農場では、施設の新築や増改築、構内整備などでコンクリートを施工する機会があります。通常は業者に依頼するとしても、自力で施工することもあるでしょう。高いコストをかけて作る施設です。コンクリートの基礎を覚えて失敗のない施工をしましょう。
コンクリートの構造
セメントや骨材(砕石など)などを混ぜたものをコンクリート、それに鉄筋が入ると鉄筋コンクリートと呼びます。(表1)
コンクリートは、注文する規格やその後の養生で、強度や耐久性に大きな違いが出てしまいます。
生コンクリートの規格
固まる前のコンクリートを生コンクリートといいます。一般的に生コンクリートは『強度』『スランプ』『骨材の最大寸法』の三点で品質を指定します。(表2)
(1)呼び強度
コンクリートが圧縮に耐えられる強度です。一般的な小規模木造住宅の基礎は二十一N(ニュートン)程度、牛舎施設は二十四N程度です。構内舗装やパドックも、鉄筋入りで二十四N程度必要です。
(2)スランプ
生コンクリートの軟らかさの指標です。数字が大きくなるほど軟らかくなります。(表3)
打設の作業性を良くするために、直前で水を混ぜることがあります。この方法はセメントが薄くなってしまい、強度が低下するので水と一緒にセメントを入れる必要があります。
(3)骨材の最大寸法
鉄筋の間の八十%以下で、かぶりの厚さより小さくする必要があります。(図1)
養生
コンクリートは打設から数時間で硬化します。(一次硬化)。その後、一~数カ月かけて化学反応がすすみ、ゆっくりと強度が増してゆきます(二次硬化)。コンクリートの硬化は、水との化学反応なのでこの間は『乾かさない』『凍らせない』ことが大切です。
もし暑熱期にかかった場合は、シートをかけたり、打設翌日から水をかけるなどして水分が不足しないようにします。
平均気温が二度を下回る時期は、できるだけ打設を控えましょう。どうしても施工する場合は凍結防止策が必要となり、費用がかかってしまいます。
余裕を持って計画を立て、打設から一ヶ月間は凍結や暑熱の時期に重ならないように調節しましよう。
最後に
コンクリートの強度は『規格』と『養生』で決まります。せっかく施設費をかけるのですから、必要強度がでるようにしっかりと管理することが大切です。