗すれば次の手を打ってくるに違いない。

 要は、開かれた農村に異業種の人達が入り込んで、お互いに切磋琢磨して、良い所は学び、問題なところは改善しあえば、少なくとも何からの道が開けてくる一助にはなると思う。

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