佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

ゆるす心

2016-01-05 | 平和
アメージング・グレイスは私の好きな歌です。
ジョン・ニュートンの作詞による賛美歌でゴスペルの名曲と言われています。
讃美歌の歌詞はピンときませんが、その旋律が好きです。
 
自分で歌う時は、山ノ木 竹志さんの訳詞で歌います。


1.海に生まれ 旅をつづけた
  みどり深き 森を抜け
  幾千万の月日 重ねて
  我ら 人類(ひと)と 成りぬ

2.人間(ひと)に生まれ 旅をつづけた
  果てなき荒野 さまよい
  幾千万の生命(いのち) 流れて
  我ら この地に 在り

3.畏れ知らぬ 愚かな旅人
  戦(いくさ) 憎しみ 涙
  幾千万の試練 超えて
  我ら 共に 立つ

4.恵み深き みどりの大地
  惑星(ほし)よ 海よ 森よ
  幾千万の生命 育み
  救いたまえ 我ら

  幾千万の生命 照らして
  共に 歩みたまえ 
 
 
この歌詞ではもちろんなくて、本来の讃美歌ですが、オバマ大統領がスピーチの途中で突然歌いだしたそうです。
その様子がユーチューブにアップされていました。

 
そしてそのことが元旦の朝日新聞にも紹介されていましたので、転載させていただきます。
 
 
アメージング・グレース オバマが歌った、ゆるす心
 
朝日新聞 2016年1月1日05時00分
 

かつて奴隷取引の拠点だった米南部サウスカロライナ州チャールストン。ここで昨年6月、白人至上主義の男に射殺された牧師ら黒人9人の追悼式があった。

大勢の参列者を前に、黒のスーツに身を包んだオバマ大統領が壇上に立った。

力強く進んでいたスピーチが、突然止まった。

沈黙が10秒ほど続いた。

犠牲者の同僚であるロニー・ブレイルスフォード牧師(57)が前方をうかがうと、オバマ氏は5メートルほど先の演台で下を向いていた。

「何を言おうとしているのかな」。そう思った直後、オバマ氏は伴奏なしで歌い始めた。

《アメージング・グレース なんと甘美な響き 人でなしの私を救って下さった》

たちまち総立ちの大合唱に。天を見上げ、涙を流す人もいた。

ふだん冷静に振る舞う大統領が、この日は犠牲者一人ひとりの名を、叫ぶように読み上げた。

「事件直後の遺族の行動から、大統領はこの歌を選んだと思う」。ブレイルスフォードさんは振り返る。

追悼式の1週間前。逮捕された容疑者が出廷した。遺族は一人ひとり、モニター越しに男に語り掛けた。

「あなたは私から大切な人を奪いました。もう彼女(母)と話し、抱きしめることもできません。でも私はあなたをゆるします」

「私は自分がとても憤っていることを告白しますが、憎むことはありません。ゆるさねばなりません。あなたの魂のために私は祈ります」

地元の教会で23年、ゆるすことの意味を説いてきたブレイルスフォードさんもその言葉に圧倒された。

     *

賛美歌アメージング・グレースの作詞者はジョン・ニュートン(1725~1807年)。奴隷貿易に長年携わった後、牧師になった英国人だ。

「彼は大勢のアフリカ人奴隷の売買に手を染めた。罪の償いとゆるしを求め、この歌を作ったのでしょう」

やはり追悼式に参列した同州下院議員のジョセフ・ニールさん(65)は話す。歌は海を渡り、米国で広く親しまれるようになった。

「奴隷制は米国を分断し、南北戦争の原因にまでなった。その後も、この歌は差別にあらがう歌として歌われてきたのです」

1960年代にはミシシッピ州の公民権運動家ファニー・ルー・ヘイマーがこの歌を路上で歌った。「彼女は警察官から瀕死(ひんし)の暴行を受けても、ゆるすことを歌った。この歌はアフリカ系米国人に、苦難に耐える勇気と強さを与えてきた」

オバマ氏の歌声への熱狂的な反応は、今も苦難にある人々の琴線に触れたからだとニールさんは考える。

     *

昨年12月。サウスカロライナ州コロンビアの黒人教会を訪ねた。礼拝でコリー・ローリック牧師(63)は直前に起きたカリフォルニア州の銃乱射事件の犠牲者を悼み、信者とアメージング・グレースを唱和した。

ローリックさんは「ここの部分が特別です」と言い、その一節を朗読した。

《多くの危険と苦労、誘惑を乗り越え やっとたどりついた こんなに長い道のりを無事に来られたのも神の恵み 神の恵みは私を故郷にも導いてくださる》

退役軍人のロバート・ジョンソンさん(74)は言った。「私たちアフリカ系は、奴隷制度や人種隔離をくぐり抜けてきた。この歌詞を聴くたびに、全ての記憶が脳裏によぎるんだ」

ジョンソンさんは、軍での体験を思い出す。

白人兵士が飲食店で座って食事している時も、黒人は「向こうへ回れ」と追い返された。裏手に回ると、店の壁に開いた穴からパンが出てきて路上で食べた。

「国家のために戦おうという時に、その国で座って食事できなかった」

半世紀前の記憶。それでも、今も胸が痛む。

独立宣言で「平等」をうたった米国は今年、建国240周年を迎える。人種や宗教に起因する憎悪犯罪はなおも絶えない。7年前、初のアフリカ系大統領として華々しく就任したオバマ氏の任期は残り1年。彼が掲げた「一つのアメリカ」の理想は、いまだ遠い。

それでも、ローリックさんは「ゆるし」を説く。

「我々の歴史は、痛みの歴史。何か被害を受けた時、ゆるせなければ、いつまでも憎しみに心を支配される。ゆるすことは、自らを解放することなのです」

隣のジョンソンさんが身を乗り出して言った。「(何が起きても)私たちは前進しないといけないからね」。ローリックさんが「その通りだ」と応じた。2人は顔を見合わせて大きく笑った。

 (チャールストン、コロンビア〈サウスカロライナ州〉=金成隆一

     ◇

 <黒人教会襲撃事件> 昨年6月17日、米南部サウスカロライナ州チャールストンのエマニュエル・アフリカン・メソジスト・エピスコパル教会で、黒人9人が白人至上主義の男(21)に射殺された。男は「人種間の戦争を始めたかった」と供述。チャールストンは奴隷取引で栄えた港町で、同教会は1816年ごろに白人教会を脱した黒人らが設立。焼き打ちに遭ったり、創設者の1人が処刑されたりした。1960年代には公民権運動の拠点になり、キング牧師も演説した。

 

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