普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

生活保護費に劣る最低賃金(企業のこれから)

2007-08-22 10:33:55 | 企業経営

 昨夜テレビ東京の[ガイアの夜明け「“売る”技術を磨け!~プロの接客教えます」]で先端を走る小売業の実態についての放送があった。

 その内容は番組紹介によると次の様なものだ。
 景気は回復したというものの、かつてのようにモノが飛ぶように売れる時代ではなくなっている・・・・・・個人消費が伸び悩む中、生き残るために小売業が見直しを進めているのが、原点と言うべき『接客・販売員の質の向上』だ。高性能化・高品質化が進んだ商品は差別化が難しく、客にとっては、「どこで買っても同じ」「ネットで買う方が楽」な時代。成熟市場を勝ち抜くために、買う気にさせるプロの販売員たちの最前線を追った。

・先ず最初に鹿児島市の山形屋デパートで定年を過ぎた人達が多年培ってきた顧客との人脈を活かして、売り上げ増に貢献していること。

・花屋のチェーン店の中で、駅構内と言う地の利を活かして、最高の売り上げを持っている店で、顧客を捌ききらずに、中年の男性が家族に送る花束を買うのに数十分もかかったシーン。そのためチェーン店で実施されている隠れモニターの評価でビリから三位の評価しか受けなかったこと。そのため店長以下アルバイト全員で相談の上、今までバラバラに顧客に応対していたのを接客、レジ、包装などに分担しため次回のモニターの評価がいきなり14位まで上昇して、大喜びする店員達。

・派遣会社での化粧品屋に派遣する要員のトレーニング。その一人が派遣先で好成績をあげて、同社の正社員となり副支店長までになったこと。

 然し小売業全体で考えるとこれと違った動きもあるようだ。

 7月19日の読売新聞の最低賃金の見直し…生活保護費下回り 勤労意欲そぐ恐れ
では、
 参院選では、格差対策として、「最低賃金」のあり方が争点の一つとなっています。今回は、最低賃金の仕組みと課題を取り上げます。
 現在、全国の平均額は673円。フランスの1208円、イギリスの1146円などと比べて、先進国で最低水準にあります。
 課題として指摘されているのが、地域別の最低賃金が生活保護費を下回るケースがあることです。県庁所在地で働く労働者を比較した場合、例えば北海道では、最低賃金で1か月(1日8時間で22日間労働)働いた時の社会保険料などを差し引いた手取りは約9万8000円。一方、生活保護費は約11万8000円で、最低賃金が約2万円、下回っています。
 また、最低賃金の額は各都道府県で開きがあり、地域間格差といった課題も指摘されています。
 これらの問題を放置すれば、勤労意欲を失わせ、社会全体のモラルを低下させかねません。
 政府は最低賃金法を改正する方針です。具体的には、額を決める際、生活保護水準との整合性も考慮するよう求めることにしています。ただし、法案では、最低賃金の方を高くするよう義務づけてはいません。法改正とは別に、厚生労働省は最低賃金を大幅に引き上げる意向を示しています。しかし、経営への影響を理由に、中小企業が「これ以上の引き上げは無理」と抵抗することは必至です。そもそも、最低賃金は「5円の引き上げでも困難」といわれ、06年で引き上げ額が最も高かったのは愛知県の6円で、多くは2、3円の引き上げにとどまっています。
 最低賃金は、労働者が尊厳を持って生活していくために必要な安全網です。政府は、少なくとも、最低賃金が生活保護水準を上回る対策を講じるべきです。
と解説している。

 ここで生活保護水準に劣る最低賃金の上昇に一番反対しているのは小売業だ
 その一番の根拠は零細業者が立って行けないということだ。

 これは生産性向上のための農業の大規模化政策で取り残された、小規模農家の保護政策を求めている状況に良く似ている。

 世界を相手に頑張っている製造業に比べて、国内の消費者相手の小売業の生産性は明らかに低い

 然し、小売業の生産性を上げるのに道はないのかと言えば、上記のようなやや大規模な小売り業の例もある。

 生産性を上げる手段は例のようにいろいろあるが、ここではっきりしているのは、生産性を上げる原動力は従業員のやる気だ
 そのやる気が、自分をさらに磨き上げ、店員同志で智恵を出し合い、売り上げ向上への頑張りに繋がっているのだ。

 圧倒的に賃金の低い中国の台頭で、経済界も政府もパートや派遣労働者の採用が容易にできるように動いてきた。
そして、パートや派遣労働者は唯単なる安い労働力として扱われてきた。
その考えは欧米流の会社の施設や工場設備と労働力があれば済むと言う考えだ。

 かっては終身雇用などによる会社の忠誠心に基づく、自主管理活動や、改善運動で生産性を上げてきた製造業にも及び、個人の意識や能力が無視され、それまであった社内の教育制度まで放棄してきた会社も多い。

 然し時代は変わった。
 会社は改めて意識の高い有能な人材を求めている。
 社内の教育制度の再度の見直しを始めた会社もいる。

 小売業も前に書いたように変わり始めている。

 つまりは従業員を設備と同等の単なる労働力でなく人間として考え取り扱うのが、今の厳しい市場経済の世の中で生き抜く道と判り出したのだ。
 経団連などはこのことは良く判っていても、経営者の運営の自由を保つ為にと思うが、依然としてパートや派遣労働者使用による経費削減に熱心だ。
 また悪評嘖々の残業代ゼロ法案の再提案もあるかもしれない。

 これも困った事だが、さらに悪いのは頭の悪い経営者が、コスト削減のためにパート、派遣に頼りきりになることだ。
 そして経営の厳しいことを理由に、生活保護費にも劣る最低賃金を払って恥ずかしいとも思わないこと、その結果、勤労意欲を失った従業員に対して怒りとばすしか脳のない人もいるかも知れない。
 今の時代ではそう言う企業は没落の道を辿るしかないのは致し方ないことだ。

 問題は零細企業だ。
 今の市場経済時代では、大きな資本力を持ち、多くの人材の智恵を結集して運営する企業に比べて負けてしまうのは致し方ないかも知れない。
 これは零細農家も同じだが、零細企業が自分で生き残りの道を考えるか、零細企業同志が商店街や同種企業などで大同団結して一つの組織を作り、大企業に対抗するしか道がないように気がする。

 大同団結をすることは今までのお山の大将でいた経営者が自分の好き勝手に出来ないことを意味する。

 この問題は素人の私には難しすぎるのと、紙面の関係でこれ位のことしか言えないが、お山の大将を選ぶか、数には数の力で対抗するか、どちらを選ぶかは零細企業の経営者の決断一つだと思う。


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