風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/グッバイ、サマー

2017年01月26日 | 映画



原題は、Microbe et gasoil、微生物とガソリンと言うことです。
ダニエルは、女の子の様な顔・体つきで、、Microbeは、微生物で「チビスケ」と言う意味のようです。
左はテオ、右がダニエルですが二人の足の格好が見事な演出です。

この二人が、50ccのエンジンの「小屋車」で一夏の冒険に出る話です。

物語はテンポ良く進むのですが、後半はアイデア不足、すっかり息切れ、失速してしまいました。
「性」への関心の強い中学2年生で、いくつか面白いエピソードも添えられています。
下の写真の右は、ダニエルの母、なんとあの「アメリ」のオドレイ・トトゥです。ちょっと年をとりましたが、
ベジタリアンになったり、ちょっと神経過敏症なちょっと飛んでいる面白いキャラを演じていました。

フランス映画のしゃれた会話も楽しいです。しかし、結末は少し残酷でした。
彼らのクラスメートがテオをけなした時、ダニエルはテオから教わった「必殺技」で彼を一撃で倒します。
ダニエルが恋心を抱くローラは、この一件でダニエルに惹かれます。
学校の呼び出しを受けて帰る時、ローラの「振り返って」の願いに構わず、彼は敢然として立ち去り、映画は終わります。
わざわざ映画館に赴いて見るほどではありませんが、十分楽しめますし、何たってトトゥも見られます。 【1月23日】

映画/トランボ(ハリウッドに最も嫌われた男)

2017年01月16日 | 映画




アメリカ映画界の巨匠、トランボの活躍の映画です。
映画の出来としては、イマイチですが、見る価値大、興奮して鑑賞しました。
トランボと言う名は私には珍しいですが、1905年生まれのアメリカ人だそうです。
第二次世界大戦後、世界は東西対立・冷戦を迎え、アメリカでは、マッカーシズム(赤狩り)の嵐が吹き荒れます。
日本でも、レッドパージの嵐が吹き荒れ、多くの人が公職を追放され、松川事件・三鷹事件など権力のフレームアップで
共産党・労働組合が大弾圧を受けました。
チャップリンも1952年、事実上の国外追放命令を受けました。
民主主義を標榜するアメリカですが、共産党員と言うだけで大弾圧を受け、多くの人が公職を追放されました。
アメリカで最初の標的とされたのはハリウッド映画界の著名な10人の映画人(ハリウッド・テン)でした。
トランボは共産党党員でした。1947年下院非米活動委員会による第1回聴聞会に呼び出されました。
証言を拒んだトランボは、議会侮辱罪で逮捕され、禁固刑の実刑判決を受け、投獄されました。
ジョン・ウェインらの「アメリカの理想を守る映画連盟」は、次々と映画人を告発していきます。
元共産党員だったエリア・カザンは司法取引をして、11人の劇作家・演出家・映画監督・俳優らの名前をあげました。
そのお陰で彼は以後も映画界で活躍でき、1998年には彼はアカデミー賞「名誉賞」を与えられました。
しかし、その表彰式では、彼の上記の行動のため一部の映画人から大ブーイングを浴びられ、反対のデモも行われました。
メリル・ストリープさんは、トランプを批判しましたが、この時は起立して拍手したそうです。{以上、この稿、Wikipedia参考しました。}
さて、映画に戻ります。

出獄後、トランボはメキシコに逃れ、生活のため、偽名で次々と脚本を創作します。
一番のヒットは、「ローマの休日」でした。「黒い牡牛(英語版)」でアカデミー賞原案賞を受賞します。
ハリウッド追放から13年後、カーク・ダグラス主演の「スパルタカス」、「栄光への脱出」、「パピヨン」などを本名で発表しました。
特筆すべきは、トランボ65歳、1971年、彼はベトナム戦争最中に衝撃的映画『ジョニーは戦場へ行った』を脚本・監督します。
私は、この映画を知りませんでしたが、昨年8/16終戦記念日の翌日、NHKプレミアムで放送されました。
私は、テレビでこのモノクロの映画を見て、大衝撃を受けました。
第一次世界大戦に出征したジョーは、目(視覚)、鼻(嗅覚)、口(言葉)、耳(聴覚)を失い、壊疽した両脚も切断されます。
彼に残されたのは、皮膚感覚と意識そしてわずかに動かせる首と頭だけでした。
彼はそれらを駆使して必死に生き、訴えようとします。
医師や軍関係者らは、彼には意識はなく、もはや人ではない生物として横たわっているだけだと思うものの、
「人間の不思議さ」を調べる格好の臨床試験・実験対象と思い、彼に鎮静剤と人工栄養を注射し、生かし続け、観察します。
彼は、小さい頃遊んだSOSのモールス信号を思い出し、必死に頭を動かして発信し続けます。
ある日、看護婦がそれを感知し、医師に伝えます。
「何が望みか」との問いに、彼は、「自分を公衆の前に出し、見物料金を医療費に充ててくれ」と答えます。
「出来ない」との返事に、「では、殺してくれ」、「では、殺してくれ」……と訴え続けるところで映画は終わります。
それは、ナチスの生体実験、そして最近のトランプのヘイトと極端なナショナリズムを私に惹起させ、私は恐怖に襲われました。

アメリカ社会は不思議なもので、「プライベート・ライアン」、「グッドモーニング、ベトナム」、「ディア・ハンター」、「プラトーン」など
多くの反戦映画を制作してきました。
中でも『ジョニー…』は、最も地味で、商業ベースに全く乗らない映画と思うのですが、「衝撃」、「すごい」としか言いようがない
このような映画を作ってしまう底力・不可思議さも持っていると私は思うのです。
さて、現在、イギリスのユーロ離脱を初めにヨーロッパの移民排撃と右翼と偏狭なナショナリズムの台頭、そして
アメリカ・トランプのレイシズムが跋扈し始めた時代に、「トランボ」はある種の警鐘を投げかけているのでしょうか?
ちょっと思い入れが強すぎたかな…。        【1月9日鑑賞】

映画/疑惑のチャンピオン

2017年01月11日 | 映画
 
アメリカ人のツール・ド・フランスのライダー、ランス・アームストロングの話しです。
彼は、25歳で精巣がんとなり、その克服後、ツールドフランスに復帰し、7連覇を果たしました。
しかし、それは薬物のお陰でした。後、ドーピングが発覚し、彼が得たすべての賞が剥奪されました。
彼は、がんキャンペーンに参加し、一大寵児となり、まさに「聖人」扱いされました。
ツール・ド・フランスは、莫大な資金を必要とします。
様々な企業が有望選手に金を出し、チームが一丸となってスター選手を守り、援護し、争うチーム競技です。
長年ドーピングが明らかにならなかったのも、こうしたチームによる「科学的・医学的ドーピングとその隠蔽」と、
疑惑を抱かれながらも、英雄となった彼はまさに「不可侵の聖人」だったからです。
かつての旧東ドイツ、中国陸上の馬軍団、ロシアは国レベルでどーぴんぐが行われたと言われていますし、

今日、スポーツは、肉体を強くするに「ドーピング検査に引っかからなければすべてOK」の感がします。【1月9日】



映画/sing street

2017年01月04日 | 映画

私は、ロックは好きではありませんが、面白かったです。
時代は、1985年不況下のアイルランドの首都・ダブリン、14歳のコナーの父親は失業、母は新たな恋人を持ち、
子ども達は、お金のかからない地元の学校に転校します。
コナーはある日、とある建物の玄関前の少女・ラフィナに惹かれ、声をかけます。
とっさに、ミュージック・ビデオのモデルになってと「ウソ」を付いてしまいます。
彼は、大急ぎでバンド仲間を集め、ビデオ作りに励みます。
まず形から入ったのですが、その出で立ちは…、漫画チックでした。

この映画の主人公は、コナーの他に、彼の兄ブレンダン、そしてラフィナです。
ラフィナが立っていたのは、家庭のない女子を支援している施設の建物の前でした。

彼女は、この家を出て、ロンドンでモデルとなる夢を持っています。
ちょっとけばけばしい化粧で登場した彼女ですが、優しさと心の強さを持つ美人です。
兄のブレンダンは、真の主人公かも知れません。音楽家・アーティストになる夢に破れ、鬱屈した日々を送っていますが、
彼の音楽への情熱、知識は豊かで、コナーに大きな影響を与えていて、コナーはまるで彼の分身のようです。

この二人は、傷心・鬱屈し、夢破れているのですが、内面はとても豊で優しく魅力に溢れています。
コナーの両親は別居し、ラフィナはボーイフレンドとロンドンに行ったのですが彼に捨てられ、
夢破れダブリンに戻ってきます。
映画はこの後、ちょっと中だるみの展開ナノですが、コナーとラフィナはブレンダンに背中を押されて、
ダブリンを旅立ちロンドンに向かいます。
ジョン・カーニー監督は、「はじまりのうた」、「ONCE ダブリンの街角で」など素敵な作品を送り出してきました。
これらの映画は、もちろん音楽が重要な要素を占めていますが、閉塞感のあるアイルランドから抜け出す夢と、
にもかかわらずアイルランドへの郷愁の狭間で揺れ動きながら、一歩踏み出していく内なる強さを描いています。【
12月26日鑑賞】