こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『J・G・バラード短篇全集1』J・G・バラード

2017-03-01 19:44:03 | 読書感想
四千円近い値段の分厚い本とはいえ、短編集だから読み終えるのにそんなにはかからないだろうと思ったら甘かったです。
開いてみたら、二段組みで活字がぎっしり。
一編一編が、きっちり読み応えのある作品で、読み流すなんてできようがありませんでした。

中でも、
主人公が同じ時間をループしてしまう「エスケープメント」
外科手術で実験として睡眠をとらない体になった三人がどうなったかという「マンホール69」
惑星ムーラクの電波天文台で働くことになった男が、前任者に持った複雑な気持ちの原因「待ち受ける場所」
ノートに書くことで、人の死を操れるようになった会社員(どこかで聞いたような)「最後の秒読み」
心理学者のもと、休暇をとっているラーセンを待っていた悲劇とは「恐怖地帯」
なぜか時計が禁じられている世界を描いた「時間都市」
ゴダードの現実そっくりのジオラマの反逆「ゴダードの最後の世界」
人間による自然破壊で海がほとんど無くなった地球を捨てて人々が旅立っていく中、残るのを決めたホリディ「深淵」
が特に好きです。

全体的に濃厚ながら、とても楽しめますが、侮れないと申し上げておきます。
コメント
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