くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「沈黙のパレード」東野圭吾

2020-02-10 20:39:52 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 短編集かと思って読み始めたら、いつまでも終わらない(笑)。
 ガリレオシリーズ「沈黙のパレード」(文藝春秋)。9冊目だそうです。
 黙秘権を行使し、無罪の判決を受けた男。十二年前の疑惑が晴れないまま、その義母の家からまた遺骨が……。
 
 自分の愛する家族の命を奪いながら、のうのうとしている蓮沼を許せない人々の気持ち、すごい共感します!
 二つの事件のつながりや、最終的に湯川が解きほぐす謎。そしてある女性に話をするときに彼の心には「容疑者X」が尾を引いていることが伝わってきて、はっとさせられます。
 しかし、智也くん、この後どうなるのか。一区切りつけて新しい人を見つけられるのか、どちらかといえばお母さんの年代に近いわたしには非常に心配です。(余計なお世話だが)

「七丁目まで空が象色」似鳥鶏

2020-02-09 22:33:15 | 文芸・エンターテイメント
 待ちに待ったシリーズ五冊目!
 似鳥鶏「七丁目まで空が象色」(文春文庫)。
 とにかく、壊します! 
 
 桃本くんの従弟誠一郎が働く動物園を視察に来たメンバー。誠一郎は自分が飼育員になったことを知らせていなかったので、サプライズな再会となります。
 しかし、その喜びもつかの間。中国から預かっている象のランティエが脱走し、園外に出てしまうのです。
 木は倒れ車は壊れ、誰も近寄れない象。中国語を話すことのできる誠一郎が、寄り添って歩くことができるようになります。(何となく、便利に使われている気になってしまう誠一郎ですが)
 象担当の飼育員が姿を消しており、桃本くんたちはその彼氏に立ち合ってもらってアパートを訪ねます……。

 そう、彼氏。
 こういうさりげないLGBTがたまらないですね。
 また、何故彼らがいつも事件に巻き込まれるのかも。
 最近、似鳥さんのツイッターも読んでいるわたし。次巻も楽しみにしてますー。

「タスキメシ 箱根」額賀澪

2020-02-02 19:08:29 | 文芸・エンターテイメント
「でも、大学四年間眞家と一緒にいて、努力が報われる奴はただ運がよかっただけなんだって気づいた。努力は大体、報われないんだ」
 藤宮くーん! 頼むからわたしの涙腺決壊させないで!
 何度も、胸が熱くなりました。額賀澪「タスキメシ 箱根」(小学舘)。
 前作もよかったんですが、寧ろこの続編のためにあったのではないかと思うくらい。
 箱根駅伝に関わる本は好きで読むのですが、下位の学校でそれでも走りたい、卒業したら選手としては走らないと決めている四年生たちの姿が……。
 優勝校の喝采のかげで、シード落ちや繰り上げスタートに怯え、自分の選手人生を賭けても走り抜きたいと思い詰める彼らの姿が、胸を打つのです。

 栄養管理兼コーチアシスタントとして紫峰大学駅伝部にやってきた大学院生、眞家早馬。キャプテンの千早は、何となく彼に好意を持てずにいます。
 弟、チームメイト、友達がそれぞれ優秀な駅伝ランナーである早馬は、箱根を給水係として走っています。
 予選会を今年こそ突破して、箱根に出場したい部員たち。
 その中で、千早はアキレス腱炎症のために棄権することになり……。

 続けること。後悔。努力に裏切られること。
 スポーツに限らず、自分の夢を「達成する」とはどういうことなのか。
 手元に置いて何度も読みたい。
 
 今年、紫峰大学のモデルであろう筑波大学さんが箱根に出場しましたね!
 こういうリンク、楽しいです。
 ラストの東京オリンピックは、札幌開催決まる前なので神保町に出かけてますが、そんなに気にはなりません。
 
 特に好きなのは、二区で優勝を狙う慶安大のエースと競り合った森本が悔しがる場面。飄々と取り組んできた彼の変化が、いいんだなあ。
 それから、訪ねてきた藤宮に、チーズと鰹節を渡すところも。
 あと、メンバー発表のときに早馬が作っている手巻き寿司がおいしそうなんです! 肉を焼いてるよー。サンチュ、レタス、細切りキュウリ、玉ねぎ、かいわれ菜を海苔で巻くんだって。 来週作ろう!