たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

ひと様のマネをしてカラ沢大滝を見に行ったはいいが、なぜかその先、恐っそろしい思いをしたりして。

2014年09月07日 | 足尾の山
◎2014年9月6日(土)─ハイトスさん、みー猫さんと

銅親水公園駐車場(6:30)……林道終点(8:25)……カラ沢大滝(9:40)……中禅寺湖南岸尾根(12:05)…社山…(13:10)……阿世潟峠(14:20)……林道起点(15:00)……駐車場(16:45)
※表示時刻は到着タイム。

 予定では日曜日に餅ヶ瀬川方面の沢歩きを4人で楽しむつもりでいたが、急転直下の天気予報となり、前夜になって土曜日歩きに変更となった。そもそも、ハイトスさんからは、週末の予定はやめましょうかねとのことだったのだが、私が無理強いして、土曜日変更、行先もカラ沢大滝に持ち込んでいただいたようなものである。実は、中止となってしまった8月16日の予定が本日のルートであった。餅ヶ瀬方面は、土曜日不都合のななころびさんの沢デビュー版として、とっておくことにしよう。
 今回のカラ沢、『足尾山塊の沢』やら『皇海山と足尾山塊』によると、安蘇沢の本流のようで、分岐沢としては、小倉沢、拭沢、足口沢があるようだ。大滝見物は身近なものとして雪田爺さん瀑泉さんの紀行があるが、今回のルートは、最近歩かれたきりんこさんの丸写しとし、下りは拭沢の予定である(結果は瀑泉さんルートに近いものになった)。
 沢靴に精通しているわけではないが、自分には、先日の額平川の渡渉でデビューさせたアクアグリッパーソールの沢靴が、実戦ではいかがなものかを試すいい機会でもある。先日の往復15kmの林道歩きでラバーソールをかなり酷使してしまい、瀑泉さんの2年限界説の大方半分は消耗した形ではあるが、今回もまた最初から最後まで履き通しで、長い林道歩きも加わり、もしかしたら、限界を超えてしまったかもしれない。

(自転車組がご出発)

(今朝の中倉山)

(林道分岐。ここで早速のミス。直進してしまった。この責任、我にあり)


 一番で親水公園の駐車場に到着。続いてみー猫さん、ハイトスさん。お隣で準備されている方がいた。どこに行かれるのか尋ねると、松木川方面。近いうちに皇海山に行くのでその下見とか。あんなところをわざわざ下見とはなかなか用意周到だ。松木川は初めてとのこと、渡渉がありますよと伝えると、靴をぬいで渡るとおっしゃっていたが、ヘタをすれば、ずっと裸足のままの歩きになるのではないだろうか。この裸足歩き、かつて、自分も経験したことがある。他に2人組がいらして、自転車で出発。では、我々も出発しましょうか。6時半集合が6時半出発となった。

 予報通りに天気がいい。中倉山のバックは青空。今日は暑くなるかも。林道分岐を何らの疑問もなく久蔵沢林道に入る。しばらく歩いてからお二人の指摘を受ける。分岐に戻って安蘇沢林道に入りなおす。ボケが始まったようだ。このボケ、これ限りではなく、「帰りに、例の小屋(みちくさ)に寄って、コーヒーでもごちそうになりましょうよ」と言い出す始末。「みちくさ」はまったくの方向違いである。これでは、中倉山に行こうとして庚申山に向かっている状態になるのも時間の問題かもしれない。百名山を達成して、一気にボケが加速したのではあるまいか。

(林道工事中。「携帯がつながる」のおかしなポスターを2枚、目にする)

(また分岐。ここは直進。左に行くと、監視カメラのある1366mに至る)

(右下にカラ沢の堰堤らしきものが見えてくる)


 みー猫さんは登山靴、ハイトスさんはトレッキングシューズ。自分は通しのアクアグリッパー。濡れた路面は滑ることもなくサクサク進むが、やはり、足裏は痛くなる。これは仕方がない。フェルトソールの方が厚い分、まだましだろう。
 林道には工事が入っているようで、なぜかコンクリの路面、小穴が一面に開いている。この林道を上り時に使ったことはあまりないが、久蔵沢林道に比べて傾斜がある。30分もしないうちに汗が出てきた。
 分岐林道は地図の実線よりも延びている。右下に安蘇沢。正面に中禅寺湖南岸尾根がちらっと見え、前方ピークの下に沢筋がいくつか覗いている。堰堤があるところがカラ沢への入口だろうか。左に拭沢らしき沢(ここにも堰堤)を見て、なおも進むと、林道終点となって、大きな堰堤が構えていた。準備に入り、お二人は沢靴にチェンジ。ハイトスさんが心持ちテンション上がりのご様子。今日は「泳ぐ」と決めていらっしゃるとのこと。ヘルメットをかぶって、いよいよの入渓。

(出発点の堰堤)

(まずは左から巻く)

(ようやく沢入り)

(次の堰堤)


 ハイトスさん先頭でまずは堰堤越え。左から巻く。ザレている。ここから軽い沢歩き。よくは知らないが、水は少ないのではないのか。続いての堰堤。ここも左から。腐りかけの板が据えられていて、滑って歩きづらい。堰堤に登ると、その先は淀み。底が見えない。どうしたものかと、堰堤の先に行ってみると、階段状になっていて、難なく沢に下りられた。

(3番目の堰堤は左から高巻き)


 堰堤はまだあった。ここも左から大きく巻く。木に伝わっての乗り越えになった。ようやく堰堤から解放されたが、ここまでの少ない沢歩き区間で、ちょっと気になることがあった。アクアグリッパーの件だ。しっかりしたグリップの感触はある。コケ付きも、水をかぶった石も何ら問題はないのだが、どうもヌメリのある石には弱いようだ。あやうく滑りそうになった。その後、気になってちょっと試したが、やはり滑る。ヌメリ度の程度にもよるだろうが、フェルト底では意識しなかったことでもあり、お二人の歩きを後ろから見ていると、滑っている様子はない。致命的な状況にならなければいいが。以降、注意して歩くことにする。

(本格的な沢歩きはここからだ)

(狭いが序盤としては気持ちがいい)

(もっと広ければねぇ)


 先人たちの記事を知っているため、ここからはヤブ歩きをせずに沢歩きに徹する。確かにトゲ状の草木が多い。知らぬ間につかんでいて、手が痛いので、見ると、手袋にトゲが刺さっていたりする。沢の状態は、自分らのレベルにはちょうどいいが、幅は狭く、長めの小滝や連続がないのが物足りない。上流部に期待したい。
 シカの頭部とツノがあった。ツノは1本折れていて離れたところにあったのをハイトスさんがセットした。お二人は合掌していたが、自分は自然の理と思い、何もしなかった。きりんこさんが一か月前に訪れた際には、累々とした白骨があったと記されていたが、その後の増水とかのせいか、ほとんどが流されたようで、目立つのはこの1セット程度のものだった。ヤブの中にはもっとあったかもしれない。完全品があれば、ザックに括り付けて持ち帰る気持ちもあったが、その後の顛末を考えると、おそらく、背中に残ったのはシャレコウベだけだったかもしれない。

(ようやく出てくる)

(ハイトスさん、難なくこなす)

(そして、小ぶりの連瀑?)

(何だかあっけなく大滝に到着。手前CS滝、右上の筋が大滝。左下の岩は濡れている)


 ようやく、いい感じの小滝が現れた。待ち構えのハイトスさんは直登。みー猫さんはどうだったろうか。直登だったか。自分は半分巻きだったような。そして、ちょっとした連瀑帯を通過して、いよいよ見えました。カラ沢大滝。前衛のCS滝の後ろに左右二条の流れが見えている。大滝は右側。先人の方々、いずれも写真の撮り方がお上手のせいか、もっと大きな滝かと思ったりもしたが、水量がもっとあれば、見ごたえのある滝だろう。しばらく眺めるが、どうも、CS滝が邪魔でしょうがない。

 さて、ここからが本日のハイライトともなる。

(みー猫さんの挑戦、失敗に終わる。ハイトスさん提供)

(思案するお二人。撮影者は登攀をすでに放棄している)


 CS滝を越えるべく、左側の庇状の岩棚に這い上がろうとした。岩は濡れていた。足をかけたら滑った。何度か試したがすべて滑った。やはりだ。アクアグリッパー、頼りにならずか…。自力での登攀は早々にあきらめる。お二人のいずれかに先行していただき、ロープを下ろしていただく算段とし、自分は待機状態に入る。次、ハイトスさん、ダメ。先に進まない。続いてみー猫さん、うーん、やはり滑っている、二、三歩は進むが、これ以上やったら、ちょっとやばそう。岩が濡れている以上、フェルトであろうが、アクアグリッパーであろうが、技術でカバーしない限り、まったくのお手上げ。大滝を眺めながら、しばらくうなっていた。CS滝を越えない限り、その先の展開はあり得ない。これからは、力量不足を亀の子タワシ持参でカバーするか。出た結論は、いさぎよくの巻き。

(上に出て巻くしかないのだが、手ごろな場所がない)

(ヤブに入る。どこにでもありそうなヤブだが、かなりの急斜面になっている)


 撤退して、下の連瀑を下る。自分は途中から、お二人はさらに下から巻きにかかった。巻きとはいっても、草付きの岩壁をよじ登るようなものである。
 灌木(ツツジの木が主らしい)があるうちはまだ余裕もあった。すぐにヤブの中に入り、下も見えず、急斜面のヤブ程度に思えて、ところかまわず、木をつかんでよじ登った。そのうち、灌木が薄くなり、真下の沢が見え出した。おーっ、恐。もうトゲの木であろうが草であろうが何でもつかんだ。ただ、草だけは束にしてつかむ。溺れる者はワラをもつかむとはまさにこれ。岩があればほっとするも、つかむ手がかりがなければ放棄する。滑ったら沢に落とされる。トラバース気味に進んでいる。意識として、滝の先に出たいという気持ちがあった。その間、ヒザを岩に激打したが、痛みを押さえている場合ではない。

(ヤブから逃れて待機。別ヤブからみー猫さんが顔を出す)


 とにかく、この危険極まりない状態からすぐにも脱出したいといった思いだけが先行している。沢が見えない平らなところに出たい。見えているうちはとにかくヤバい。ヤブから何とか脱出するとガレ場に出た。テラス状のところでまずは休憩。全身、真っ白。何か飲み込んだのか、ノドに何かがひっかかっている。思いっきりノドを鳴らして出すと小枝だった。意識も朦朧としていたのであろう。衣類は上下ともにあちこちひっかけ、手の甲にも血がにじんでいる。
 お二人の姿が見えない。オーイと叫ぶと、下のヤブの中から反応があった。あちらもかなり手こずっているようだ。いずれにしても、間違った方向に出ていないようで、お二人の姿が出て来た時にはほっとした。
 大声で話しながら、これからどちらに進めばいいか、みー猫さんに確認した。左のガレではなく右側沢寄りの草地がいいのではないかとのこと。では、偵察がてら、先に行ってみますよと先行する。この、テラス状の休んでいたところもまた、急斜面から解放されたわけではなく、居心地がかなり悪かった。

(とんでもない傾斜の草付き、ササ原だった。こけたらそのまま沢に転落しかねない)

(何とか着いた木立ちの下で腰をおろして待つことにした)


 この草地もまたとんでもない急斜面で、真下にはまた沢が見え出し、四つん這いで、草をむしりながら登った。とにかく、平らなところでお二人を待つつもりでいたが、この上には平らなところなんか目に入らないうえに、気が抜けない急斜面が依然として続く。やがて、沢側が緩くなっているところに出て、このまま沢に下りてしまいたいところだったが、今でさえ、お二人の姿が消えてしまっているのに、一人で沢に逃れるわけにも行くまい。草地を登り続ける。沢がどんどん遠くなる。次第に草地はササになり、やっとこさで、木がまばらに生えたところに辿り着いた。木を支えに休んで待機する。ここまで来れば、幾分、傾斜も緩くなり、何とか、腰も落ち着けられる。転がっても、途中で、自力で止められるだろう。
 心臓バクバク、ノドはからから。一時は死ぬかと思った。こんな恐怖は去年の黒沢以来だが、大分前、中尾根から中袈裟丸山に登った際、直下で同じような状態になったことがある。しかし、こんな長時間は初めてだ。時間にして40分ほど(お二人は一時間)のバトルは長くきつかった。水をがぶ飲みして、気持ちを落ち着かせようとタバコを吸う。軽いつもりの滝見が何でこんなことになるのだろう。

(ようやく登ってきた。お二人も四つん這いになっている)

(靴を履きかえるハイトスさん。3人ともに疲労困ぱい。ノックダウン)


 オーイとまた声をかける。ようやく、みー猫さんのヘルメットが見え、ハイトスさんも現れる。まだかなり下。お二人の場合、自分よりも条件が悪い。フェルトの沢靴のままで登っているから、このササヤブ、滑って、さっぱり進まないだろう、というよりもかなり危うい歩きになっているはずだ。こんなシチュエーションでアクアグリッパーの効果を確認するとは思いもしなかった。
 みー猫さんが眼下に来た。指を1本、5本と立てる。つまり、待っている間にタバコを何本吸ったかということだが、正解は3本。みー猫さん到着。早速、お助けロープを出して、ハイトスさんを引き上げる。ご苦労さんでした。沢を離れて以来、ほとんど自分と同じ心地で登っていらしたようだ。ハイトスさんはタオルと地図をロストしていた。こんなところの登り、100人登れば、少なくとも1人は転落していたのではないか。
 みー猫さんからナシをいただき、ようやく生きた心地がした。しかし、先立ちのご三方、CS滝の上からとはいえ、同じようなところを通過して大滝の上に出たのであろうに、死に物狂いの登攀をされたとは記されていない。いったいどういうことだろうか。

 しばらく休んだ。だれの口からともなく、今回のブログ、お互いどうしましょうかと話が出た。大滝を越えるどころか、下のCS滝すら越えられなかったこと、何とも情けない。ここは、大滝見物だけを目的にやって来たということにしておきましょうかね…。しかし、ここまで来たからには、もはや戻るにも戻れない状況になってしまっている。この先も不透明。3人のブログが更新されないままの状態になる可能性すらある。
 お二人はここでようやく靴を履きかえる。さて、これからどうするか。とんでもないバトル劇があった後だけに、もはや沢に下るつもりはさらさらない。結局は、今回もまたドタバタ沢歩きで終えてしまった。地図を出し、GPSをあてがう。西側に尾根が通っていて、ここをそのまま登ればその尾根に合流し、さらに200mばかり登ると中禅寺湖南岸尾根に出そうだ。しかし、左側を見ても、明瞭な尾根型にはなっていない。

(まだまだ先がある。ただ、木があるので助かる)

(こんなシカのストリートが2か所ほど)

(下を覗く)

(みー猫さんのケルン。何だかかわいい)


 みー猫さんを先頭に出発。自分はむしろ直登歩き系なのだが、みー猫さんは巧みにジグザグに登る。そして、うまくシカ道を利用する。なるほどと感心した。後ろのハイトスさんはちょっとばかり遅れがち。
 このあたり、足尾のRRさんですら歩いたことはないだろう。通常考えられるようなコースではない。迷い時限定だ。ところどころでササがきれいになくなっていて、道のような状態になっているのが何とも不思議だ。ちょっとしたガレ場に出て、ケルンを積む。これを見たハイトスさん、瞬間、驚いたようだ。

(南岸尾根までもうチョイ)

(男体山が見え)

(社山も)

(南岸尾根に出た。ため息混じりの安堵)


 南岸尾根が近づく。真上に向かえばいいだけのことだが、こんな斜面でも進むのがやっとこさに見え、トラバースして、右側の鞍部に向かう。ササをかきわける。右手に社山を見て、男体山が見え出したところで南岸尾根に到達した。中禅寺湖も見える。雲が多くなってはいるが、白根山までの稜線ははっきりと見えている。
 みー猫さんから、今度はノンアルビールをいただく。一口ながらもおいしく感じる。実は、こうたびたび皆さんからのおすそ分けをいただき恐縮していたので、今度は自分がと、ノンアルビールのロング缶を製氷室で冷やしていたが、取り出すのを失念してしまい、気づいた時には破裂していて、氷もすべて色つきになっていた。今回もまた失礼いたしました。重ね重ねごちそうさま。

(日光白根がかすかに見えている)

(素晴らしい尾根だ)

(紅葉もかすかに)

(ヤブ越えを2回ほど)

(左から松ヶ崎からの尾根が合流)


 半分やる気なしのモードで社山に向かう。この時点で、大平山ではなく阿世潟峠下りが自然の流れになってしまっていて、拭沢プランはすでに消滅していた。各ピークに寄ることもなく、ショートカットでトラバースして行くと、踏み跡もなくなり、結局ヤブこぎで復帰するのが2回ほど。南岸尾根の色づきはそろそろ始まっていて、赤く半端に変色しかけたモミジが目に入る。
 松ヶ崎からの尾根に合流して、ようやくラストスパート。といきたいが、元々、今日の予定に社山はなかったゆえ、何だか、気力で登る感じ。ハイトスさんは足腰の痛みを訴える。四つん這いの草むしりが効いたようだし、自分もまた足裏が痛いままだ。

(社山への最後の登り)

(社山に到着)

(大休止)


 樹林の中を登る。まったく息が続かない。よっこらしょっと社山の展望地に到着。すでにガスっている。先客は単独女性のみ。年の功は判断できかねるが、お若い方とお見受けする。通常ルートで登って来る際に、4人ほど、下りの方と出会ったとのこと。ここで大休止して昼食とするも、1時をすでに回っている時間で、南尾根(通称バカ尾根)以上に、どえらく難儀なルートで社山に登って来た感が強い。皆んなぐったりで、口数も少なくなりかけている。出る話題はどうしても壮絶なバトル体験に尽きるというもの。

(社山の正式山頂)


 単独女史がお先にと下る。ほどなく、山頂のガスも濃くなってくる。じゃ下りましょうかと、重くなりかけた腰を上げる。親水公園までは少なくとも2時間半はかかるだろう。あの林道歩き、考えただけでもうんざりだ。山頂に立ち寄って周囲を眺める。もう男体山は消えている。

(下る)

(ここにも紅葉の気配)


 ガスの中を下る。かろうじて中禅寺湖は見える。ここにも紅葉の気配がある。先ほどの女史に追いつく。ちょっとばかりお話をする。足尾から登って、足尾に下ると申したところ、驚いているようだったが、どうも、地理感覚がはっきりしているようには思えない。「お車で足尾に送っていただければありがたい」などと、冗談めかして言ったら、「送ってもいいですよ」との返答をいただく。こんな時間だし、せめて阿世潟峠までご一緒のつもりでいたが問題はなさそうだ。まぁ、高木がいたら、これでお別れということにはならないだろう。きっと、全員が巻き添えをこうむっていたはずだ。

(阿世潟峠)

(旧道を足尾に下る)

(林道起点に出る)


 阿世潟峠で休んで足尾道に入る。何度も記すように、この旧道をまっとうに下ったことがない。小沢を渡ってから先があやふやになる。今日は3人がかりだから、せっかくだし、完全な歩きをしてみたいと思った。先を下って行く。下りに強いはずのハイトスさんが後ろでいつもよりもスローペースになっている。
 件の小沢。ここには黄赤のマークがあって、ケルンがあるのだが、ケルンの石は1個だけになっている。小沢を渡って、登り返す。そのまま沢沿いに下る。ここまではいい。肝心なのはここから。いつも、右手の沢渡りを嫌って、左に行くためにわけがわからなくなる。正解は沢を渡るものと思っているが、渡ったことはない。みー猫さんが、対岸に道らしいのが見えますよと言う。やはりそうか。渡ってみると、ブリキマークと小径が続いていた。大方、その前に沢を渡るべきだったのだろう。
 しかし、その先であやふやになる。結局、沢の合流部に出てしまった。ここはハイトスさん。沢が合流したら、もう林道だということをしっかり覚えていらして、沢を渡って、戻り気味に登ると、あっ気なく林道起点に出た。

(3月以来の再会がこんなお姿に…)


 あとは、何事もなく林道を延々と歩く。相変わらずの土砂崩れで歩きづらい。シカ骨の集合を3か所で見た。いずれも、3月末にここを歩いた時には、まだ現役の死骸だった。こうやって、骨も収縮して、いずれは土に帰るわけだ。ショートカットをしながら下る。久蔵沢を渡って、ようやく、普通の林道になってくれた。そろそろ、左足の小指にマメが出来てきたようで、痛くなる。

(林道てくてく)

(沈下橋には水がない)


 エンジン音が聞こえてくる。工事をしている。空中に延びた長いワイヤーを重機で回していた。沈下橋を渡る。水はかぶっておらず、むしろ乾いている。足倉沢の斜面は工事中で、斜面の補強でもしているのだろうか。
 沢の流れが林道沿いになる。バラクラ沢を通過。きれいな淀みを見つけ、ハイトスさんに水を向ける。もう、泳ぎの気分はさらさらないようだ。ちょっとがっかり。ハイトスさんが泳ぐなら、自分もひとっ風呂浴びても構わないつもりでいた。実はひそかに、林道歩きになってからの土砂降りを期待してもいたのである。どんなにすっきりするだろうかと。

(顔を洗って)


 ようやく、終点が近づいた。ちょっと休憩を入れる。3連休はどうするの?といった話題になった。ハイトスさん、つぶやきメールでも送ってくださいよ。予定がなければ同行させていただきますので。でも、沢は今月が限度かなぁ。奥方の骨折も順調に回復されているようだ。治癒の後にはリハビリ山行が続くであろうから、残念ながら、お付き合い集中山行もあと数回だ。蛇足だが、この時出た話題で、ハイトスさんから、ザックの洗い方のノウハウを教わった。大きなタライに洗剤を入れて手洗いということであったが、翌日、早速、これを試してみた。マメなことはできないので、風呂の中で、残り湯に洗剤を入れて、足で踏み洗いをした。なかなかいい感じではあったが、風呂の湯にバスクリンが入っていたため、このバスクリンの臭いが消えず、しばらくはこの臭い付きで歩くようになるようだ。

(終点に到着。中倉山の山頂は雲の中)


 銅親水公園に到着。本日の歩き、しめて10時間15分。社山歩きにこんなに時間をかけるのも珍しいのではないか。ぐったりして到着したのはいいが、みー猫さんの底力はまだまだの余裕らしく、雨の中、また、明日、どこかに行くのではないのかと疑うほどでもある。ハイトスさんも同じようなもので、帰ってシャワーを浴びたら飲みに繰り出すようなことをおっしゃっていた。げんなりは自分だけみたい。
 黒沢以来の危うい歩き、もうこの辺でお開きにいたしましょうよ。でも、いずれも突発的だしたねぇ。今日は本当にご苦労さまでした。しかし、雨にもあたらず、今日はグッドラックでしたねぇ。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

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18 コメント

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まさに幸運を♪ (まな)
2014-09-07 20:08:39
どうなるの?・・と 読み進めるにつれて ぐったりです(笑)
バスクリンの臭い付きザックで笑わせていただきましたが(^.^)

棘をつかんだり 岩に強打したり けがは大丈夫でしたか?
無事に 帰宅で何よりです♪

秋に向かい季節が進んで足尾も さらに良くなっていきますね。やっぱり、この秋はオロ山から奥へ縦走をしたいと思っています。

遅くになりましたが 百名山完登おめでとうございます(*^_^*)
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まなさん (たそがれオヤジ)
2014-09-07 22:09:27
まなさん、こんばんは。早速のコメント、ありがとうございます。
♪私たちどうなると?と問われても、結局はこうやってブログで生き恥をさらしているわけですから、無事の生還というわけですよ。
お時間がありましたら、ご登場のお二方のブログも読んでみてくださいな。
けがですか。お気遣いありがとうございます。こんなのは日常茶飯事のことでして、昨日も、駐車場に戻ってからの会話で、打撲やらの皮膚の黒ずみ、年をとればなかなか消えなくなるもんだね、なんて会話が出るくらいですから、しばらくはそのまま残るでしょうね。

まなさん、ぼちぼちオロ山から庚申山ですか。いいですね。7月に行った際、ヤブがかなり深くなっていましたので、できれば、一人歩きは避けてくださいな。
オロ山北の大地もなかなかいいですよ。
ご案内したいところですが、また今回のようなとんでもない事態になったのではねぇ。
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そんなコースだったのですね。(恐 (ななころび)
2014-09-08 00:56:07
こんにちは。
予定変更で、このコースに行かれたのですね。それにしても、3人そろって林道分岐を直進しちゃったのって笑えました。
大滝の巻きは雪田爺さんの記事でだいたいの感じは掴んでいたんですが、予想以上の危うさのようですね。沢の人達って、そういう場所も平然と歩ける術を持ってるのでしょうかね。
危険箇所をすぎて、グッタリのハイトスさんの写真いいですねー。今回は一緒にあるいている気持ちで読んでしまいました。最後のあの水場で顔洗うシーンが、この日の激戦を物語っていてまたいいです。
ご苦労さまでした。
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ななころびさん (たそがれオヤジ)
2014-09-08 05:39:35
ななころびさん、こんにちは。
ということで、例の沢はななさんように保留にしていますので、調査はお続けください。
さて、大滝の巻きの件ですが、雪田爺さんに限らず、皆さん、CS滝の上に出てからの巻きでして、我々の場合、CS滝を越えられずにの巻きなのです。
そのため、大迂回となったわけですが、ここに力量の違いが歴然としてくるわけですよ。
大きな滝があれば巻く。ここに大きな落とし穴があるということですね。注意しないと。
ハイトスさんのぐったり写真は、我ながらいい写真だと思っております。
次回は、ぜひともななさんのぐったり写真を撮りたいものです。
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本当にお疲れ様でした (みー猫)
2014-09-08 07:35:44
おはようございます。ちょっとばかり目的とルート選択のズレがありましたね。おかげで消えかかった鹿道ですら、ふつうに歩けるありがたみを実感しました(笑)とはいっても終始たそがれさんに先導頂き、自分はただついていくだけだったですけど。次回、ななさんが難渋するという事は自分らも難渋?お手柔らかにお願いしますよ(笑)行ってみないとわからないとはよく言いますけれど、ここまで気が抜けない草むしり登りは久しぶりでした。誰かあのケルンもどき見てくれるんでしょうかね?お疲れ様でした。
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みー猫さん (たそがれオヤジ)
2014-09-08 08:47:06
みー猫さん、おはようございます。
先日のバトルは、大変、大変、お疲れさまでした。
ちょっとしたバトルもたまにはいいものですが、命を落としかねないバトルは、もうこりごりですよ。とはいっても、いずれまたどこかでやるのでしょうけどね。
例の沢は、極めて安全に参りましょう。といきたいところですが、今回の沢も、無理せず巻いたばかりにとんでもない舞台に立ったというものですから、どこ歩いても、先行きは不透明ですよ。
終始先導とのことですが、むしろ私は付録みたいにくっついて行っただけのことでして、今後とも、みー猫さんにはよろしくお願いいたしますよ。
それにしても、急斜面のジグザグ歩き、歩きのコツを一つ覚えましたよ。
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いやはやなんともな・・・ (瀑泉)
2014-09-08 12:20:40
お歩きになってしまいましたネ。大変失礼ながら,危うい高巻きの件,何でそうなっちゃうかなぁ???と,大笑いさせていただきました。お三方のこと,CS滝などあっさり登られると思っていたのですが,苦戦でしたか。ハイトスさんもみー猫さんも,あの狭小なゴルジュに緊張されたのかな。実のところ,あのCSの難しさは,バンドに登った後でして,最後に乗り越えるところが外傾していて嫌らしいのですヨ。それにしても,良く彼処を巻こうと思いましたネ。ハイトスサさんやみー猫さんが取り付いた位置は,連瀑帯の始まる場所だと想像しますが,たそがれオヤジさんは何処から取り付いたんでしょう。巻いてしまうと,大滝に行くには,小尾根を乗っ越して,ツツジを利用しながら崖地を降りることになるので,はるかに難易度が上がると思います。それと,グリッパー,やはり水苔はダメですか。ステルスもソコソコ滑りましたが,全くダメでも無かったので,モンベルには再研究をお願いするしかないですネ。亀の子束子と組み合わせが最強という話しもありますが,そこまでしたく無いのが正直な気持ちでしょうか。
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瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2014-09-08 12:56:40
瀑泉さん、こんにちは。
カラ沢大滝、一応、こうして見には行ってきましたよ。水量がもう少しあれば、かなり見応えのある滝だったのではないでしょうか。
何でそうなっちゃうのかなと言われましてもねぇ。そうなっちゃったんですよ。
CS滝越え、確かに、最初の段上に上がっても、そこから斜めに進むのは、無理じゃないのかなと思ってはおりました。いずれにしても、我々のレベルではダメだったようですね。悲しい現実ですよ。
仰せのとおり、お二方は連瀑の始まるあたり、もしくはもっと下ではないでしょうか。私は連瀑の途中から攀じ登りました。結果的に50mほどの距離が開いてしまったようですが。
アクアグリッパー、なかなかいい沢靴です。今回の本番を通じて、強力な水陸両用、ことに、急斜面の草地とササヤブには相当な威力を発揮する沢靴であることを実感いたしました。
ところで、沢側の草地、傾斜が緩そうに見えていましたが、崖ですか。行かなくてよかったですわ。
返信する
Unknown (でん)
2014-09-08 13:07:48
まずは100名山踏破、おめでとうございます!
サッサと片付ける・・たそがれさんらしいです。

それにしてもカラ沢、お疲れさまでした・・・
お三方ともだいぶ苦労したようですね。
こうしてまたブログが書けて良かったです(笑)
自分ならどうしたかなぁ~と読ませていただきましたが、行くとこまで行ってしまって、ここを戻るのは・・と思うことはありますね。
いくらレポを読んでも実際に行って確認し、五感で体験しないとわからないのが山なのでしょう。
でもキケンな想いをするのはイヤだなぁ~、「所詮遊び」と思っているのは私だけかな?!
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あれま・・・ (雪田爺)
2014-09-08 14:15:57
こんにちは カラ沢お疲れさんでした.
何だか、凄いレポになってますね.お三方が登った場所より更に下流のガレ沢を登ろうと検討した事はありますが、その草付き斜面は考えもしませんでしたよ.
瀑泉さんがおっしゃる様に、難易度がグイッと上がりますね.ピンソールならまだしも、フェルト底(の人いましたっけ)では、踏ん張るのに何倍も足にきたのではないでしょうか(笑)
私は大滝上中間尾根岩から沢を俯瞰して爽快感を覚えましたが、崖登中に下の沢が見えない所に着きたいと言う気持ちも良く判ります.
それだけ景色を楽しんでる場合じゃないってことでしょうからね.でも、右大滝は珍しい形で良かったでしょう.
ハイトスさんの写真も、良いですね.
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