花*小紋日記

出張着付師kyoさんの奮闘記

新しい生活様式の中の仕事スタイル。

2020-05-31 11:10:31 | 仕事
緊急事態宣言も解除され、日常生活が戻ってきました
とはいえ、生活様式は一転
日々の生活を送る上でも、様々な場面で気を使わなければいけなさそうです

お仕事の方は、5月中旬からスタジオ着付けがスタートしました
スタジでのお仕事はお客様が密にならないように、件数を減らしたり、喚起や衛生に気を使ったりと工夫されていてとても安心感があります
一戸建てのスタジオで窓が多い、部屋も多い、メイク室も窓や扇風機がついているのでありがたい限りです

一方で来月からは個人のお客様宅への出張着付けも再開します
4月の入学シーズンからご予約がすべてキャンセルになり約2か月。
久しぶりの出張着付けになります

とはいえ・・・・
今までのように、気軽にいつでもどんな場所にでも・・・と言う訳にはいかなさそうです
今はコロナウィルスが落ち着いている雰囲気がありますが、感染が再拡大する可能性もありますし、秋以降のお仕事については慎重に考えなければいけないと思っています

例年5-6月に9月以降のご予約を開始していますが、今年度に限っては今後の動向を考える上で7/1開始を予定しております
すでに数名のお客様からお問い合わせが来ていますが、秋以降に感染の第二波、第三波が来ることが考えられる今、簡単にお受けすることができません
5月からスタートしたスタジオでのお客様の様子を拝見していても、お子様に積極的にマスクを促したりするご両親は少なく、狭いメイク室にご家族皆で入ってこられる場面も多く見られました
若いお客様達は重症化も少ない分、コロナウィルスに対する警戒感がそれほどないと感じる事も多かったですね

その為、今年度の9月以降のご予約に関しては(感染が広がったら前倒しになるかもしれません)

「条件付き

でお受けしようと考えています。

条件付きとは???? と疑問に思ってしまいますよね???

もし再度感染が広がった時に考えられることが・・・

 緊急事態宣言が通知され、外出自粛となる
 ご訪問する担当者や担当者の家族が感染する
 お客様やお客様のご家族が感染する
 感染は確認できていないが、体調不良がある(感染の可能性がある)
 3蜜の場所で感染が起きる

以上を考慮すると、そうそう気軽にご予約をお受けしてはいけないと考えました
もし、コロナウィルスに感染してご訪問ができなくなってしまうと、お客様に多大な迷惑をかけてしまう事になります
また、お互いに感染させてしまうリスクも考えられます

一方で七五三、お宮参り、結婚式などお着物を着られるのを楽しみにされているお客様もたくさんいらっしゃると思います。

どうしたら、どちらも上手く対応できるか検討した上で、考えたのが「条件付きのご予約」となりました
条件はいくつかあるのですが、一番重要なのが・・・

 ご予約日の変更に臨機応変に対応できるお客様(お日にちをずらせる、すぐに近所の美容室に振替できる、お洋服に変更できるお客様)

今までは少しくらい体調が悪くてもマスク着用でご訪問することはありましたが、コロナウィルスが流行っている時はそれができません
また、もし罹患してしまった場合は隔離生活が長期に渡る可能性があります
そう考えると

「絶対にご訪問できます

と断言することが出来ません

「もしご訪問が出来なくなった場合は他の日で調整し直しでもOKです」
「お参りだけなので、日にち変更は可能です」
「来れなくなった場合は近くの美容室に変更できます」
「着付けができない場合は、洋服に変更するので問題ありません」

以上のようなケースで対応していただけるお客様であれば、ご予約をお受けさせていただこうと思っております

また、他にも感染予防の観点から

 事前に必ず検温していただき、お支度中はマスク着用にご協力ください(小さなお子様や着用が難しい場合はご相談ください)
 お部屋の換気にご協力ください
 ご家族がお食事される場合、お支度は別の部屋をご準備ください
 ご家族で1週間以内に体調不良の方が出ている場合に必ず事前報告をしていただき、予約のキャンセルや変更をご検討ください
 ご家族に海外渡航の予定がある場合は、帰国後から2週間以上あいたお日にちでご予約願います
 ご家族に感染者の濃厚接触者が出た場合は、ご予約はキャンセルしていただきますようお願いいたします。
 換気の出来ない狭い場所でのお支度はお断りさせて頂く場合がございます
 ご訪問中にお客様に体調不良の様子が見られた場合は、お支度を中止させて頂く場合がございます


など、ご協力をお願いさせていただく事になると思います

今まではどんな場所でもご訪問させていただいていましたが、感染が完全に収束するまでは窓のない場所、換気の悪い場所、狭い場所についてのご訪問は控えさせていただこうと考えています。

逆に、ご訪問側もフェイスシールドとマスクの着用、手洗いなど衛生面で十分気をつけさせていただく予定です
また、花*小紋では当初から前日までキャンセル料をいただいておりません。
もし、少しでも体調が悪い場合はすぐにご連絡いただければキャンセル料はかかりませんのでご安心ください。
ただ、当日出発してしまうと全額発生してしまいますので、早めにご連絡いただく形でお願できればと思っております

かなり面倒なご予約条件となってしまい本当に申し訳ない限りです。
しかし、今の時期何よりも一番大切なのが「感染を防ぐ事」「健康の維持」だと思っていますので、ご協力いただければ幸いです

↓↓↓ こんな感じが新しい生活様式の中での仕事スタイルになります


マスク&フェイスシールド&割烹着着用


9月以降のご予約につきましてはHPのトップページにも記載させていただきますので、「条件付きのご訪問」をご理解いただいた上でご予約いただきますようお願いいたします
可能な範囲内で出来る限り対応できるように、最善を尽くさせていただきたいと思っております
ご質問や不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください




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着付け技術 その10 ~まとめ~

2020-05-23 16:01:47 | 着付け技術
いよいよ、緊急事態宣言が解除されそうですね
皆様、長い自粛生活お疲れさまでした

そして、着付け技術ブログに最後までお付き合いいただきありがとうございました

改めて読み返してみましたが・・・・

くどい、しつこい、細かい(笑)

ちなみにプライベートはかなりサラッとカラっとしたタイプです
日頃は出張着付けを生業としていますが、神経質で細かい人とブログから想像しないで下さいね

自粛生活でせっかくの長期休みとなったので、初めは簡単にちょっとまとめてみよう位の気持ちが・・・
つい凝り性な性分が出てしまいました
とりあえず、一通りなんとかまとめる事が出来て良かったです

最初の方にも書きましたが、着付け技術は習ってきた環境で技術や仕上がりが様々です
これが絶対という正解はないので、

「綺麗で楽で着崩れにくい着付け

であれば、どんな着付け方でも良いと思っています

ただ、どうしても着付けを始めたばかりで経験が浅いと苦手な部分や上手くいかない部分が出てくる時が多々あります。
少しでもどこかが参考になればと思って書いてみました

私自身も15年以上前に出張着付けをスタートし、毎回反省の連続でした
幸い、最初の頃は七五三の出張撮影に立ち会うことができたので、客観的に自分の着付けの綺麗ではない場所、崩れやすい場所を目の当たりにすることができました

その都度、自分で研究したり、着付け教室で学んだりと、小さな積み重ねが今につながっていると感じています。
もちろん、まだまだ発展途上なので、毎回1人反省会ですが・・・


今回着付け技術をまとめていて感じたのは・・・

 着付けは理論


着物や帯は1枚の布地
どこかを引けばどこかが引っ張られるという着物や帯の構造を知ることが修正につながります。

理論を分かったうえで着付けた方がより確実に技術は上がるかな・・・と思います

そして、少しでも技術を上げるために心がけているのが・・・

 アラ探し 

昔からブログの為に仕事の時に、お客様のお写真を撮らさせていただく事がありました。
昨年インスタを始めてからは、さらに自分の着付けやヘアメイクの写真が見やすくなり、しょっちゅう見返しては

「アラ探し

着付け後に見て何も感じなかった着付けが、1か月後に見直すと修正点が見つかったり・・・

写真って本当に自分の技術の欠点がわかるんです
仕事や練習の時など写真を撮って冷静に分析し、修正箇所のアラ探しをする事がお勧めです

また、ネットや本で着物の画像検索をして、自分が「綺麗だな~」と思う着付けを何度も見るのも良いですよ
私自身も毎日、色々な着付けやヘア画像のチェックする事がちょっとした趣味になってます

あとは・・・・

 経験の積み重ね

のみです

様々な年齢、様々な体形、様々な着物の着付け経験が間違いなく技術の肥やしになります。
困った事や驚くような事を山のように経験してきたので、今ではあまり驚く事がなくなってきました


私の過去の反省点でできた着付け技術ブログで大して参考にならないかもしれませんが、少しでもお役に立てれば幸いです


長い自粛生活が明けた時に・・・新しい生活様式に変わってしまうとは思いますが、そんな中でも

結婚式が増え
スタジオが再開し
入学卒園式、成人式が無事に開催される

その日にお客様に喜んでいただける着付けができるように私自身も精進していきたいと思っています

早くそんな平和な日常が戻ってきますように・・・・
皆様もお体にはくれぐれもお気をつけてお過ごしください

まだまだブログに書ききれていない事もたくさんありますので、また別の機会に補足版を書かせていただきたいと思っています









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着付け技術 その9 ~帯揚げ・帯締め編~

2020-05-17 08:52:03 | 着付け技術
地方から、緊急事態宣言の解除が始まり、関東近県も少しづつ解除に向かいつつあります
まだまだ予断は許さない状況ではありますが、注意を払いながら少しづつ社会生活が戻ればよいのですが・・・

さてさて、「着付け技術ブログ」はここまでなかなか長い道のりを歩んできましたが・・・
今回はいよいよ大トリ「帯揚げ・帯締め編」になります

最難関の帯結びが終了し、つい気が緩みがちな部分ですが、大変重要な部分になります
今までも色々な部位で言ってきましたが、結局全部が重要ってことですね・・・


まずは帯揚げから

よくお見かけするのが、適当に帯に差し込んだ帯揚げの残念な姿

「帯が終わって燃え尽きちゃったのかな~」という印象

 帯揚げは帯枕を隠すための布地

ではありますが、着物のデザインの中の1つになっているので、やはり綺麗に仕上げる必要があります
ぐちゃぐちゃの帯揚げだと、せっかく他の部分が綺麗に出来上がっているのになんだか残念な印象になってしまいます

意外と目に付く場所なんですね

帯揚げは振袖とそれ以外のお着物では印象が大きく異なります
振袖では「絞り」で出来た厚みのある帯揚げを使い、大きめにたくさん見えるように結びます
本結び以外に「いりく」「一文字」「飾り結び」「笹」など結び方のバリエーションも豊富です







一方、それ以外のお着物は1-2センチと控えめに出します
結び方も「本結び」が一般的ですね。




振袖以外のお着物では、ほんのちょっとしか出ない帯揚げですが、この部分が綺麗だとお着物全体の仕上がりが良く見えるんです
たかが小物と思わず、丁寧に仕上げてあげると上手な着付けに見えますよ


ポイントは後ろから綺麗に折って前に持ってくることです
自装では後ろまで手が回らないので、せめて横からは綺麗に折りたいところですね。
他装の場合は、もちろん帯枕の横からきちんと折りたたみ始めましょう




左右とも背中側から綺麗に折って前で合わせます





特に、結び目の上線はまっすぐになるように指を入れながらそーっと引くとよいですよ




結んだ後の残りの帯揚げは、全部隠れるように帯の中にいれてしまいます
帯から見えるのは、後ろから持ってきた結び目までの部分だけで、それ以外はすべて隠すと綺麗な仕上がりになります




「帯の中に紐がたくさん入っていて、帯揚げが入らないんです~

というお悩みをよく聞く事があります
帯の中には、胸紐、帯枕の紐、コーリンベルトなど色々なお紐が詰まっていますね
その為、帯揚げをいれるスペースが空いていない・・・なんて事が起きるんです

帯揚げを入れる前には、できるだけ帯の中の紐類をしっかり下げておきましょう。
2-3cm位はスペースを空けておくと、帯揚げがスッキリ入りますよ




また、

「帯揚げが綺麗に折れないんです

というお悩みを聞く事もあります
絞りや縮緬素材で厚みのある帯揚げは形になりやすいのですが、綸子やペラペラの帯揚げの場合は形が決まりにくいですね







帯揚げの折り方は2つ折り∔2つ折り∔2つ折り、3つ折り+2つ折り、4つ折り+2つ折りなどいくつか方法がありますね
折る回数よりも最終的な厚みから逆算して折り方を考える方が良いかもしれません
言い換えれば・・・

「厚みが出るように折る

お写真の帯揚げは、着付け師泣かせのペラッペラの素材ですが、何回も折る事で厚みが出てふっくらした仕上がりとなっています
3つ折り+2つ折り+2つ折りくらい折っていますが、仕上がりが綺麗であればどんな折り方でも良いと思っています
折り方以外にも、残った帯揚げ部分を芯になるように中に入れて厚みを出したり、プチプチのようなクッション材を使って膨らみを出す方法もあります






次に帯締めになりますが、帯締めは単なる飾りではなく

帯が落ちるのを防ぐ

大変重要な役割を担っています
帯締めが緩いと「帯が下がる」「帯がずれる」などの着崩れの原因になります
また、帯締め自体も下がったり、先の部分が外れたりと、トラブルが起きやすい部分です

トラブルが起きないようにするには・・・

 しっかり結ぶ

事がとても重要です
帯締めの先をしまい込む時に、

「きつくてなかなか入らない

くらいの締め具合がポイントですね
簡単に指がはいってしまうような緩さはNGです


また、お太鼓に厚みがあったり、フカフカしているとその部分が締めた後に沈んで、帯締めが緩くなってしまう原因となってしまいます
帯締めを結ぶ前に必ず帯のお太鼓部分を後ろから押して、沈み込む空間を無くしてから締めるようにしましょう




帯締めは結ぶ時にどうしても緩みがちなので、常に左右どこかの指や手の部分で押さえながら結ぶ事が大切です





 帯締めはしっかりきつめに結ぶ

がとーっても重要なので、是非気を付けてみてくださいね


帯締めの結び方の種類はいくつかあり、振袖には飾り結びなどたくさんのバリエーションがあります
どんなお着物にも合う一般的な結び方は「本結び」といいますが、結んだ時に房が上向きになる結び方と、下になる結び方があります。

平締めの帯結びでお祝いの席には、本結びでも「寿結び」という房が上向きになるおめでたい結び方がお勧めです




平締め以外の帯締めは下向きになる結び方でOKです




また、帯締めの先は外れやすいので、しっかり差し込んでおきましょう
お祝の時は上向き、不祝儀の時は下向きに房を入れる事をお忘れなく・・・


差し込み方は、立体のまま入れても、平らにして入れても問題ありません
平らにして入れると帯締めが本体から浮く事なく沿いやすいので、帯締めが短めの時などには見栄えがよいかもしれませんね。







帯締めと帯揚げを結んだら、最後に結び目が真ん中に来ているか確認しましょう
襟合わせ、帯揚げ、帯締めの中心がずれていることがありますので、きちんと揃っているか確認すると良いですね




帯揚げ、お締めが綺麗だと、全体がとても洗練された雰囲気に仕上がります
最後まで気を抜かず是非、丁寧に仕上げてみて下さいね


技術ブログは今回が最後になります
つたない内容で申し訳ない思いもありますが、長い間お読みいただき本当にありがとうございました



次回は ~まとめ編~ の予定です
編集後記のような感じです・・・



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着付け技術 その8 ~帯 後編~

2020-05-12 17:42:25 | 着付け技術
自粛生活に慣れてきて、のんびり生活を堪能していたところ・・・スタジオのお仕事が再開しました
元々1日数組限定のスタジオですが、お客様同士が重ならないようにさらに工夫をして対応するとのお話。

着付け側としてはお客様とは思いっきり対面仕事なので、フェイスシールドとマスク着用の完全防備
メイク室は窓と扇風機でガッツリ換気 
ヘア用品やメイク道具は毎回アルコール消毒とかなり気を使ってお仕事させていただいています
安心感のあるフェイスシールドですが、暑いのが難点 夏はつらいかも~


さて、今回の内容は引き続き「帯編」になります

帯をしっかり結んだら、次はお太鼓部分を作ります


ベーシックなお太鼓結びですが、綺麗に結ぶには意外と技術が必要になります
ポイントを押さえて、スッキリ綺麗なお太鼓結びを作りましょう


写真は同じお太鼓ですが、雰囲気が違いませんか?






お太鼓が決まらないと、お着物が綺麗に着れていても残念な印象になってしまいます
せっかくなら、スッキリしたお太鼓結びを目指したいですね

まず、最初にポイントになってくるのが、たれ元の部分になります
たれ元はシワシワになっているとお太鼓の上線に影響するので、しっかり左右に広げておきましょう




次にお太鼓の大きさを決めなければなりません
帯枕を先に乗せてからお太鼓を作る方法と、お太鼓の大きさを決めた後に帯枕を入れる方法があります。
私自身は後から入れる派です
帯揚げは先に帯枕に付けておいても、あとから付けてもOKです(自装の場合は先につけておいたほうがおススメです)


帯全体の大きさを決めるには、帯枕を帯のどこに乗せるかが重要なポイントです。
大きさをどの位にするかにもよりますが、たれ先を三角に折った時の端の線に帯枕の真ん中が来るようにに乗せると標準的なサイズになります
ただ、帯の硬さや長さ、帯枕の大きさや形も影響しますので、確認しながら微調整してくださいね。




帯枕の位置が決まったら、お太鼓部分の長さを調整し、上からかぶせてそのまま帯の土台に乗せます
少し斜めから差し込んだ後に背中に付けると帯枕が安定しますよ




乗せる時に帯枕の位置がたれ元から近すぎたり、差し込み方が緩いと帯の上線がウネウネしたりフカフカ浮いたりするので注意しましょう
お太鼓の上線はまっすぐ、背中にピッタリついているのが〇です






そして、もう一つ大事なのがお太鼓の重なり部分をしっかり揃えておく事です
お太鼓の上線のカーブから布目を2枚綺麗に揃えて下ろす事がポイントになります
ここが揃っていればあとは、そのまま下におろせばお太鼓全体が綺麗な状態になっています





帯枕の紐を結んだら、お太鼓の下側にある余りの部分を横に広げて平らにします
この部分が平らになっていないと、お太鼓が膨らんだ仕上がりになってしまいます
帯が厚く硬かったり、長い場合はどうしても膨らみがちになりますのが、できるだけ平らに広げてあげるとよいですね




たれの長さを残し、残りを折り上げて手先をしまって帯締めを締めれば完成です

通した手先は左右1-2cm出すのが一般的ですが、帯から出さない説、片側だけ出す説等もあるようです。
余った部分は輪の方の内側にしっかり折り込んでくださいね





どうしても仕上がりが大きく膨らんでしまった場合は、手先から出た折り上げの輪の部分を引くとスッキリします
構造上お太鼓の背中の部分からつながっているので、どこをを引くとどこが引かれるか理解しておくと修正も楽になります





おまけになりますが、お太鼓を作る時により美しく仕上げるには、

 柄合わせ

という作業があります
この柄合わせはしてもしなくても問題ありません。
ただ、幾何学の総柄模様の場合などは、やはり柄があっていると美しい仕上がりになります




柄が合っている帯と、合っていない帯の比較になります
絶対合わせる必要はありませんが、合わせるとより洗練された印象になりますね




柄合わせは帯枕を乗せる前に、たれ先の柄と同じ模様をお太鼓面から探す事が重要です
同じ柄を数か所探して、隣り同士になるように合わせます
そして、手前の柄を少しだけ下げておくことがポイントになります
なぜなら、帯枕をのせた時に手前の柄は外側のカーブの為、距離が必要になるからです。
陸上トラック競技のコーナーを曲がる時をイメージするとわかりやすいですね (外側のレーンは距離が少し長くなります)




柄合わせをしてから帯枕をそっと差し込む方がやりやすいと思います
どうしても多少ずれが生じてしまう場合は、お太鼓部分を引き出したり、中の余りの部分を引いたりして調整をします
ただ、合わないからと柄合わせに何分も時間をかけてしまうのは良くないので、程々で諦める決断をしないといけないですね(笑)
また、柄合わせを気にしすぎて、お太鼓の折り上げ部分が短くなってしまうと帯が崩れる原因になりますので気をつけましょう。



帯は大きさ、バランス、スッキリした仕上がりがとても大事です
ポイントを押さえながら、美しい帯結びを目指してくださいね





次回は ~帯揚げ・帯締め編~ の予定です




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着付け技術 その7 ~帯 前編~

2020-05-09 10:35:09 | 着付け技術
stay homeのゴールデンウィークが終わりました~
感染者数も減ってきて、街中にマスクや消毒薬もお見掛けするようになり、ついつい気持ちが緩んでしまいそうです

着付け技術ブログの完成を目指して、着付け→撮影→着付け→撮影→ブログ書き→不足部分着付け→撮影→ブログ追加→確認と1日があっという間
意外と手間がかかるので、途中で気持ちが折れそうになりましたが、友人や仕事先の方から

「楽しみにしてるよ~

とのエールがあり、エネルギー充電
朝ドラではありませんが「エール」って力になりますね


今回の内容は、いよいよ「帯編」になります
帯もポイントが多いので、2回に分けて書かせていただきたいと思っています


帯結びで1番大事なのは、もちろん緩くならない事です
当然ながら、帯が緩いと下がってきてしまいます
下がらないように結ぶには、要所要所でしっかり帯を引きながら進める事が大切です


1周目から背中でしっかり締めます
締めた後は緩まないようにクリップで留めておきましょう




2周目は上線と下線の両方が緩まないように力を入れながら回します
自装の場合は、下線を意識してしっかり引きながら帯を回すと良いですね。




下線が締まっていないと見栄えが良くない上、帯が下がる原因になります





下線がなかなか上手く締まらない場合は、後ろから右手で下線を押して緩みをとってあげるとよいですよ




帯が緩まないように2周したら、背中でもう一度しっかり締めます
帯の上線で、交差した部分を左右に平行気味にしっかり引いてあげましょう
帯が動いて「キュッ」と締まる感じがあればOKです




締め終わったら結ぶか、結ばない場合は折り上げておきましょう


そして、とても重要なのが帯の高さになります
一般的に帯の高さは振袖は高め、それ以外のお着物は低めにする必要があります。
帯の高さが合わないとちぐはぐな印象になってしまうので気をつけたいですね




同じお着物でも帯の高さが違うとかなり雰囲気が変わります
帯が高いと若々しい印象、帯が低いと落ち着いた印象になっていますね




帯をしっかり締めた後、次にポイントになるのが、

 形

 大きさ

 バランス


帯には留袖や訪問着などに合う「お太鼓結び」と振袖に合う「変わり結び」があります
華やかさや可愛らしさをご希望のお若いお客様の中には、留袖や訪問着でも変わり結びを結ばれる方はいらっしゃいます

ただ、礼装のお着物での変わり結びは少しカジュアルな雰囲気になりますので、留袖の第一礼装の時などは「お太鼓結び」を合わせます

一方、振袖の変わり結びは大昔は「文庫」「ふくら雀」「立て矢」などシンプルな結び方が主流でしたが、現在は無限に色々な結び方があります
帯の硬さや長さ、お着物の雰囲気、お客様のお好みでどのような帯結びにするか判断されると良いですね


今回は、最もベーシックな「お太鼓結び」に絞って書かせていただきます
お太鼓はとってもシンプルな形であるからこそ、かえって粗が見えやすく誤魔化しがきかない結び方です
また、大きさやバランスで仕上がりのイメージが大きく変わってくるので、お客様にあった結び方をする必要があります。

お太鼓の結び方で大切なのポイントは3つ

 帯幅

 お太鼓の大きさ

 たれの長さ



帯幅、お太鼓の大きさ、たれの長さに目安はありますが、絶対値はありません
目安の幅も広いので、体形に合わせて自分で判断しお太鼓を作る必要があります
ちなみに、それぞれの目安は・・・・

  帯幅は15cm-20cm

 お太鼓は30cm(正方形)~ やや縦長

  たれの長さは7cm-10cm



帯幅)

帯幅は15-20cmになっていますが、15cmは名古屋帯やとても小柄な体形の場合、19-20cmは振袖で帯揚げが「いりく」の場合や粋に着たい時などかなり限定的です
となると、16-18cmが一般的な帯幅と考えて良いと思います。
帯幅を比較すると、狭いとすっきり若々しい印象、広いとエレガントで落ち着いた印象になっています。
全体的なバランスを考えると、小柄な方は15-16cm、高身長の方は17-18cm位を目安にするとよさそうですね

(身長156cm前後の場合)


(身長170cm前後の場合)




お太鼓の大きさ)

お太鼓も同様で、体形によって大きさを考えます
一般的には正方形と言われていますが、高身長の方が正方形のお太鼓だと、やや寂しい印象になってしまいます
せっかくの綺麗な帯柄も見せたいので、身長によってはお太鼓は少し大きめがよいかもしれません

(身長156cm前後の場合)


(身長170cm前後の場合)




たれの長さ)

お太鼓のたれの長さは7-10cm位が目安になっています
ただ10cmはかなり長い印象になってしまうので、7-9cmくらいがバランス的には良いかな・・と思います。
体型やお太鼓の大きさからバランスを見て長さを考えます
たれが短いとすっきりした印象、たれが長いと存在感のある印象になっていますね。
たまに「お太鼓は大きく作ってください」と頼まれることもありますので、そういう時には長めにつくると良いかもしれません

(身長156cm前後の場合)


(身長170cm前後の場合)



着付けながら、定規で

「何センチ~

と測る事はなかなか面倒なので、人差し指を使用すると便利です
大体、6cm~8cm位の方が多いと思います。
一度、自分の人差し指の長さを測って、長さを決める時の目安にするとよいかもしれませんね


こういっては何ですが、お太鼓全体の印象は「お好み」なんです
「大きなお太鼓が好き」「長いたれが好き」「足長にしたいから帯は高め」「帯幅は広めがいい」・・・・

なんて、お客様のご要望をいただく事もあります
一方で、お着物に詳しくないお客様もたくさんいらっしゃいますので、個々の体型や雰囲気にあったベストバランスを考えなければなりません。

ただ、黒留袖や年配のお客様に帯を高い位置に結んだり、逆にお振袖のお嬢様に低い位置に帯を結ぶのはNGです
また、小柄な方に広い帯幅・大きなお太鼓、高身長な方に狭い帯幅・小さなお太鼓も全体のバランスが悪くなってしまいます。
守らなければいけないバランスについて、しっかり把握しておく事が大事だと思います


次回は ~帯 後編~に続きます。
内容はお太鼓を綺麗に結ぶポイントの予定です



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着付け技術 その6 ~コーリンベルト編~

2020-05-05 18:16:27 | 着付け技術
緊急事態宣言がやはり延長になりました
ある程度予想はしていましたが、今の生活がもう少し続く事になりそうですね

来月に解除されることになっても今までの生活が完全に戻るわけではないので、お仕事の方法も工夫をしなければ・・・
感染状況が落ち着くまでは仕事も慎重に進めていこうと考えています
コロナ流行下でのお仕事についての注意事項をまとめていますが、かなり細かい内容になりそうです


さて、今回の内容はちょっぴり地味な縁の下の力持ち

「コーリンベルト

着付け道具の1つですが、大昔にはなかった一品です
和装小物屋のコーリンという会社さんが作ったベルトで今では、殆どのレンタル着物にもついてくる優れものです

コーリンベルトは長襦袢の襟合わせに使う事もあるようですが、私自身は着物部分にだけに使用しています
自分の体に対して長襦袢の幅が合わない時などは、コーリンベルトを使用することで襟が開くことを防ぐことができますね

着物に使うメリットは・・・

 重ね襟や比翼がずれるのを防ぐ

 着物の襟が浮くのを防ぐ

 おはしょりが重なるのを防ぐ

もちろん、コーリンベルトを使用しなくても、着付けは問題なくできますよ(「着物 襟合わせ編」 参照)
ただ、ポイントを押さえながらコーリンベルトを使用する事で、より安定した着付けを行うことができるんです


さて、コーリンベルトの使用方法は何となくわかっている方は多いと思いますが、上手に使用することでさらに効果が出ますよ
一方で間違った使い方をすると、かえって仕上がりが悪くなる事もありますので、是非参考にしてくださいね


コーリンベルトには使用する順番があります




調整機能の無い方を最初に留めて、調整機能のある方を最後に留めます
その順番で留めないとベルトの長さを直したい時に、調整部分が着物の中に入ってしまって修正がしずらくなってしまいます
留める順番は守ったほうが良いですね



 きつくし過ぎない

ベルトがきついと時間の経過と共に、ベルトに引っ張られた着物がかぶさってきてしまい襟が詰まってしまいます
やや「緩い?」位の長さで留めるのが〇
ベルトの長さは体の幅の1.5倍位の長さが目安になります



 留める位置は伊達締めの下線から.3分の1くらいまでの位置




位置が高いと肋骨や胸にあたって痛くなる原因になります
伊達締めの上にのせることで体に当たることを防いでくれます。
また、高すぎると帯から出てしまったり、帯揚げを入れる時に邪魔になるので注意しましょう



 金具を水平に留める




金具が傾いていると、変な方向に引っ張られてしまいます
より安定した効果を出す為に平行に留めましょう



 左右の金具は同じ高さ




左右の高さがずれていると襟が曲がってしまう原因になります
半襟が左右同じになるためには、金具の位置は同じ高さにしましょう



 コーリンベㇽトを利用しておはしょりを綺麗にする




下前のおはしょりを折り上げて、コーリンベルトの金具で抑えましょう
そのまま下前のおはしょりをはさみながら、コーリンベルトを後ろに回して上前のおはしょりだけ残るようにします。
下前は右脇に向かって斜めに折っておくと、おはしょりはスッキリ、右脇で前と後ろのおはしょりがうまく合体できます



 胸紐はコーリンベルトのすぐ上で結ぶ




コーリンベルトと胸紐の距離が近いと、コーリンベルトが固定され襟が浮くのを防いでくれます
距離が遠いと、その部分が動いて襟が浮く原因となってしまいます



 襟が浮いた時に修正できる




襟が浮いたときに左右の金具を下に押してあげると、襟元がすっきりします



 重ね襟や比翼を抑える




コーリンベルトの金具で留める事で飛び出したりズレたりすることを防ぐ事ができます
重ね襟や比翼を着物よりちょっとだけ強めに引いてから金具を止めると、緩みにくくなりますよ


何となく使用しているコーリンベルトですが、是非より効果的な使い方をしてみてくださいね

次は ~帯 前編~ の予定です




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着付け技術 その5 ~おはしょり編~

2020-05-02 10:46:19 | 着付け技術
5月に入りました~
なかなか外出できない日々ですが、買い物や散歩の時に見かける草花がホント綺麗
風も柔らかくて家の窓全開でも、心地が良いです
こんな時でも春っていいですね~


さてさて、着付け技術ブログをちまちま書いていますが、裾合わせ、襟合わせの次はいよいよ

「おはしょり」

一般的におはしょりの長さは帯の下から5-8cmと言われています
身長、年齢、お着物の種類、お好みなどからおはしょりの長さを選ぶ必要があります

 身長が低めの方は短め、身長が高めの方は長め
 若い方は短め、年配の方は長め
 足長に見せたい場合は短め、お腹の出っ張りが気になる人は長め

など、様々なケースで長さの選び方は異なってきます

おはしょりの長さでかなり雰囲気が異なりますので、お客様に合った長さを選ぶことが重要です
短めだと若々しく今風な雰囲気、長めだと上品で落ち着いた雰囲気になりますね


(身長156㎝前後、帯幅16cm)






(身長170cm前後、帯幅17.5cm)*着物が短いので、衽線は合っていません







おはしょりの長さは帯を結んだ時の幅をイメージして調整をします
帯をのせても、手幅で確認しても大丈夫です




おはしょりは帯を結んだ後に・・・

「長すぎた~」「短すぎた~

と計算ミスが起きやすい部分です
この場合、修正する技術を考えると

短いおはしょりを長くするのは「簡単」 ※下に引けば長くなる
長いおはしょりを短くするのは「大変

という事から、おはしょりはやや短めに設定しておくと、後々修正しやすくなりますよ
もちろん、最初から長さが合っている事が一番です

裾合わせ編でも書かせていただきましたが、身長に対して着物が短くどうしてもおはしょりが出ない場合は、腰紐を腰骨ギリギリの最も低い位置で結ぶことがポイントです


さらに、おはしょりと裾の衽線(おくみせん)があっていればベストです
ただ、どんなお着物でも衽線が合う訳ではありません
体形に全くサイズがあっていないお着物の場合は、衽線は合わないので諦めましょう(笑)




また、おはしょりがたるんでいたりシワがあるときは、帯下の中心から両手の人差し指を入れて左右に引いてあげると綺麗になりますよ




おはしょりの最難関は、右脇での前のおはしょりと後ろのおはしょりの合体部分です
背中から持ってきたおはしょりの余分な部分を、上側にできたポケットの中にきっちりしまい込んで、綺麗にしてあげると良いですよ




前側のおはしょりの長さを調整し、前と後ろのおはしょりの長さを合わせて、お互いをしっかりかみ合わせる事が重要です




お着物のサイズによっては綺麗に合わない事もありますが、脇まで意識をして着付ける事で、どんな方角から見ても美しい着付けとなります


お着物着付けは難しい部分が多く、美しい着付けのハードルはなかなか高いと思います
相手の体形やお着物によっては上手くいかない事も多いのですが、しっかりポイント抑えながら着付けてみてくださいね






次回は ~コーリベルト編~ の予定です




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素敵なお着物姿がいっぱいです
コメント
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