お絵描き日記~イラストレーター照井正邦

職人、照井正邦の似顔絵、意匠など。画力の向上を目的に練習しています。

斜め向きの顔(透明水彩での似顔絵雑記)

2021-01-11 16:40:02 | 雑記
「はじめての似顔絵教室」で、正面の顔だけでなく、斜め向きの顔を描けるようになってほしいという思いがあります。
けれど、「はじめての」なので、「正面だけでも描けるようになれればよい」という思いとの葛藤があります。

側面に陰影をつけて描いてみました。
絵がカタイです。





おなじ面の角度に、同じ色を塗って描いてみました。
目ともみあげまでの距離が短くなってしまうのが私の癖なのですが、そのほうが似て見えています。



奥のほおがでっぱってきたり、斜め向きの顔を描いているのに正面顔になってきたりと、似せるのに夢中になってしまうと、悪い意味では骨格がおかしい絵、よい意味では骨格に依存しない絵になったりします。


一見別の話に思えてしまうかもしれませんが、体や手を立体的に描くと、顔を平面として似せている場合、骨格を重視した似顔絵に見えてしまい、骨格がおかしく見えたりもします。そう見せないためには、工夫が必要になってきます。

「おかしく見せたい」のと、「おかしく思われる」のとは、結果的には同じ似顔絵にみえるので、誰かが複数見ていることを想像すると「この絵おかしい、変」という方を、おかしい目で見てしまうということになってしまっているのではないかと、不安になったり。
写実表現もしますが、写実主義ではないので、おかしく見えるときは、他の意図の場合が多いですし、笑ってほしくて描いている場合もあります。

似顔絵は立体的に描く必要はないのですが、別の勉強として絵を学ぶためには必要かもしれません。
当初は「似顔絵にはデッサン力は必要ない」というスタンスでいたのですが、自分に合った表現の発見など、絵の上達にはデッサンは不可欠です。
ですが、私は「似顔絵」の指導なので、どこまでを伝えればいいのかが悩みどころです。


蛇足として、線で形だけを追ったデッサンをしたときのことです。
画家から「…がんばれ」とだけ絶望的なトーンで言われ、他の画家からは「形が合ってしまっているからなぁー…」と、絵の本質について学んでほしかったことを言えないデッサンを描いてしまったことに気付き、落胆しました。
「人は工業製品ではないのだから、現象を追えるような絵を描いていきたい」と思い、現象に重きを置く表現を風景画でも模索し続けています。