原発問題

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【フクシマ見聞録】婚約は破棄され、その女性はノイローゼになった ※6回目の紹介

2016-09-27 22:03:16 | 【フクシマ見聞録】

1876to1945さんのツイート(2013年10月01日~)を順に紹介します。6回目の紹介

【フクシマ見聞録】このままいけば、子供達、高齢者たちが先に死ぬことになる

Akira Tsuboi@1876to1945さん 2013年10月07日、08日のツイートから

福島行-

最後、彼は懇願するように言った。

恥も外聞もない。恥も外聞も踏み越えて、
彼は話したのだった。一人で。

彼が渾身で言葉をぶつけた相手は、
通りすがりの人間だった。

政府や行政に対する怒りも
当然前提としてあるのだが、

それを踏まえて動かぬ郡山市の
一般の人間に挑みかかったのだった。-

 

-潮のぶつかり合う様を眼前で
見るような思いで自分は立っていた。

その五ヶ月前の4月22日、
東京から郡山集団疎開裁判のリーフレットを
配る一行がバスで郡山へ向かっていた。

自分もそこに参加していたのだが、
行きの車内で参加者がひとりひとり

自己紹介をする場面があり、
それぞれが何がしかのこと-

 

-を順繰りに話していた。

「飯館に行ったことがあって、、、。」

参加者のひとりの若い娘さんが言っていた。

「そこは皆さんご存知だと思いますけど、
放射線量がものすごくて。

でも、そこにおじいちゃんおばあちゃんがいて。

本当に優しい人達なんです。

そういう人達に対してどう話して-

 

-わからなくって、、、。

本当のことを外から来た人間が言うのも、
なんか傷つけてしまうような気がして、、、。

だから、郡山でもそこで生活している
人達の気持ちをなるべく
傷つけないようにしてゆきたいと思います」

そんなことを言った。
そのことは他の参加者も口にしていて、-

 

-”傷つけないようにしたい”というようなことを
言っていたのを思いだす。

しかし郡山に住み、働いていたハンドマイクの男性は、
そうした配慮を踏み越える。

現地人だからこそ、同じ現地人に挑みかかる。

そうして罵声を浴び、絶望の言葉を吐かせる。
そこにはむき出しの衝突があった。-

 

-「なにか話しますか」関西弁の男性が自分に言った。

時刻はまだ18時30だった。

たった二人で話してゆくものだから、
どうしても時間が余る。

一瞬の逡巡を感じたが、自分はマイクを受け取った。-

 

-自分は、右隣で肩からハンドマイクを

かけた男性からマイクを受け取り、話し始めた。

「郡山のみなさん、こんばんは。東京から来ました。
ええと、交番の前で放射線量を測りました。

東京の、世田谷のうちの前の7倍ありました。

そこにある、置いてある放射線の計測器より
全然高い値が出ています-

 

-夜の中で濡れる空間ができていた。

「-2012年、福島市である女性に会いました。
その女性はこんな話を、自分にしました。

-「自分の知り合いの娘さんは2011年6月に
結婚しようとしてた-。」”ジューンブライド”ですね。

しかし3月11日に地震が起きて、原発事故が起きた。-

 

-「その方は、福島県外のおうちのお婿さんと
結婚する予定だったそうです。

だけど、その3.11で放射性物質が郡山市に
降っただろうと、降った、と。

その結婚するつもりの女性も被爆しただろう、と。
福島県外のその家の方は思ったらしいです。-

 

-「それで、”健康なこどもを埋めないかも
しれない女とは結婚させることはできない”、
そう言ったそうです。

そしてその婚約は、破棄されました。

で、その女性はノイローゼになったと。

そして”自殺未遂をしたんです”、
こんな話を聞かせてくれました。」

先の方、駅ビルの光を光景に、喫煙所に人が-

 

-屯していた。
「%%%%ッ」その中から、
罵声とともに何かが投げられ、

濡れたタイルの上を勢いよく弾んで滑りながら、
自分の左手5メールほどに届いた。

段の袖にぶつかりゴツン、というような音がした。

瓶だった。

段の袖にあたった瓶は割れもせず、
無機的に転がる。エッジ-。

自分は思った。-


 ※次回に続く

 2016/9/28(水)22:00に投稿予定です。 


『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで> ※57回目の紹介

2016-09-27 22:02:38 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。57回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

 あとがき

(前回からの続き)

 自分の人生を否定されたような気持になったのではないでしょうか。そのやり場のない思いは、姿を変えて東電と国に向かい、理屈ではない言動となって表れることがあるのかもしれません。

 きっと、いろんな人がいるのです。皮算用をしている人もいるのかもしれません。しかし、被災者が東電と国に抱いている憎しみと、背後から襲ってくる放射線から命からがら逃げてきた時の恐怖心は、経験者でなければ真の意味で理解することはできません。この2つが被災者の根源にあり、あらゆるすべてのことにおいて、理屈だけでは解決できない、心の闇となっているということを、覚えておくべきだと思います。

 毎月10万円の精神的賠償による「賠償金漬け」の問題もそうです。いろいろな報道がありましたが複眼的な考察が足りないと思います。被災者の状況は多様です。考えてみれば、強い憎しみを抱き、絶対に許さないと決めている相手から「せめてもの罪滅ぼしに」と差し出されたお金を、人は有効に使うものでしょうか。「相手の目の前で札束を破り捨ててやりたい。それができないのなら、せめて相手が望むものに使ってやろう」。そんな風に思ったりしないでしょうか。(中略)

 今回の原発災害でいえば、当初は放射線が主な要因だったなずの問題が、時間と共に別の問題と絡まり、複雑化しました。放射線の問題を取り除いただけでは解決できなくなってしまいまいました。複雑な連立方程式になる前に、迅速に対処するスキームが災害対応には必要です。

 

 ※「あとがき」は次回に続く

2016/9/28(水)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


9月26日(月)のつぶやき

2016-09-27 02:24:20 | つぶやき