風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/スリー・ビルボード

2018年07月28日 | 映画


原題は、Three Billboards Outside Ebbing, Missouri と長いです。
ビルボードとは、道路脇の広告、地名のミズーリーが付けられているのは、意味深です。
黒人青年が、白人警官にピストルで射殺された州です。
クライムサスペンスです。おもしろかったです。
ストーリーは複雑ではありません。かなり支離滅裂です。
娘がレイプされ、殺されたミルドレッドは、5000ドルで「娘はレイプされた、
警察署長は何しているんだ」などの巨大な看板を立てます。

舞台は、映画のタイトルにあるようにアメリカ中央部のミズーリ州の架空の田舎町です。
おそらく、ミズーリ州にはいろんな意味が込められていると思います。
過日、黒人青年が白人警官に射殺された州です。しかし、多くの白人が裕福では無く、
プアホワイトと言われる貧困白人も多く、また多くの移民が住んでいる州でもあるそうです。
アメリカの巨大な穀物生産地で、特にトウモロコシです。
さて、この映画のほとんどの登場人物は、すこぶる「暴力的」です。
「まとも」の定義は、難しいのですが、まともなのは、看板を請け負った広告代理店の若き所長と
ミルドレッドの息子の二人だけです。
一番ひどいのは、レイシストで悪徳警官のディクソンです。
乱暴な母親へのマザコンを持ち、怒りにまかせて広告店の店長を窓から投げ捨て大けがをさせたり、
ミルドレッドの看板を燃やしてしまいます。
彼女の店の黒人女性店員をマリファナ所持で逮捕したり、やりたい放題です。
所長はかなり好意に描かれていますが、若いのに膵臓がんでピストル自殺してしまいます。
ミルドレッドの夫は、家を出て、なんと19歳の女性と住んでます。
ミルドレッドも、看板が焼かれた復讐に警察を火炎瓶で消滅させてしまいます。
彼女が息子を学校に送った時、車にジュースの空き缶を投げられた時、
三人の男女の股間を蹴っ飛ばしてしまいます。
気に障った歯医者の指を歯科医のドリルで穴を開けてしまったり…、
ディクソンに負けず劣らずの傍若無人の暴力を発揮します。
中古車店を経営しているジェームズは、彼女の警察署の放火を目撃します。
ミルドレッドを密かに思っている彼は、そのことを隠し、彼女を食事に誘います。
彼は、小人症です。
警察署の火事で悪徳警官・ディクソンは瀕死の大やけどをします。
病院で同室となったのは、自分が窓から放り投げ重症の広告店店長でした。
でも彼は、泣きながらディクソンに飲み物を与えます。
この映画で唯一と言って良いほどの「お涙シーン」でした。
しかし、この場面はこの映画のもう一つのテーマ「赦し」の象徴でもありました。
自死した署長は、ディクソンに「お前は、落ち着けば良い警官になれる」と遺書します。
心を入れ替えた彼は、食堂で、レイプしたことがあると与太話に興じる青年の声が耳に入ります。
その時は、彼はすでに警官を首になっていたのですが、彼を挑発し、殴られます。
そのすきに彼の皮膚を取り、DNA鑑定を依頼します。
彼は、その男がレイプ犯では無いかとミルドレッドに伝え、協力しようとします。
彼は、ミルドレッドのレイプ犯ではではありませんでしたが、二人はライフルを持って
彼の住むオハイオ州に向かいます。
「どうする?」と言うディクソンの問いに、彼女は「道すがら考えれば良いさ」と穏やかな顔で答え、
彼も、うとうと寝入り、映画はここで終わります。
映画の最後になってやっと穏やかなミズーリの農村風景が流れます。
アメリカ社会の暴力性、野蛮さの実情を私は承知してはいませんが、
今なおそれがアメリカに根強く存在することは想像できます。
この映画の登場人物はほとんど我々の想像をはるかに超える「短絡的」、「暴力的」です。
彼らの多くは極端な貧困者ではありませんが、女性、黒人、小人症、知恵遅れ、の人々です。
差別や偏見を受け、いずれもコンプレックス、劣等感を抱え、自身と社会に鬱積し、
それを晴らすかのように潜在していた暴力が瞬間的に発露します。
これは、今のアメリカ社会の縮図なのか、と私は思いました。
ミルドレッドを演じ、第90回アカデミー主演女優賞したフランシス・マクドーマンドさん、

不美人でひどく年寄りに見えました。60歳だそうです。  左は、ディクソン
でも、コレが成功しています。
私の好きなシャリー・ストーンやニコール・キッドマンだったらこの映画は大失敗でしたでしょう。
後日談があります。オスカー授賞式後、そのオスカー像が会場で盗まれました。
犯人はすぐ逮捕されましたが、彼女は犯人の解放を頼んだそうです。
この映画では、美人の女性は3人ほどしか出てきません。
一人は署長の奥さん、広告店の女性職員、そしてミルドレッドのお店の黒人女性。
ストーリーのディテールはかなり支離滅裂ですのでそれは無視です。      【7月23日】




映画/あなたの旅立ち、綴ります

2018年07月24日 | 映画


おもしろかったですが、映画としては普通作です。
82歳のシャーリー・マクレーン、なんとも魅力的です。ものすごいしわくちゃを堂々と披露しています。
でも、ストリーは工夫とひねりががなさ過ぎでした。   右は、アマンダ・サイフリッド

私も、今日はやりの終活を、少し考えさせられました。
私は死亡通知も葬儀も不要で、バケットリストを強いて言えば、充実や精一杯では無く、
出来るだけ楽しく行きたい、です。   【7月9日鑑賞でしたが感想が遅れました。】

映画/ベロニカとの記憶

2018年07月10日 | 映画


退屈でつまらなかった。
ミステリードラマというので少し期待したのですが、全くの期待外れでした。
特に前半は、テンポも無くだらだら観いっぱい。 トニーの元に、40年も前の
初恋の女性・ベロニカの母親の弁護士から、「遺品」があるとの手紙が届きました。
トニーと母親は無関係なのですから、遺品があるなんて不可思議です。
普通なら、そんな手紙は無視するのに、彼はかなり執拗に調べ始めます。
それは彼女の日記なのですが、ベロニカはすでに廃棄していました。
トニーの同級生・エイドリアンは自死しました。
その原因が自分にあるのではとトニーはずっと思っていたのですが、
実は、彼が関係を持ったのはベロニカの母で、彼女が妊娠したからというのです。
40年も前のことですから、自分に都合良いように記憶された記憶も曖昧です。
ベロニカとトニーはお互い良い感情を持っていましたが、肉体関係までには進みませんでした。
それは、彼女の母親の性癖、そしておそらく父親と兄の性格などが影響したようなのですが、
それらは一切明らかにされません。
この映画の最大の欠陥は、この映画の最も重要なそれらを語らないことです。
晩年のベロニカを演じたのは、英国の女優で「さざなみ」に出演したシャーロット・ランブリング、
その私のブログは、 「さざなみ」のランプリング です。   【7月9日】