「表現の自由」、いきなり大上段に出てしまいました。(笑)
東京都の条例に作家、出版社が反抗してますね。
芸術は常にアヴァンギャルドから発展していくにしても、いつの世もカスト
リ雑誌の類が廃れる事はないとしても、果たして理はどちらにあるんでしょ
うかね。
自分には作家や出版社の皆さんが、「表現の自由」という甘味な言葉と
桃源郷のような正義に酔ってるだけにしか見えませんけどね。
作家も出版社も印刷屋も、下劣・醜悪そのもののようなロリコン・マンガ
に対して何もしません、「自主規制は創造の翼を折る事になる」なんて都合
の良い言い訳の後ろで昼寝してるだけですもん。
「地下水道」(1956年・ポーランド)監督アンジェイ・ワイダ
映画の世界でポーランドといえばA・ワイダ、ワイダといえば抵抗三部作、
と言うくらい1960年~80年当時は有名でした。
三部作で一番有名なのが1958年の「灰とダイヤモンド」
チブルスキー演じるマチェックの最期が印象的です。
只、閉所恐怖症のケが有る僕には、この「地下水道」の方が印象深い(も
う一度見直すとしたら、かなり勇気が要るけど)。
第二次大戦終盤、ポーランドで起こったワルシャワ蜂起の悲劇を描いた
作品。
ナチスの反攻に遭い蜂起は失敗、ワルシャワの地下水道へ逃げ込んだ
民兵部隊の苦難の行軍と、その顛末。
この地下水道は「第三の男」のようにロマンティックでもエキゾチックでも
なく、東宝の「美女と液体人間」のように賑やかでもない、ただただ息苦しい
閉塞感が、ほぼ全編に渡って続きます、まるで汚水の腐臭さえもが臭って
くるような感じです。
その絶望的閉塞感に追い討ちをかけるナチスの追跡、或いは地上から
の毒ガス攻撃、暗闇の中、パニックになる人々の群れ。
もう、物語の九割以上が暗い地下水道の中ですから、ホント、閉所恐怖
症には辛い。(笑)
この映画を理解するには少し背景の説明が要ると思います。
第二次大戦終盤、ヨーロッパ東部戦線ではナチス・ドイツが劣勢となりソ
ビエト軍が急進していました。
ソビエト軍はポーランドへ侵入して来ます、このままソビエト軍に解放され
たら、ナチスの代わりがソビエトになるだけだと考えた民族派(連合軍の影
響下にある)が、自分達の手で弱体化したドイツ軍を追い払い、少しでもソ
ビエトとの交渉で有利な立場を得ようと立ち上がったのがワルシャワ蜂起
です。
結果は、一時的には成功するものの、まだ強力な火器を残していたドイ
ツ軍の反攻に遭い失敗、仕方無しに近くまで来ていたソビエト軍に助力を
要請するものの完全に無視され壊滅、それを見届けたソビエト軍が、すぐ
さま侵攻を開始してワルシャワからドイツ軍を追い出し、ポーランドを自国
の支配下に置いてしまう。
ソビエトにしてみれば、自分達の邪魔になる民族派、反共産主義者達を
ドイツ軍が始末してくれるんですから願ったり叶ったりの展開で(多分、そ
そのかしもしたんだろうなぁ)、高みの見物を決め込むのも全然不思議じゃ
ない。(自分達の息のかかった親ソ派には蜂起に加わらないよう伝達済み)
でも、本当に恐ろしいのは、もし、自分がソ連軍の司令官でも同じ事をし
ただろうと思うんですよね・・・。
ワイダ監督の抵抗三部作というのは、そのソビエトの支配下に入り、表現
の自由を奪われた中でのギリギリ精一杯の抵抗作なんです、当然、強制収
用所へ送られるのを覚悟しての事だったと思います。
確かに形的には「灰とダイヤモンド」も「地下水道」も、反共産主義者達の
哀れな敗北を描いてますから、当局に強弁できなくもないかもしれないけど、
作品を見れば監督が何に反抗してるかは一目瞭然。
本当に監督やスタッフ達が命懸けで創った作品だと痛切に感じます。
特にワルシャワ蜂起の悲劇を真正面から捉えた「地下水道」は、監督自身
の気迫を一番感じます、その辺が印象に残る最大の原因なのかもしれませ
ん。
この作品を思い出すと、自らは安全地帯に居て、甘味な「正義の旗」を振
り回している人達に強い違和感を感じてしまいます。
東京都の条例に作家、出版社が反抗してますね。
芸術は常にアヴァンギャルドから発展していくにしても、いつの世もカスト
リ雑誌の類が廃れる事はないとしても、果たして理はどちらにあるんでしょ
うかね。
自分には作家や出版社の皆さんが、「表現の自由」という甘味な言葉と
桃源郷のような正義に酔ってるだけにしか見えませんけどね。
作家も出版社も印刷屋も、下劣・醜悪そのもののようなロリコン・マンガ
に対して何もしません、「自主規制は創造の翼を折る事になる」なんて都合
の良い言い訳の後ろで昼寝してるだけですもん。
「地下水道」(1956年・ポーランド)監督アンジェイ・ワイダ
映画の世界でポーランドといえばA・ワイダ、ワイダといえば抵抗三部作、
と言うくらい1960年~80年当時は有名でした。
三部作で一番有名なのが1958年の「灰とダイヤモンド」
チブルスキー演じるマチェックの最期が印象的です。
只、閉所恐怖症のケが有る僕には、この「地下水道」の方が印象深い(も
う一度見直すとしたら、かなり勇気が要るけど)。
第二次大戦終盤、ポーランドで起こったワルシャワ蜂起の悲劇を描いた
作品。
ナチスの反攻に遭い蜂起は失敗、ワルシャワの地下水道へ逃げ込んだ
民兵部隊の苦難の行軍と、その顛末。
この地下水道は「第三の男」のようにロマンティックでもエキゾチックでも
なく、東宝の「美女と液体人間」のように賑やかでもない、ただただ息苦しい
閉塞感が、ほぼ全編に渡って続きます、まるで汚水の腐臭さえもが臭って
くるような感じです。
その絶望的閉塞感に追い討ちをかけるナチスの追跡、或いは地上から
の毒ガス攻撃、暗闇の中、パニックになる人々の群れ。
もう、物語の九割以上が暗い地下水道の中ですから、ホント、閉所恐怖
症には辛い。(笑)
この映画を理解するには少し背景の説明が要ると思います。
第二次大戦終盤、ヨーロッパ東部戦線ではナチス・ドイツが劣勢となりソ
ビエト軍が急進していました。
ソビエト軍はポーランドへ侵入して来ます、このままソビエト軍に解放され
たら、ナチスの代わりがソビエトになるだけだと考えた民族派(連合軍の影
響下にある)が、自分達の手で弱体化したドイツ軍を追い払い、少しでもソ
ビエトとの交渉で有利な立場を得ようと立ち上がったのがワルシャワ蜂起
です。
結果は、一時的には成功するものの、まだ強力な火器を残していたドイ
ツ軍の反攻に遭い失敗、仕方無しに近くまで来ていたソビエト軍に助力を
要請するものの完全に無視され壊滅、それを見届けたソビエト軍が、すぐ
さま侵攻を開始してワルシャワからドイツ軍を追い出し、ポーランドを自国
の支配下に置いてしまう。
ソビエトにしてみれば、自分達の邪魔になる民族派、反共産主義者達を
ドイツ軍が始末してくれるんですから願ったり叶ったりの展開で(多分、そ
そのかしもしたんだろうなぁ)、高みの見物を決め込むのも全然不思議じゃ
ない。(自分達の息のかかった親ソ派には蜂起に加わらないよう伝達済み)
でも、本当に恐ろしいのは、もし、自分がソ連軍の司令官でも同じ事をし
ただろうと思うんですよね・・・。
ワイダ監督の抵抗三部作というのは、そのソビエトの支配下に入り、表現
の自由を奪われた中でのギリギリ精一杯の抵抗作なんです、当然、強制収
用所へ送られるのを覚悟しての事だったと思います。
確かに形的には「灰とダイヤモンド」も「地下水道」も、反共産主義者達の
哀れな敗北を描いてますから、当局に強弁できなくもないかもしれないけど、
作品を見れば監督が何に反抗してるかは一目瞭然。
本当に監督やスタッフ達が命懸けで創った作品だと痛切に感じます。
特にワルシャワ蜂起の悲劇を真正面から捉えた「地下水道」は、監督自身
の気迫を一番感じます、その辺が印象に残る最大の原因なのかもしれませ
ん。
この作品を思い出すと、自らは安全地帯に居て、甘味な「正義の旗」を振
り回している人達に強い違和感を感じてしまいます。
この閉鎖空間での人間模様は、まるでホラー映画のようでした。一度観たら忘れられませんよね。
そこに、監督の信念とか気迫が加わって、深みのある作品になってますよね。正直、わたしがどこまで理解できてるのか自信ありませんが。
でも、今いわれているような「表現の自由」とは別物だという事はわかります。
ちょっと、この記事は大きく出てしまって、穴が有ったら入りたいです。
凄いですね、三部作全部観たんですか。
僕は、これ書いておきながら「世代」は観てないんですよ。(汗)
「灰とダイアモンド」は、女達が列を作るように踊ってたシーンと物干し場のシーンばかりが印象に残ってて、
他のシーンは全部、その陰に隠れてしまい余り思い出せないんですよ。
「地下水道」は、今まで観た映画の中で一番息苦しくなった映画。
これを書いた後、他のレビューを見たのですが、始まって20分位は地上が舞台なんですね。
記憶では、すぐ地下へ潜った気になっていました。
地上のシーンを全部忘れてしまうくらい地下水道のイメージが強烈だったのです。
仰るとおり、そこらに転がってるコケオドシのホラーなんかより、余程、恐ろしいし凄まじい圧迫感があると思います。
子供の頃、物置へよく閉じ込められましてね。
今でも、暗い所、狭い閉鎖空間は苦手です(高い所、オバケもダメ)。
まぁ、単なる怖がり屋なだけですけど。(笑)