熊本熊的日常

日常生活についての雑記

「ふだんのちゃわん」後日

2011年01月24日 | Weblog
正直なところ、見ず知らずの人に売れることを想定していなかったので、売れたものの配達まで考えていなかった。昔の商店というのは、販売したものを客のもとへ自ら届けるということを当たり前のように行っていたのだから、私も自分の手で購入して頂いた人のもとへ商品をお届けするのが、やはり当たり前だろう。会期終了から一夜明け、今日は購入者のもとへ電話をかけたりメールを出したりして、受け渡しの相談などをさせていただいた。平日の日中は不在のところもあり、全員に連絡がついたわけではないのだが、それでも今日だけで出勤前に4件の配達を完了した。

6日間の個展会期で19人のお客様が32点の作品をお買い上げになった。これにより、ギャラリーの賃借料は賄うことができるが、案内状の制作費まで賄うには少し不足する、という売上高だ。来場者をいちいち数えていないのだが、少なくとも自分が材廊している時に限ってみれば、数少ない来場者がかなりの高確率で作品を購入したことになる。会場の立地は、通りがかりにふらりと入るような場所ではなく、ここに来ることを目的にしていないと到達しないので、それだけで来場者のスクリーニングがある程度行われているのだが、それにしても、嬉しい結果となった。

また、そうした人々と言葉を交わす機会を得たことも良い経験となった。会場には、昨日のこのブログに掲載した挨拶文のほかに簡単な自己紹介と別の簡略な挨拶文も掲示したのだが、なかにはそうしたものを丹念に読んでくださる方もおられる。読めば私の陶芸は道楽であることがわかるから、
「ご自分でお作りになったものは、ご自分のご家庭でもお使いになるのですか」
というような質問も受ける。
「奥様もお喜びでしょう」
などと言う方もおられる。
「いえ、ヤモメ暮らしですから」
などと対応していると、おひとりだけだったが、知り合いにちょうどいい人があるなどと紹介していだくことになりそうなことになったりもする。こういうことは紹介者の意向よりも当事者の意思のほうが重要なので、果たして本当に「紹介」ということになるのかどうかわからないが、そういう心遣いをいただくだけでもたいへんありがたいことだと思う。また、直接交わす言葉だけでなく、記帳ノートに書き記された言葉のなかにも心に響くものがあって、嬉しいというよりも感謝の気持ちでいっぱいになってしまう。

売り上げた全ての作品を購入者のもとに届け終わるまでは、作品展を終了したことにはならない。自分が不在の時に購入して頂いた方もあるので、そうした方については特に自らの手で作品をお渡ししたいと思う。初めての個展の終了まで、いましばらく時間がかかりそうだ。