原発問題

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『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで> ※54回目の紹介

2016-09-21 22:19:29 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。54回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

 あとがき

(前回からの続き)

 もしあの時、自分が記事を書いていれば、今回の原発事故が防げたとは思っていません。しかし、各紙の報道が積み重なることによって、もっと多岐にわたる設備が拡充され、事故対応に当たった人々の被曝線量をほんのわずかでも下げることはできたかもしれません。あの時、記事を書かなかったことを後悔するとともに今回の原発事故で影響を受けた人達に対して申し訳なく思っています。

 偶然なのか、必然なのか、その福島県に赴任することになりました。福島第一原発の事故収束、汚染水問題、除染、中間貯蔵施設、避難指示の解除、復興公営住宅の建設、放射線の問題、甲状腺癌、営農再開、賠償金の問題と、様々なことと向き合いました。

 しかし、取材は想像以上に難しかったです。約2年間の福島県での取材を通じて、私自身、こうだと確信を持てる真実にたどり着くことはできませんでした。

 被災者はメルトダウンの事実を知らされず、放射線の中をさ迷いました。自分たちにとって、一番大事な情報が伝えられませんでした。原発事故後に出された情報も、訂正に次ぐ訂正で、正しい情報はいったい何なのか、知る術がありませんでした。

 情報は信じられない。『取材した人達の胸のうちに、それがあるように感じました。

「自分が何を言ったって、どうせウソ伝えるんでしょ」。そんな風に思われているように感じたこともありました。

 ※「あとがき」は次回に続く

2016/9/22(木)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


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