徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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北ドイツの原発3基が相次ぎ故障:ブロークドルフ、ブルンスビュッテル、グローンデ

2016年08月09日 | 社会

アウスゲシュトラールト・ブログ、2016.08.08.付けの記事(ヤン・ベッカー Jan Becker )で北ドイツの原発3基が相次いで故障したことが報告されています。以下日本語訳です。記事中は原発2基となっています。これは8月5日ブロークドルフ原発とブルンスビュッテル原発の2基に故障が判明したことによります。グローンデ原発の不調は8月2日に発覚しており、8月5日は再稼働予定日の変更が発表されただけです。

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北ドイツの原発での故障 
 
先週、北ドイツの原発2基で平常稼働から外れる異常が報告された。グローンデ原子炉の再稼働はまたしても延期され、8月半ばとなった。
ファッテンファル社と プロイセンエレクトラ社( 旧エーオン社)の発表によれば、先週の月曜にこの2件の異常事態が起き、キールの管轄当局に報告せざるを得なくなった。
 

ブロークドルフ原発では緊急ポンプが作動せず
 
ブロークドルフ原発で定期検査中、中間冷却システムの緊急ポンプが作動しなくなったという。このポンプを「何度も規定通りに切ったり入れたりしたら、過剰電流防御リレーが作動し、ポンプを停止させた」とプロイセンエレクトラ社は報告した。リレーとポンプ部品を交換したとのこと。

この原発は年間定期検査の一環として包括的検査が3週間行われた後、1ケ月余り前に再稼働されたばかりだった。この検査では1500人の作業員と外部からの専門家が携わっていた。今回の問題についての原因究明は「まだ続いている」と事業者は金曜日に説明した。
 
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ブルンスビュッテル原発:消防装置の一部が故障

(ブロークドルフ原発の故障発生と)同じ日に、2007年以来停止されているブルンスビュッテル原発で消火装置の中の弁一個の機能不全が確認された。もしも原子炉の管理棟地下の配電室辺りで火事が起きたとしたら、スプリンクラー装置は作動していなかっただろう、とキール原子力管理局。消化装置はリモートコントロールでも、現場での手動捜査でも作動できなかった。事業者ファッテンファル社の報告では、この問題をスプリンクラー装置の検査で発見し、暫定的措置としてこの故障した弁を、消火装置が必要な際には手動で作動できるように調整したという。
 
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グローンデ原発は停止したまま
 
ニーダーザクセン州のグローンデ原発は7月30日にしずく状のリーケージのため不規則的に停止された。専門家の調査後、調節検査管との溶接継ぎ目が漏れやすくなっていることが確認された。州環境大臣シュテファン・ヴェンツェル(緑の党)は漏れの原因を「綿密に調査させる」と明言した。

プロイセンエレクトラ社はその間に修理計画案を提出し、配管の一部を交換すると明言した。実験室で原因究明を行い、比較可能な小規模管で疑似検査を行う予定だという。プロイセンエレクトラ社は現在のところグローンデ原発が2016年8月14日(日)から再び饋電できるようになると見ている。
 
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プロイセンエレクトラ社の最新情報は再びオンライン。

2016年7月1日以降、Eon社の原子力部門はプロイセンエレクトラ社という子会社名で運営されている。つまり、プロイセンエレクトラ社は、稼働中の3原発、ブロークドルフ、グローンデ、イザール2の運転、シュターデとヴュルガッセンの二つの廃炉プロジェクト及びグラーフェンラインフェルト、イザール1、ウンターヴェザー3基のこれからスタートする廃炉プロジェクトを担当しているのだ。
 
この新会社のインターネット・サイトが7月から原発情報を伝えるようになって以降、それと並行してエーオン社の従来のインフォ・サイトはそれ以上更新されることはなくなった。しかし先週以来再び最新情報が、特に報告義務のある事象についての報告が掲載されるようになった:preussenelektra.de -> Aktuelle Meldungen
 

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どの故障も両事業者によって国際原子力事象評価尺度のレベル0で、「異常なし」のカテゴリーに分類されましたが、こういう一見何でもないような些細なことが積み重なって、大きな事故に繋がる危険性も否めません。一度深刻事態が起こると、取り返しのつかない影響が環境・生態系及び人間の健康に及ぼされることになるので、全原発は早急に停止・廃炉にすべきです。ドイツは特に電力輸出大国ですから、原発の電力がゼロでもいささかも問題がありません。問題が出るのは電力会社の経常利益だけでしょう。

 

参照記事:
プロイセンエレクトラ・プレスリリース、02.08.2016、「グローンデ原発:調節検査管、微細リーケージ
プロイセンエレクトラ・プレスリリース、05.08.2016、「グローンデ原発:再稼働は来週末の予定
プロイセンエレクトラ・プレスリリース、05.08.2016、「ブロークドルフ原発:中間冷却ポンプ停止」 
ファッテンファル・プレスリリース、05.08.2016、「ブルンスビュッテル発電所:開閉弁通常作動せず

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ブロークドルフ原発

株主:エーオン80%、ファッテンファル20%

事業者:プロイセンエレクトラ

営業開始:1989.12.22

稼働終了予定:2021.12.31

原子炉:加圧水型(酸化ウラン燃料、MOX燃料も使用)

実質発電容量:1410MW

 

ブルンスビュッテル原発

株主:ファッテンファル67%、エーオン33%

事業者:ブルンスビュッテル原発

営業開始:1977.02.07

稼働終了:仮処分2007.07.21、最終停止2011.06.30

原子炉:沸騰水型軽水炉

実質発電容量:771MW

報告義務のある事象:1977年以来累計477件、うち2件は放射能漏れ。

 

グローンデ原発

株主:エーオン83.3%、ビーレフェルト市営企業16.7%

事業者:共同原発有限会社グローンデ

営業開始:1985.02.01

稼働終了予定:2021.12.31

原子炉:加圧水型(酸化ウラン燃料、2013年よりMOX燃料も使用)、ジーメンス製

実質発電容量:1360MW

報告義務のある事象:1985年以来累計200件以上、うちレベル1事象1件。


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