『ストラディヴァリウスを上手に盗む方法』深水黎一郎

クラシック音楽にまつわる短編ミステリ集です。

中でも表題作は、コンサート会場の楽屋からストラディヴァリウスをどうやって盗んだのかを、音楽に詳しく世界を股にかけるフリーター（？）が解き明かすもので、その神泉寺瞬一郎の凄さもさることながら、犯人の面の皮の厚さも、その比じゃないところが面白さの一つだと思えました。

「ワグネリアン三部作」は、一と三が笑え、二は、ある意味中毒だなあと思え、そんなにもワーグナーは影響力があるんだと感心しました。

「レゾナンス」は、偶然にも、深水さん初読でデビュー作に巡りあってしまったわけですが、私が少しでもクラシックに詳しければ、この世界に視覚・聴覚、両方の美を感じ取れたのかもしれないと、残念に思いました。
結末はきつそうで、ある意味怖いのですが、面白く読めました。