to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

子猫の涙

2008-01-29 23:37:55 | the cinema (カ行)
父の本当の強さが、いまわかった。
「腐ってもオリンピック選手」?!アホでスケベな親父と娘、家族の物語…

監督 森岡利行
脚本 森岡利行
音楽 奥野敦士
出演 武田真治/藤本七海/広末涼子/紺野まひる/山崎邦正/鈴木砂羽/唐渡亮/黒川芽以/赤井英和/喜味こいし

1968年のメキシコオリンピックでボクシング・バンタム級銅メダルに輝いた実在のボクサー、森岡栄治の栄光と挫折の人生を森岡栄治の実の甥である監督が、自身の舞台作『路地裏の優しい猫』を映画化。



日本ボクシング界、最後のメダリスト、森岡栄治。
その破天荒な、だけどツキに見放されたかのような彼の人生の断片を、
武田真治がイキイキと爽やかに演じる、心が温かくなる作品

1968年メキシコオリンピックのボクシングバンダム級で銅メダルを獲得した伝説のボクサー、森岡栄治(武田真治)。
オリンピック後、プロに転向するも網膜はく離により引退。
定職に就かない父と家計を支えるためにスナックで働く母和江(紺野まひる)の間に生まれた治子(藤本七海)は父への反発からいじめも許さない正義感の強い女の子に育つ。
そんな栄治を支えた栄治の姉(鈴木砂羽)は、弟の栄光を誇りにしていた。
あることをきっかけに栄治は、ヤクザの親分の世話になりボクシングジムの会長を務めることに。
しかし父の女遊びや破天荒な生き方に嫌気がさした和江は、子供たちを置いて家を出てしまった…。
入れ替わるように父の愛人・裕子(広末涼子)が森岡家にやってくる。治子にとっては居心地の悪い日々。
自分に降りかかる不幸はすべて父のせい、そんな治子に正面からぶつかってきたのは意外にも裕子だった。

小さい時からケンカ大好き。ナンパ大好き
母校のボクシングのコーチはやっていても、定職に就かず、夜のクラブ活動には熱心
右目の視力を失うというハンデを感じさせない夫婦喧嘩のフットワーク(笑)
どうしようもないダメ、エロ親父なんだけど、彼には愛と、屈しないこころがあった。

大阪が舞台という事で、『下妻物語』を思い浮かべたり『自虐の詩』を思い出したりしたけど
どんな辛い状況でも常に温かいツッコミで笑いをとる大阪人、の監督ならではの
爽やかで優しい作品になっている
以前偶然にみたTVの番組で、大阪の街で見知らぬ人にいきなり「バーン」とやって、そのリアクションを東京と比較していたのを見た。
先ず大阪では90%以上の人が、見事にやられたフリをしてくれる(笑)。(東京ではアブナイヒト扱い)
正にそんな大阪の心というか、笑いのテイストが基盤にあるので暗くならない

役作りとは関係なく、もともと内面の鍛錬の為にボクシングをやっていたという武田真治はもちろん凄いです!
が、女優陣も負けていません。
広末さんのキレのあるアクションに加えて、珍しい紺野まひるさんのアクションも見逃せません(笑)
子役の藤本七海ちゃんもカッコイイです

ちょっと醒めた目で父の生き方をみつめる少女を、
どこか無防備な不器用な嘗てのメダリストの生き様を、
愛情を持って描いたとても素敵な映画でした
あちこちですすり上げる男の人、そもそも、男性が多かったですが
鑑賞中よりも、ステキにこの作品に合っているRie fu の主題歌「Home」が流れ出してから
・・・じわじわと溢れるものがありました。

日本映画エンジェル大賞受賞
第20回国際東京映画祭『日本映画・ある視点』 特別賞受賞

余談ですが、成長した弟の役で松尾政寿さんがでてましたね。
カレは以前、恭子ちゃん出演のドラマで、堂本剛くんのライバルボクサーを演じてましたが、この時も赤井英和さんと一緒でした。
セリフも殆ど無く勿体ない起用だと思ったのですが、武田真治さんと顔立ちが似てる!
なるほど、年齢を別にしたらまさに親子(兄弟?)っていうくらい似てました~。


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12 コメント

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これ観たいです!! (ゆう)
2008-01-30 08:55:11
kiraさんがご覧になる映画って
私のこころをくすぐるものばかり。
でも上映スクリーン数の少ない作品なので
なかなかリアルタイムで観れないのが
とても残念です。

昨日とってもいい作品を観てきました。
「テラビシアにかける橋」って言います。
オススメです。近隣に上映されてる映画館が
ありましたら、是非ご覧になってみてください!!
ゆうさん~☆ (kira)
2008-01-31 20:55:02
一部の大作を除くと、最近はあっという間に終ってしまいますよね~。
直ぐに早朝1回とか、夜だけの上映になってしまい
主婦としてはなかなか時間を合わせられなくなってしまいますよね。

運良く地元のシネコンでやっていました。
宣伝もしてなくて、この作品は上映まで1年半もかかったそうです。
子役の藤本七海ちゃんも舞台挨拶の時にはすっかり大きくなっていたようです。
派手さは無いけどこの家族をみつめる監督の愛情が溢れる、
素敵な作品でしたよ
どこか懐かしい「昭和の父」
久しぶりに、自分の父を思い出しました

「テラビシア」観る予定ですよ!
なので、どなたの記事も見ないようにしてるンです~
こんにちわ (睦月)
2008-02-05 15:33:12
『カリスマ映画論』の睦月です。
TB&コメントありがとうございました。

東京と大阪の県民性のお話、すっごく興味深く
読みました。私は岩手出身の東北人だけれど、
「バーン」とやられたら、目も合わさずにシカト
しちゃうと思います(苦笑)。
東北人は小心者が多いのです(笑)。

武田さんに広末さん、その他サブキャラもユニーク
な配役なのに、案外地味な宣伝なんですよねえ。
すごくステキな作品だからたくさんの人の目に
触れて欲しいなあって思うのに・・・。

ところで、この前のコメント読んじゃいました。
テラビシア、私からも最高にオススメの1本です♪
睦月さ~ん♪ (kira)
2008-02-06 20:41:13
こんばんは!

そうなんですよね~、
ってか、殆どこの作品の宣伝に遭遇しませんでした
なので、睦月さんがご覧になってるのを見つけて
超~嬉しかったです!!

武田真治くんって、本当に不思議な魅力がありますよね♪
役者になるために生まれてきたという感じもします
この作品、派手さはないけどとっても心をくすぐる温かいものに溢れてて
好きな作品
ウチの近所ではまだやってますが、宣伝にチカラ入れて欲しかったな。
観客を選ばない、いい映画だと思います
ちなみに、ワタシは「バーン」とやられたら、
そこが何処でも即反応、「や、やられた~」といって倒れます(笑)
娘から見た父 (michi)
2008-02-14 12:45:48
TBありがとうございました。
一見、冷めた視線の娘ですが、
父の愛情はしっかり伝わってるんだなと思いながら観ていました。
口では色々言いながら、いい親子でしたよね!

それと、森岡栄治の心構えの広さも感じました。
私、何よりもセコイ男が嫌いなので、
尚更、ツボにきたのかもしれません 笑。

michiさん☆ (kira)
2008-02-15 21:08:03
こちらにもコメント、ありがとうございます

「ぜんぶ、フィデル」「テラビシア」と、この「子猫~」と
3作続けて、子供目線の作品を観た事になりますが、
この作品もまた良かったですよね!

何でもずけずけ言ってるようでいて、決して本当に
父親が傷つく事はしなかった治子でしたよね
キャストもみんなイキイキしていたし、
ホントに武田さんが素敵でした~
こんばんわです (あるきりおん)
2008-02-22 21:13:13
TB強襲失礼しました&コメントありがとうございます。
思わぬ拾い物をしたというか、そんな感じで非常に良い気分で劇場を後にできました。
娘のナレーションがメチャメチャ面白くて、それでいて結構スルドイんですよね♪

そうそうテラビシアもメチャメチャ良かったです。
あるきりおんサマ* (kira)
2008-02-23 15:42:30
こちらへのTB,とっても嬉しいです!

そうですよね♪私もそうでした!
舞台「路地裏の優しい猫」をご存知の方なら、あと、
出演者のファンなら知っていたとしても不思議じゃないですが、
「宣伝力」のない作品だということで埋もれてしまっては残念な作品だと思います。
キャストも嵌っていたし、ナレーションも上手、面白い。
男の生き様、ウソのない愛情がちゃんと描けていて、いい映画でした
こんにちは (バラサ☆バラサ)
2008-03-01 02:35:05
「子猫の涙」へのトラックバックありがとうございます。

あまり好きでなかった役者二人(武田、広末)が、演技出来る奴らじゃないかと思い、「今まで誤解していた。スマン。」と謝りたいですね。

まったくもって客が入っていませんでしたが、DVDのレンタルに期待です。軽い気持ちで多くの人に観てもらいたいですね。

間違って、「once」の記事をトラックバックしてしまいまいした。お手数ですが、削除してください。
バラサ☆バラサさん* (kira)
2008-03-02 00:54:45
こんばんは!
わざわざのお越し、有難うございます。

>あまり好きでなかった役者二人
そうだったんですか、でもなかなかいい役者さんですよね、二人とも。
どんな不運が襲ってきても、自分にやれる事を黙ってやる。
お金が無くても、女房に逃げられても、優しさを失くさない。
真に強さを感じさせる生き様がよかったです~

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