ワイスピ、最終章の始まり

長～く続くヒットシリーズもいつかは終わります。少し前にそんな記事を書きましたが「ワイルド・スピード」シリーズも、そんな１本。

そもそもブライアン・オコナー役のポール・ウォーカーが７作目の撮影中、事故で亡くなった時、シリーズは終わると思ったのですが…

続いています。むむ。しかし、シリーズは１１作で終了と言われています。その最終章の始まりとなる最新作は１０作目となるルイ・ルテリエ監督…

「ワイルド・スピード／ファイヤーブースト」（２３）です。パリ出身の監督作品は「トランスポーター」（０２）、「ダニー・ザ・ドッグ」（０５）、

「トランスポーター２」（０５）、「インクレディブル・ハルク」（０８）、「タイタンの戦い」（１０）、「グランド・イリュージョン」（１３）などの監督。

ドミニク・トレット（ヴィン・ディーゼル）とレティ・オルティス（ミシェル・ロドリゲス）、そして息子のリトルBことブライアン（レオ・アベロ・ペリー）、…

ドミニクの祖母アブエラ（リタ・モレノ）と食卓を囲むファミリーたち。平和な暮らしを送る彼らの前に、未だかつてないほどの敵が現れます。

かつてドミニクたちがブラジルで倒した麻薬王エルナン・レイエス（ジョアキム・デ・アルメイダ）の息子ダンテ・レイエス（ジェイソン・モモア）でした。

１２年間復讐に燃えるダンテの陰謀に、仲を引き裂かれるファミリーたち。果たして？豪華な共演者にシャーリーズ・セロン、ジェイソン・ステイサム、

スコット・イーストウッド、ブリー・ラーソン、 ヘレン・ミレン、マイケル・ルーカー、ガル・ガドット。回想シーンにはポール・ウォーカーも。見ましょ。

煉獄を彷徨う独裁者たち

アレクサンドル・ソクーロフ監督は、１９５１年６月１４日ソビエト連邦イルクーツク出身。長編や短編映画、ドキュメンタリー映画を多く発表。

日本でも作品が公開されていますが、ちょっと難しそうなのでほぼ未見。唯一見たのが、ロシアのエルミタージュ美術館を舞台にした…

「エルミタージュ幻想」（０２）。９０分ワンカットで編集なし、ハイビジョンカメラ使用、１日だけ実際の美術館で撮影したアート・ムービー。

かつて訪れたことがあって、興味津々で見に行きました。やはり手強かった…。以来、監督の名前は、昭和天皇を描いた「太陽」（０５）、

「チェチェンへ アレクサンドラの旅」（０７）、「ファウスト」（１１）、ルーヴル美術館をテーマにしたアート・ムービー…

「フランコフォニア ルーヴルの記憶」（１５）などで時々聞くことがありました。しかし、どうも劇場までは…。ダメですね。

最新作は予告編を見て驚きました。さすがソクーロフ監督と思わせる異色作。脚本、監督作「独裁者たちのとき」（２２）です。

第２世界大戦中の権力者、ドイツのアドルフ・ヒトラー、ソビエト連邦のヨシフ・スターリン、イギリスのウィンストン・チャーチル、

イタリアのベニート・ムッソリーニは、ダンテの『神曲』を彷彿させる冥界にいて、神の審判を受けるため天国の門を目指して彷徨います。

アーカイブ映像を使用した本作は、その発想と展開にドキドキさせられます。もしかしたら、４人は本当に煉獄にいるのかも…と思ってしまいます。

全編走るシチュエーションスリラー

スペイン映画、ロドリゴ・コルテス監督「［リミット］」（１０）は、イラクで何者かに襲われたトラック運転手が、目覚めると棺の中。

なので、邦題には［　］が付いてます。原題は「ＢＵＲＩＥＤ／埋められた」。ドキドキハラハラの脚本を書いたのが、クリス・スパーリング。

主演はライアン・レイノルズ１人で、後は携帯電話から聞こえる人たちの声だけ。面白かったですね。スパーリングの脚本映画には…

「ＡＴＭ」（１２）、「追憶の森」（１５）、「ダーク・スクール」（１８）、「グリーンランド 地球最後の２日間」（２０）などがあります。

最新公開作が「パトリオット・ゲーム」（９２）や「今そこにある危機」（９４）、「ボーン・コレクター」（９９）のフィリップ・ノイス監督…

「デスパレート・ラン」（２１）です。本作も「［リミット］」同様、主演者１人だけのシチュエーションスリラー。夫を亡くしたばかりの…

エイミー・カー（ナオミ・ワッツ）は、寂しさを抱えながら、高校生の息子ノア（コルトン・ゴボ）と小学生の娘エミリー（シエラ・マルトビー）のため…

懸命に働いていました。ある朝、いつものように森の中をジョギングしていると、息子が通う学校で立てこもり事件が発生したことを知ります。

車など移動手段もない状態で、エイミーは愛する息子を救うため、たった１つのスマホを片手にあらゆる機能を駆使しながら走り続けます。果たして？

アニーシュ・チャガンティ監督「ｓｅａｒｃｈ／＃サーチ２」（２３）も公開されるし、時代と共に映画のツールも進化。しっかりついて行きましょう。

アドニス・クリード 最後の闘い

ライアン・クーグラー監督「クリード チャンプを継ぐ男」（１５）で、「ロッキー」（７６～０６）全６作のスピンオフとして始まった本作。

ロッキー（シルヴェスター・スタローン）の亡き盟友アポロ・クリード（カール・ウェザース）の息子アドニス・ジョンソン（マイケル・B・ジョーダン）。

アポロの隠し子だったアドニスが、ロッキーの元にトレーナーになって欲しいと訪ねて来たのが、１作目。続編がスティーヴン・ケイプル・Ｊｒ監督…

「クリード 炎の宿敵」（１８）でした。ジョーダンは製作総指揮も兼任。世界チャンピオンになったアドニスに挑戦状を叩きつけて来たのが…

アドニスの父アポロの命を奪ったイワン・ドラゴ（ドルフ・ラングレン）。ロッキーの制止も聞かず、挑戦を受けて立つアドニス。

対戦相手はドラゴの息子ヴィクター（フロリアン・ムンテアヌ）だったのです。シリーズ第３弾「クリード 過去の逆襲」（２３）では、初監督も務めます。

世界チャンピオンの座と恋人ビアンカ（テッサ・トンプソン）と結婚したアドニス・クリード。ある日、ダミアン・アンダーソン（ジョナサン・メジャース）が…

１８年ぶりにボクサーとして彼の前に現れます。ある事件で刑務所入りし全てを失ったダミアン。アドニスには家族同然の幼馴染を宿敵に変える…

誰にも言えない秘密があったのです。果たして、それは？１９８７年２月９日カリフォルニア州サンタアナ出身のマイケル・B・ジョーダン。

クーグラー監督「フルートベール駅で」（１３）、「ブラックパンサー」（１８、２２）、「黒い司法 ０％からの奇跡」（１９）などに主演。見ましょ。

北半球と南半球の恐竜たち

先日、東京都美術館に行きました。もちろん桜を見るのも目的。桜はまだ少し早くて、外国からの観光客も残念そう。その後すぐ満開になりましたが。

そんな上野は絵画展、博覧会の拠点。以前のようにたくさん開催されるように。国立科学博物館に恐竜が帰って来ます！「恐竜博 ２０２３」です。

その前に…先日（３月２１日）ＮＨＫスペシャル「恐竜超世界２ 前編 巨大恐竜の王国 ゴンドワナ大陸」という番組を放送。恐竜時代、南半球に存在した…

巨大なゴンドワナ大陸。恐竜好きには一度は耳にしたことのあるかも。６５００万年前、現在のアフリカ、南米、南極、インド、オーストラリアの…

各プレートに離れたと考えられています。番組では今まで知らなかった恐竜が登場。ゴンドワナは南半球なので。前長４０ｍのティタノサウルス類の…

プエルタサウルス、メガラプトル類のマイプ、首上にトゲ状の器官を持つバジャダサウルスなど興味津々の恐竜が登場。それと隕石絶滅論とは？

番組の後編は３月２６日２１時から放送。見なくっちゃ。そして「恐竜博 ２０２３」には番組に登場した日本初公開のズール・クルリヴァスタトルや…

世界初公開のマイプ・マクロソラックス、北半球のティラノサウルス・レックスこと、Ｔレックスのタイソンとスコティが並んで展示されます。

第５章では『絶滅の最新研究』も紹介されます。なお『ＮＨＫ恐竜超世界シアター』という高さ約４ｍ、幅約７ｍの大型モニターも。行きます！

原子工学を学ぶ女子大生のバイト先

ウィキペディアで調べました。考現学とは、現代の社会現象を場所・時間を定めて組織的に調査・研究し、世相や風俗を分析・解説しようとする学問。

考古学をもじってつくられた造語だそうです。うむ。ジャンチブドルジ・センゲドルジ監督のモンゴル映画「セールス・ガールの考現学」（２１）。

調べたけど、難しそうなのでそこまでにして…。とは言えモンゴル映画って、見たことがありません。たぶん。イメージとしては…

どこまでも広がる青空と大草原と遊牧民、ゲルと呼ばれる丸いテント風の家、デールと呼ばれる鮮やかな衣装、モンゴル相撲などが思い浮かびます。

モンゴルの首都ウランバートルで、家族と暮らしながら原子工学を学ぶ女子大生サロール（バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル）は…

ケガをしたクラスメートのナモーナ（バヤルマー・フセルバータル）の代理として、怪しげなアダルトグッズ・ショップでアルバイトをすることに。

高い給料なのに仕事は簡単と聞いて１か月だけ働くことにします。店のオーナーは、人生経験豊富なカティア（エンフトール・オィドブジャムツ）という…

女性で、その店には大人のオモチャが所狭しと並び、毎日様々なタイプの客たちがやって来ます。サロールは、カティアや店の客たちとの…

交流を通じ、自分らしく生きることを学んでいきます。３００人ものオーディションから選ばれたバヤルジャルガルは、本作で映画デビュー。

監督も出演者も名前がすごく長くって、覚えられる自信がちょっとないかもですが、モンゴル映画のイメージが大きく変わる１本です。ぜひ。

仕事、子育て、介護、そして恋

フランソワ・オゾン監督「すべてうまくいきますように」（２１）は、娘ソフィー・マルソーが父アンドレ・デュソリエの希望を叶えるため…

安楽死を進めることで苦悩するお話。しかしマルソーは明るく、そしていつも美しく、重いテーマとは裏腹に見る人をハッピーにして終わります。

フランスの女優、脚本家、監督ミア・ハンセン＝ラヴの最新作「それでも私は生きていく」（２２）も仕事、子育て、介護に追われるシングルマザーのお話。

監督作品には「あの夏の子供たち」（０９）、「ＥＤＥＮ／エデン」（１４）、「未来よ こんにちは」（１６）、「ベルイマン島にて」（２１）があります。

本作のヒロインはレア・セデゥ。マルソーはパリ出身の５６歳。セデゥは１９８５年７月１日パリ出身の３７歳。「イングロリアス・バスターズ」（０９）、

「ミッドナイト・イン・パリ」（１１）、「マリー・アントワネットに別れをつげて」（１２）、「アデル、ブルーは熱い色」（１３）、

「グランド・ブダペスト・ホテル」（１３）、「００７ スペクター」（１５）、「たかが世界の終わり」（１８）などがあります。

通訳をしながら、８歳の娘リンとパリのアパートで暮らす、シングルマザーのサンドラ（レア・セドゥ）。かつて哲学教師だった父ゲオルグ…

（パスカル・グレゴリー）は、病で視力と記憶を失いつつあり、母フランソワーズ（ニコール・ガルシア）と共に父の介護に当たっていました。

自分のことは後回しだった彼女は、ある日、旧友のクレマン（メルヴィル・プポー）と再会し恋に落ちます。果たして？ベリーショートのセドゥ、魅力的。

チェコスロバキア最後の女性死刑囚

ペテル・マガート監督「未来は裏切りの彼方に」（１９）を書く時、チェコスロバキア共和国のことを調べました。と言っても難しいことではなく…

１９９２年１２月、チェコとスロバキアの２つの国に分かれたことを覚えていること。映画は、スロバキアで起きた民衆蜂起を背景にした人々の物語。

トマーシュ・ヴァインレプとペトル・カズダ監督「私、オルガ・ヘプナロヴァー」（１６）は、チェコスロバキア最後の女性死刑囚のお話。

経済的に恵まれた家庭に育った２２歳のオルガ・ヘプナロヴァー（ミハリーナ・オルシャニスカ）は、新聞社と雑誌社に犯行声明文を送ります。

そして１９７３年７月１０日。チェコスロバキアの首都プラハで、路面電車を待つ群衆にトラックで突っ込みます。結果、８人死亡、１２人負傷。

なぜオルガは大量殺人を起こしたのか？両親の無関心と虐待、社会からの疎外やいじめによって心に傷を負ったオルガは、それが復讐であると言い…

逮捕後もまったく反省の色を見せることはなかったのです。本作が監督デビューとなるトマーシュ・ヴァインレプとペトル・カズダの２人は…

ドキュメンタリータッチのリアルな描写で、オルガという女性を描いていきます。ところでオルガ・ヘプナロヴァーは、１９５１年６月３０日プラハ出身。

父は銀行員、母は歯科医だったとか。１９６４年に薬物過剰摂取で自殺を図り、精神科病棟で過ごしますが、退院後、様々な職業を経て…

トラック運転手となったそうです。予告編を見るとモノクロ映画で、「レオン」（９４）のナタリー・ポートマンのようなヒロインがとっても印象的。

アルツハイマー病の殺し屋、最後の仕事

「ファイナル・プラン」（２０）、「アイス・ロード」（２１）、「マークスマン」（２１）、「ブラックライト」（２１）とニック並みに映画に…

出演しているリーアム・ニーソン。働いてます。ファンにはうれしい限り。最新作はマーティン・キャンベル監督「ＭＥＭＯＲＹ メモリー」（２２）。

ジェフ・ヒーラールツの原作を映画化した、ベルギー映画「ザ・ヒットマン」（０３未）のリメイクです。裏社会で凄腕の殺し屋として…

絶大な信頼を得ていたアレックス・ルイス（リーアム・ニーソン）。ところがアルツハイマー病を発症して、依頼の詳細を覚えられなくなります。

引退を決意し、最後とした仕事のターゲットが少女だと知り、契約を破棄します。『子供だけは守る』という信念を貫いてきた、アレックス。

依頼の背景を調査するうち、アレックスが突き止めた真実とは、果たして？イタリア出身、５８歳のモニカ・ベルッチ共演。そしてもう１人。

ついつい、目を引く曲者俳優ガイ・ピアース。１９６７年１０月５日イギリス出身、３歳でオーストラリアに移住。ステファン・エリオット監督…

「プリシラ」（９４）のドラッグ・クイーン役でデビュー。お気に入り。「Ｌ.Ａ.コンフィデンシャル」（９７）、「メメント」（００）、

「タイムマシン」（０２）、「モンテ・クリスト伯」（０２）、「トゥー・ブラザーズ」（０４）、「奇術師フーディーニ」（０７未）、

「アニマル・キングダム」（１０）、「ダーク・フェアリー」（１１）、「欲望のバージニア」（１２）など多数。ニーソンもだけど、ピアースにも注目！

ピエトロとブルーノの再会

山、男２人、友情…と聞いて思い出すのは？大好きな映画、アニー・プルー原作、アン・リー監督「ブロークバック・マウンテン」（０５）。

アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚色賞、撮影賞、作曲賞の８部門にノミネートされ、監督、脚色、作曲賞を受賞。

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞の他、各国の賞も多数受賞。ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、ミシェル・ウィリアムズ、アン・ハサウェイ主演。

もう１８年も前の作品だなんて。スティーヴ・カレルとティモシー・シャラメが親子を演じた「ビューティフル・ボーイ」（１８）の監督…

フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンの最新作も山、男２人、友情の物語。共同監督と脚本を担当するのは、シャルロッテ・ファンデルメールシュ。

イタリアのパオロ・コニェッティのベストセラー小説を映画化した「帰れない山」（２２）です。都会育ちの少年ピエトロは、山を愛する両親と…

北イタリア、モンテ・ローザ山麓の小さな村で休暇を過ごしにやって来ます。そこで同い年の牛飼いの少年ブルーノと出会います。繊細なピエトロと…

対照的な野性味に溢れたブルーノ。一緒に大自然を駆け回り、同じ時間を過ごすうち固い友情を育みます。やがて思春期に入ったピエトロ（ルカ・マリネッリ）は…

父親に反抗し家族や村から距離を置きます。時は流れ、父の悲報を受けたピエトロは村を訪れ、ブルーノ（アレッサンドロ・ボルギ）と再会。

大人の青春映画と評される本作。「ブロークバック・マウンテン」とは、視点が違うのでしょう。長い別離を耐え、長く続く友情とは、果たして？