セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

東京オリンピック 2020 MVP

2021-08-08 13:01:32 | 雑記
 決して奇を衒った訳ではないし、大向こうウケを狙った訳でもありません。
 東京オリンピック2020に於ける僕の個人的MVPは、銀メダルを獲得した女子バスケットチームと陸上競技女子1500mで8位入賞した田中希美選手にさしあげたい。
 勿論、最高殊勲と言う意味なら金メダルラッシュに弾みをつけた女子競泳二冠の大橋悠依選手、男子体操二冠の橋本大輝選手、メダル獲りまくりの柔道選手団、臥薪嘗胆の末金メダルを死守したソフトボールチームなのかもしれない、いずれも、どれだけ感動したか判らないし素晴らしかった。
 でも、メダルから離れて常識、固定観念を覆したという視点から見れば、僕の場合、バスケチームと田中選手なのです。
 バスケットボールは詳しくないのですが、それでも欧米に歯が立たないと思われてた日本が世界の強豪国を破って決勝戦まで行ったというのが凄まじい出来事だというのは判ります、あの米国と決勝戦ですからね、信じられないにも程があります。
 そして、元陸上競技ファンだった僕にとって田中希美選手の快挙ほど吃驚し感動したものもなかった。
 日本陸上競技に於いて最も世界と差があったのは男女問わず800m、1500mの中距離種目、陸上競技の不毛地帯、完全なる荒野と信じられてきたのです。
 「目標はインターハイの1500で優勝する事です」
 「キツい種目だが頑張れよ」
 「インカレの1500で勝ちたいです」
 「頑張りなさい!」
 だろうけど、これが、
 「オリンピックの1500で決勝を走りたいです」と監督に言ったら、無視されるか、
 「取り敢えず、自分の足元を見ような」とあしらわれるのが精々、それ程、世界との差が有りすぎていました。
 スピードと持久力という相反する要素を求められ陸上競技で一番キツいとも言われる種目、又、走る格闘技とも言われるくらい肉弾戦が付きものの種目、ウカウカしてると吹っ飛ばされるし足を引っ掛けられたりもする、だから、田中希美選手のような小柄な選手には凄くハンデがあるのです。
 更に、外人選手とのスパート力の決定的差、だから、日本の中距離選手の殆どが卒業すると辞めるか企業の需要のある長距離へ転向してしまい人材が育たない、そんな悪循環が続いてきました、余り知られていませんが欧州で最も人気のある陸上競技は100mを除けば、この中距離レースなんですよ、つまり、選手層も無茶苦茶厚い。
 その種目に卜部選手と共に日本人女子として初参戦、これだけでも歴史的なのに田中選手は日本新記録で余裕の予選突破、更に日本人女子には夢のまた夢と思われていた4分切りで再びの日本新記録更新、準決勝突破、最後は2回目の4分切りでゴール前意識が飛んだと言う激走の末、決勝戦8位入賞を死守、本当に奇跡を見る思いでした。
  
 後方に付けて落ちてくる選手を抜いて順位を上げていく日本人選手の基本パターンと真逆、自分でレースを作っていこうとする積極性、スパート合戦にも喰らい付いていける才能と根性、10000mの廣中選手、3000m障害の三浦選手と同じニュータイプの選手、その中でも計り知れない才能を感じさせる田中選手、本当に素晴らしかった、泣きましたね。(ネット記事のコメントを読めば、少しでも陸上競技を知ってる人達は皆、僕と同じ感想で泣いたようです)

※田中希美選手が準決勝で出した1500m3分59秒19は世界歴代83位(歴代記録の半分くらいはお薬記録(特に中国の馬軍団がドーピング検査のない国内記録会で出した記録がズラッと連なってる)それを除けばもっと上)〜中国軍が薬で身体をどこまで強靭に出来るかの実験台にされた、当時のエース格の選手が告白済み、主に当時は検知されにくかった血液ドーピング+クスリだったと思われる。
男子100mで世界歴代83位のタイムは9秒90だと誰かが書いていました

  直ぐ消されるだろうけど、普段、冷静な解説者金哲彦氏があまりの事に取り乱してます(笑)
  東京オリンピック2020 女子1500m 準決勝  https://2020.yahoo.co.jp/video/highlight/6266499393001
  決勝 https://2020.yahoo.co.jp/video/highlight/6266808436001 

※中距離種目では、戦前のアムステルダム大会で新設された800mで伝説の人見絹枝さんが獲った銀メダル以来の快挙、しかし、この時参加した選手がゴール後バダバタ倒れてしまった為、女子に長い距離は無理だと1972年ミュンヘン大会まで女子の中距離(勿論、長距離も)は封印されてしまいました。
※瀬古利彦さんも元は1500の中距離選手、でも、瀬古さんがマラソンで成功したのはピッチ走法だったからと思ってます(日本の長距離選手の殆どがピッチ走法)、田中選手と同じストライド走法で成功したのは瀬古さんのライバル中山選手くらいだと思う、強靭なバネが必要でそれを42.195k保たせるのは余程の選手でなければ出来ない、それに、中山選手は長身だからストライドが活きた、それを153センチの田中選手にやらせたら消耗するだけで潰れてしまうと思います、是非、田中希美選手には日本中距離の新たな伝説になってもらいたい。(もう伝説だけど)
※アフリカ勢の独断場と思われていた3000m障害の三浦選手も吃驚したけど、この種目にはモスクワ五輪金メダル候補だった新宅雅也選手という先駆者がいたから、前人未到という訳でもないかなと。(汗)
※馬術競技もかなりハラハラしたし、面白かった。

  夏草や兵どもが夢の跡  
         芭蕉
 
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