旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

ロンドンから列車でポーツマスへ

2014-01-17 06:06:25 | イギリス

ロンドンから南のポーツマス港へ行くのに、駅は二つある。テムズ川の対岸にあるウォータールー駅からのほうが早いが、よりホテルから近いヴィクトリア駅発を選んだ。

08:02に乗るつもりだったが、行ってみるとDELEYの文字「じゃ、ちょっとお店でも見ますか…」と思ったが、突然の変更もあり得るのでいつでも電車へ向かえるよう待機。

と、案の定ぱっと通常表示に戻り、「15番線」の表示となった。みんな急いで列車へダッシュ!席に着いたら二分もしないうちにドアがしまった。やれやれ、こちらの列車は日本みたいに親切じゃありません。

ヴィクトリア駅を出てしばらくすると、テムズ川を渡るあたりで夜が明けてきた。今の時期八時半ごろの夜明けである。四本煙突の廃墟になった旧発電所の建物が見えてくる。これを見て「羽のある豚」を思い出す人もいるでしょう(笑)


普通の通勤路線なのでたくさんの乗降客がある。ガトウィック空港も経由してゆく。ポーツマスまで二時間の予定だったが、途中駅ですでに10時になって、車内アナウンスがあった。
「この列車は次のフラットゥンで運行終わりとなりました。ホームで次の●●時の列車をお待ちください」
理由は、数日続いている大雨。ブライトン方面へは線路が水に浸かったために通れない所も出ているらしい。目的地へ着けるだけありがたい。

サザン鉄道のカラフルな車体がやってきた内部のデザインも少しちがう

一時間遅れて、午前十一時にポーツマス・ハーバー駅へ到着!

写真で何度も見たスピネーカータワーが近くにそびえている。


ここポーツマスへ来たのは、昨年夏の《手造の旅》あなたの知らないロンドン、パリを企画した当初、来る予定になっていたから。紆余曲折あって、最終的にはずっと西のプリマスから船に乗ったのでポーツマスへ来るのははじめて。
※昨年のプリマスの日記はこちらからお読みください。

★ポーツマス見学★
ここは現役の軍港である。そこに積み重ねられた歴史を観光客にもよく理解させてくれる施設になっている見学できる船は三隻

●HMSヴィクトリー号は、トラファルガーの海戦でネルソン提督が乗船した旗艦。これは外せない。幸いちょうど11:30からの見学に間に合った

1805年10月スペインのトラファルガー岬沖で起きた海戦は、ナポレオンがイギリス侵攻を阻止するために負けられない戦いだった。

二百門の大砲が装備され、九十秒に一度の砲撃が可能であった。※フランス船は二分に一発、スペイン船は三分に一発だったと、ガイドさんの説明。


提督と上級船員の部屋の近くに、化粧布に包まれた棺桶がつるされている。
これは、エジプトのアブキール海戦でフランス軍を打ち破った時、部下が敵船のマストからつくってネルソン提督に贈った品。

今の我々ならぎょっとするプレゼントだが、部下は「願わくば、提督がこの棺桶で安らかな眠りにつけますように」と、スピーチした。
当時は「自分の棺桶を見たものは長生きする」と信じられていたから。なるほど。


トラファルガー海戦では、英国艦隊はフランス、スペイン連合艦隊の真ん中を分断しようと突っ込んだ。英国艦隊は、敵船のマストからの狙撃にさらされる。ネルソンが狙撃された甲板にプレートが埋め込まれている


瀕死のネルソンは戦艦の中で一番安全と言われる砲撃デッキの間にある天井の低い階に運ばれ、そこで最後の時を迎えた。その様子を描いた画家は実際にここを訪れ、乗務員にインタビューをしたそうだ。

十二才で海軍に入り、戦闘で片目片腕を失っていた伝説の提督は、正式に結婚できなかったハミルトン夫人と一緒に葬ってほしいと遺言していた。

ネルソンの遺体は、水葬されることなく、故国へ戻る。腐敗を防ぐために飲み水用の樽にブランデーをいっぱいに詰め、そこに漬けた。

写真の後ろにその樽がある。

ジブラルタルに達した時、遺体が無事であるか確認され、蒸発していた酒を足して、無事にイギリスまで帰国した。

その酒は部下の船員達が皆で飲んだと、複数のガイドさんから聞いた。ぎょっとするような話だが、それだけ尊敬を集めていた提督であったということだろう。
別のところでは、ただ酒が飲みたかった船員が、樽の底に穴を開けて密かに飲んでいた、というのもあったのだが…。

・・・ポーツマス軍港の博物館見学記、まだ次回へ続きます。

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