MOVIE レビュー

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「世界最速のインディアン」

2007年02月28日 | 映画感想 サ 行
guardian1「世界最速のインディアン」を観てきました。この映画も実話だそうです。ニュージーランドの最南端の町インバカーギルに住む63歳のバート・マンローと言う男性が、長年、夢に見続けていたアメリカ・ユタ州のボンヌヴィルに有るスピードレースのメッカ「塩平原」で、もう殆ど自作に近い骨董品バイクを走らせてスピードの世界記録に臨むまでのエピソードを綴ったロードムービーです。


■ストーリー抜粋≫ 公式サイトはこちらです。(上映時間:2時間7分)
【人生の大半を“世界最速のバイク”に賭けた型破りな男バート・マンロー。実在する彼の愛すべき人生を映画化。ニュージーランドに住む63歳の老ライダーが、アメリカ・ユタ州で世界最速記録に挑戦するまでの苦難の道のりを描く。バート(アンソニー・ホプキンス)の夢は、伝説のバイク“インディアン”でライダーの聖地アメリカのボンヌヴィル塩平原で世界記録に挑戦すること。年金暮しの彼は倹約に励み、隣家の少年(アーロン・マーフィー)の協力も得て廃品を利用してバイクの改良を試みるが、なかなか渡航費まで手が届かない。だが、60歳を過ぎて体力の衰えを実感し、夢を叶えるための壮大な旅に出る決意をする。】

■感想です≫
主演があのアンソニー・ホプキンスと知って、内容が全く予測できませんでした。予告編を観て、何となく観る気になって一応観てみた!と言う何とも力が抜けた状態で観たんですけど、これがもう後味爽やかで面白かったです。美談っぽい仕上がりになっていなかったのも良かったです。観るまではハンニバルのイメージが強烈で、彼が主役でどうなんだろう!?って心配しましたが・・・当然の事ながら全くハンニバルっ気は影を潜めていました(笑)。

主人公のバート・マンローさんは自分では「身体は老人でも心は18歳だ!」と意気軒昂ですが、彼の生身の身体はあちこちガタが来て年老いていました。しかし、バイクに懸ける情熱と知識だけは誰にも負けないと言う自負がある!40年以上も前の20代の時に買った”インディアン”と言う名の伝説のバイクに魅せられて、毎年毎年、自分で改造を加えてひたすらスピードを追い求めてバイクと暮らしてきた。・・・と言う生活を長年続けていると、世間から乖離したバイクオタクのガンコ一徹のジイサンに培養されます。(笑)

guardian1そして60代になり、一人つましく年金暮らし。彼の生活の始まりは、朝も明けきらない内から起き出して、バイクの整備を始めて「ヴォーン!ヴォーン!!」とエンジンの音を響かせ悦に入る。隣人から騒音を注意されても「今日はやる事が一杯あってね!」と的外れな返答をして意に介していない!世間的には自己中ジイサン!家(納屋みたいだったけど・・・)の周りの庭の雑草を刈るように言われても、面倒だからと焼畑にしてしまって消防車出動で近所迷惑を引き起こす!

手作りの改造部品を冷ます為の水を張ったドラム缶を外に置いていて、平気でそこの水でコーヒーを入れて飲んでいる!当然、訪ねて来た人にも同じ物を飲ませる!(オェッ!)よく病気にならないなぁって心配しながら観ていたら、その事との因果関係は分からないけど(笑)、心臓と前立腺に持病を抱えている。まぁ、年相応の病気かも?ですね。

どこが?何が?と聞かれても「ここが!」と答え難いけど、とにかく映像が温かいです。エピソードはゆるいですが・・・、地元でなんとガールフレンドもいるし、アメリカへ渡ってからのエピソードも面白い。タクシー、モーテルのフロント係、中古車販売店の店主、通りすがりに世話になった未亡人、本物のインディアン、ベトナムからの休暇兵・・・所々で出会う人達との交流にもそれぞれの味が有りました。一途な人柄と情熱が他人を惹きつけるのか!?みんなが何かしらバートさんに暖かく手を貸してくれていました。そこの所が観ていても気持ちが良かったです。

guardian1バート・マンローさんは、ついに1967年に、1000cc以下のクラスで世界最速記録を樹立します。この記録は未だに破られていないそうです。そして、1971年にロジャー・ドナルドソン監督が、その偉業を称えるドキュメンタリーを作ってテレビで放送し好評だったそうです。それ以降、「もっと“売れる”ストーリーにするなら出資しよう」と言うオファーが舞い込んでも断り続けたとか・・・。監督さんも負けず劣らずガンコですね!(笑)

監督さん自身もバート・マンローさんの様に、この作品に情熱を注ぎ、長年に亘り何度も脚本を練って練って創り上げ、自身が納得の行く映画を作りたかったんですね。ドキュメンタリー放送から34年後にこの映画を完成させたと言うことで、バートさんが40年前のバイクで世界記録を達成した境地に近いものが有りますね。なんか、そう言うのを知るとこの映画の暖かさが納得できますわ。商業主義になっていないのが良く分かります。どこかのスタジオの資本で撮ったら”売れる”ストーリーにしないといけないですもんね!ご苦労様でした。良い映画でした。


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コメント (2)
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