佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

戦争案内

2010-09-19 | 平和
戦争案内というタイトルのDVDと本を、友人が貸してくれました。

見終わったのが予定より遅れてしまって…、
次に待ってる方(私がとても尊敬する近現代史の先生)に急いで送りました。
でも、送る前に、本の一部をコピーさせて頂きました。

自慢じゃないけど、記憶力の悪さには自信があります!
内容はしっかり心に焼き付いても、具体的な数字など覚えられません!
でも、その数字が超大事!
数字は紛れもない現実ですから。
そこで、5ページほどコピーさせてもらった次第です。友人には事後承諾を得ました。

この映画のテーマは、<戦争はなぜおきるのか?>でした。
戦争をテーマにした出版物はたくさんありますが、その多くは戦争の悲惨さを描いたものや、
ある人物に焦点を当てた武勇伝的なもの、あるいは国家の思惑に沿った「純粋な」記録映像などが多く、
中にはその原因を追及するような作品があっても、それは「その戦争」の原因でしかありません。

第一次、第二次と世界規模の、
何千万という人の命を奪った歴史を体験したにもかかわらず、
なぜ未だに戦争は繰り返されるのだろう?

どうして、戦争は生まれ続け、どうして戦争は終わらないのか、
ずーっと不思議に思っていました。

その素朴な疑問に真正面から答えてくれたのが、この『戦争案内』でした。


この映画の監督であり本の著者でもある高岩さんは、フィリピンで取材中に、
フィリピンの歴史学者レナト・コンスタンティーノさんに言われます。

「それにしても日本人は今まで一度も自国の歴史を正しく理解したことがないのではないか?
日本の歴史書や歴史教科書をたくさん調べましたが、今まで日本が行なって来たアジアに対する侵略戦争の張本人をすべて軍人や政治家として描いています。しかし基本的に軍人や政治家は金で操られた操り人形の役をしたにすぎません。戦争を必要として計画して金で軍人や政治家を操って莫大な利益を上げてきたのは、財閥・資本家たちですよ。しかし日本の歴史書には、このことはどこにも書いてありませんね」

それをきっかけに、「なぜ戦争はおきるのか」というテーマに沿った高岩さんの誠実な取材が始まります。
いろんな人との出会いの中で、貴重な調査、研究の資料も手に入れ、
高岩さんのテーマはどんどん答えに近づいてゆきます。

例えば、1915年から1919年までの会社利益率の一覧表がありました。
出典は、東洋経済『株式会社年間』とあります。

東洋経済と言えば、あの『会社四季報』で有名な経済誌の老舗ですよね。
十分信頼できる資料です。

第一次世界大戦が始まったのは1914年、終わったのは1918年ですが、
その間、大方の企業がウナギ上りの利益をあげています。

川崎造船= 利益率 21.2%(1915年)→217.7%(1917年)、 資本金 2.7倍(1919年)
日本鋼管= 利益率 19.2%(1915年)→274.3%(1917年)、 資本金 11.3倍(1919年)
芝浦製作所= 利益率 10.6%(1915年)→143.0%(1917年)、 資本金 1.8倍(1919年)
東洋紡績= 利益率 25.4%(1915年)→125.6%(1919年)、 資本金 1.5倍(1919年)

戦争って本当に儲かるんですね。
武器商人だけでなく、鉱業や造船、電機関係、製紙会社、繊維会社まで・・・
"風が吹けば桶屋が儲かる"の諺どおりです。

その次の表を見ると、大一次大戦によって日本経済が大きく発展したことがよくわかります。

戦争開始時に 5億9100万円だった輸出高が、戦争終結時には 20億9800万円!
戦争開始時に 15.2%だった利潤率が、戦争終結時には 57.8%!
わずか4年間で3.8倍もの利潤率アップですから…
三井物産に限って言えば、9.2倍も…!!!


そして、儲かったのは企業だけじゃなかった・・・
一番儲かったのは・・・なんと・・・
「天皇」でした。

「1917年、ロシア革命でロシアの皇帝が倒されてからは、天皇が世界一の大富豪になった」
と、書かれています。


1905年(日露戦争に勝利した年)、天皇家の保有株数は286,329株でしたが、
1942年(太平洋戦争まっただ中、国民は耐乏生活を強いられていた頃)には、992,103株を保有、
着実に資産を増やしてきたことがわかります。

また、終戦時の1945年には、天皇家の土地は、1,352,210町歩。
といってもピンときませんが、説明を読むと、
「鳥取・佐賀・神奈川・東京・香川・大阪の6都府県の全面積に等しい」
つまり「日本の国土総面積の約10%」だったとのこと。その規模がよくわかりました。


天皇家の人々なんて、お金について心配することもないだろうし、
お金儲けなど全く関心がないだろうと思っていた私には、意外でした。

実際には、まわりの人たち(今でいえば宮内庁とか?)が動いていたんでしょうか?
それとも天皇自身が?
その辺はこの本にも明らかにはされていませんが、面白いエピソードが書かれていました。

侵略戦争に勝って国を富ますには、軍備を増強しなければいけません。
時の首相、山県有朋は、そのために増税案を何度も国会に上程するけれど否決されます。
「そこで、山県は、反対派の国会議員を買収するために、議員の歳費を一挙に5倍に引き上げた上に、
有力議員に直接買収資金を多額与えて、増税案を成立させた」のだそうです。
(私が調べた別の資料では、800円から2000円に増額と書かれてて、それによると2.5倍ですが)

そして、その買収資金を提供したのは天皇でした!
当時のお金で98万円、今のお金ではいくらになるでしょう?
当時は都心の一軒家が1000円で買えたそうですから・・・

この経緯は、国会図書館に残されている西園寺公望の日記に記されていました。
「山県は、国会議員買収のため天皇から受け取った資金を、どうも一部自分の懐に入れているようだ」と。

でも、天皇がなぜこんな大金を出したのか?

日清戦争に勝った日本は、清国から3億5000万円の賠償金を得ますが、
実はそのうちの2000万円は天皇が受け取ったのだそうです。

それも天皇の意思なのかどうかは私の知り得るところではありませんが。

とにかくこの映画を見て、また本を読んでわかったのは、
一部の企業家にとって、戦争は経済発展に繋がる必要な手段だったということ。

戦争は命を奪うだけでなく、あらゆるものを破壊するので、経済を破綻させるもの
と、思ってた私・・・目からウロコでした。

だから、戦争はなくならないんですね~。
戦争で大きな利益を得る人たちがいて、
その少数の人たちが、政治家やマスコミを操り、情報をコントロールする。
そうして、国民市民が本当のことを知る機会もなく、考えようともしなくなったとき、
戦争になんらかの大義名分が与えられ、圧倒的な市民権を得て戦争が生まれるのでしょう。

でも、やはり、戦争は地球に対する最大の破壊行為。

利益を得るのは、ごくごくごく一部の人たち。
その簡単な事実を、私たち市民がはっきりと意識することがとても大切だと思う。

戦争が起きる時、正当な理由は何もない。
あるのは口実と、人間の欲だけ。。
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 当り?ハズレ? | トップ | 心ふるえる »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
坂本龍馬 (猫丼)
2010-09-20 12:34:29
テレビドラマでヒーローになってる「福山雅治」ではなく「坂本龍馬」ですが近代日本の
「元祖『武器商人』」ですよね。

正確に言うと
子供の長崎見学や長崎の観光の看板の「グラバー」が坂本龍馬をエージェントとして使っていたわけで、政商「岩崎弥太郎」が起こした「三菱」の元になったわけです。

核被災都市の長崎の基幹が軍需産業「三菱」で
その「三菱」が「核発電所」を日本の半分に作りフランスのアレバ社と提携してプルサーマルをはじめ、世界に「核発電所」を拡散させてるとは、皮肉なものです。
戦争の正体 (明智頼武)
2010-09-20 13:11:05
そう、だから戦争は無くなりません。米国は第2次大戦後も世界のどこかで戦争を続けています。また経済が破綻するからこそ、彼らは戦争に突入しようとします。大企業の利益を確保する為に一般大衆(労働者)を兵士として狩り出す必要があります。その為には憲法第9条は邪魔で仕方がありません。自民党ばかりでなく、民主党とて例外ではありません。民主党も打倒の対象でしかありません。又、社民党や共産党の言うように議会主義で戦争が阻止できるとおもいますか?問題は厳然とこう立てられています。「戦争か!革命か!」と。
Unknown (Unknown)
2010-09-20 16:33:33
またまた一方的な情報で知った気になってるな。
戦争での金儲けなんて手段であっても本質じゃない。
それなら古代から争いが絶えなのは何故?
簡単。戦争とは生存本能の暴走だから。

あと戦前の天皇家と戦後の天皇家の違いくらい学べよ。
本当に無知って罪だな。


あと本のコピーを一部でもネットで公開するのは著作権侵害だぞ。違法。
私的使用の範囲を越えてると判断される場合もあるからコピー画像は削除しなよ。
知らないことだらけ・・・ (cosmos)
2010-09-21 01:29:23
猫丼さん、
長崎の「三菱」は造船だけなのかと思っていました。核発電に関わる産業も、長崎の地で展開されていたとは・・・

明智さん、
革命をおこすと戦争を阻止できるんですか?
ロシア革命後もロシアはいろんな戦争に参加してきたのではないでしょうか?

Unknownさん、
この本に書かれた天皇のことはもちろん戦前の体制の中での実態であり、象徴と位置付けられた戦後の天皇や天皇家と同一視してるつもりはありません。
本のコピーは削除しました。著作権についても疎いもので…。ご忠告ありがとうございます。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

平和」カテゴリの最新記事