認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

認知症の予防と脳を活性化する生活習慣 「一芸を極める」(B-02)

2014-01-15 | 認知症初期の症状と老化現象との区別の方法

 初春を 迎えし我は  中のボケ

      今日が幾日か 覚えも知らず (2) By kinukototadao

○   退職後の生活で、一番気にかかる不安は、「認知症」になること

私は、長年一筋に勤め上げてきた会社を昨年の11月に定年退職して、第二の人生を歩みだしたばかりなのです。年は、65歳になります。先輩達の話を聞くと、第二の人生で一番気になることは、「アルツハイマー型認知症」と言う病気のことなのだそうです。その病気にかかると、妻だけでなく息子や娘たちまでにも計り知れない迷惑と精神的経済的に多大な負担をかけさせることになるのだそうです。第一の人生を、家族の幸せと人並に豊かな生活の獲得と維持とを目標にして、仕事一筋で突っ走ってきた私です。趣味や遊びに目を向けたり、そうした生活を楽しむ精神的な余裕はありませんでした。仕事人間だった私にとって、仕事とは無縁になる第二の人生をボケとは無縁で生きていくには、何をどのようにしたらいいのか、それが第二の人生の出発点となる今年のお正月の最も大事な関心事なのです。

  kinukototadao」の(N0-101)のブログを読んで、恐れている「アルツハイマー型認知症」と言う病気にかからない方法があると知りました。第二の人生が始まったばかりのこの若さで早々とその病気にかからないためにも、第二の人生を楽しむ中で、脳を活性化する為の生活習慣を構築することを、一年の計ではなくて第二の人生の計として第一の目標にしようと心に決めたのです。

ところが、仕事一筋に、ただがむしゃらに第一の人生を突っ走ってきた私には、元旦の朝そう考えてはみたものの、三ケ日が過ぎても、その先が進まないのです。「そうは言っても、何を、どのようにしたらいいの?」の状態のままで、肝心の私の「前頭葉」が少しも働かないのです。どうしたらいいのでしょうか。

 

それでは、Kinukototadao  からのアドバイスを次のとおり、お取り次ぎします。 まずは、「アルツハイマー型認知症」についての正しい知識を持ちましょう。その上で、脳の働きのメカニズムについて知り、「アルツハイマー型認知症」の発病予防に不可欠である脳を活性化させる「生活習慣」の構築と実践とを、家族の理解と協力も得ながら、自分なりの「テーマ」と自分なりの「やり方」とで日々実行するのです。

第二の人生が始まっているということは、然も何をどうしたらいいかと私にアドバイスを求めてこられたということは、「時間はあり余るのにすることがない」状態にあるのでしょう。逆にそのことを幸いにして、私のこれまでのブログをしっかり読んでください。昨年末のN-100を開いて(12月15日公開)、関心のある読みたいテーマを選んで、まずはそれを読んでみてください。そこで興味が少しわいてきたら、次に読みたい他のナンバーを見つけて読むのです。私としては、Q/A Roomの様式でみなさんの関心がありそうなテーマを取り上げて書いてあるN‐44からN‐65までを一気に読み進むことをお勧めします。

ところで、認知症に対するテレビ等のマスコミの取り上げ方には注意が必要です。視聴率を気にするあまり、テーマのセンセーショナルな取り上げ方をしたり、本当の意味での専門家というよりもマスコミ受けする人を登場させるきらいがあるからです。働き盛りの若い年齢の人達の間に「アルツハイマー型認知症」が増えてきているなどというのがその典型です(それらの大半は、側頭葉性健忘症や感覚性失語症などを認知症だと誤診しているだけなのです。「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の働き具合を精緻に測ることさえもしないで、「DSM-4」の第一の要件に引きずられ、重度の「記憶障害」の症状、或いはそれと紛らわしい症状さえ確認されると、なんでも「アルツハイマー型認知症」だと誤診してしまうのです)。色々な種類が数多くある認知症の大多数、90%以上を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症なのです。ありふれた認知症と言うか、皆さんが普段の生活の中でしばしば出くわすのは、殆どがこの「アルツハイマー型認知症」なのです(ここを「クリック」してください)。   

 

「アルツハイマー型認知症」発病の第一の要件は「加齢」にあるのです(具体的な基準を挙げると、60歳以上の「高齢者」であることが必要条件となります)。働き盛りの50歳代で「アルツハイマー型認知症」を発病する人が増えてきているというのは誤りなのです。50歳代で「アルツハイマー型認知症」を発病するケースは、皆無とは言わないまでも極めて稀なのです。50歳代以下の若い年齢で発病するのは、生まれつき特定の遺伝子に(現在、3種類の遺伝子が確認されている)異常がある人だけが発病の対象となる「若年性アルツハイマー病」であるか、或いは「重度の記憶障害」の症状を呈する「側頭葉性健忘症」などの認知症と紛らわしい病気が認知症と誤診されたケースなのです。然もそれらはいづれも、発病数それ自体が僅かなものなのです。従って、高齢化率が30%を超えるような市町村、或いは大都会でも高齢のお年寄りが集まって生活している地域や場所、例えば高齢のお年寄りが大勢生活している大型の古いマンションなどでは、「アルツハイマー型認知症」のお年寄りに遭遇する機会がそれだけ多くなります。

その「アルツハイマー型認知症」の発病原因については、学者達が主張している主要な説で、現在まだ学説として生き残っているものだけでも、「アミロイドベータ説」、「タウ蛋白説」及び「脳の萎縮説」の3つもの説があります(実はそれらの学説の全てが、主張しているその原因と認知症の発病との間の因果関係を説明できていない、全くの「仮説」にすぎないのです)。

 インターネットで検索すると、「早期診断」と銘打った医療機関の多数の客寄せブログに出会うことが出来ます。ところが、認知症の専門家とされる人達(学者や医師や治療薬の研究者達)は、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の人達、私達の区分で言うところの「重度認知症」(大ボケ)の段階の人達の症状にしか注目していないのです。

「早期診断」と銘打っておきながら、そこでいう「早期」という意味は、私達が問題提起している本当の意味での早期の段階、回復させることが容易な「軽度認知症」や回復させることが未だ可能な「中等度認知症」ではなくて、もはや回復させることが困難な「重度認知症」の段階の中の比較的早期のことを言っているに過ぎないのです。 「重度認知症」の症状が出てきて、且つアメリカ精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の第二の要件として確認が要求されている「失語」や「失行」や「失認」などの症状が出てくるようになったお年寄りでないと、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えようとしないのです。

 

「社会生活」や「家庭生活」に支障が出てくる状態、回復させることが可能な「アルツハイマー型認知症」の早期の段階(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階)の症状が発現しているのに、何事にも意欲が出てこない症状に着目して「不活発病」とか言う病名をつけてみたり、頻繁に出てくるようになる物忘れの症状だけに目をつけて「老化現象」とか言ってみたりして、それら初期の症状を見落としているのです。「セルフケア」にも支障が出てきて日常生活面での介助が要るようにならないと、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現しているとは考えようともしないし、疑ってみようともしないのです。それが医療現場の実状なのです。

その人達は認知症の専門家とされながら、「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での「早期の段階」であり、回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階のことも、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階のことも知らないのです。権威だけはあるが内容としては極めて重大な過ちを犯していることにも気付かないで、アメリカ精神医学会の診断規定である「DSM-4」の規定に準拠して「アルツハイマー型認知症」の診断を行うがために、回復させることが可能な早期の段階を見落としてしまっているのです。医療の現場にいて、様々な程度と態様を呈する「アルツハイマー型認知症」の患者を診察する立場にいながら、「DSM-4」の基準を疑うこともなく、ただそれに盲従しているだけと言うしかないのです。

いろいろな種類がある認知症のうちの大多数、90%以上を占めているにもかかわらず、「アルツハイマー型認知症」は、原因不明で治らないし、発病を予防することもできない病気とするのが世界中の医学会での定説となってしまっているのです。「アルツハイマー型認知症」の発病の原因についても上述した三つの学説が世界中の定説なのです。ところが、それらの学説の説明内容を詳細に検討してみると、「末期の段階の症状が何年間か続いて」、何らかの他の病気が原因で死亡したお年寄りを解剖して得られる「解剖所見」が示す3つの特徴のうちのいずれかが、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因だと勘違いしているのです。「末期段階の症状が何年間か続いた」結果としての産物(副産物)に過ぎない老人斑の生成とか、神経原線維変化とか、脳の萎縮とかを、因果関係の確認も立証もなしに、「アルツハイマー型認知症」を発病させる真犯人だと主張しているのです。

 

「アルツハイマー型認知症」は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウトプットがそのまま段階的な症状として現れてくるだけの病気であり、その本質は「廃用症候群に属する単なる生活習慣病」に過ぎないのです。言い換えると、「前頭葉」を含む脳を使う機会が極端に少ない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続が原因で(私達が定義する発病の「第二の要件」なのですが)、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが異常なレベルに衰えた直接の結果として、認知症の症状が発現してくるだけの病気なのです。

「前頭葉」を含む脳の働き自体が異常なレベルに衰えていることに対応する段階的な認知症の症状が出てくるだけの病気なので、身体が保つのが特徴なのです(「アルツハイマー型認知症」の発病が直接の原因で死ぬことにはならないのです)。「アルツハイマー型認知症」は、器質的な変化ではなくて機能的な低下(退化)を本質とする病気に過ぎないのです。このことは、私達が440を超える市町村でこの20年間にわたって実践してきた成果とそれを根拠づける脳機能データにより実証されているのです。

 

 私達の主張には権威がないと不安に思われる方達は、今後数年もすれば、東日本大震災を被災したことが「キッカケ」となりナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続を余儀なくされるにいたった「高齢者」たちの内の多くの人達が、他のどの地域の高齢者の年齢別の発症率と比較しても異次元と言われる程の高率により、「アルツハイマー型認知症」を発病し且つ(その人達の症状の重症化が現在も進行していっているので)、私達が問題にしているその時期になると、「中等度認知症」の後半の段階から「重度認知症」の段階の症状を示すようになっているはずなのです(ここを「クリック」してください)。

そうした事象が誰の目にも明らかになってくるような規模になると、認知症の専門家達が初めて問題にし、マスコミが取り上げることにもなり、私たちの主張が疫学的に立証されたことが確認されることにもなるのです。「キッカケ」が発生してからナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり継続していく中で、「小ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から半年から3年の間続き、「中ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から4~5年経つまでの間続き、「キッカケ」の発生から6年が経つと「大ボケ」の段階が始まるからなのです(ここを「クリック」してください)。なお、「大ボケ」の期間というのは、「大ボケ」の段階の症状が発現してから何らかの他の病気が原因で死亡するまでの期間ということになります。「大ボケ」の段階にまで症状が重症化してくると、症状を発現させている原因である「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの異常な低下が進行してしまっているので、治すことは困難になってしまうからです。身体が保つ限り(命が続く限り)、症状が更に進行していくだけになるのです。従って「大ボケ」の期間は、人により様々なものとなるのです。

 

○  生活の中で日々しっかり使ってやれば、「異常な機能低下」は防げるのです

何かを「キッカケ」として、「趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もなく、生き甲斐もない」、ナイナイ尽くしの「単調な日々」を送る生活習慣の下で、言い換えると「前頭葉」を含む脳の出番が極端に少ない日々が続くうちに、使われる機会が極端に減った「前頭葉」を含む脳全体の機能が加速度的な機能の低下、「異常老化」を起こしてくることになるのです(ここを「クリック」してください)。 

言い換えると、「アルツハイマー型認知症」の本質は、廃用症候群に属する「生活習慣病」に過ぎないので、脳を活性化する「生活習慣」の構築と日々の実践によりその発病を「予防」することが出来るのです。

ところで、意識的に何かの行動を起こすには、先ずは、考えることが先決となります。何をどうするのかそのテーマを考えて(色々な可能性のテーマをシミュレーションして)、その考えたテーマの中からこれと思うものを選択して、その選択したテーマの実行計画を立てて、立てた計画のやり方を工夫しつつ行動に移す。それが、私たち人間だけが獲得した特権なのです。

ここで、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能、「意識的な世界」を支配している「前頭葉」の働き方について概説しておきましょう。私達人間だけが有する「前頭葉」の機能を中核として(わかりやすく表現すると、三頭建ての馬車の「御者」の役割)、私たち人間は、意識的に何かの「テーマ」を考え、その内容を計画し、いくつかのケース・シミュレーションを経て、個々人ごとに異なる「前頭葉」の「評価の物差し」に照らして、最終的な判断による決断をして、左脳や右脳や運動の脳に対し指令を出して実行しているのです。

最終的な判断或いは決断に至る過程では、様々なケース・シミュレーションが必要となるので、「前頭葉」の三本柱の機能(意欲、注意集中力および注意分配力)の中でも「注意分配力」の機能が働くことで、「主題」となっているテーマを保持しつつ同時に、いくつかの選択肢であるシミュレーションの対象となる「副題」に対しても注意を分配し関係する機能が発揮されるのです。その場合、「注意の分配機能」の分配された度合いに応じて当該副題に対する「認知度」及び「意識度」が高くも低くもなるということなのです(「認知及び意識の多重及び多層構造」の問題)。

 

○   前頭葉の「3本柱」の機能に潜む「正常老化」の性質

意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、比較、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断等、「前頭葉」を構成している各種の高度な認知機能を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となるのです。認知度が一定レベル以下だと、「前頭葉」の各種認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした「認知度」の高さ或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能なのです(「認知度」と「発揮度」とがともに、「三本柱」の機能レベルと「リンク」している)。

「前頭葉」を中核の機能として、左脳や右脳や運動の脳も参加して、脳全体で何をどのようにするかを決めるには(テーマを選択し、実行計画を立て、実行に移す)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」の継続的な発揮が不可欠になるのです。様々な状況を考慮し、いくつものケースシミュレーションを経た上で、最終的な内容を決定し、実行に移すには、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の発揮も必要になるのです。上述のようにその「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」と言う脳の働きの「3本柱」の機能と言えるのです。 

ところが、私たちが意識的に何かのテーマを思いつき実行しようとするときに、必要とされる各種の認知機能を発揮する上で、必要不可欠の機能である「前頭葉の三本柱」とも言うべき、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」には、加齢とともにその働きが衰えていく「正常老化曲線」の性質が内在されているのです。そのカーブは、私たちが「二段階方式」に基づく「かなひろいテスト」の実施により集積した年齢別の機能レベルの推移を示す下図のとおりなのです。

        

脳の司令塔は「前頭葉」であり、その「前頭葉」の三本柱の機能に加齢と共に働きが衰えていくという性質、「正常老化の性質」が内在していることが「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明する上で不可欠の重要な指標となるのです。

原因が分からないとされている「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムを解明する上で重要なのは、肝心要のこの「前頭葉」の三本柱の機能には、「20歳を過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく」という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化曲線」があることなのです。それなりに「前頭葉」の出番がある「生活習慣」を維持していても、加齢とともに機能が緩やかに衰えて行くという性質があるのです。「高齢者」の入口である65歳頃には、「前頭葉」の「三本柱」の機能レベルが最も高い20歳頃のほぼ半分くらいにまで衰えてきていることが注目すべき要因なのです。実態面からも明らかなように、「アルツハイマー型認知症」は、60歳以降の「高齢者」が発病の対象となり、70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と高齢になればなるほど、発病する人の年齢別の割合が、どんどん増えて行くのです。

この「前頭葉」の老化曲線のカーブの傾きの度合いは、60歳を過ぎた高齢者と言われる年齢になると、脳の使い方という視点からの「生活習慣」に大きく左右されるようになります。脳の後半領域の働きである左脳、右脳及び運動の脳から送られてくる情報の質と量次第で、「前頭葉」の老化の曲線は、「緩やかに低下するカーブ」(正常な老化)を描き、或いは、「加速度的に低下するカーブ」(異常な老化)を描くことになるのです。 

たくさんの量と質のよい情報が送られてくるような「生活習慣」が継続されているお年寄りは、老化の曲線は緩やかなものとなり、身体が保つ限り脳も保てる、「かくしゃく老人」への道が開けてきます。生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されていて、量も少なく質も劣る情報しか送られてこない「生活習慣」が継続されているお年寄りは(私たちが定義する「アルツハイマー型認知症」発病の「第二の要件」)、老化の曲線が加速度的な低下の曲線を描いて、急速に低空飛行になっていくことになります。その行き着く先には、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているのです。    

上述した概説からお分かりのように、「アルツハイマー型認知症」の本質は、脳の使い方という視点で言うところの廃用症候群に属する「生活習慣病」なのです。本来的な性質として内在している「前頭葉」の「正常老化の曲線」の問題(発病の「第一の要件」)と第二の人生に入って、何かを「キッカケ」にして、「右脳」も「運動の脳」も使う機会が極端に少なくなるような生活、「生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない」ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、そうした生活が日々継続していくと(発病の「第二の要件」)、出番が極端に少なくなった「前頭葉」が「第一の要件」と「第二の要件」との「相乗効果」により廃用性の機能低下を起こしてきて老化を加速させていき、「アルツハイマー型認知症」発病への道を歩みだすことになるのです(ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」については、ここを「クリック」してください)。 

  

○   脳全体をしっかりと使い、脳が生き生きと働く生活習慣を継続することが、「アルツハイマー型認知症」発病の予防になるのです。

高齢になったお年寄りが、何かをキッカケにして、歩行する機会が極端に少なくなると、膝の筋肉が廃用性の機能低下を起こして来て歩けなくなります。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムは、高齢者の膝の筋肉が廃用性の加速度的な機能低下を起こしていくのと同じメカニズムと考えられるのです。従って、廃用性の生活習慣病がその本質と考えられる「アルツハイマー型認知症」の発病を予防するには、脳をしっかり使う自分なりの「生活習慣」の構築と維持が不可欠だと言うことになるのです。

「アルツハイマー型認知症」を予防するには、日常生活のいろいろな場面で、「前頭葉」を含む脳全体を「しっかりと使ってやる」ことが必要不可欠の条件なのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」には、そもそも、加齢とともに働きが衰えていくという性質があるからです。「アルツハイマー型認知症」を発病しないためには、老化のカーブ(上述した「正常老化」のカーブ)を支えていくこと(下支えする「生活習慣」を構築し、維持すること)が不可欠の条件となるのです。

自分なりの「目標」がある生活、その「目標」を達成することで「生き甲斐」や「喜び」や「感動」が得られることが、その過程での「意欲」や「注意の集中力」や「注意の分配力」という「前頭葉」の三本柱の出番を多くすることになり、「脳を活性化」させ、廃用性の老化を防止することになるのです。そうした「前頭葉」の三本柱の出番が多い「生活習慣」の下では、発想、創意、企画、構成、計画、工夫、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、組み換え、修正、変更、整理、機転、興味、創造、感動、評価、判断、抑制忍耐、及び決断等の「前頭葉」の高度な諸機能が、それなりに働く機会が与えられることで、「年齢相応」の自分なりの「正常な機能のレベル」を維持することが出来ることになるのです。

   

○   「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状は、「前頭葉」を含む脳全体の働き具合の直接のアウトプットなのです。

世の中の専門家達から原因がわからないと言われている「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳の機能が、廃用性の機能低下により(使われる機会が極端に少ないために、機能が衰えてくることにより)、加速度的に異常なレベルに衰えてくることが直接の原因で発病し、認知症の症状が発現してくるのです。

「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の機能が異常なレベルに衰えてきたことの直接のアウトプットにすぎないのです。従って、「前頭葉」の出番が多い「生活習慣」を維持することによりその機能が正常なレベルに保たれている限り、「アルツハイマー型認知症」を発病することはないのです

自分なりの「テーマ」とその達成に関わる「目標」がある生活、その目標を達成する過程及び結果により「達成感」や「喜び」や「感動」や「生き甲斐」が得られる生活を送ることで、「三本柱」の機能を含む「前頭葉」の諸機能の「出番を増やしてやる」(しっかりと使ってやる)ことしか他に、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する方法はないし、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」の段階及び回復が未だ可能な「中ボケ」の段階)からの回復の方法もないと言うのが、データと実践に裏付けられた私達の考えなのです。従って、「前頭葉」の働き方及び異常なレベルへの機能の低下のメカニズムから考えると、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するままで居て、異常なレベルに衰えた「前頭葉」を含む脳全体の機能を、飲むだけで(或いは、貼るだけで)正常なレベルに機能回復させることができる薬(「アルツハイマー型認知症」の治療薬)を開発することができるなどというのは、不可能なこと、絵空事だとしか思えないのです。

    

○   脳を活性化させる上で、第二の人生での「テーマ」となるものとは

そうした視点から言えば、第二の人生では仕事(「左脳」が中心となる)がらみの「テーマ」を目標とすることは一般的には無いことなので、仕事以外の「テーマ」、「趣味」や「遊び」や「人づきあい」(「右脳」が中心となる)や「運動」(「運動の脳」が中心となる)、或いは「社会活動」等を「テーマ」として、それを自分なりの「目標」の設定と自分なりの「やり方」で実行し、且つそうした生き方を自分なりに「楽しむ」という生活を「習慣化」することが、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」する必要不可欠の条件ということになるのです。

やることが楽しくて、「意欲」が自然と湧いて来て、熱中できるような、自分なりの「目標」となる「テーマ」、「注意を集中」したり「注意を分配」(複数の異なったテーマを同時並行して実行する前頭葉の機能)したりすることができるだけ多い「テーマ」に取り組む「生活習慣」を継続する中で、自分らしい「生き方」、自分らしい「生活の楽しみ方」を追及し、そうした暮らし方(脳の使い方としての「生活の仕方」、すなわち、「生活習慣」)が、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」してくれることになるのです。

 ○  意欲が湧き、その意欲がまた他のテーマの遂行に向かう循環が大切

その為には、周りを気にせず、自分の置かれた諸環境と条件とを考慮した上で、自分なりの楽しみが得られ、自分なりの夢を追うことが出来る「テーマ」を見つけて、自分なりのやり方で実行し、その遂行の過程と結果とが自分なりの基準で評価し満足することが出来るようなものであること、言い換えると、「自分の身の丈に合った、自分なりの幸せや生き甲斐や目標を追求する生き方」が不可欠となるのです。周りと比較して、自分が負けているとか勝っているとかいう価値基準にはきっぱりと決別することが必要不可欠の条件となるのです。

「テーマ」が「仕事」の実行であった第一の人生では、皆さん誰でも、周りと比較して自分が負けてるとか勝ってるとかを問題にし、重要視してきたのです。少なくとも人並みと言える程度の経済的に豊かな生活を追求し、獲得することが世間一般に求められ、そのことを家族に保証することが価値とされてきたのです。それが当たり前の価値基準だと思い、周りもそれを求めてきたのです。

ところが第二の人生では、「仕事」のテーマに代わって、「趣味」や「遊び」や「運動」や「人づき合い」や「社会活動」がテーマとなるのです。そうした場では、第一の人生での価値基準を放棄してしまい、忘れ去ってしまうことが必要不可欠となるのです。

周りを見て、周りと同じようなテーマややり方を選択し、周りと比較して自分が勝っているかどうかを評価する従来の「価値基準」のままでいたのでは、肝心の脳が活性化されないのです。勝っていればいいけど、負けていると感じると、やる気が続かなくなるからです。そのテーマを日々実行していく為に必要な「意欲」が出てこなくなるからです。そうした価値基準ではなくて、「自分なりのテーマを自分なりに実行し、その遂行の過程自体を楽しみ、その結果自体をそのままに受け入れて満足する」と言う新しい価値基準の適用が大原則となるところが、「仕事」をテーマとして選択するときとは根本的に異なることに注意が必要なのです。

   

○   すべてのお年寄りに共通の脳を活性化させる生活習慣としての第一番目の「テーマ」となる生活習慣は、「速歩の散歩」なのです。

ところで、「脳を使う」と言うと皆さんは直ぐに「左脳」を使う(仕事や勉強をする)イメージをお持ちだと思いますが、「アルツハイマー型認知症」を予防するための「脳を活性化」させるエース・ピッチャーは、実は「右脳」なのです。皆さんは、「時間が、あっという間に経ってしまう、楽しい体験」をお持ちでしょう。こんな時間こそ、脳全体が極めて活性化している、イキイキと働いている時間なのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり「楽しむ生活」を送ることが不可欠になるのです。「趣味や遊びや人づきあい」などを楽しむことで、自分なりに目標や喜びや生き甲斐があり、意欲が湧いてくるような毎日を過ごすのです。

趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」重視の生活が、「前頭葉」の出番を増やし働きを活性化させることになり、脳全体の機能が正常レベルに維持されることになるのです。趣味や遊びや人付き合いが苦手な人は、「運動の脳」を使うことが脳を活性化させる上で意外と効果的です(ここを「クリック」してください)。

  

○   第二のテーマとなる生活習慣は、「一芸を極める」ことです【その一】

第一の人生で、仕事一筋の仕事人間であったあなた、趣味や遊びに目が行かず体験したこともないあなたに、いきなり、アノ趣味をとかコノ遊びをとか言っても始まらないでしょう。多芸多趣味は、理想的ではあるのですが、誰にでも達成できる訳のものではありません。そこで、今日はあなたに、「一芸を極める」やり方を提案したいと思います。多芸ではないが、さりとて、無芸ではない道の追求です。

誤解がないように最初に忠告しておきますが、「一芸を極める」生活習慣とは、「一芸に秀でる」生活習慣とは本質的に異なる価値基準が必要となるのです。周りの人と自分とを比較してみてください。「一芸に秀でよう」としても、親から引き継いだDNAも、生まれ育った環境も、第一の人生での種々の体験も、現在の生活環境も、経済環境も、人的環境も、全てが異なるのです。或るものについてはそれなりに優位であっても、大多数については逆の状況にあるでしょう。比較優位ではないそうした諸環境及び諸条件のなかで、どうしたらあなたの「脳を活性化させる」ことが出来るテーマを見つけられると言うのでしょうか。

その「唯一つ無二の方法」とは、「周りの人達とは比較しない」と言うことなのです。周りの人達と比べて、「勝ってるとか負けてるとか」を問題にしている限り、あなたの脳が活性化されることはないのです。必ず、あなたより勝っている人が周りに居るはずだからです。周りと比較して、負けているのを知って、肝心の「意欲」を落としてしまうことになるのです。

周りの人と比較して負けてるとか勝ってるとか言わないで、自分のやり方で、自分なりにそのテーマを追求し、「その追及の過程自体を楽しみ、その結果を受け入れる」やり方、第一の人生でのそれとは本質的に異なる「価値基準」が、あなたの脳を活性化させ、そのテーマを追求し続ける「意欲」を拡大させ継続させてくれることになるのです。その時、「そのテーマは、あなたの脳を活性化させる生活習慣になっている」はずなのです。

 注)本著作物(このブログB-02に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

脳機能からみた認知症の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

 

 

 

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