くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「世にも美しい日本語入門」安野光雅・藤原正彦

2013-06-22 19:16:58 | 言語
 昨年、安野光雅の作品をたくさん見る機会があって、その繊細さとユーモアに感激したんですが、図録を買わないでしまったことを今も後悔しているのです。
 「世にも美しい日本語入門」(ちくまプリマー新書)。安野さんが小学校の先生だった頃、教えを受けた藤原正彦さん。なんと松田哲夫さんも同じ小学校にいたそうで、三人が協力して作った本だということです。
 わたしは本を買うと、すぐさま読んでしまうかぼーっととっておくかということが多いんですが、この本は半年くらいかけて非常にちみちみと読みました。
 昼休みに図書室で、あっちを読んだりこっちを読んだり。何回か同じところを読み返したり。
 「好き」と「大好き」くらいしか知らない人は、「ケダモノの恋しかできそうにない」と藤原さんはおっしゃいます。日本語には細やかな心のひだを表す言葉がたくさんある。
 唱歌と童謡とか、文語文とか日本語のリズムとか、お二人は縦横無尽に語り合います。
 好きな詩を持ってきて、話したら相手も同じものが好きだったということも結構あったとか。
 始めの方に、藤原さんが大学で実践している「読書ゼミ」の話が出てきましたが、それをまとめた文庫本も持っているんです。でも、「武士道」から読もうと思ったけと、本を借りただけで一カ月過ぎてしまうわたしには難しいのかもしれません。
 で、そのゼミを受けている皆さんが、当時の教養について衝撃を受けている。特攻隊に出る人が、ニーチェや「万葉集」を読んでいる。戦争の悲惨さとか虐げられた女性像とかをイメージしてきたことががらりと変えられるのです。
 わたしも国語教師ですから、それなりに本を読んできてはいるんですけど、藤原さんが提示している本をほとんど読んでいません。「福翁自伝」がおもしろいと書いてありましたが、いつ読めるのだろう? 文庫本は車のトランクに入れたままなので、反省しきりです。
 意味が分からなくても積極的に文語文を読むべきだというお話は、わたしもそう思っていました。「冬景色」、五年生で習って、あまりの美しい言葉に泣きそうになりましたっけ。息子が五年生なんですが、今はそういう感じの歌は入っていないんでしょうか。
 ちょっと教科書を見せてもらおうと思ったら、学校で全員分を保管しているんですって。うーん、気になる。
 


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