南斗屋のブログ

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慰謝料の増額

2007年03月08日 | 交通事故民事
 悪質な交通事故について、民事上では慰謝料を増額することについて、前回(→こちら)お話ししてきましたが、もう少し具体的に見てみましょう。

 自動車保険ジャーナル1675号18ページでは、衝突後逃走し、交通事故を起こさなかったように工作をした加害者に対し慰謝料合計3100万円を認めたというものです。

 加害車両は、片側1車線の道路を40キロから50キロで走行、被害者はその車道を横断していた際に加害者が前方不注意のためはねられたというものです。
 横断歩道がなかったところを横断していたということで、被害者は20%の過失相殺があると判断されています。

 しかし、この事故の後、加害者は、その場から逃走。
 友人たちに犯罪の隠蔽工作を積極的に行い、警察に対して虚偽の供述を繰り返すことを行っていました。

 具体的には、
 ・知り合いにドアミラーの修理をさせ、その人に口止め
 ・別の知人には虚偽のアリバイを依頼
 ・警察には「事故は起こしていない」と話した
というようなことを行っていました。
 
 このようなことから、裁判所は、「通常の事故以上に遺族に対する精神的苦痛を与えた」と認定し
 被害者(死亡) 2400万円
 夫        250万円
 子ども(3人) 各150万円
の慰謝料を認めました。
 
 慰謝料とは精神的な苦痛に対する対価と考えられており、精神をそもそも金銭に換算するというのが非常に難しい作業なのですが、現在、訴訟上での慰謝料基準は死亡事故の場合2000万円~2800万円といわれており(赤い本)、合計で3100万円を認めた裁判例は慰謝料としては高額を認めたということで自動車保険ジャーナルに掲載されたのだと思います。
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