セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「ジョンとメリー」

2016-04-04 23:58:56 | 映画感想
 思い出しついでに、と言っても10代の終わり頃「フォロー・ミー」で知った
ミアが出てるというので観て凄く印象に残った作品、思い出の映画の一つ。(多
分、教育TVの原語版)
 このタイトル、日本語で言えば「太郎と花子」的な意味合いが有ると思い
ます。

 「ジョンとメリー」(「John and Mary」、1969年、米)
   監督 ピーター・イェーツ
   脚本 ジョン・モーティマー
   原作 マーヴィン・ジョーンズ
   撮影 ゲイン・レシャー
   音楽 クインシー・ジョーンズ
   出演 ダスティン・ホフマン
       ミア・ファロー

 NYの或る夜、パブで意気投合した二人は勢いでそのままベット・イン。
 翌朝、男のベットで女が目を覚ました所から物語が始まります。

 かなり技巧臭のする恋愛劇。
 初見の時はその技巧が面白くて良かったのだけれど、時を経て見直す
と技巧が鼻に付いてしまう、僕にとってそんな印象を持つ作品。
・ある名詞を封じ手というかNGワードにして、更に事後の翌朝に始まり初
対面の挨拶で終わるという、通常の恋愛劇の逆パターンで作劇するという
二つの「縛り」。
 そんな発想から書いた気がするけど、そこは上手くいってるしラストで封
じ手が解かれた時、「あっ、そういえば」って言うくらい不自然さが無くて面
白い。
・もう一つの大きな特徴は、表の台詞と別に本音の台詞がモノローグで入
る事。

 https://www.youtube.com/watch?v=9Ni5Ta6J6hw
 
 このシーンじゃないけど、こんな感じ、
 女「素敵な部屋ね」
  (潔癖症かしら?)
 男「ありがとう」
  (オイオイ、棲み付くつもりか?)

 「エターナル・サンシャイン」でお互いの本音をテープで聞いてしまうシー
ンが有りますが、あれが二人のモノローグとして中盤まで頻繁に入ってくる。
 終盤になると少なくなるのは、恋愛感情が芽生えて表と裏の乖離が少な
くなって来るのと、その為、余裕ブッこいてる暇が無くなるから。(笑)
 初見の時はこれが面白くて記憶に残ったけど、数年前再見した時は「いち
いち五月蝿いなァ」と感じてしまいました。
 このモノローグで物語と会話のテンポが時折停滞しちゃう感じがして、何か
イラっときちゃう。
 歳のセイで元々の短気に拍車が掛かったんだろうか。(笑)
 事件らしい事件も起きず、淡々と丁寧に二人の感情の変化を描いていく所
はすごく良いし、初対面の頃(この作品は既に事後なのですが素面に戻れば
初対面みたいなもの)、二人だけの差し向かいになった時のお互いの距離感、
ジャブを撃ちながら反応と出方を見たり、それが意図しない方向へ行って慌て
たり、誰もが経験する普遍性も上手く描けてるのだけど、残念ながら10代の
時みたいには印象に残らなかった。
 哀しい哉、再見時、歳を感じた1本。(涙)

 時折挟み込まれる互いの過去シーン以外、殆どジョンの部屋を出る事の無
い二人の密室心理劇。(笑)
 だから脚本、演出、演技、三拍子揃わないと忽ち欠伸が出る事必定、そこは
充分以上にクリアしてます。
 D・ホフマンは「卒業」の2年後、M・ファローは「ローズマリーの赤ちゃん」の
翌年、ステップアップ中の若い二人の演技合戦は中々の見物。
 特にミアの役は普通の美人女優じゃシリアスに寄り過ぎて話が辛気臭くなる、
彼女が持つ独特のエキセントリックな感じが実によく役にフィットして物語に色
彩を与えています。

 出会った頃の手探り感、トキメキに気付く時、そんな感覚を思い出したい方、
風変わりな恋愛劇を観たい方にお勧め。
 再見時の印象はイマイチだったけど、それでもこの映画の持つ独特の雰囲
気は今でも好きです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 今なら自信を持って言える(笑)

 ちょっと待て!その錯覚が 命取り


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2 コメント

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こんばんは☆ (miri)
2016-04-30 20:33:03
レンタルしたい作品があったので、こちらも一緒に借りて見ました☆

>かなり技巧臭のする恋愛劇。

そうですね~きっと封切り公開当時(もう半世紀前ですネ!)、にそういう年齢だったら、
またはリバイバルでも良いけど若い時に見ていたら、
とても気に入った作品になったような気がします☆

> 哀しい哉、再見時、歳を感じた1本。(涙)

残念でしたね~でもお若い時に見た時の感動は残っていると思いますよ~!

> だから脚本、演出、演技、三拍子揃わないと忽ち欠伸が出る事必定、そこは
充分以上にクリアしてます。

クリアしていると思います! 
特に見たくなったのは監督さんの名前を見てからです。

>風変わりな恋愛劇を観たい方にお勧め。

でも、やっぱり若い時に見ていないので・・・
色々なこういう感じの映画を見てしまった後ですし・・・
今の私が初見しても、もちろん悪くはなかったのですが、
そんなに良くもなかったです。

2つの縛りについては、ちょっとね~笑。
スーッと見て、自然にラストまで導かれれば良かったのですが、
私は最初の方でわざわざそれを止めたところや、
起きて頭がハッキリしてきてもしなかったことが、
どうにもこうにも「んなバカな」的な感想しか持てず・・・。

しかし英語の「you」「me」は便利な単語です(笑)。

「エターナル・サンシャイン」は全然浮かばず・・・
どうも(変なコメントになり)すみませんでした!


.
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2016-05-01 00:11:46
 miriさん、こんばんは
 コメントありがとうございます!

若い時に見ていたら
>TVで見たのは記録してないからハッキリとは解らないのですが、多分、17後半~19歳の時、見ました。
仰るように良い時に見たと思ってます。
だから、
でもお若い時に見た時の感動は残っていると思いますよ~!
>今でも、初見の時の状況が浮かぶくらいで、あの時のテクニックの新鮮さ、恋への憧れ、しっかりと脳裏に焼き付いています。
(再見時まで、恋愛映画のベスト10には入ってました)

監督さんの名前
>僕、「ブリット」は結構退屈した人間で。
他だと「ザ・ディープ」くらい(J・ビセットが綺麗だった、DVD所持)
友人に「ホット・ロック」が大好きなのが居ます。

しかし英語の「you」「me」は便利な単語です(笑)。
>日本語でも「me」は可能だけど、「you」は難しいと思っています。

「エターナル・サンシャイン」は全然浮かばず・・・
>これは個人差でしょう、イメージは多様ですから。

どうも4月は個人的に不作続き、1回リセットするつもりで、これから「前期まとめ」の記事をUPします。
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