キルトの世界

キルトを始めて14年になります。刺繍を含めた、キルトを中心に日々感じたことを、述べていきたいと思います。

図案塾  和の文様5

2009-06-21 21:43:26 | Weblog
  今回は、前回休んだ日の講座のプリントを、もらってきたので述べてみたい。
前回は、「植物の文様」が、テーマだった。
日本の植物文様は、中国文化の影響を受けて、正倉院の工芸品に見られる。平安時代には、四季の気候や自然への情緒から、日本独特の文様が生まれた。
 ①空想の植物文様
 a 宝相華(唐草)
  この文様は、中国の唐時代に生まれた。さまざまな花の美しい部分を組み合わ  せた、極楽浄土や楽園に咲くといわれた花の組み合わせである。だから、1種  類の花を表わしてはいない。  牡丹や石榴や蓮などの部分を組み合わせて  いる。日本では、仏教用具の装飾文様として、定着した。正倉院宝物に、みら  れる。
 b唐草
  それ以前は、エジプトやメソポタミアやギリシャに起源を持つ。この唐草紋は、  時代と供に、牡丹唐草や鉄線唐草や葵唐草に変化していった。
  ②四季の植物文様
  a  椿
   椿は、日本の常緑樹である。室町時代から、吉祥文様として用いられた。江戸時代には、大流行した。椿は、毛髪剤や食用として、また灯火にも用いられる、実用的な側面がある。椿の灰汁は、紫根染の媒染剤としても使われる。
  b 桜
   桜は、日本の代表的な花である。平安時代から、栽培が開始されて、観賞さ   れてきた。桃山時代以降、桜の文様にも、いろいろな種類がでてきた、江戸   時代には、桜川や花筏など、組み合わせの文様が、誕生した。
  c 牡丹
   牡丹は、中国原産であり、唐や宋や元時代に、大流行した。富貴の象徴だっ   た。日本には、奈良時代には、薬用として伝来した。平安時代から、装束や   工芸品に、用いられた。獅子牡丹や超牡丹は、吉祥文様だった。江戸時代以    降、陶磁器や着物や蒔絵など、いろいろな工芸品にみられる。
  d 菊
菊は、中国原産であり、日本へは、奈良時代に薬草として、入ってきた。中国  では、長寿の象徴だった。中国では、菊が長寿の象徴として、「菊酒」を飲む  習慣がある。平安時代には、宮廷行事に取り入れられた。「残菊」という、盛  りを過ぎた菊を、愛でる習慣が、日本ではある。桃山時代には、秋草の文様と  して、流布した。江戸時代には、菊の種類も  増えて、華やかな文様が増  えた。着物や工芸品などに、この菊の文様がみられる。十六花弁の八重菊の菊  花文様は、皇室の文様として、用いられている。
  e 藤
  藤は、日本に自生する、蔓状の植物である。平安時代には、有職文様(公家の  衣装)として、優美や栄華なイメージから、藤原氏に用いられた。藤の文様   は、江戸時代には、今日京焼や鍋島の陶芸にも、用いられた。文様の種類とし  て、藤棚や、籐花や藤丸がある。


   さて、今日の写真は、我が家の庭の紫陽花である。ピンク系の紫陽花がない   ので また、機会があれば加えたいと思っている。
  
  

図案塾 和の文様  4

2009-06-15 08:08:01 | Weblog
先週の今曜日は、久しぶりに、「和の文様」の講座に行ってきた。当日は、日本の動物文様についてだった。弥生時代の銅鐸には、鹿や猪や蜻蛉などの文様がみられる。また、正倉院や法隆寺の工芸品の中にも、西域や中国からの動物の文様がみられる。そして、平安時代以降、日本古来の思想を背景に、描かれるようになった。人間にとって動物は、生きるパートナーとして、また愛玩用として、また、実用的な側面としての使役としてのいろいろな側面がある。
 ①鹿
 古代アジアでは、神聖な動物だった。中国では、長寿の動物だった。角は、不老不死の霊薬としても、用いられた。日本では、古代の食料でもあり、角を漢方薬として用いられる。奈良の春日大社では、鹿を「神のお使い」として、あがめている。また、茨城の鹿島神宮では、鹿を「武道の神様」として奉っている。古くは万葉集や新古今和歌集において、鹿が題材として、歌によまれていた。江戸時代には、鹿を「琳派」が、好んで描いた。
②兎
 中国では、不老不死のシンボルだった。仏教説話にも出てくる。日本では、神話の古事記で「因幡の白兎」として有名である。桃山時代には、文皿に、耳の長い「波兎」の文様がでてくる。
 ③獅子・唐獅子
 ライオンは、世界中で、力強さや、武勇の象徴として、文様化されてきた。古代インドでは、四方を守る、守護として、この文様が使われた。日本では、江戸時代に、男の子のお祝い着として、用いられた。
 ④犬
 犬は猟犬や愛玩犬として、人々に愛されてきた。人間に忠実であり、危険予知能力があり、多産であることから、「安産のお守り」にも、なった。神社には、魔除として、「狛犬」が置かれている。江戸時代には、「犬張子」の置物が誕生した。
 ⑤蝶
 幼虫から、さまざまに変化するために、回生、再生、不死の象徴だった。沖縄では、蝶が、霊魂の象徴だった。また、八重山諸島では、家の中に蝶が入ると、良い事の前兆だったそうである。能装束や、「琳派」の作品にも、蝶がデザインされている。また、正倉院の工芸品にも、この文様が多く残っている。
 ⑥蜻蛉
 沖縄では、精霊の象徴だった。平安時代の蜻蛉は、今の蜻蛉よりはかないものとしてとらえられていた。現代では、夏から秋の文様となっている。
 ⑦千鳥
 日本の鳥である。干潟や川原の群れをなす姿が、文様となっている。万葉集や古今和歌集、平安時代以降も和歌に歌われた。鏡や蒔絵や染織品、志野焼、織部焼など陶芸品、手ぬぐいなどに、この文様を用いた。現代では、着物や帯、浴衣などに描かれている。。これらの動物の文様にも、昔の人々の幸福を願う祈りがこめられているのに、感動した。
 今日の写真は、八王子資料館の当地で作られた、八王子織物を着た、人形である。この資料館には、機織を体験できる、コーナーがあった。

阿修羅展

2009-06-08 02:51:00 | Weblog
6月に入り、庭の紫陽花ももかなり、色ずきはじめる。梅雨の入りも近い。先週の木曜日に、東京上野の国立博物館での、「阿修羅展」に行ってきた。1時間まちの上、やっと入場できた。この展覧会は、中金堂再建のための資金集めも目的のようである。
 とはいえ、「阿修羅」は、実際に近くで観ると、実にオーラがある、魅力的な仏像である、3つの顔と6本の手と顔と身長のバランスの良い姿が美しい!!顔は、私は正面の顔が、特に好きである。写実的で、若い少年のような、人間味を帯びた表情である。
この仏像は、中国唐伝来の、「脱活乾漆造」を用いている。麻布を漆で何層も塗り固める技法を用いているので、台座を除くと15キロあまりで、大変軽いのだそうだ。台座は、州浜の形をしている。
 このような、仏像が、1300年前の奈良時代に創られて、現代にも多くの人々を魅了しているのは、嬉しい。奈良は、昔平城京を移転した際に、元の場所からたくさんの出土品がでてきているそうである。京都とならんで、お寺めぐりに魅力的な街だと思う。