「植草一秀の『知られざる真実』」
2017/11/26
卑怯で卑劣で卑屈な総理の汚名返上するには
第1904号
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11月27日から国会の予算委員会質疑が始まる。
当然のことながら、森友・加計疑惑の徹底解明が求められる。
2月17日の衆院予算委員会で安倍首相は、
「私や妻が、(森友学園の学校認可や国有地払い下げなどに)関わっていた
ら、総理大臣も国会議員もやめる」
と明言した。
3月3日の参院予算委員会では、加計問題について、
「(私が)働きかけていたら責任を取る」
と明言している。
しかし、森友学園の国有地払い下げに関しては、新設小学校の名誉校長に就任
した安倍昭恵氏に籠池泰典理事長から相談があり、これを受けて安倍昭恵氏が
秘書を務めていた公務員の谷査恵子氏に指示し、谷氏が財務省に折衝したこと
が明らかになっている。
安倍昭恵氏の関与の具体的な姿は、安倍昭恵氏が一切の説明責任を果たしてい
ないので不明な部分があるが、安倍首相が言うところの、
「私や妻が関わっていた」
ことになる可能性はきわめて高い。
こうなると、安倍首相の進退問題に直接波及する重大問題である。
安倍首相サイドは、国会において、丁寧かつ十分に説明責任を果たすことが強
く求められる。
安倍昭恵氏の関与については、本人しか知らないことが多いため、安倍昭恵氏
が説明する場を設営することが強く求められる。
野党は証人喚問を要求しているが、与党が拒むなら、まずは参考人招致のかた
ちで安倍昭恵氏の説明の場を設定するべきである。
財務省の前理財局長である佐川宣寿氏は、森友学園への国有地払い下げの交渉
について、
本年3月15日の衆議院財務金融委員会において、
「そういう価格につきまして、こちらから提示したことも
先方からいくらで買いたいといった希望があったこともございません」
と答弁している。
しかし、その後に、近畿財務局と籠池泰典氏の折衝を録音した音声データが公
開されている。
この音声データのなかでは、
籠池氏が
「「1億30000万円が云々」というものよりも、ぐーんと下げていかなあ
かんよ」
と発言し、これに対して、近畿財務局の池田靖国有財産統括官が、
「理事長がおっしゃる0円に近い金額まで、私はできるだけ努力する作業をい
まやっています」
と答えている。
国は森友学園に対して、土壌改良費として1億3000万円を支払う。
したがって、払い下げ金額をこれより低くは設定できない。
1億3000万円よりは上になるとの話がすでに明らかになっていた。
これを踏まえてのやりとりである。
払い下げ価格が1億3000万円になれば、財務省からの支払い金額を差し引
くとゼロになる。
籠池氏が述べた
「ぐーんとさげていかなあかんよ」
に対して、池田統括官が述べた
「理事長がおっしゃる0円に近い金額まで、できるだけ努力する作業をやって
いる」
というのはこのことを指している。
実際には、財務省が支払った有益費が1億3200万円で土地の払い下げ価格
は1億3400万円だった。
0円に近い金額まで、できるだけ努力して、200万円になったということ
だ。
時価10億円は下らないと見られる国有地が、1億3400万円で売却され、
同時に1億3200万円の有益費が支払われた。
国の収入は差し引いて、たったの200万円だった。
籠池泰典氏は、インタビューで、
「近畿財務局から電話があって、どれくらい(の金額)だったらいけるんです
かと」
「低い方がいいけれど1億6000万円くらいかなと伝えた」
と述べている。
つまり、近畿財務局と森友学園は、国有地の払い下げに関して、森友学園の希
望を聞き、それに対応して、希望価格に近づける努力をしていることを伝えて
いたと判断できるのだ。
そして、実際に、籠池氏が希望した「0円」に限りなく近い水準で国有地が払
い下げられたのである。
佐川宣寿氏の答弁が「虚偽答弁」であったことは明白になっている。
安倍昭恵氏および佐川宣寿氏の参考人招致、あるいは証人喚問が行われるべき
ことは当然だ。
客観的な事実から見て、財務省=近畿財務局が、国有財産を不正に低い価格で
払い下げたことは明白である。
その責任者が、背任の疑いで刑事告発されている。
大阪地検特捜部は刑事告発状を受理しており、速やかに適正な捜査を行うべき
である。
まずは、近畿財務局や財務省理財局に対して家宅捜索を実施して、証拠の保全
を行うべきである。
ところが、大阪地検特捜部は、近畿財務局や財務省理財局に対する捜査を行わ
ずに、事件を告発した籠池泰典氏夫妻を逮捕、起訴して、不当な長期勾留を
行っている。
日本は法と正義が支配する国ではない。
権力者が権力を濫用して、法の支配そのものを破壊している国である。
日本に北朝鮮を非難する資格などない、というべきである。
籠池氏夫妻に対する4ヶ月に及ぶ勾留は人権侵害問題である。
私も同じように、政治権力によって不正で不当な長期勾留、さらに不正な裁判
を経験しているから、この国の欠陥がよく分かる。
本当に悲惨な国家に成り下がってしまっている。
裁判所は法の番人ではなく、政治権力、行政権力の番人であって、人権侵害な
ど、裁判所の関心事項ではないのだ。
籠池氏夫妻が長期の不当勾留という「拷問」を受けているのは、
「見せしめ効果」
と同時に、
「口封じ」
が狙いである。
10月22日に総選挙が実施されたが、安倍政権は選挙に影響があるから籠池
氏夫妻の口を封じたのである。
さらに、国会の予算委員会審議が行われる際も、籠池氏の発言は脅威である。
だから、不当な口封じが続いている。
安倍政権は野党に多くの時間を配分してきた国会審議の時間配分を強引に変え
ようとしている。
国会審議で、厳しい追及が行われることを、制度的に遮断しようというのだ。
本当に、卑劣で、卑屈で、卑怯な政権であると言わざるを得ない。
会計検査院は値引き金額の不当性を明示したが、踏み込み不足である。
会計検査院も行政機関であり、政治権力に対して毅然とした姿勢を示すことが
できないのだ。
国会においては、安倍政権与党が3分の2議席を占有してしまい、民意が反映
されない状況が強まっている。
国政選挙で主権者の4分の1しか投票していない政治勢力が、議会議席の7割
を占有してしまっているのである。
さらに、野党に分類される政治勢力のなかに、「隠れ与党」=「自公補完勢
力」が潜んでいる。
これでは、国会の政治浄化力は発揮されないだろう。
絶望的な状況が広がっているのだ。
それでも、安倍首相が国会答弁で明言した、
「自分や妻が関わっていたら、総理大臣も国会議員も辞める」
の言葉は、議事録にもしっかりと残されている。
そして、森友学園理事長の籠池泰典氏が新設小学校名誉校長に就任した安倍昭
恵氏に相談し、安倍昭恵氏が公務員秘書の谷査恵子氏に指示して、谷氏が財務
省と折衝した結果として国有地の激安払い下げが実現したことは明らかな事実
である。
この問題は、安倍首相の進退問題に直結する問題であるから、安倍首相の側が
積極的に、疑惑を払拭するための行動をとるべきである。
そのためには、どうしても、安倍昭恵氏による説明、安倍昭恵氏に対する質疑
が必要である。
安倍首相は国会において丁寧に説明することを宣言しているのであるから、い
つまでも逃げ回らずに、安倍昭恵氏の国会での説明に同意するべきである。
「卑怯で卑劣で卑屈な総理」という批判を払拭したいと考えるなら、直ちに安
倍昭恵氏の証人喚問もしくは参考人招致に同意するべきである。
同時に、財務省前理財局長である佐川宣寿氏の参考人招致も実現するべきであ
る。
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